これが歴史的な共産党の36協定…だけどよく見るとヘンでは?

(この記事は私の不当な除籍・解雇事件の問題の一部についてです。全体像を簡単に知りたい方はこちらを先にお読みください。)

 

 私を不当解雇した日本共産党福岡県委員会ですが、労働基準法で定められた就業規則労働基準監督署に提出していなかったとか、労働安全衛生法で義務付けられた労働時間の管理も適切に行っていなかったということで労働基準監督署から是正指導を受けてきました。まともな労働者の処遇がおよそできていなかったということです。

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 私は自分が不当解雇された昨年9月に労基署に就業規則を見せてもらうように問い合わせたのですが、その時、党県委員会は労基署に就業規則を提出していませんでした。

 今年2月に初めて提出されたのです。

 

共産党福岡県委員会の就業規則…は不開示

 今回、情報開示によって入手された同党県委員会の就業規則の関連文書をお見せしたいのですが、本体は「不開示」でした。

 「労働者階級の党」であることを規約で掲げる政党として、ぜひ垂範率先、全世界に積極的に見本として公開してほしいものです。

 

意見書の宛名はおかしくないか?

 同時に、就業規則として出された関連文書はこちらです。

 「意見書」というのは、会社が作った就業規則案に対して労働組合や労働者代表が意見を述べた文書のことです。

 労働基準法第90条に基づくものです。

第九十条 使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
② 使用者は、前条の規定により届出をなすについて、前項の意見を記した書面を添付しなければならない。

 だけど共産党県委員会が労基署に提出した意見書はどこかヘンです。(※届の方ではありません)

 どこが?

 それは宛名です。

 「福岡中央労働基準監督署長殿」になっています。

 本来なら使用者(日本共産党福岡県委員会の代表)に対して宛てたものでなければなりません。そして90条2項の通り、使用者から就業規則の添付文書として労基署に提出されるものです。ネットに転がっている意見書の見本はどれもそうなっています。当たり前の話だからです。

 ところが、この意見書は90条に基づいて使用者に出された意見書ではなく、使用者を飛び越して労基署(長)に出されているのです。

 ここから「この意見書は本当に使用者に提出されて、使用者はその意見を聞いたのか?」という疑惑さえ生じます。

  •  労働者代表がきちんと使用者に意見を述べる。
  •  使用者はそれを見て再反論する。
  •  労働者代表がまた意見を述べる。…

 こういうプロセスがきちんと行われて真摯な対応をお互いにしているのであれば、意見書の宛名は自然な成り行きとして「使用者」になるはずではないでしょうか。

 とにかく労働基準監督署に出すためだけにあわてて作成し、何でもいいから添えた……そんなことがないように祈るばかりですが、宛名が「労基署長」という初歩的なミスは、そういう意識がすけて見えてしまうように思えます。

 

36協定——残業できる時間が矛盾

 あわせて、日本共産党の103年の歴史でもおそらく初めてであろう36協定も入手しました。

 よく見えないので拡大しますが、1日の所定労働時間が6時間30分になっているのがわかると思います。

 所定労働時間というのは、その会社が「1日これだけ働いてください」と労働者に命じている時間です。これに対して法定労働時間というのは法律(労基法38条)で決まっている労働時間の上限のことで、1日で言えば8時間ですね。法律で1日8時間と決まっていても、その会社がたとえば5時間が所定労働時間だと定めれば、5時間働けば帰っていいのです。

 これを見ると、党県委員会の所定労働時間は1日6時間半(赤い枠)。「ホワイト」企業のようですね! 「1日7時間労働」という自らの政策の先取りでしょうか!?

 でも、これは実は週休1日だからです。

 党県委員会は今も週6日労働なんですね。

 1週間の法定労働時間は40時間ですから、党県委員会の場合6時間半×6日=週39時間でギリギリです。もし7時間にしたら7時間×6日=週42時間で法定労働時間を超えてしまいます。

 

 しかし…。

 この協定も、よく見ると変ですよね。

 どこが変か。

 1日にさせる残業の上限を「法定労働時間を超える時間数」で「2時間」としています(青い枠)。つまり

法定労働時間8時間+超える時間2時間=10時間

で1日10時間働かせることができるというわけです。

 ところが、そのすぐ横を見てください。

 「所定労働時間を超える時間数」では「2時間30分」(緑の枠)だとしています。つまり

所定労働時間6時間30分+超える時間2時間30分=9時間

1日9時間まで働かせることができるというわけです。

 あれれ?

 1日に残業含めて労働させていい時間は10時間? 9時間? 

 青い枠緑の枠で全く違ったことが書かれているのです。

 これもまた初歩的なミスです。

 

 聞けば、昨年の夏頃に指導が入っていて、それを延ばしに延ばして今年の2月、ようやく半年たって提出したのですから、満を持して練りに練った立派な、世界の労使の見本となるべきものが提出されてもおかしくないのに、やらかしてしまったように思えます。

 どうしてこんなずさんな36協定を締結し、それを平気な顔をして労基署に提出してしまったのでしょうか。

 それは推察するしかありませんが、私は、労基署に言われてあわてて提出したからではないかと思います。そう考えると、この36協定の締結主体であり、同時に意見書の提出主体である、労働組合または労働者代表というのは、本当に実体のある「代表」なのだろうかという素朴な疑問さえ湧き上がってきます。

 なぜなら、共産党自身、「長時間労働は、働く人の健康を脅かし、子どもや家族との時間を犠牲にするなど、社会に大きなひずみをもたらしています」というほどですから、法定労働時間を守り、残業はできるだけさせないようにする、というのが同党の基本精神のはずです。

 とにもかくにも「党機関専従者も労働法制を順守することは必要」と小池書記局長がおっしゃっているわけですから、党機関専従者としては法定時間をできるだけ守り、どうしても無理な場合は残業もするが、健康や家庭を犠牲にすることのないよう、上限をしっかり定める…そういう意識になるのが自然ではないでしょうか。

 しかし、上記のような初歩的なミスのありさまを見ると、どんだけいい加減に考えているのだろうか、という疑念を抱いてしまうわけです。

 

「初歩的なミス」の根底にあるもの——働く人へのずさんな対応

 世間が注目している大きな問題だというのに、党県委員会や党中央はしっかりチェックしなかったのでしょうか。少なくとも弁護士や社労士に見せたりしなかったのでしょうか。

 要するに、共産党県委員会として、そこで働いている人の人権や健康、家庭についてあまりにも軽くしか考えておらず、すざんな管理を続けてこなかったのかということです。それはまさに私を不当解雇していまだに「不当ではない」と言い張っている、その態度に通じているのではないかと考えてしまいます。

室見川(福岡市)