髙島市長「山の登り方を色々と覚えた」とは?

 前の記事 でもお伝えした通り、髙島市長の公約はマスコミで「具体性には欠けた」「具体的な政策は示さず」と書かれるように、ほとんど具体性がありません。

 ご覧ください。

takashima.fukuoka.jp

 一例を挙げると、子育てについてはどうか。

子育てしやすく、こどもの個性や才能を伸ばせるまちへ
こどもの医療費をひと月最大で500円までとする「ふくおか安心ワンコイン」などを進めてきましたが、今後は、多子世帯の負担軽減、困難を抱えるこどもの支援、生きる力を身につける場づくりなどを進め、次代を担うこどもが生き生きと育つ、日本の少子化対策ロールモデル都市となることを目指します。

 「多子世帯の負担軽減」というのはなんとなく具体論っぽいですが、逆に言えば、それ以外の負担軽減策は何も公約していないのです。

 対抗馬の田中しんすけ候補が「学校給食の無償化」「未就学児の医療費の無償化」「就学援助の支給対象世帯の即時拡大」などを掲げているのと比べるとあまりにも抽象的すぎるのがわかると思います。

www.tanakashinsuke.jp

 「実績」と思われるものを述べて(完全無料化をする自治体が多い中で、自己負担を残していることを「安心ワンコイン」というパッケージにしてしまうのは驚きです)、抽象的な方向を打ち出すだけ。このパターンの連続です。

 さすがに新聞が行うアンケートには、もう少し具体的に答えるだろうと思ったのですが、全く同じです。びっくりするくらい具体的な公約はありません。「ふわっ」としている。し過ぎています。ふわふわ。

www.yomiuri.co.jp

www.nishinippon.co.jp

 髙島市長は、記者会見でこうも述べています。

 高島氏は「ふわっと見えるかもしれないが、山の登り方を色々と覚えたということですかね」と話した。

 急に「山の登り方」の話をしています。もちろん髙島さんが突然登山の話をしているわけじゃありません。比喩ですね。

 では髙島さんのいう「山の登り方」とは一体なんでしょうか。

 これは自分が狙っていることを選挙で明らかにせずに、選挙が終わったらやりますよということです。そうしないと、選挙で大騒ぎされて潰されてしまうからです。

 また、市民が求めている具体的な施策についても、公約してしまうとそれをやらなければならくなってしまい、そういうふうに手を縛られるのも嫌なのです。いや、それが「公約」なんですけどね。

 髙島市長は、かつて子どもの医療費助成の拡充を新聞アンケートで回答し、それを実施しなかったために、公約違反ではないかと議会で問われて「新聞アンケートは公約ではない」という珍回答をした黒歴史があります。(興味がある人は、この記事の末尾の議会論戦議事録をご覧ください。)

 あるいは髙島市長の公約には

強みである博多駅博多港福岡空港の近接性をいかし、市内主要拠点や自然豊かな観光資源などへのアクセス強化に向けた交通ネットワークの検討に取り組みます

とあり、西日本新聞はここに着目して「新たな交通ネットワーク整備の検討に意欲」と解説しました。相当大掛かりな「何か」を、莫大なお金をかけてやろうとしているフシがあります。でもそれは具体的に明らかにされていないのです。

 具体的なことを書けば、反対する人が騒ぐからです。

 これはロープウエー構想を潰されたことが、髙島さんの苦い思い出としてあるのだろうと思います。

 朝日新聞は、今回具体的な政策が出なかったことを、前回のロープウエー公約と結びつけて書いています。

 ただ、いずれも具体性には欠けた。前回の2018年市長選では、JR博多駅博多港を結ぶロープウェー構想など、具体的な目玉政策を打ち出した。今回はこれまでの実績と今後のビジョンは示す一方で、具体的な政策は示さず、詳細は市民と作っていくとした。

 前回、ロープウエーをつくるという公約を掲げてしまい、かみや貴行とかいうとんでもない男にさんざん争点にされてしまいました。髙島さんは当選したものの、結局選挙後に計画の断念・頓挫に追い込まれ、自民党市議団とは対立関係に陥りました。「神やの呪い」ですな。

 事実、メディアは前回の市長選の後でこう書きました。

11月の福岡市長選。高島宗一郎市長の公約を見た瞬間、思わず「おっ!」と声が出た。そこには「都心部の渋滞緩和のためロープウエーの導入などに取り組みます」の一文。髙島氏が「私の夢」と語っていたJR博多駅博多港エリアを結ぶロープウエー構想の実現が明記されていた。

対立候補は「ロープウエーより福祉や暮らしにお金を」と攻勢をかけた。

有権者や市議からも「派手なことをしたいだけ」「風ですぐ運休するのでは」などと異論が目立った。市長周辺も「ロープウエーの争点化で数万票は相手候補に流れた」と見るように、市長サイドも市民の第一印象は必ずしも良くはないと受け止めているようだ。(西日本新聞2018年12月25日付)

 私の得票が10万弱だったので、そのうち数万を持って行かれてしまったというわけですから、相当な痛手だったということです。

 髙島市長は、2018年の時に、当初どこの政党にも応援を頼みませんでした。

高島氏 自民推薦求めず フリーハンド狙い戦術(産経新聞2018年11月3日付)

 共産単独推薦候補を相手に、余裕のよっちゃんだったわけです。

 ところが、投票日近くになって髙島市長は急遽自民党に「支持」をお願いします。

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高島氏が15日、党福岡県連を通さず、直接党本部に要請したため急きょ党幹部が協議して支持を決めたという

 18日が投票日でしたから、15日に県連をすっ飛ばして頼みこんでいます。

 めちゃめちゃ慌てているのがわかると思います。

 ロープウエー争点化で票が流れていってしまう中で、さすがに「かみや某」に負けるとは思わなかったでしょうが、このままでは「過去最高票」を取れなくなると危ぶんだ…と見るのが妥当でしょう。

 もしも勝ったけども、前回よりも得票を減らしてしまえば、選挙結果は世間で何を一番の特徴として記録されるかといえば、対抗馬のかみやが「善戦」「共産単独推薦で最多9万票」(西日本新聞2018年11月19日付)——そんな結果だけがクローズアップされてしまいます。

 しかし自分があと少しで達成できる過去最高票の更新ができれば、そういう忌まわしい報道はされなくて済みます。「2018年市長選挙は髙島市長が過去最高票を更新した」ということが選挙の結果として残るのです。つまり過去最高票を更新できるか、前回票(25万)より減らすか、という瀬戸際にありました。結果的に髙島さんは28万票を得て、ギリギリ「過去最高更新」の称号をゲットできたわけです。

共産系候補との一騎打ちとはいえ、政党や市議に依存しない選挙戦に臨んだ髙島氏にとって、市議会との今後の力関係を考える上で史上最多得票の更新は絶対命題。(西日本2018年12月25日付)

 私は今でも覚えていますが、最終日の最後の打ち上げ演説をしていた時に、髙島市長が宣伝カーで私の演説を明らかに妨害するかのように大声でがなりたてて通り過ぎていきました。10秒ほど演説をやめなくてはいけないほどでした。(この顛末は議会でやり取りされているので、興味がある方はこの記事の終わりを呼んでください。)それほど髙島市長は最終盤焦っていたし、イカれてしまっておりました。

 とまあ、それくらい、ロープウエーで痛い目にあったのが髙島市長なのです。

18年市長選で目玉政策として掲げたロープウェー構想は、自民党市議団などの強い反対で早々と頓挫。高島市政の代名詞となった再開発構想「天神ビッグバン」や、外国人観光客誘致もコロナ禍で苦境を強いられた。高島氏は周囲に「次は出馬しないかもしれない」と漏らすなど、市政運営のモチベーションが上がらない時期もあった。

 立候補表明にあたり、高島氏が「福岡市が未来に向け、新しい種をまくときだ」として掲げたのは「市民が福岡の未来について意見を言える場作り」だ。ロープウェー構想のような具体的な目玉政策を示すことはなく、4期目以降に何をするのか市民と決めていく、というものだった。(朝日新聞2022年10月14日付)

 具体的な公約なぞうっかりしてしまって、争点になったら、また自分がやりにくくなる。

  • 出来るだけ具体的な政策を出さない。そして争点を作らない。
  • 静かに、知名度だけで判断してもらう。

 ——この愚民化政策が髙島市長の真骨頂でしょう。

 これが髙島さんのいうところの「山の登り方」なのです。

 自分が狙う政策を実現させる=山に登ろうと思えば、具体的な政策を出して有権者に判断してもらうなどということはやったらダメなのです。有権者が判断してしまうから。有権者に判断させないのが髙島流です。

 

 髙島市長は前回も公開討論会を頑なに拒みました。

kamiyatakayuki.hatenadiary.jp

 そのことは前回選挙後に、髙島びいきのメディアでさえ、「公開討論会なし」(日経2018年11月19日付)として「3割の民意」になった原因の一つとして、苦言を呈さざるを得なかったのです。

 公開討論をしないことは、「山の登り方」の一つなのでしょう。

 まさに『論語』の「民は之に由らしむべし 之を知らしむべからず」(民衆は為政者に従わせればよく、施政の詳細を説明する必要はない)ですな。

 

 

おまけ:前回市長選挙の最終日にみせた髙島市長のアレな感じ

 記事は以上です。

 以下はおまけ。先ほど述べた、前回市長選最終日に、髙島市長が狂ったように私の演説を妨害していった顛末についての、選挙が終わった2018年12月12日の福岡市議会本会議でのやり取りです(中山郁美議員は共産党市議)。

◯50番(中山郁美) 選挙戦最終日の11月17日午後7時50分過ぎには、神谷候補が街頭で正当に行っている選挙期間中最後の演説の妨害を、何と高島候補本人が行うという事件が発生しました。市長は覚えていると思います。あの行為は許されない行為だと思いますが、御所見を伺います。

◯市長(高島宗一郎) あと5分で2週間にわたる選挙戦が終わるという最後のクライマックスのときに、ちょうど事務所に帰る最後の交差点を曲がるところで相手候補の方が演説をされていたということで、まさに両候補にとって一番最後の訴えをする場面で遭遇を、鉢合わせをしてしまったということは、双方にとって不幸であったというふうに考えています。もちろん両方とも熱が入って、やはり最後の一票をとるために一生懸命声を枯らしているというところだったんですけれども、特に交差点で、しかも、悪いことにちょうど信号が赤になってしまって信号が変わるまでの間、お互い真横にいなければいけないという事態になってしまったということは非常に残念でありますけれども、こういうことがなければよかったなというふうに思っています。

◯50番(中山郁美) とぼけたらいけませんよ。候補者カーでマイクを握り、大音量のままですよ。市長はもう打ち上げ演説終わられた後ですよ。リーダーは高島、リーダーは高島、絶叫するあなた自身に私は駆け寄りましたね。神谷候補が演説しているので配慮してくれと直接要請しました。わからないとは言わせません。あなたは私からは目をそらして、無視し続けて、大音量のまま連呼を続け、通過し終えるまで神谷候補の演説を妨害し続けました。神谷候補は10秒ぐらい演説をやめていましたよ。相手候補の演説を候補者自身が意図的に妨害する、こんな行為は私、何度も選挙を経験していますが、初めてですよ。
 公職選挙法第225条においては、演説を妨害する行為は禁じられております。誰よりも法を遵守すべき現職市長としてあるまじき行為であり、この場で謝罪すべきではないですか。神谷候補、この場におると思いますよ。あそこにおりますね。答弁を求めたい。

◯市長(高島宗一郎) 神谷候補、初めまして、高島です。その節は本当に最後の、やっぱりお互い5分、2週間一生懸命本当に精神も肉体もぼろぼろになって訴えてきた最後のシーンで、あのような形で鉢合ってしまったというのは本当に不幸だと思います。
 ただ、今、中山議員から御指摘いただいたように、意図的に妨害しようではなくて、信号が変わってしまったという不幸でして、これは信号が青であればそのままスムーズに通過をしてしまったわけなんですけれども、真横にいて、また、向こうの支持者の方も当然ヒートアップしていますから、車のほうに皆さん駆け寄って物すごい形相で文句をおっしゃっていましたのでね、それで向こうのほうは向けなかったんですが、いずれにしても、そうした意図があって何か妨害しようではなくて、私も立っての演説は終わったんですけれども、最後の訴えを一人でも多くの歩いている方にしようということで、双方大きな音量で頑張っていたということでございます。以上です。

◯50番(中山郁美) 現職の市長がそんなに焦らんでもいいんじゃないですか。天神のど真ん中で多くの有権者があれを見ていましたよ。人間としてもどうかと思いますよ。

 

おまけ2:新聞アンケートに回答したことは公約ではない…?

 2014年03月19日の平成26年条例予算特別委員会でのやり取りです。「宮本」は宮本秀国議員(共産党)です。

◯宮本委員 子ども医療費助成制度について、前回の市長選挙でどういう公約をしたか尋ねる。
△市長 市長選挙告示直前の平成22年10月25日に公約発表会見を行っている。その中で公約を発表しているが、その中に子ども医療費助成制度の充実は含まれていない。

◯宮本委員 公約ではないと言うのか

△市長 公約は10月25日に発表したものである

◯宮本委員 西日本新聞などが行った福岡市長候補者アンケートで、子ども医療費の助成制度についてどのような回答をしたか尋ねる。

△市長 子ども医療費について報道された内容は、子育て支援の取り組みの方向性として、将来的には子ども医療費助成制度を充実させていく必要があると考えたものであり、アンケートに対してもその旨を回答したものである。

◯宮本委員 今の飾り言葉はアンケートに出ていない。子どもの医療費助成制度の充実は、公約ではないのか。新聞に書いてあるのは公約ではないと言うのか

△市長 当時のアンケートは、その時点で自分なりに考えた将来的な政策の方向性について答えたものである。ただ、公約は、責任を持って市民とその実現を約束するものであるから、さまざまな方の意見も伺い、実現性なども含め最終的にどうするか検討した上で、公約発表会見を開き10月25日に市民に発表したものが私の公約である。

◯宮本委員 今のアンケートは公約の後の話である。候補者がアンケートに答えたものが新聞やテレビで報道される。これを見て市民は候補者を選ぶ判断にする。ことし行われる市長選挙に立候補した場合、自分のアンケート回答は公約ではないから信用するなと言うのか

△市長 アンケートに答えた内容に関しては政策の方向性について答えたものである。公約発表会見で発表した10月25日のものが私の公約である

◯宮本委員 アンケートに方向性を書いたと言うが、それは市民に何一つ説明していない。いつ説明したのか。きょう初めて私は聞いている。3年前にいつ説明したのか。

△市長 私が選挙期間を通して、市政各般にわたっていろんな部分に関しての考え方を示した中で、私の将来に対する方向性ということで考え方を示したものであり、その後、市民と約束して確実に実現をするという公約に関しては、また別途、絞って発表した。

◯宮本委員 考え方を示したもの、ということを説明していない。選挙戦で有権者にその説明をしたのか。新聞には、それは一切書いていない。

△市長 それは、説明する、しないというものではなく、きちんと市民と実現性も含めて約束できるものが公約である。いろいろな形で考え方を聞くアンケートには、果たせないものも含めていろいろなものがある。考え方をアンケートに応じて答えはするが、公約として間違いなく市民と約束できるものは、公約発表会見で私の公約として発表したものである。

◯宮本委員 公約について、小学館大辞泉では、「選挙のときに政党や立候補者などが、公衆に対して政策などの実行を約束すること」となっている。子どもの医療費助成制度を充実すると新聞に書いてある。これは約束ではないのか。

△市長 アンケートの回答時期は公約の発表前だとは思う。子ども医療費の拡大については選挙公約として位置づけてはいないが、子育て支援を初めとする子ども施策については早急に取り組むべき重要な課題であると認識しており、就任以来、さまざまな課題に取り組んできた。子ども医療費助成制度については、子育て家庭の支援策の大きな柱の一つとして重要な施策と認識しており、さらなる拡大については、財源の問題もあるが、先日、公明党に答えたとおり、現在、第4次福岡市子ども総合計画の策定に向けた作業を進めており、その中で検討を行っていく。

◯宮本委員 公約の前と言われたが、新聞で報道しているのは11月10日である。

△市長 公約に書いている以外のものも、いろいろな考え方に関してアンケートというものは聞かれるものであり、その考え方に関しては答えるが、公約というのは、実際に当選をした後にきちんと実現可能性も含めて約束できるものを、また別途取り出して掲げているものである。

◯宮本委員 選挙のときに、当選しても子どもの医療費の充実を実行するという確信はないと言いながら、マスコミを通じて、有権者にはそれを示した。しかし、実行する気はなかったと、こういうことでよいのか。

△市長 子ども医療費助成制度については、子育て家庭への支援策の大きな柱の一つとして重要な施策と認識をしている。さらなる拡大については、財源の問題もあるが、現在、第4次福岡市子ども総合計画の策定に向けた作業を進めており、その中で検討を行っていく。

◯宮本委員 公約で今のようなことは市民に何ら約束していない。子ども医療費助成制度は、充実をしますという約束をしている。これは一紙ではなく、数社の新聞アンケートに答えている。福岡市長選挙では、争点を明確にして、新聞やテレビなど、マスコミのアンケート調査においても、候補者みずからの政策を明らかにし、市民の選択に資することが候補者の責任である。それを公約という。約束でないから実施する責任を負わないなどと言うこと自体、政治家として首長たる資格はない、こう言わざるを得ない。このアンケートに答えた立場からいくならば、そして先ほどの小学生の子どもを持つ親御さんたちの気持ちを酌むならば、今の主張を撤回し、直ちに子ども医療費の無料化を拡充するべきでないか、重ねて答弁を求める。

△市長 子ども医療費助成制度の拡大については、選挙の公約としては入っていなかったが、子育て支援を初めとする子ども施策については、早急に取り組むべき重要な課題であるという認識をしており、就任以来、待機児童の解消に向けた保育所整備の推進や国際教育の推進、いじめ・不登校対策、さらには小中学校の普通教室への空調設備の整備など、その充実に力を入れてきた。子ども医療費助成制度については、子育て家庭への支援策の大きな柱の一つとして重要な施策として認識しており、さらなる拡大については、財源の問題もあるが、現在、第4次福岡市子ども総合計画の策定に向けた作業を進めており、その中で検討を行っていく。

◯宮本委員 市長はマスコミ出身である。選挙のときにマスコミが行うアンケートというのは、市民への公約だというのは常識である。市民と約束したことを実行する決意がないと、こんなことを平然と言う。今度の市長選挙で今の言動は市民に徹底的に宣伝され、手厳しい審判が下されることを指摘して、私の質問を終わる。