原水爆禁止2021世界大会と「第1回締約国会議への全ての国の参加」問題

 原水爆禁止2021年世界大会のヒロシマデー集会にオンラインで参加しました。

 以前はわりと頻繁に参加していたのですが、子育てをするようになってからはほとんど参加できず、オンラインということで今年は10年以上ぶりの参加でした。

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 この問題についての参加した私の問題意識は、「福岡市として核兵器禁止条約にどう取り組むか」ということです。「福岡市として」という以上、それは一党一派の立場からではなく、たとえ今の市長であってもその立場でどう取り組めるのか、ということです。

 

どこに関心を持って世界大会に参加したか――クメント墺大使の発言

 この点で、私は、原水爆禁止日本協議会原水協)の安井正和事務局長の「しんぶん赤旗」7月17日付インタビューでの次の発言に注目していました。

大会には来年1月の禁止条約第1回締約国会議を担う国連・政府代表、第10回NPT(核不拡散条約)再検討会議の政府代表が参加します。締約国会議議長を務めるオーストリアのアレクサンダー・クメント大使は、核兵器廃絶の期限を「10年」とする見通しを明らかにしており、〔世界大会での〕発言が注目されます。

 これですね。

www.nishinippon.co.jp

 

 実は私は17日付「赤旗」を読んだ時には安井さんのインタビューに気づいておらず、英語の勉強のために読んでいた「Japan Press Weekly」で初めて知りました。英語で情報を取る、という初めての体験になったわけですね(笑) で、「Japan Press Weekly」の方がもう少し気持ちを引きつける書き方をしているので、あえて引用します。

Yasui said that as Kmentt expects that the meeting will set a 10-year deadline for the destruction of nuclear weapons, his remarks at the World Conference will draw much international attention.

 「much international attention」、「相当な国際的注目」ですから、「これは!」と思ったわけですね。日本語記事ではこの重大さのニュアンスがありませんでした。安井さんは「2021年世界大会の特徴と魅力」を語るインタビューで、真っ先にこのクメント大使の発言について言及しており、いわばこの大会の最大の目玉といっても過言ではないだろうなと思いました。

 もしこの安井インタビューの英文記事を読んでいなければ、漫然と発言を聞くだけになっただろうと冷や汗が出ます。

 

締約国会議とは何か

 なお、「第1回締約国会議(the first meeting of States Parties to the TPNW slated for January 2022)」とは何かをと言いますと、核兵器禁止条約第8条2に定められた会議です。

2、第1回締約国会議は、この条約が効力を生じた後、1年以内に国連事務総長によって招集される。

 同条で、この会議の任務は

締約国は、関連条項に従って、次の事項を含む、この条約の適用または履行に関するあらゆる問題、および核軍縮のためのさらなる措置について検討し、および必要な場合には決定を行うために、定期的に会合する。

  • (a)この条約の履行と現状
  • (b)この条約への追加議定書を含め、核兵器計画の検証され、時限を切った、不可逆な廃棄のための措置
  • (c)この条約の条項に準拠および整合する他のあらゆる問題

というものです。

 そしてこの同条5には次のような定めがあります。

5、この条約の締約国ではない国、ならびに国連の関連組織、その他の関連国際組織または機関、地域的組織、赤十字国際委員会国際赤十字・赤新月社連盟および関連の非政府組織は、締約国会議と検討会議にオブザーバーとして参加するよう招請される

 

クメント大使が求めたのは「全ての国の参加による非人道性の議論」

 この会議で、クメント大使は「10年」という廃絶期限を切るのではないか、などの注目が集まっているわけです。その議長予定候補としてのクメント大使が、世界大会でどんな発言をするのか? と思って注目しました。

 すると、彼は「10年期限」などおくびにも出しませんでした。

 代わりに、彼が強調したのは次の点でした。

私たちは第1回締約国会議で、核兵器の人道的結末とリスクへの認識を再び高めるような強力な政治的メッセージを発信したいと思っています。この会議は、各国政府と市民社会が禁止条約の人道的な理論的根拠の重要性を強調する機会となるでしょう。すべての政府と市民社会の参加が必要です。それが条約に対する支持の広がりと危険で間違った核兵器依存からの離脱に対する圧力の大きさを示すことになるからです。

 なんと第1回締約国会議の中心点は「核兵器の人道的結末とリスクへの認識」だというのです。「人道的結末とリスクへの認識」、つまり核兵器の非人道性を合意にし、それを「高める」ような会議にしようということです。

 核兵器の非人道性は、核保有国や核の傘依存国を含め全ての国が共通認識を持ちうる、重要なポイントです。「核兵器を持つかどうか、どんな政策を取るかどうかは、いろいろ意見があるけども、核兵器を使うとが非人道的な結果をまねくことは間違いないよね?」という議論が成り立つからです。

 昔は“核兵器を使ってもそれほど大したことはない”、“だから米国が原爆を落としたこともそれほどの罪ではない”とされてきたのですが、被爆者の訴えを始め被爆の実相が明らかになるにつれて国際的に「核兵器を使うことは非人道的である」という共通認識が作られてきたのです。

 核兵器を使えば非人道的結果をもたらすことは合意するが、使うこと自体や保有自体はそれとは区別されていますから、核保有政策を続けることは理論上は可能です。しかし、使えば非人道的だと認めてしまえば、使用や保有は相当厳しくなります。つまり非人道性の議論は、核の使用・保有を覆す重要な入り口になるのです。

 クメント大使は、この点を第1回締約国会議の焦点にしようとしているのです。彼はこう続けました。

国連事務総長すべての国家の参加を招請しました。禁止条約締約国は、現在この条約を支持していない国の参加を歓迎しています。私たちは、未だに禁止条約に懐疑的で、核抑止力にしがみついている国々の関与を必要としています。もちろん各国は、少なくとも短期的には、禁止条約に加盟したくないと主張することもできます。しかし、禁止条約の基礎である人道性の深い議論に加わらないという理由や言い訳はありえません。

 まさに「人道性」の議論を入り口にして、核保有国をはじめとする非加盟国の参加を広げようとしているのです。ここがクメント大使の戦略の非常に重要な点だと思いました。

 そうです。

 本当は、日本をはじめ現在加盟していない国が加盟して参加するのが一番いいのです。

 しかし、クメント大使は、来年1月に会議が開催されるという時間を考慮して、条約8条5を活用し、オブザーバーであっても全ての国が参加することを最も重視したのです。

私は、禁止条約を支持していない国の多くが、ウィーンの第1回締約国会議にオブザーバーとして参加することを期待しています。中でも日本のオブザーバー参加に期待します。

 

自民党公明党を含めて超党派でできる可能性がある

 私は、8月6日付の「赤旗」で政党討論の報道を読んだ時、共産・社民・れいわが条約加盟を訴えたのに対して、立憲民主党・国民民主党が条約参加に背を向けている*1ことにがっかりしたものです。

 ただ、「オブザーバー参加」という点では、自民党公明党を含めて足並みが揃う可能性が出てきました。

www.jiji.com

 加盟して参加することを引き続き求めるべきですが、オブザーバーであってもいいので、とにかく超党派で第1回締約国会議への参加をして、人道性の議論を深める――ここに今の問題の焦点があると思いました。

 クメント大使は、世界大会でわざわざこう発言しました。

禁止条約のとても重要な要素の一つである、被害者への支援と環境の回復という積極的な義務は、第一回締約国会議の焦点の一つとなります。被爆者はこの問題を禁止条約の重要な要素にするうえで決定的な役割を果たしました。

 「これが日本がオブザーバー参加して発揮してほしい役どころ」というガイドまでしてくれているのです。

 と言いますか、菅首相は、近頃「黒い雨訴訟」で上告を断念し、そのことを「成果」として誇っています。だから8月6日の広島市の原爆死没者慰霊式・平和祈念式あいさつで彼はこのことを誇ったわけでしょう。つまりクメント大使は暗に、“菅首相が締約国会議に来て、大いに黒い雨訴訟での英断を訴えてほしい”と誘い出しているわけです。

 ただし、菅首相は「あいさつ」で肝心の「非人道性」についての言及は1か所すっ飛ばしてしまったわけですが……(リンクしてある官邸ホームページのテキストは菅首相が読み飛ばしてしまった部分が「復元」されていますけど)。

 

 だとすれば、福岡市議会は国に対して、締約国会議への参加を促すようにすべきですし、もちろん髙島宗一郎・福岡市長も、平和首長会議の一員として国に求めるべきでしょう。ここに今自治体で党派を超えて取り組むべき焦点があると思いました。

 

韓国の運動の発言を聞いて

 ところで、安井事務局長が今年の世界大会での注目ポイントとしてあげていた点で、核保有国および核の傘依存国における反核運動でした。

 その中で、韓国の「SPARK」という運動団体のパク・ハヨンさんの発言に注目しました。韓国は日本と同じく核の傘依存国であり、条約に参加していない国です。そこでの運動や世論がどうなっているのか。

 パクさんは次のように表現しました。

日本と韓国はこの地球上で、最も多くの被爆者を出した国です。

 私は原爆について描いたこうの史代さんのマンガ『夕凪の街、桜の国』が韓国で出版されるにあたり「原爆投下は戦争を終わらせるためのやむを得ない決定だったが、これはあのとき、犠牲になった人々の苦痛と悲しみについての物語である」という「まえがき」がつくという話を聞いたことがあります。

原爆で被爆した女性の戦後を描いた漫画「夕凪(ゆうなぎ)の街 桜の国」が今秋、韓国で翻訳出版される。韓国語版には「原爆投下は戦争を終わらせるためのやむを得ない決定だった」との、日本語版にはない文章が盛り込まれる。……

 同社は初版3500部の出版を決定。韓国国内の読者に配慮し、「原爆投下は戦争を終わらせるためのやむを得ない決定だったが、これはあのとき、犠牲になった人々の苦痛と悲しみについての物語である」との前書きを付けることにした。

 原爆被害に関する書籍が、韓国で翻訳出版された例は少ない。韓国出版研究所(ソウル)の白源根(ペクウォングン)研究部長は「加害者である日本人が原爆被害を言うこと自体に違和感が強く、出版社は日本人の考えを代弁しているように受け止められることを警戒しているからだ」と話し、今回の出版後の反応を注視する。(朝日新聞2005年10月14日付夕刊)

 

 仮に、2005年にこのような世論状況だったとすれば、2021年のいま、「日本と韓国はこの地球上で、最も多くの被爆者を出した国」という認識をもって、そこの国の市民運動

韓国の原爆被害者と私たちSPARKは、2019年にソウルで開かれた非核・平和のための日韓国際フォーラムを契機に、アメリカの原爆投下の責任を問う市民法廷を準備しています。

という運動を展開しているのは、感無量です。

 日本軍「慰安婦」問題も、「反日」という文脈ではなく、「人間の尊厳の蹂躙の告発」としてとらえ、どこの国の軍隊のやったことであろうと戦時の性暴力を告発できる力を市民運動が持つべきだろうと思います。

*1:ウェブ版ではこの部分の報道はなく、紙面では報道されている。

東京のビラ・ポスターづくりにかかわってみて

 東京都議会議員選挙が終わりました。

 私も東京に行ったり、戻ってきてリモートでつながったりして、選挙や都政関係の支援をしました。

 主に、ビラづくりやポスターづくりを支援しました。東京に行っている間だけでなく、福岡にいながら四六時中いつでも支援できるというのは、なんというか、昔からは考えられないですね。

 たとえば、このへん、私です。

  自分がかかわったものが、現地で使われていると嬉しいですね。

 

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2021年6月28日付「しんぶん赤旗


 終わった後でも使われていればなおさらです。

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2021年7月17日付「しんぶん赤旗


 

 

 もちろん、制作に責任を持っているのは共産党の東京都委員会であり、中央委員会ですから、私はそこに起草・起案であったり、デザインであったり、そういう形で参加しているに過ぎないわけですが。

 

 今回、東京のビラづくりにかかわってみて、少なくとも私が行ったところは共産党の地区委員長(もしくはその代理)の方が「ビラづくりは共産党の論戦の基調をあらわすものになる」と考えて、会議に正面から参加されているのがとても印象的でした。

 ある地区委員会では、地区委員長自身がビラのラフを切ってこられました。会議の議論で最終的にはそれは採用されなかったんですが、地区委員長の責任感・意気込みと会議の自由な雰囲気が素晴らしいと思いました。

 

 私は、政治ビラの場合、政治的な責任者が担当者に「丸投げ」をしてしまうのはどうかなといつも思っていました。他方で、政治的な責任者がデザインや表現の細かいところにこだわりすぎるのも現場や担当の創意をすりつぶしてしまう(あるいはそれはトップの仕事ではなく、他のことにリソースを割いてほしい)ので、そういうのも困るなと思います。

 企業広告だと社長などが広告を最終決裁することはあまりないかもしれませんが、企業の広告と違って、政治では論戦は中心問題になります。だとすれば、戦略的な方向性の議論に関わり、プロセスは担当者に任せ、最後に責任をもって決裁する、という関わり方が理想だと思います。

 東京ではそういう現場が多くて、気持ちよく仕事ができました。

共産党都議団が10年以上前の私の調査を生かした質問をしてくれていたこと

 東京都に行く用事がありまして、池川友一都議(共産党・町田選出)にお会いしました。

 大変素晴らしい方でした。

 で、そのとき「神谷さんが東京都委員会の政策部にいた頃に調べた資料で原田あきら都議(共産党)が論戦していますよ」と教えられました。私が10年以上前に調べたことを、共産党都議団事務局にいた友人が都議に伝え、その論戦が行われたのです。

 調べてみると、確かに…ありました!

 2019年10月29日、環境・建設委員会でのやり取りです。

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 原田都議は、社会インフラの増強が必要であるにしても従来通りのやり方で進めていいのか、河川整備や防災、社会福祉などに中身を変え、新たな道路をどんどん作り続けるやり方は改めたほうがいいのではないのか、と提起します。

 しかし、東京都は道路がもっと必要なんだと主張していて、原田都議はその根拠になっている、建設局が毎年発行している「事業概要」の記述・数字を検証していきます。

原田委員 次に、第三段落、今度は国際比較しています。既成市街地とされている区部の道路率一六・五%は、既に道路率が二〇%を超えているニューヨーク、パリなどの欧州諸国の主要都市と比較すると低率だ、そう書いています。
 まずお尋ねしますが、既に道路率が二〇%を超えているニューヨーク、パリなどの欧米諸国の主要都市と比較すると低率だといっていますが、その出典は何も記載がありません。出典及びニューヨークやパリの道路率というのは一体いつの資料なのかお答えください。

村井道路建設部長 ニューヨークやパリの道路率は、国が監修している一九九九年版の道路ポケットブックに記載されたものを引用したものであります。

原田委員 今、一つちょっと答弁漏れがあるんですけど、九九年のポケットブックに書いてあったというのはわかりましたけど、そのポケットブックには、ニューヨークやパリの道路率、いつの調査だと書いてありますか。

村井道路建設部長 調査時点については記載がございません。

原田委員 つまり、二十年前のポケットブック、資料をそのまま使っている上に、その時点でもニューヨークやパリについていつ調べたのかもわからないデータなんです。余りにもお粗末な話ですよ。その数字を行政の事業を説明する文書に掲載していていいんでしょうか。そんな資料をもとに、区部の道路率は一六・五%だ、一方、ニューヨークやパリは二〇%を超えているというんですが、この道路率は果たして同じ基準として見ていいのかも問われます。
 といいますのも、先ほどおっしゃっていたように、区部は既成市街地であるとおっしゃって、要は、公園も川も農地も全部ひっくるめた全面積を既成市街地扱いして、その中に道路が占める割合は一六・五%だというふうにいっているんです。公園も農地も川も全部分母に入れている。しかし、ニューヨークやパリはどうかと。私も道路ハンドブックを拝見しましたが、既成市街地面積に占める道路の割合とされているんですけれども、じゃあ、このパリとニューヨークの既成市街地の基準、定義、全く書いていないんですね。
 そこでお尋ねしますが、区部と比較しているニューヨークやパリの既成市街地の定義は同じである、こう断言できますか。

村井道路建設部長 既成市街地とは、首都圏整備法第二条によると、東京都及びこれと連接する枢要な都市を含む区域のうち、産業及び人口の過度の集中を防止し、かつ、都市の機能の維持及び増進を図る必要がある市街地の区域とされております。
 具体的には同法施行令により定められておりまして、東京都の特別区の存する区域及び武蔵野市の区域と三鷹市横浜市川崎市及び川口市の区域の一部となっております。
 ニューヨークやパリについては、既成市街地の定義についてはポケットブック等には記載がございません。

原田委員 ニューヨークやパリの既成市街地の概念は、何と定義が記載されていないということだったわけですね。
 東京都は既成市街地の定義について、国土交通省から確認した上でこの数字を使ってきたんですか。

村井道路建設部長 現在、ポケットブックの記載内容については直接確認をしておりますが、まだお答えはもらっておりません。記載については、今回確認したかどうかについては不明でございます。

原田委員 率直な答弁でした。要するに、既成市街地の定義について東京都はわからないままこの数字を使ってきたと。驚くべきことです。これでは正確な比較ができるはずがないじゃありませんか。
 実は、かつてこの道路ポケットブックに書かれた既成市街地について、日本共産党の東京都委員会の政策部という部署があるんですけれども、そのメンバーが、今から十年以上も前のことですけれども、国土交通省の担当者に問い合わせをしたことがありました。そのときは、ポケットブックに書かれたニューヨークやパリの数字は、もともと昭和五十三年、すなわち一九七八年の数字なんで、出典は今はもうわかりませんと、そういうふうに答えたというんですね。何と引っ張ってきたのは今から四十年前の数字だったんですよ。
 その上で、この既成市街地とは何ですか、これも質問しました。すると、道路ポケットブックで使ったのは、DIDと呼ばれる概念で、一平方キロメートル当たり四千人以上が隣接している地域だといわれたと、こういうことです。知っていましたか。
 つまり、東京都区部の一六・五%という数字は、川も公園も、こういうものを全部ひっくるめて総面積を分母にして道路面積を割って出していると。ちなみに、区部で水面だけで五%あります。公園は六・五%面積を有しています。こういうのも全部分母に入れて道路を割っていると。
 ところが、もう一方のニューヨークやパリは、DID、純粋な市街地を取り出して分母にしているわけです。これでは数字が大きくなるのは当たり前で、正しい比較ができるはずがないんです。
 東京都は既成市街地の定義も確認しないまま、古くて怪しいデータをもとに国際比較をして、都民に向かって、それこそ私たち議員にも公式文書で、東京は国際的に立ちおくれているんだといってきたわけです。これも行政の姿勢として重大な問題ではありませんか。
 では、道路率について、頼りになる国際的な大都市比較の資料はないものだろうかと調べてみましたが、何と東京都環境局が環境白書二〇〇六で、東京、ニューヨーク、ロンドン、パリの比較をやっていました。
 これを見ると、興味深いのは、まず東京とニューヨーク、ロンドン、パリとは、行政面積がそもそも大きく違うわけです。東京都の総面積はパリ市の二十倍以上あり、森林や島も含みますから、これを単純比較してもおかしくなります。ですから、東京都は都心四区、ニューヨークはマンハッタン区、ロンドンは都心四区、それとパリ市を比較して道路面積を調べてみたと。
 その結論はこうです。マンハッタン区だけは突出して三〇%近くぐらい道路率があるわけです。二九%、三割近くあるわけですけど、東京都とロンドンの道路率は二二%から二三%、ほぼ等しくて、パリについても区分の違いを考えれば、つまり、パリの場合は道路交通施設率で二五・八%となっていますから、交通施設の分を除くとほぼ同水準と考えられるんだと。これは私がいっているんじゃなくて環境局がいっているんですね。
 少なくとも、この環境局の資料は、四都市とも総面積で道路面積を割り返すというように分母をそろえています。その上、面積も大体同じものにそろえるという点で、より精密な比較となっています。分母の基準が不明の建設局が出した道路率比較とどちらが的確な比較をしているかは明白ではないでしょうか。
 そして、このような環境局の調査を前に建設局は、欧米諸国の主要都市と比較すると東京区部の道路率は低率だと今でもいい切れるんでしょうか。そもそも建設局は環境局のこの報告を知らなかったんじゃないのかというふうに疑問というか、そういう指摘をせざるを得ない状況に陥っています。 

 このやり取りの、ほぼ全体が私が調査したことを使ってくれています。

 今私は共産党の福岡市議団事務局にいるので、議員の質問作りに参加するのはごく普通のことですが、10年以上前のあの日、東京都はとんでもないデタラメなデータをもとに道路建設の必要性を書いているとわかってもそれを議会質問にしてもらえるようなルートはなかったので、悔しいけどペンネームのほうのサイトにそっとあげるくらいしかできませんでした。まあ、とにかくあの時本当に悔しかったのです。しかしこうして議会質問として日の目をみることができて大変嬉しい気持ちになりました。

 

 取り上げてくれた都議団の皆さん、ありがとうございます。

福岡県知事選挙の結果を見て

 福岡県知事選挙の結果が出ました。

 私が推した星野みえ子さんは残念ながら及びませんでした。

www.nhk.or.jp

 結果の見方は色々あるでしょうけど、星野さんの得票率は約2割になりました。

 前回共産党は単独推薦。今回は共産党は推薦でなく支持、ただし、ふくおか緑の党も支持して、枠組みが従来の形から大きく一歩踏み出しました。支持・推薦政党の組み合わせで言えば、基礎票(国政選挙の比例代表票)は1:9くらいの格差がある*1中で、前回の共産党単独推薦候補が6%台だったことと比較しても、注目すべき結果です。短期決戦で大健闘だと言えるんじゃないでしょうか。星野さん、お疲れ様でした。

 星野さんが開票後の記者会見で述べていましたが、当選した服部さんが公開討論に応じなかったのはいわば「健全な政策論争によって県民の前に争点をできるだけクリアにするのではなく、ボロが出る前に支持政党の組織票の差だけで乗り切ってしまえ」としか思えない戦略だったわけで、それではこれほど低投票率になるのも無理はないと思いました。

 そういう姿勢は県政のリーダーを目指す候補者として恥ずかしいと思って欲しいですね。

 服部氏の得票が、服部陣営の幹部が「県政運営に向けての大きな信任」の基準だと新聞で公言していた100万票*2を割り込んだのはその批判の表れだろうと思います。

 

 

 共産党単独で自民党中心の県政に挑むという従来の構図から一歩進んで、政党では共産党とふくおか緑の党が支持を表明し、共同が広がったことが、私としてはこの県知事選挙の大きな収穫だったと思います。

 さらに、政策的にもジェンダー平等をはじめ今後の県政のたたかいの中で取り上げていくべき課題も多く明らかにされました。

 市民と野党の共闘がさらに前に進むための、貴重な足がかりができたんじゃないでしょうか。

*1:2019年参院選の福岡県内の比例票は、星の陣営は共産の15万9492。服部陣営は134万票(立憲24万2419、国民15万9996、社民3万2982、自民64万8026、公明28万3394)。

*2:「服部氏の陣営も低投票率を危惧。県政運営に向けての大きな信任をうるために100万票の獲得を目指しているというが、投票率が下がれば厳しい状況になる」(2021年4月10日付朝日新聞「ふくおか」版)。

Hoshino Mieko Leaves No One Behind.

 福岡県知事選挙に立候補している星野みえ子さんの選挙公報をもとに、星野さんの公約を英訳したものです。需要があるかどうかわかりませんが、お役立てください。英語を母語とする研究者の方にご協力いただいています。

The spread of the Covid infection, the crash of the health system, the destitution of the people.I will change the policies of the current Fukuoka Prefectural government which simply follows the incompetent Suga Government and persists with the restart of the “Go To” campaign. Let's promote a radical shift to a new Prefectural government that puts the principle of “COVID-19 Countermeasures-first” into practical effect.

 

The following is a list of reforms that Hoshino Mieko commits herself to:

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Make a massive effort to protect people’s lives and livelihoods.

 

Contain the infection by multiplying the number of PCR tests and monitoring by 10 times.

Add more beds. Strengthen assistance to medical institutions.

Secure the regional economy and culture by the enhancement of subsidies.

Realize small class sizes for all grades.

 

 

Promote gender equality and put emphasis on providing social services.

 

Put the “gender equality” principle into practice in every situation.

Have women occupy 30% of management posts in Fukuoka Pref. immediately and make an effort to achieve an equal number of male and female persons who are in managerial positions.

Improve the wages of the care and welfare sector workers.

Oppose the slashing of the number of public hospitals by the Suga government.

 

End the spending practice that gives budget priorities to wasteful large-scale public works projects such as the New Shimonoseki-Kitakyushu Road which is costed at 350 billion yen.

 

Special Thanks:Professor Martin Brennan

「第4波」をどう封じ込めるのか

 引き続き福岡県知事選挙の話題です。

 新型コロナウイルス感染症拡大の第4波の兆候が出ていて、メディアでもそれにどう対応するか、持ちきりです。

 

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しんぶん赤旗日曜版2021年4月4日号

 私が気になるのは、メディアの関心が「どう病床を確保するか」みたいな話に移っているところです。

 例えば昨日の日経新聞1面は、「民間病院、4割がコロナ対応遅れ: 日本経済新聞 」でした。

 しかも、この記事は“病院に強制的にベッドを開けさせる権限がないことが問題だ”という点にフォーカスしています。民間病院がベッドを開けられないのは、経営上の不安があるからであって、まともな補償や支援もしないのに「とにかくベッドを開けて患者を受け入れてください」では通用しません。ましてや「開けないとひどいよ」と言って脅すのは、政治がやるべきことを果たしていないと言えるでしょう。

 何よりも、「感染が拡大してベッドが足りなくなるから強制的権限を」というのは“何も手を打たずに、感染が拡大してしまい、第4波が来てしまう”ことを前提にしている気がします。

 問題は「そうなる前に、感染封じ込めのためにどんな手を打つか」ということじゃないんでしょうか。感染が大爆発してしまえばベッドが一定数あっても足りなくなってしまいます。

 第4波への対策として、検査拡大について議論せずにいきなり病床問題に行ってしまうのは、「世論誘導」と言われても仕方がないですよね。

 今日の「しんぶん赤旗」では、コロナの感染再拡大にどう手を打つべきなのか大阪府の現場の医療関係者にインタビューをしています。

 大阪府保険医協会の理事長(高本英司)さんは、飲食店への時短要請や市民への自粛を繰り返すやり方の限界を指摘した上で、

私たちは感染を封じ込めるために検査を拡大するよう求めてきましたが、今回の再拡大でも知事は消極的です。大阪市内外で感染が拡大しており、広島県などの先進例に学んで地域に広く網をかけて陽性者を把握し、保護することが必要です。

としています。

 このインタビューでは、無策な大阪府と、何からの手立てをうとうとしている先進県との違いを述べています。そこに自治体としての姿勢の違いが出ていると言えます。

 

 福岡県はどちらなのかでしょうか

 今日の「しんぶん赤旗」で政府のモニタリング調査についての記事が載っています。

www.jcp.or.jp

 モニタリング調査は「政府が感染再拡大の予兆をつかみ感染源を把握するため」のものだとされています。

自治体への聞き取りでは、ほとんどの自治体が「国の事業」だとして、「依頼されたら協力するという立場」「検査結果などは直接把握していない」「陽性者の対応は国に任せている」と回答。

 つまり、国はやる気がない、自治体の多くは国まかせ、という状況なのです。

 そうした中で国以上の措置、独自の手立てを取っている県が5つあるといいます。

他方、新潟、愛媛、滋賀、広島、熊本の5県は、内閣府とは異なる独自の方法で、無症状者を対象とした検査を実施。県内の感染状況を把握し、感染の制御につなげる取り組みを行っています。

 福岡は……入ってない。福岡県は、「国まかせ」の一つということです。大阪府保険医協会の理事長が挙げた「広島県」はここに入っています。

 現在の県政、すなわち服部誠太郎さんが「継承」し、副知事を務めてきた県政は、こういう状況なわけです。コロナ対策では新聞で報道された公約を見ても「専用病床を増やす」くらいしかめぼしいものはありません。

 知事候補の星野みえ子さんは、公約で次のように述べています。

●感染を抑え込むためにモニタリング検査を今の10倍に増やします
そして、感染を抑え込む手立てをとります。
緊急事態宣言を解除して感染が少し収まってくると、国も県も、検査数がガタ減りになってしまいます。コロナは無症状の人がわからないまま広げてしまうのが特徴ですから、感染源が市中に残されてそれがまた感染を広げる大きな原因になっていると専門家もおっしゃっています。感染が収まってきたら逆に検査を増やして、どんどん感染した人を見つけて隔離・保護していく――これは衛生学の教科書に書いてある感染を抑え込むための初歩的なやり方ですが、菅政権も今の県政もそれを無視しています。現在無症状の人のモニタリング検査をやっていますが、私はこれを今の10倍くらいに増やします。

 

www.minnanokai2021.org

  ちなみに、二木芳人・昭和大学医学部客員教授感染症学)はモニタリング検査について、

1日650件では、政府が目標にしている1日1万件から見てもあまりにも少なすぎます。これでは「モニタリング」の意味を成しません。いまの100倍、200倍に検査を増やすべきです。(しんぶん赤旗日曜版4月4日号)

と述べました。

 星野さんの公約の「10倍」は「現状(650件)の10倍」なのか「政府目標(1万件)の10倍」なのかはわかりませんが、少なくとも服部候補よりもこの点でケタ違いに積極的なのは間違いないでしょう。

  • 検査の大幅拡大をしたい人は星野みえ子さん
  • 検査数は現状程度でいい思う人は服部さん

ですね。

 

農業政策の柱としての低所得者支援

 先日「福岡県知事候補の星野みえ子さんの政策を読むと、『あっ、こんな政策もあるのか』と思うものがいくつかあります」と書いたのですが、まだあります。「コメなどを買い上げ、困窮者に支援します」っていうのもその一つです。

●コメなどを買い上げ、困窮者に支援します
さらに、今コロナでひとり親家庭や学生が食べるものにも困っていて、民間で食糧支援などの動きが広がっています。コロナによって外食需要が減って米価が暴落する恐れがありますが、政府や行政が買い上げた備蓄米を活用し、コロナ禍で生活困難になった人たちへの支援を行う手立てなどが取れると思います。

www.minnanokai2021.org

 県内では、久留米市がすでに実施していますね。

www.sankei.com

 

 これは「困窮者対策」という角度からの政策の意味合いが強いのですが、同時に農業振興策でもあるということを鈴木宣弘・東大大学院教授が述べています。

www.agrinews.co.jp

 新型コロナウイルス禍で米需要が年間22万トンも減って、米余りがひどいから、米を大幅に減産しなくてはいけないというのは間違いである。米は余っているのではなく、コロナ禍による収入減で、「1日1食」に切り詰めるような、米や食料を食べたくても十分に食べられない人たちが増えているということだ。

 潜在需要はあるのに、米在庫が膨れ上がり、来年の稲作農家に支払われるJAの概算金は1俵1万円を切る水準が見えてきている。このままでは、中小の家族経営どころか、専業的な大規模稲作経営もつぶれかねない。

 米国などでは政府が農産物を買い入れて、コロナ禍で生活が苦しくなった人々や子どもたちに配給して人道支援している。なぜ、日本政府は「政府は米を備蓄用以上買わないと決めたのだから断固できない」と意固地に拒否して、フードバンクや子ども食堂などを通じた人道支援のための政府買い入れさえしないのか。メンツのために、苦しむ国民と農家を放置し、国民の命を守る人道支援さえ拒否する政治・行政に存在意義があるのかが厳しく問われている。

 

 この趣旨をさらに詳しくした鈴木教授の発言が農民連の機関紙「農民」2021年3月29日(1450)号に載っていました。

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 私が驚いたのは次のくだりです。

 米国ではトランプ大統領(当時)が2020年4月17日、コロナ禍で打撃を受ける国内農家を支援するため、「コロナウイルス支援・救済・経済安全保障法(CARES法)」などに基づき、190億ドル規模の緊急支援策を発表した。このうち160億ドルを農家への直接給付に、30億ドルを食肉・乳製品・野菜などの買い上げに充てた。補助額は原則1農家当たり最大25万ドルとした。農務省は毎月、生鮮食品、乳製品、肉製品をそれぞれ約1億ドルずつ購入し、これらの調達、包装、配給では食品流通大手シスコなどと提携し、買い上げた大量の農畜産物をフードバンクや教会、支援団体に提供した。

 そもそも、米国の農業予算の柱の一つは消費者支援、低所得者層への食糧支援策なのである。米国の農業予算は年間1000億ドル近いが、驚くことに予算の8割近くは「栄養(Nutrition)」、その8割は「Supplemental Nutrition Assistance Program」(SNAP)と呼ばれる低所得者層への補助栄養支援プログラムに使われている。なぜ、消費者の食料購入支援の政策が、農業政策の中に分類され、しかも64%も占める位置付けになっているのか。この政策のポイントはそこにある。

 つまりこれは、米国における最大の農業支援政策でもあるのだ。消費者の食料品の購買力を高めることによって、農産物需要が拡大され、農家の販売価格も維持できるのである。経済学的にみれば、農産物価格を低くして農家に所得補てんするか、農産物価格を高く維持して消費者に購入できるよう支援するのか、基本的には同様の効果がある。米国は農家への所得補てんの仕組みも驚異的な充実ぶりだが、消費者サイドからの支援策も充実しているのである。まさに、両面からの「至れり尽くせり」である。

 私はまずアメリカの農業振興予算の構成がこうなっているとは知りませんでした。それが単純に驚いた事実です。

 そして、私は日本で家族農業をはじめ多様な農業経営が残っていくとしたら、所得保障(補償)制度しかないだろうなと思っています。つまり農業の公共的な役割を認め、公費で支えるということです。

 「公共的役割」ということで思い浮かぶのは「国土の保全」ですよね。

 貧弱ながら、現在の政権でさえもそれは認めて、交付金を支払っています。

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 最近では「田んぼのダム機能」に着目して、県内では宗像市が調査を始めました。

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 こうしたことへ公費を投入していくのは一つの道だと思っていました。

 しかし、例えば私が参考にしている、日本共産党綱領では「食料自給率の向上、安全・安心な食料の確保、国土の保全など多面的機能を重視し…国の産業政策のなかで、農業を基幹的な生産部門として位置づける」としています。「国土の保全」は一つの役割でしかないのですよね。

 他にも農業には公共的な役割がたくさんあります。

 それをどのような形で「所得保障」などの政策にしていけばいいのか…と考えていました。

 そこにこの鈴木教授の話は新たな認識を与えてくれた、というわけです。困窮者支援として農業生産を行い、その買い上げに公費を投入する…という政策があり、実際にそれを途方もない規模でやっている国があるんだ! ということです。

 

 価格や所得を維持するというものですから、本来は国が、国内市場全体を相手にした大規模の対策をすべきことですが、まず県でやって国に迫ると言うのもアリなんじゃないでしょうか。鈴木教授はこう続けています。

 …日本は米を減産している場合ではない。しっかり生産できるように政府が支援し、日本国民と世界市民に日本の米や食料を届け、人々の命を守るのが日本と世界の安全保障に貢献する道であろう。

 某国から言いなりに何兆円もする武器を買い増しするだけが安全保障ではない。食料がなくてオスプレイをかじることはできない。農は国の本なり。食料こそが命を守る、真の安全保障の要である。国民みんなから集めたお金、税金は、国民みんなの命を守るために還元されなくてはならない。

 

 ここからはただの「感傷」にすぎませんが、私は「学校の帰り道がずっと田んぼ」という農村で育ったせいか、田んぼのある風景に郷愁があります。西日本新聞にエッセイで書いたことがありますが、今私の住んでいる地域に広大な田んぼがあり、そこにカブトエビ*1がいて、私は毎年ずっと興味を持って観察してきました。

 今私が住んでいる福岡市の地域は急速に開発が進み、田んぼがみるみる消えていっています。農業労働の苦労と後継者がいない現実を考えれば、軽々に何かは言えませんが、自然な感情として大変悲しい気持ちになります。田んぼがある風景が残ってほしいな、と強く思っています。

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*1:3億年前からその姿を変えていないとされています。明治以後に日本に入ってきた生物と言われていますが。