宿直残業代裁判の「原告準備書面1」を説明します

(この記事は私の不当な除籍・解雇事件の問題の一部についてです。全体像を簡単に知りたい方はこちらを先にお読みください。)

 

 福岡地裁で2026年1月15日に、私が原告、共産党福岡県委員会が被告の、宿直残業代請求裁判の弁論準備手続(非公開)が行われました。

 そこに提出された私たち原告の準備書面1を以下にご紹介し、簡単に説明しておきます。

愛知県西尾市にある無住の寺(26年1月神谷撮影)



------- 準備書面ここから -------------

令和7年(ワ)第2423号 残業代支払請求事件

原 告  神谷貴行

被 告  日本共産党福岡県委員会

 

原告準備書面

令和8年1月9日

福岡地方裁判所第5民事部1係 御中

原告訴訟代理人 弁護士 平裕介

同 弁護士 松尾浩順

 

(本書面では、被告の答弁書及び準備書面(1)に対する認否反論を行う)

 

  • 1 原告の労働者性について
    • ⑴ 被告は、関連事件では、原被告間の雇用契約を認めつつ「ストレートに原告の『労働者性を正面から認めた』ことにはならない」「勤務員の活動は、一般私企業のような利潤追求のために指揮命令を受けて労働力を提供するという関係にはない」等と主張していた。
    • ⑵ しかし、本訴の答弁書では、労基法の適用があることを前提として、労基法32条の残業代請求について、「支払うべき残業代があれば・・・支払い義務があることは認める」と答弁し(答弁書2頁)、残業代の支払義務があることを認めるに至っている。
    • このこと自体、共産党の歴史からすれば画期的な認否ではあるが、念のため、原告は管理監督者労基法41条2号)ではなく、宿直業務は行政官庁の許可を得た業務(同法41条3号)ではなく、労基法上の労働者として未払い残業代を請求できる立場にある。

 

  • 2 被告が原告の通知(甲3)を無視していたことについて
    • ⑴ 被告は、答弁書で「残業代が支払われたことは一度もないとの主張は認める。これは、勤務員で残業代を請求しようと考えた者がいなかったからである」などと主張し(答弁書2頁)、あたかも原告がこれまで残業代を請求しておらず、いきなり本訴を提起したような主張を行っている。
    • ⑵ しかしながら、原告は、令和6年11月25日付の内容証明郵便で被告に対して、残業代の請求を行っていて(甲3)、その中で就業規則や宿直表などの提出を求めていたのであり、被告の主張は事実とは異なる。
    • 被告は、原告の通知(甲3)を一顧だにすることなく、これを無視したため、原告は訴訟提起をせざるを得なくなったのである。
    • したがって、正確には、これまで残業代が請求されなかったから支払っていないのではなく、訴外で残業代を請求されたとしても、これを無視して支払ってこなかったに過ぎないのである。実際、原告以外にも同様の例があると仄聞しており、被告は勤務員から残業代請求があれば支払いに応じるというのであれば、今後はこれを公にして訴訟に至る前に支払うべきである。
    • ⑶ また、原告が甲3で宿直日誌を提出するように要求したにもかかわらず、未だに提出がなされていない。被告は、原告が記入したと思われる「宿直日誌」を元として原告の主張の認否をしているのであるから、これらは直ちに提出すべきである。
    • 被告がこれらを提出しない場合には、原告に対する不法行為を構成する可能性があることを指摘しておく(大阪地裁平成22年7月15日判決・労働判例1014号35頁)。

 

  • 3 出勤簿(乙1)は労働時間を表す書類ではないこと
    • ⑴ 被告は、原告の労働時間について、原告が作成した出勤簿(乙1)と宿直者が記入する宿直日誌を根拠資料として労働時間の認否をしている。
    • ⑵ しかし、乙1号証の「出勤簿」は、福岡市(議会事務局)に対して提出するために作られた資料であり、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」で定められた記録ではない。これらの書類は、原告の給与の原資の一部であった政務活動費の交付額を確定させるために作られていた。
    • 実際、乙1は、原告が毎日作成するものではなく、3ヶ月ごとに個人の手帳の記録と突合して、遡って作成していたのであり、労働時間の適正な把握まではできない書類である。実際、原告は、5月1日から24日までは出勤していたが、その印鑑がないのは、2023年5月25日より6月24日まで、同年7月12日から8月11日まで党幹部のハラスメントによる適応障害のため病気休暇を取得することで、5月分を後日に遡って作れなかったからである。
    • ⑶ 議員の補助の活動ではなく、選挙など政党の活動をしている時間は、実際に被告に労務提供されているにもかかわらず、この「出勤簿」では「出勤」扱いになっていないが、これらの時間も被告からの指揮命令に基づいて行われていた以上、労働時間である。
    • このように、そもそも乙1号証「出勤簿」は原告の勤怠の一部しか反映しておらず、この内容のみで労働時間を推認することはできない。

 

  • 4 原告が勤務していない日という主張について
    • 原告は、被告の主張を踏まえて、原告の主張を以下のとおり訂正する。これらは、原告が自らの予定を全て手帳につけていたため、この手帳に基づく主張である。
    • ⑴ 2021年4月10日(土)に勤務していないことは認める。

      ただし、11日(日)に県委員会に9時30分から17時30分まで出勤している。

    • ⑵ 同7月24日(土)に勤務していないことは認める。
    • ただし、18日(日)に県委員会の仕事で粕屋に出張して9時30分から17時30分まで勤務している。
    • ⑶ 同7月31日(土)に勤務していないことは認める。
    • ただし、19日(月・祝)に市議団に9時30分から17時30分まで出勤している。
    • ⑷ 同8月19日(木)は有給休暇である。
    • 「有給休暇」は有給休暇届を出すわけではないが、「出勤簿」に「休」と記されており、これは有給休暇を表す記号である。
    • ⑸ 2022年1月8日(土)は有給休暇である。
    • ⑹ 同1月9日(日)に勤務していないことは認める。
    • ⑺ 同1月10日(月・祝)に勤務していないことは認める。
    • ⑻ 同3月21日(月・祝)に勤務していないことは認める。
    • ⑼ 同4月30日(土)午前中は、県委員会に出勤している。また、5月1日(日)メーデー会場に午前中出勤している。
    • ⑽ 同5月29日(日)は、党幹部(小池書記局長)演説の現場に出張し9時30分から17時30分まで勤務している。
    • ⑾ 同9月18日(日)に勤務していないことは認める。
    • ⑿ 同11月6日(日)は、県委員会の仕事(福岡市長選)で市内各地に出張し9時30分から17時30分まで勤務している。
    • ⒀ 同11月8日(火)は有給休暇を取得している。
    • ⒁ 同12月24日(土)に勤務していないことは認める。
    • ただし、25日(日)を有給休暇とした。
    • ⒂ 2023年2月23日(木)は、県委員会の仕事(福岡市議選)で福岡市内に出張し、9時30分から17時30分まで勤務している。
    • ⒃ 同3月15日(水)は有給休暇を取得している。

 

  • 5 2023年5月から12月について
    • ⑴ 被告は2023年5月から12月について、出勤簿に記載がないので不知としている(準備書面(1)1頁)。
    • ⑵ しかし、2023年5月25日より6月24日まで、同年7月12日から8月11日まで、原告は被告の党幹部のハラスメントによる適応障害のため病気休暇を取得していたため、3か月遡って出勤簿を作成できなかった。
    • また、同年8月16日から12月20日までは、「権利制限」の名目で党幹部によって職場出勤が禁じられ自宅待機を命令されていたのであり、不知となるはずがない。
    • なお、被告は、同年の5月〜12月には労働時間を把握できないまま給与計算を行なって、原告に通常月と同じ給与を支払っている。

 

  • 6 宿直について
  • 被告から、宿直日誌が提出されないので、宿直日誌の開示を待ってから、訴状の訂正を行うのか否か判断する。

 

  • 7 勤務日について
  • 被告は原告の勤務日を主張しているが、被告の主張のとおりいずれも勤務日であるため、訴状を訂正する。

 

  • 8 今後の進行について
  • 上記原告の主張に対する被告の認否を確認後、より正確な残業代を計算し、訴えの変更を行う予定である。

以上

------- 準備書面ここまで -------------

 

福岡市内の神社の新年準備(25年12月神谷撮影)

 以上です。

 まず最初の「1 原告の労働者性について」です。

 お読みいただいた通りで、「共産党の歴史からすれば画期的な認否」です。

 

 次に「2 被告が原告の通知(甲3)を無視していたことについて」です。

 こちらもお読みいただいた通りです。内容証明をこちらが送ってそれを無視しておいて、裁判になったら裁判官の前では「勤務員で残業代を請求しようと考えた者がいなかった」ってなんですか。不誠実にも程がありますよ。

 

 次に「3 出勤簿(乙1)は労働時間を表す書類ではないこと」「4 原告が勤務していない日という主張について」「5  2023年5月から12月について」です。

 3と4は私が宿直した日だけではなく、対象となった3年間ほどの勤務した日・してない日全体の話題をしています。

 裁判では、対象となる勤務日全体を書き出して、その中で宿直をした時間などを記します。つまり宿直をした日もしてない日も含め、まず全部の勤務日を出します。3年分ぜんぶですから1000日分くらいありますかね。この「全部の勤務日」が正確か間違っているかを原告・被告で突きつけ合っているのです。

 4で具体的な日にちがずらずら出てきていますが、これは今述べたように私が宿直残業をした日を特定している作業ではありません。勤務した日全体の話です。

 3のタイトルは、被告(県委員会側)が、福岡市(市役所=議会事務局)に提出した「出勤簿」を根拠にしていることです。

 この「出勤簿」は、実は私の労働時間の一部しか反映していません

 私は「政務活動費」という税金を原資にしたお金で雇用されていたので、その報告を福岡市にしなければいけなかったのです。

 しかしこれは過去に裁判問題になっていて、「議員の補助で働いた日は政務活動費でまかなう」「議員の補助以外の、選挙や政党の活動をした日は政党のお金でまかなう」という区分けがされているのです。

 ですから、「出勤簿」に出勤扱いがない日は、「議員の補助」の仕事ではなく、選挙や党建設など「政党の仕事」をしていたので、その分は福岡県委員会が勤怠を管理することになります。

 ところが、被告(県委員会側)は、「出勤簿」しか提出せず、それを根拠に「勤務していない」とか「している」とか判断しているので、それはおかしいよと言っているのです。

 また、3と5で言及されている、党幹部によるハラスメントで「休職」になっている期間や不当に自宅待機させられている期間についてはお読みいただいた通りです。

 党幹部が自分たちで規約にも社会常識からも外れた長期の「自宅待機」という名の「人間関係切り離し」のハラスメントを私に行い、私から要求されてしぶしぶその期間の給料まで渡しておいて、その期間の労働時間は「不知」(知りません)というのは、自分たちのやった行為を論理的に説明できなくなっている証拠です。

 

 次に「6 宿直について」です。

 これはまさに宿直をした日の特定です。

 わずか数日ですが、私の手帳と被告側の主張が食い違っているので、じゃあ実際に宿直日誌を見せてください、と被告にお願いしているのですが、まだ出してこないのです。

福岡市内のJRの駅付近(25年12月神谷撮影)



 次に「7 勤務日について」です。

 これは、元々の原告(私)の訴状では勤務日になっていなかったんですが、被告側が「え? これ勤務日ですよね?」と言って、私が手帳で再確認したら確かに勤務日だったので「そうですね、勤務日でした。訂正します」と言っているのです。

 

 最後に「8 今後の進行について」です。

 「宿直日誌」を被告側が出してこないので、宿直日全部がまだ確定できません。また、「出勤簿」は一部でしかない、などの私(原告)の主張の認否もまだ出ていないので、それらを踏まえて残業代を再計算します、と言っているのです。

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