架空討論(7)福祉はIoTとかICTの話ばっかりなの?

 引き続き、高島市長の記者会見をもとにした架空討論会を勝手にやってます。

 まあ、今回入れてもう2回くらいですけどね。

 最後は、医療・福祉についてです。

www.nishinippon.co.jp

  もう一つ、今、「実証実験フルサポート事業」をしていまして。例えば高齢者の1人暮らし。万が一があった時に、誰が駆け付けるのか、面倒見るのかというところが大きな課題と思うんですけれども。「ワーコンプロジェクト」というところは、万が一倒れた、心臓が止まったというような、内蔵の動きまでスキャンできるというようなセンサーを天井に付ける事によって、1人暮らし高齢者の安全を見守って、万が一があったらすぐに看護師が駆け付けるような態勢を取れるんです。……

 そして、これから10年間で福岡の高齢化も進んできますから、その時に向けたチャレンジ、体制づくりを着実に進めていきたい。「福岡100」ですとか、高齢化に伴う認知症の増加、こういうことに関する取り組みは、世界で最高レベルで進んでいる取り組みだと自負をしています。ユマニチュード(認知症の人のケア技法)の取り組みにしても、IOTの見守りもそうです。……

 ちなみに、ICTのチャレンジをすると「高齢者が」というような話になりがちなんですが、高齢化してきて、(家から)出るのがおっくうになる人、高齢者ほどICTはすごく便利で、家にいながら買い物ができる、申請ができる。

 福岡は国家戦略特区の中で、日本で初めてオンライン上で、家にいながら診察を受けて、服薬指導を受けて、薬まで届くようになったりしたわけです。こんなICTのチャレンジはこれからもどんどん進めていくことによって、市民サービスの向上をはかっていきたいと思っています。

 高島市長と医療・福祉の話をするとこういうIoTとかICTの話ばっかりなんですよね。

 いや、別に、技術革新、必要ですよ。必要です。

 私は別にICTとかIoTを敵視してるわけじゃないし、取り入れられるものはどんどん取り入れたらいいと思います(服薬指導をオンラインですることの問題はあると思うんですが、それはとりあえずおいておきましょう)。

 医療の患者とか福祉を享受する人だけじゃなくて、それを供給する人、つまり病院とか事業所がICTとかIoTを利用するということは当然ありますよね。

 最近も西日本新聞で次のような記事が載ってました。

www.nishinippon.co.jp

 

同法人の離職率も当初は25%(03年度)に達し「介護ニーズに対応するどころか、サービス自体が提供できなくなる」と危機感があったという。

 手書きに依存していた記録を電子化すれば残業の大幅減につながる。入居者、利用者の情報を瞬時に全員が共有できれば、ケアに専念できる。結果的に介護の質が向上するのでは-。そう考え、大学やベンチャー、大手企業とも積極的に情報交換を重ねてさまざまなICTを導入した。

 機器による見守りで、職員が手薄な時間帯の不安感も軽減され「職員のことを考える魅力ある施設として評価されるようになった」(山田さん)。結果、ここ3年間の離職率は3%と激減。居宅介護や訪問看護、デイサービスなど事業も拡大し、スタッフもここ5年間で200人増え、事業収入も3倍となった。

 

 だから、ICTなどの発達で介護の質が上がるし、効率化され、現場は助かるということは当然あります。

 だけど、それだけではすまないことが、医療や福祉についてはあるんじゃないでしょうか?

 

 例えば患者・利用者レベルの場合「利用できない所得の格差の問題」ということをどう考えるのかを政治としては結論を出しておかないといけないということです。

 お金がない人はそういう技術は享受できるんですか、という政治とか考えるべき中心問題が触れられていないんです。なんか、「財界九州」で九経連の人が話してるみたいなインタビューなんですよね。

 例えば、高島さんは1期目には国民健康保険料について公約しました(以下の質疑応答は2014年10月19日の決算特別委員会)。

○綿貫議員 市長は前回の選挙で、国民健康保険料についてどのような公約をしたのか。

△保健福祉局長 市長公約は、「保険料の暫定方式の改善等、国への働きかけなど保険料の軽減化に取り組む」である。

 こういうことを高島さんはもう言わなくなってしまいました。

 福岡市の国民健康保険料はあいかわらず高いんです。

f:id:kamiyakenkyujo:20181113214720j:plain

 それを引き下げて、誰もが医療にかかれるようにするためにはどうしたらいいのかを考えるのが市政の役割じゃないんでしょうか。

 

 

 

 

f:id:kamiyakenkyujo:20181103201118j:plain

 

 ちなみに、高島さんは、どんどん公約が「あいまい」になっています。

 そのことについて、高島さん自身が記者会見で次のように述べています。

公約発表なんでね。こうしたい、ふんわりとした思いを言うと、この場で言ったことですから、確実に実現しないと、「あの時言ったじゃないか」ってね。8年前に痛い目に遭ってるんですね。今のような誘導に乗っかって。まだ8年前でしたから、私も素直だったんですけども(笑)。ふふ。ここで自由に言い過ぎると、危ないっていうことも分かるんですけど。

 まあ、それはとりあえずおくとしまして、国民健康保険料を下げるために、一つ私と共同でできることあるんじゃないかと思っています。

 それを次回の架空討論の記事でご提案します(今回のいつものオチはありませんが、高島さんのお返事をお待ちしています)。