A4の地域ビラを作ってみよう

 ビラづくりについて書いています。

 ではさっそく、ビラづくりの実践講座をちょっとやってみます。

 A4片面のビラ、それも地域限定で撒くビラを作ってみましょう。本当はアドビのソフト「イラストレータ」を持っているといいんですけど、別に「パーソナル編集長」とか「ワード」とか手描きでも応用できます。なんならワープロの切り貼りでもいいんですよ。

 A4片面で、地域に実績を宣伝するビラを作ってみようじゃないですか。

 一番簡単な形式は、横にして、見出しを太く立てて、下に本文を書くやり方です。

 これは要素が少ないので、誰でもできます。大学時代に、最初にビラを書かされた時、この形式(当時はB4でしたが)でやらされました。

 

重要なのは大見出し

 まず重要なのは大見出しです。ほとんどこれで決まります

 なぜならA4片面のビラは小さいので、目的は大体1つくらいしかないのです。だから目的・伝えたいことがきちんと定まっているかどうかが大見出しでわかります。

 何でもいいんですが、住民の要求に応えて山田太郎(架空の議員)市議会議員が行政と交渉して側溝が改善されたとしましょう。

 その実績を当該地域に宣伝するビラを作るとします。

 伝えたいことはズバリなんなのか。それをまずはっきりさせてください。それも短いワンセンテンスで言えるくらいのものです。そうしないと見出し、つまりビラが定まりません。

 このビラは何を知らせたいのかといえば「山田太郎市議会議員が行政と交渉して側溝が改善しました」ということです。このまま素直にビラにするとこうなります。

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 まあ、これでも出せないことはありません。

 しかしあんまりです。

 直してみましょう。

 まず一番知らせたいことは「側溝が改善した」ということです。

 これを大きな見出しにします。

 その際に、これは趣味の問題かもしれませんが、「側溝が改善しました」という言い方は少し硬いと思います。役人言葉です。なぜか議員さんの中にもそういう言葉を使いたがる人がいます。「保育園に入れない子どもをなくす」と言わず、「待機児童を解消する」と言っちゃったります。近所のおっちゃん・おばちゃんがいうとしたら「ミゾが直った」ではないでしょうか。だから、あえて、それをメインの見出しにします。

 次に、どこのミゾかがわからないといけません。というか、「近所のあそこのミゾ」ということが具体的にわかれば、ぐっと親近感が湧きます。すっごく身近な問題だと思ってもらえます。そこで「2丁目」とか入れます。しかし、2丁目といっても広うござんす。「2丁目の床屋の横」とすると、ベストです。

 ここで落とし穴なんですが、「2丁目」というのはどこでも2丁目があります。「本町2丁目」なのか「北山2丁目」なのか。だから「北山2丁目 床屋の横」と具体的にします。それで一気に身近になるはずです。

 さらにいえば、ビラを手に取った瞬間は、床屋の横であるかどうかはどうでもいいことなんです。このビラが、全国どこでも通用するようなビラとして撒かれているのではなく、今この北山2丁目の話だと即座に理解してもらい「えっ、どこどこ?」と感じてもらう必要があります。例えば「団地はこのままでいいのでしょうか」と書いた場合、団地一般の話か…と思われる可能性がありますが、「北山2丁目団地はこのままでいいのでしょうか」だと「何? なんかあったの?」と思ってもらえます。

 だから「北山2丁目」は大きくして、まず何よりもこの街の話だとわかってもらうのです。その2丁目のどこなのかは、興味を持ってもらった人が探してくれればいいので、「床屋の横」は相対的に小さく入れます。

 そして、新聞の見出しがここでは参考になりますが、見出しは文章化されてなくても良くて、切りはりして、視覚的にわかるようにしておけばいいのです。

 この「切り貼り思考」はすっごく大事です。ついつい長い見出しにしたがる人がいますが、ダメです。文章になっていなくても「切り貼り」するとわかるんです。

 新聞の見出しをよく見て研究しましょう。または、ネットニュースのヘッドラインがいい練習問題です。Yahoo!ニュースのヘッドラインなんかこうですよ?

  • GoTo商店街「予想以上の人」
  • 「複雑」な携帯料金に改革案
  • 10万円 麻生氏が効果疑問視
  • インク容器巡りキヤノン提訴へ

 ね? 文章でもないのに、短く要領よく伝えてるでしょ? 思わずクリックしてしまいます。これに学ぶべきです。


 「ミゾが直りました」で助詞は小さくして「ミゾ直りました」と読んでもいいようにさらに短くしてその分、インパクトをつけます。投函されたビラの場合、他のビラに埋もれますから、出来るだけインパクトがあったほうがいいですね。

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議員の努力が伝わるように

 しかし、これではミゾが直ったことが自然現象です。

 そうではなくて、共産党の山田議員が住民の声に応えて市役所と交渉とした結果なのです。

 「見出ししか見ない住民がいる」という想定に立つべきです。だって、私のように、ネットでも見出しやヘッドラインしか見ずに、SNSでトンチンカンなコメントするバ…あわてんぼうさんがいるでしょう?

 そこで議員の写真をつけて、議員の行為と結果を簡潔につけます。

 その際、「山田太郎」が目立つように強弱をつけます。

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 これで、もうビラとしては出せます

 あとはプラスアルファです。

 

見出しをギリギリまで欲張ろう

 一つは、見出しがまだいける、ということ。つまり、本文を読まずとも読んでもらえる情報がもう1行くらいは入れられます。2行くらいまでは人間大丈夫なんですよね。3行になると煩雑になります。だから多すぎてはダメです。3行にしてもいいけど、1行は白抜きにするとか、字体やポイントを変えるとか、何か変化をつけるべきです。ギリギリまで欲張って、情報を少しでも多く伝えましょう。

 市との交渉の苦労譚でもいいし、困っていた住民の声でもいいでしょう。

 そして、本文には、できれば写真*1、そして地図などを入れます。

 さらに、これからの政治的公約と、相談のための連絡先が入ればもう完璧です。

 文字は少なくして大きくしたほうがいいので、12ポイントを標準としつつ、できれば13〜15ポイントにして、中見出しをつけます。本文はあくまで読まれない前提で進めます。

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 本文の書き方ですが、あまり難しく考える必要はありません。だいたい読まれませんし(笑)。新聞記事の基本と同じで5W1Hが書ければそれでいいでしょう。ただし、不正確なことは書いたらダメです。命取りです。下手すると謝罪、最悪議員辞職です。

 5W1Hだけでは面白くない、本文にプラスアルファとして何か付加価値が欲しい——そういうことなら、住民に伝えたい要素を2つくらい考えます。

 ここでは、「町内会から切実な要望が上がっていた」ということでまずそれを具体的に書いて共感を広げます。次に議員自身が交渉にあたってどんな工夫や努力をしたかを書きます。「数パターンで提案をした」ということを書いています。

 

投函することを考えよう

 さて、以上は横長のビラの場合です。

 実際には、例えば住宅や団地・マンションにビラを投函します。

 その際に、ビラをそのまま投函するケースは少ないでしょう。たいていは1回くらい折ります。そうすると、郵便受けから取り出した時に、見出しがサッと目に入りません。

 そこで縦長のビラにして折った時に、見出しと名前・写真が出てくるようにするというビラもあり得ます。見出しが3行になってしまいますが、少し区分を入れたりトーンを変えたりしてなんとか見にくくないようにします。

 実は私は折った時のことまで考えなくてもいいと思うんですが、そういう工夫をすると現場の活動家はすごく喜んでくれることが少なくありません。そんなに喜んでくれるなら、応えたいじゃありませんか。

 そうすると次のようになります。

 細い水色の線の上だけが折れて見えるようになります。

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 A4片面のビラは基本です。

 これができるようになれば色々ビラが作れます。 

*1:写真は日本共産党相模原市議会議員(緑区)の田所健太郎議員のブログから勝手に使わせてもらいました。問題があれば言ってください。