(この記事は私の不当な除籍・解雇事件の問題の一部についてです。全体像を簡単に知りたい方はこちらを先にお読みください。)
2025年10月1日に私が原告になっている共産党福岡県委員会に対する残業代請求事件の裁判の第1回口頭弁論が福岡地裁で開かれました。
たくさんの方が傍聴に来ていただき、弁護団長の平裕介弁護士もおっしゃっていた通り、裁判官もびっくりされたと思います。その後の報告集会は傍聴とは別の方も参加していただきました。ありがとうございます。
相手の答弁書のことなど、この日の期日の全体については後で弁護団報告をアップしますが、10月1日に私が法廷で行った口頭陳述をご紹介しておきます。
この陳述は、被告(共産党福岡県委員会)側が「神谷は労働者ではない」「宿直は神谷が自主的にやっていたもので正式な業務ではない」などと主張してくるということを想定したものです。

令和7年(ワ)第2423号 残業代支払請求事件
原告 神谷 貴行
被告 日本共産党福岡県委員会
意見陳述要旨
2025(令和7)年9月24日
福岡地方裁判所 第5民事部 御中
原告 神 谷 貴 行
1 共産党県委員会の宿直はどのようなものか
意見陳述の機会を与えていただき感謝いたします。
私は被告県委員会で2006年から勤務し、週1回程度の宿直をしてきました。
訴状にある通り、宿直は前日の午後6時から翌日の午前9時半まで、数多くの業務を行い、たいていはそのまま翌日の通常の業務を連続して行います。
2人が組になり、日中の受付をしていた総務部から詳しい引き継ぎを受けます。
宿直は、夜間における不審者などからの県委員会事務所の防衛・警備、および事務所の建物の夜間早朝の管理が最も基本的な任務です。出入口のシャッターを夜8時に閉め、そのあと5階だて建物の全てのフロア、および隣接する別館の施錠確認、火の元の見回りを行い、その状況を日誌に記入します。シャッターは朝7時ごろいったん開けて新聞各紙を取り込んで部署ごとに振り分け、その後朝8時から完全にシャッターを開け、受付をしながら交代が来るのを待ちます。
しかし、宿直の仕事はそれだけではありません。
まず、夜間や早朝に本部・地区・党員からの問い合わせの応対をしたり、仕事を終えて夜中にやってくる一般党員の党費納入に対応したりします。県委員会幹部などから指示があった場合は、連絡文書や会議資料の印刷を行い、館内ポストに配布をします。
さらに、県下にある地区委員会事務所へ送る荷物がある場合、夜間にやってくる運送業者に引き渡す立会いを行い、サインをします。朝の宅配便の受け取りも宿直者の任務です。
また、平時は県内地区委員会からの1週間のレポート、すなわち週報があり、選挙前の数ヶ月間は日報が始まり、その集約と打ち込みも宿直者の任務です。県全体に12ある地区委員会事務所からの手書きの報告が夜間および早朝にファックスで送られてくるので、送ってこない地区に催促しつつ、送付されたファックスをPCに打ち込むという作業を行います。
もし夜中に、日刊の機関紙である「しんぶん赤旗」の輸送トラブルなどが起きれば、配送車から緊急連絡があり、手順書に基づいて地区委員会担当者への電話などの対応が義務づけられています。このトラブルがあるとほぼ寝ることができません。私も何度か遭遇したことがあります。
実は精神的に最も負担が大きいのは、夜間にかかってくる電話の対応です。幹部や党員からの電話はそれほどでもありませんが、一般の有権者や支持者からの激励や苦情は、「時間外だから」と無碍に切ることも難しく、深夜・早朝で対応が1時間に及ぶこともあります。「緊急の相談だ」と言ってかかってくる支持者の生活相談の電話を、根気よく聞いていて、結局終わってみれば緊急でもなんでもない案件だったというのはよくあることです。逆に、午前3時にずっと呼び出し音を鳴らし続けるような嫌がらせもあります。
宿直は午前9時半に、受付をしている総務部がきて、引き継ぎを行い、任務終了となります。
こうした宿直の任務は指示文書が発出されてマニュアル化されており、宿直者がいる受付に置かれています。以上の通り、宿直が県委員会として正式な業務であることは疑問の余地がありません。
2 宿直は正規の業務の重要な一環
宿直は自主的・自発的なものではなく、勤務員の任務であり、義務です。県委員会が各人の希望日程を聞いた後は、県委員会の責任でシフト表を組み、それが全勤務員に配布されます。宿直着任は非常に厳格で、うっかり忘れていたり、出先から遅れたりすると、県委員会総務部から確認の電話がかかってきて、確実に引き継ぎをするまで総務部は帰れません。
また、先ほど述べた宿直が作成する日報・週報の集約表は、翌日の朝の会議の基礎資料にするなど、県委員会の業務遂行上、絶対に欠かせないものを多く含んでいます。
これらの事実を見てわかるとおり、宿直は自主的・自発的なものではあり得ません。
3 職員を労働者として見ない結果どうなったか
私が宿直のある日は子育てと家事がパートナーへの重い負担となるため、業務のあり方を見直して宿直を廃止するよう、勤務員集会やアンケートで求めていました。他の勤務員からも同様の意見が上がっていましたが、県委員会幹部はそれには応えず、代わりに党中央の市田忠義副委員長を呼んできて、勤務員を対象にして、共産党の専従職員とはどういうものかということを含めた講演会を開きました。つまり「不満をいう人間は何もわかっていないので学習しなおせ」というメッセージだと受け取りました。
被告県委員会は、2024年9月に福岡中央労働基準監督署から、法定の要件を備えた就業規則がなく、労基署に届けてもいないこと、勤怠管理をしていないことなどを指導され、是正勧告を受けました。そのことは、地元の西日本新聞、朝日新聞、産経新聞で報道されました。日本共産党は規約で「労働者階級の政党」であることを掲げているのに、自分たちは労働法令すら守っていない事業所として天下に報じられてしまったのです。
これら一連の事実が示すのは、被告県委員会には、職員を労働法令のもとに労働者としてまともに扱う意識が希薄で、いまだに戦前から戦後の非合法時代の「職業的革命家」として扱う意識が抜けていないという実態です。
裁判所におかれましては、私が被告の指揮命令のもとに宿直残業をしていたことをきちんと認定し、残業代を払わせるよう命じて、労働法令に基づく正義をあまねく実現させていただくことを切にお願いいたします。
ご清聴ありがとうございました。
以上