(この記事は私の不当な除籍・解雇事件の問題の一部についてです。全体像を簡単に知りたい方はこちらを先にお読みください。)
私の原告の共産党不当解雇裁判の第4回期日(口頭弁論)が終わりました。
弁護団長の平弁護士も驚いていましたが、引き続き傍聴・報告集会に本当にたくさんの方が来ていただきありがとうございました。事前のビラまきに参加してくれた方、募金をくれた方にも深く御礼申し上げます。
今回の第4回期日の中身は、弁護士jpニュースで、とてもうまくまとめていただいてます。ぜひお読みください。
また、弁護団の平弁護士・松尾弁護士から、今回の口頭弁論でどのようなことが問題になったのかを語っていただいてます。ぜひご覧ください。
私の意見陳述は今回ありませんでしたが、終わった後の司法記者クラブでの記者会見と報告集会では、所感を述べました。概要を紹介します。
全体を貫いてるのは、「共産党だけはこの全世界の中で全く特権的な地位を与えられていて、特別な存在なんだ。社会にある法・ルールにはしばられない」と考えているかのような主張をしていることです。
(1)労働者であることを今さら認めないつもりですか?
まずこのことが端的に現れているのが、被告準備書面(2)のトップに書いてある労働者性の否定です。
原告は、『被告らは、被告準備書面(1)2頁(1)アにおいて、原告の労働者性を正面から認めた』などと主張する。しかし、被告らが被告準備書面(1)2頁(1)アで認否したのは、形式上「雇用契約の締結」を認めたに過ぎず、それをもって、ストレートに原告の「労働者性を正面から認めた」ことにはならない。すなわち、再三述べているとおり、被告県委員会の勤務員は党員でなければならないところ、当該勤務員の活動は、一般私企業のような利潤追求のために指揮命令を受けて労働力を提供するという関係にはない。この点について、原告は知悉しているはずであろうに、これをあえて無視しようとするところに、原告の欺瞞性を感じざるを得ない。
結局、県委員会勤務員が、労働契約法上の労働者であること、労働基準法上の労働者であること、すなわちこれらの法令の適用を否定しているのでしょうか、認めているのでしょうか。
もし否定するのであるとすれば、大変な事態です。
「共産党に労基法なし、共産党に労働契約法なし」——こんな馬鹿げたことを、21世紀の日本で認めてしまうことになるのですから。
そもそも福岡県委員会は、労基署から指摘を受けたためにあわてて勤務時間や勤務場所や規律まで事細かに規制する就業規則を作って届けているではありませんか。
労働者だと思ったから就業規則を作って届け出たんじゃないですか?
そして、やはり労基署からの指導で、形式上ミスだらけで専門家から笑い物になっている36協定まで結んで残業の方式や支払い方法を事細かに定めています。じゃあ、それは一体なんだというのでしょうか?
有名な濱口桂一郎さん(労働政策研究・研修機構労働政策研究所長)がブログで私のことに触れながら、日本共産党福岡県委員会の36協定のことを取り上げています。
— 神谷貴行 (@kamiyatakayuki1) 2025年5月12日
私を不当に追放した古巣ですが、顔が真っ赤になるほど恥ずかしい話です。https://t.co/hpOB8gdBUo
労働者だと思うから36協定が結べたのではないですか? 労働者でもない人と36協定を結んだんですか?
もし党幹部が労働者性を正面から否定するのであれば、県委員会は堂々と労基署に次のように言い捨てて電話を切ればよかったはずです。
「労基署が何の用だ? 勤務員は労働者ではない! 就業規則の作成や届けなど不要だ! 36協定!? ふざけるな、われわれは革命戦士だぞ! 革命に残業などないっ!!」
ところが、実際にはそんなことはしないわけです。
世間から指弾されるのがこわいからです。
労基署と争うのではなく、労基署の指導には言いなりになる。
しかし、組織の中では引き続き「お前たちは労働者ではない。職業的革命家なのだ」と言い続け、労基法や労働契約法通りの働き方を許そうとしない。
こんなデタラメなやり方が罷り通れば、日本中のブラック企業がみんな真似をするでしょう。日本共産党がブラック企業の先進モデルになるという実に恥ずべき事態になってしまいます。
福岡県委員会に対して残業代請求をしている方(ペンネーム「油鳥」さん)がいますが、彼が労基署から情報開示させた資料があります。
この方は「共産党や民青の専従は労働者ではない」と職場でさんざんいわれてきたんだけど大丈夫でしょうか? と労基署の監督官に不安を投げかけています。それに対して指導に入っている監督官がこうこう答えています。「本職が対応した事業場(つまり福岡県委員会のことですね)は労働者であることを認めていたことを申告者(これは油鳥さんのことですが)に伝えた」と書いてあります。

つまり福岡県委員会は、労基署から「雇っている勤務員は労働者ですよね」と聞かれたら県委員会は「はい、労働者です」と答えていてそれが労基署の公式の記録に残っているんですよ。
自分たちが雇っている勤務員には「お前たちは労働者なんかじゃない! 24時間いつでも革命戦士だ!」と言って、裁判してくる相手には「労働者ではあり得ないことなどお前もよく知っておるだろう!」とどやしつけてくるくせに、「お上」の聞き取りには“ろ、『労働者でない』などと、とんでもごぜえません。そのような扱いをした記憶はごぜえませんでして。へえ。お役人様、まちがいございませんでさあ、正真正銘、労働者でごぜえます”って事実上言ってるんですよ。
あまりにもひどくないですか。これが「労働者階級の政党」を規約でかかげている日本共産党のやることでしょうか。
被告は準備書面で「当該勤務員の活動は、一般私企業のような利潤追求のために指揮命令を受けて労働力を提供するという関係にはない」と述べていますが、「一般私企業のような利潤追求のために指揮命令を受けて労働力を提供する」とわざと狭く切り出して否定しているのが、狡猾なやり方だと思います。
例えばNPO法人で働く職員は「利潤追求」のための企業ではありませんが、そこで働いている人は労働者です。
あるいは社会福祉法人や公益社団法人・公益財団法人で働く人はどうでしょうか。こうした「利潤追求」を目的としていない事業体で働いている人は、労働者ではないかと言えば、そこで働く人もみんな労働者のはずです。
「世の中を良くするために働いている人は労働者ではない」という印象操作をしたいようですが、労働法というのはそんなに甘いものではありません。
だいたい、今共産党あげて学習しようと言っている志位和夫議長の「赤本」——『Q&Aいま「資本論」がおもしろい』ではなんと言っているでしょうか。
労働者とは何か? とても大事な質問です。労働者というと肉体労働に従事する人という見方があるかもしれませんが、それは違います。はるかに広い人々が労働者のなかに入ります。労働基準法では、「労働者とは、職業の種類を問わず、事業又は事業所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう」と定義されています。つまり、企業または事業所に労働を提供して賃金を支払われている人は、すべて労働者になります。(p.56-57)
そしてご丁寧にも
現行法では労働者として扱われていない働き方をさせられている人も、すべて経済学の上では労働者です。(p.57)
と付け加えています。
被告の代表は一度これを学び直した方がいいのではないでしょうか。同じ人のようですが。
現行法で労働者として扱われていない人まで労働者とみなすべきだと大見得を切っているのに、自分たちの職員は就業規則もだして36協定まで結んだけども労働者ではないというのです。
まさに「共産党だけは、この日本社会で特別に法律が適用されない存在なんだ」という自分たちがこれまで身内でうそぶいてきた理屈をモロに司法の場に持ち出してしまっていると言えるのではないでしょうか。
(2)「党籍を失えば解雇する」と定めた就業規則は存在したのか
次に、「党籍を失えば解雇する」と定めた就業規則は存在したのか、という問いに、被告側は答えられなくなっているということです。
「党籍を失えば解雇する」と定めた就業規則は存在しない、と私たち原告側は主張してきました。実際そんな文言の就業規則はどこにもないんです。
そのため、被告(党幹部)側は苦しくなります。
出せないのですから。
出せないから、とうとう次のような理屈づけをし始めます。
被告側はまず“勤務員規程が就業規則みたいなもんなんだよ”と言います。
その上で、“そこの第1条と第2条に、勤務員は共産党の綱領とか決定を実現するためにがんばろうねって書いてあるでしょ? それはつまりあのですね、勤務員は共産党員だって言っているようなものですよ。勤務員は党員だって言ってるようなものなんだから党員じゃなくなったら勤務員じゃなくなるようなものじゃないですかあ”とあまりに無理筋なこじつけをします。
そして、私がいたことのある東京都委員会や福岡県委員会では、「党員でなくなった者は当然退職している」「原告(神谷)自身もよく知るところである」と今回の準備書面で主張しました。
すいません。私はこの2つの事業所に30年いましたけど、「党員でなくなった者は当然退職している」という事例を覚えておりません。
と言いますか、今問題になっているのは、「党をやめて、そのついでの自発的に職場も去る」なんていう事例じゃないはずです(それも記憶では一つもありませんが)。あるいは、女子高生をレイプして除名され、同時に解雇されるようなケースでもないはずです。
「除籍されて解雇される」——こういうケースは「原告自身」知りません。「当然」に見聞きしたケースでもありません。私が「当然に認識している」とか「よく知るところであるが」とか「知悉している」とか被告側準備書面(2)にめちゃくちゃ出てくるんですが、知らないですよ。
私が嫌というほど知っている事実であるなら、証拠を出せばいいと思うんですが。「神谷は知っているはずだ!」なんて何百万回言っても根拠になりませんよ。まじめに裁判してほしいですね。
裁判所もそこは被告側の主張があまりに弱いと思ったのでしょう。次の進行協議までにちゃんと事例を出してくださいねと促していました。
私も福岡県委員会と東京都委員会で、私がよく知っているような事例が山のように出てくるビックリ展開があるのかないか注目しております。
そもそも。
共産党幹部側が「就業規則だ!」と言っている「勤務員規程」は本当に就業規則なのでしょうか?
この問題では、私が除籍された後の2024年9月20日付で福岡中央労基署から県委員会は「是正勧告」を受けておりその中では「常時10人以上の労働者を使用しているにもかかわらず、法定の事項について就業規則を作成し、所轄労働基準監督署に届け出ていないこと」とされており、そもそも法定の就業規則そのものが「作成」されていなかった、存在していなかったことが明らかになっています。

共産党幹部側が「就業規則だ!」と言っている「勤務員規程」は実は就業規則ではなかったということです。
要するに、「共産党は共産党員しか取らないし、党籍を失えばクビだ」という理屈は、共産党の中では通用しても、一体今の労働法のどこに居場所があるのか全くわからない理屈なのです。
社会的に説明できない雇用の仕方では、若い人は入ってきません。
どんな無法なやり方でも結社がこれまでそれで押し通してきたならそれでいいというなら、ブラック企業はこの手口に学び出すことでしょう。
「社員になる人は我が社の社訓を信じる〇〇会会員になること」という要件を設け、解雇したいときは◯◯会会員を除籍してしまえばいいのですから。
ここでも、「共産党の独特な雇用・解雇ルールは、日本社会で共産党だけが享受できる特権」だという、共産党幹部のあまりに無理筋な法律解釈が浮かび上がります。
「ぼくがかんがえた さいきょうの ろうどうほう」では党内では通用しても、社会に出したら通用しないのです。
(3)県党会議での私の被選挙権剥奪の理由が破綻した
もう一つ、裁判上はあまり重要な論点ではないのですが、今回の被告準備書面で、実は党内民主主義にかかわって非常に重要な事実が確認されました。
「県党会議での私の被選挙権剥奪の理由」を、被告(党幹部)は「不正確」だったと言って、訂正したのです。
この問題は、別の記事で詳しく述べます。
