総選挙に向けた日本共産党の(第29回党大会期)第7回中央委員会総会(7中総)が開かれました。全会一致だそうです。

私の立ち位置
記事に入る前に、私の立ち位置を改めて書いておきます。
私は、共産党幹部から不当に除籍・解雇をされ、その撤回及びその過程で受けた激しいパワハラの償いを求めて裁判を闘っています。
同時に、日本共産党には、まだまだ組織を改革した上で日本の政治でがんばってほしいと思っているし、思っているからこそ党に戻ろうとしているのです。
ですから、今度の2026年2月の総選挙でも、日本共産党にはさまざまな問題がありつつつも、議席を増やして日本の政治の中で役割を果たしてほしいと願っています。
応援いたします。
具体的には、例えば、急な選挙で、特定の党勤務員が夜遅くまでかかって準備していると仄聞している「候補者のビラ・ポスター・公報・動画などの宣伝物」「演説スポットや流しスポット参考例」の作成には協力できますので、どこの中央・地方組織でもお声かけください。(私が起案しても、決裁・決定するのは党機関ですからなんの問題もないはずです。)

左翼の軸として共産党には頑張ってほしい
この記事では7中総の読み方について書いてみます。
「7中総を簡単に言えば」は、中央の書記局コミュニケ「第7回中央委員会総会について」に書いてあります。
これは
- 「中道改革連合」(中道)の誕生は、「立憲民主党の公明党への吸収」が本質。
- つまり衆院において立憲が消え公明が肥大化したようなもの。
- 立憲民主党というリベラル・左派の大票田が巨大な空白になった。
- 野党共闘に頑張ってきた「ブレない共産党」は、なくなってしまった旧立憲民主のリベラル・左派のリーダーポジションを受け継ぐので、その票をください。
- だけど、「中道批判」をするんじゃなくて、基本は高市自民・維新政権との対決こそ論戦の基本なのでそこを間違えないように。
ということになります。
共産党の宮本徹・元衆院議員がネクタイを立憲カラーに変えたのをアピールされているのはそういう考えの現れでしょう。
【ブレずに立憲主義をまもる】#宮本徹#日本共産党#ブルー #立憲主義(@miyamototooru ) pic.twitter.com/6a3baNwzX4
— 🔥東京20区🔥宮本徹🔥勝手連 (@tokyo20activism) 2026年1月19日
なので、共産党の「総選挙政策アピール」を読んだのですが、従来の野党共闘が困難になったので、いよいよラジカルな路線を出してくるのか!? と思ったのですが、拍子抜けするくらい“通常運転”でした。
例えば、これだけ台湾有事で米軍の戦争に巻き込まれる危険が高まり、トランプ政権による露骨な帝国主義的な行動があらわになる中で、今こそ「日米軍事同盟=日米安保条約を廃棄」する旗が高々と掲げられるのかと思いきや、「総選挙政策アピール」のどこにも書かれていないのです。その後にある、やや細かな項目が並ぶ「重点政策」の見出しにもなく、「重点政策」にさえないのだろうかと初めは思ったのですが、よく読むと、その本文の隅に、ひっそりとあるのをようやく発見できました。
つまり「アピール」として前面に押し出しているのは、「これまでの立憲民主支持層も近寄って来れそうな範囲」のものに限定してあるのです。
私は、この考え方にはさまざまな問題があると思っています(後述)。しかし、政治が右派と中道だけになることは、日本の政治にとって大きなマイナスであり、少なくとも左派が一定の陣地を示しておかねばなりません。そして左派として結集する軸が必要になります。
これまで何となくそれを「左派・リベラル」として立憲民主(またはその左派的な一部の議員)が担ってきたふしがありましたが、それが「中道」を掲げるようになり、さらに「れいわ新選組」は「左派・リベラル」の結集軸になる気があまりなさそうなので、ここはやはり日本共産党にがんばってもらわねばならないと思います。
目標としては共産党の議席が8から5になってしまう*1のを防ぎ、せめて6〜7議席になる程度に減少幅をとどめること。8維持できれば大健闘。議席増なら大勝利…という感じでしょうか。
今後の左翼結集の軸が痩せ細りすぎては困るのです。
ただし、「左派・リベラルのリーダーポジションが空いた」という認識が正しいのかどうかは私もわかりません。これまで「自民党ではない大きなオルタナティブ」というタイプの人たちだけでなく、「左派・リベラル」ということで立憲民主党を支持していたタイプの人たちも一緒に、ほぼ丸ごと中道について行ってしまって、ほとんど何も残っていないという可能性も低くないからです。
その場合は、「今のような左派であれば、そういう左派の塊は要らない」という審判を有権者から厳しく突きつけられたのだと受け止める必要があります。そして、左派・リベラル的な意見は中道で代弁されていると有権者の多くが判断したという事実を冷厳に受け止めるべきでしょう。
繰り返しますが、7中総の提起した方向に問題があることは承知の上で、とにかく日本共産党の議席が大きく減らない、できれば維持、増加させるということでぜひがんばってほしいと思っています。(本文ここまで)

おまけ1:「自民党政治を変える」という綱領的な意味
7中総では立憲民主党について
と激しい言葉で批判しています。
そして、共産党とそのたたかいの方向性を
「自民党政治を変える党」を正面から打ち出してたたかう
と打ち出しています。
「自民党政治を変える」とはどういうことでしょうか。
そもそも自民党政治の根本は、大企業優先政治と対米従属だというのが綱領の規定です。
対米従属の根幹には日米軍事同盟=日米安保条約があり、その廃棄こそ「自民党政治を変える」ことの不可欠のポイントだというのが今の共産党綱領の規定です。
だからこそ「自民党政治を変える」ためには安保条約を廃棄する民主連合政府以外には考えられず、その中間段階を提起したという理由で松竹伸幸氏は除名をされたほどでした。
しかし、公明党はもちろんですが、立憲民主党はもともとこのような立場を持っていません。立憲民主党の2025年の政策は
日米安保条約に基づく日米安保体制は、わが国自身の防衛体制とあいまってわが国の安全保障の基軸です。日米同盟のゆるぎない信頼性がわが国の安全保障にとって大前提であり、抑止力を高めることにつながることから、わが国自身の防衛体制を強化するとともに、健全な日米同盟の一層の深化を進めていきます。
なのであって、共産党から見て「自民党政治を変える」政党ではなかったことは明らかです。確かに立憲民主党が安保法制の一部を違憲としてその廃止をめざしていたことは進歩的な立場であったことは間違いありませんが、今まで「自民党政治を変える」立場で、安保法制の政策変更によって「自民党政治を変える」を捨てたと評価するのは、共産党綱領の路線から逸脱したものだと言わざるを得ません。*2
しかも前述の通り、日本共産党の総選挙政策アピールに「安保条約廃棄」は一言もなく、「重点政策」の本文にわずかにあるだけで、とても「自民党政治を変える」ことを「正面から打ち出す」とは言えないものです。せいぜい「すみっこでちょろ出しする」程度ですね。
立憲民主党との共闘は、もともと「自民党政治を変える」共闘ではありませんでした。*3綱領の言葉で言えば、「民主的改革の内容の主要点のすべてではないが、いくつかの目標では一致し、その一致点にもとづく統一戦線」、あるいは「国民の利益にこたえ、現在の反動支配を打破してゆくのに役立つかぎり」での「さしあたって一致できる目標の範囲で統一戦線」です。
「現在の反動支配(ここでは自民党政治)を打破してゆくのに役立つ」共闘が野党共闘でした。
立憲民主党という「自民党政治を変える立場を持っていない政党」と、「自民党政治を打破してゆくのに役立つ(その第一歩となる)共闘」をしていたというのが、これまでの立憲との野党共闘でした。
「現在の反動支配を打破してゆくのに役立つ」といった場合、共闘相手がどんな思惑を持っているかは関係ありません。キラキラした純粋な瞳でやっているのか、ドロドロした二心をもった腹黒い気持ちでやっているのか、そこは関係ないのです。客観的に役に立つかどうかですから。(実際、立憲民主が日米安保廃棄に進むなどということは立憲自身、約束もしていなかったし、そぶりさえなく、何の保証もないことでした。)
だからこそ、共産党は過去に民主連合政府構想以外にも、「選挙管理内閣」「暫定連合政府」「非核の政府」「国民連合政府」などの構想を打ち出せたのです。
「現在の反動支配を打破してゆくのに役立つ」共闘は、自由自在に組めるように、共産党綱領は柔軟に作られています。
例えば消費税の減税などで一致点を探り、小選挙区では中道を応援をしないまでも、自民・維新か中道かの有力候補が絞られた場合に、柔軟な対応をすることはあり得たのではないでしょうか。
しかし、共産党幹部は、綱領の実現=「自民党政治を変える」ことに本当の意味でこだわるのではなく、「安保法制の廃止」という一つの政策にこだわりすぎてその柔軟性を失わせてしまいました。
特に、立憲民主を「自民党政治の軍門に下った」として、中道を
高市政権と対抗する立場はなく、補完勢力であることを自ら公言しています。
と規定したことは、維新や国民民主と同じ規定をしたことになります。
中道が「反動ブロック」を形成する側に行ってしまったという意味でしょうか。
立憲が左派・リベラルポジションからいなくなったことを強調したいがあまり、表現や規定が過剰になっていると思います。
裏切りは人間の行為の中でも最も卑劣な行為の一つだ。 https://t.co/rX5eKTETEc
— 志位和夫 (@shiikazuo) 2026年1月20日
「反動ブロック」と言えば、今回の7中総には「反動ブロック」やその形成に反対する共同という規定が消え、代わりに「憲法を真ん中にすえた共同」というものに置き換わってしまっています。
志位和夫氏は盛んに「21世紀の反ファシズム統一戦線だ」と言って回っていますが、ヨーロッパで行われたのは、共産党の不倶戴天の敵だった社民党やブルジョア政党と手を組んでファッショ政党を孤立させたのが「反ファシズム統一戦線」であって、「ほとんどの勢力がファシズムの方向に向かっていくのに対して、左派だけがごく少数で抗する」が「反ファシズム統一戦線」ではありません。それは「大政翼賛会のもとで反戦平和を貫いた戦前の日本共産党」でしかなく、どうも志位氏は後者でイメージしているんじゃないかと思います。

おまけ2:共産党の選挙のたたかい方
立憲民主ポジション狙い、立憲民主の左派票狙いだから、政治全体の右寄り批判、立憲民主の代替アピールをしがちなのですが、そこにリソースを割くのはどうなのかと思います。
多くの国民は物価高騰に苦しんでおり、高市政権の物価高騰対策には不満を持っています。
だとすれば、左翼としての自分をアピールするのは、何よりもその生活苦に寄り添う政治姿勢と公約の徹底した強調ではないでしょうか。
特に消費税減税です。
中道の消費税減税(食料品0%)政策にあわてた高市自民党が「2年限定での消費税食料品ゼロ%」をにわか打ち出しましたが、そもそもこれまでどれだけ消費税公約を反故にしてきたんだという「豊富な実績」もさることながら、よくよく聞いてみれば消費税減税の「検討を加速」するだけだというではありませんか。
国民を愚弄するのもほどほどにしろと言いたくなります。
高市政権にやる気がないのは明らかです。
共産党としてはそこを厳しく批判し、すべての消費税の5%への減税をまずは訴えるべきでしょう。
その上で、財源と税のあり方をセットにした訴えへと進みます。
- そもそもこんな弱いものいじめの税金を基幹税制にしていていいのか。
- 大企業や大金持ちへの課税はゆるいままだ。
- この不公平税制を変えよう。
そして、そのままの流れで、自民党政治が大企業奉仕であるというゆがみを告発し、それを是正して最賃1700円など、物価高騰に苦しむ国民の手取りを増やし、暮らしに回すよう訴えます。
この12年間で株主への配当は2・8倍になり、大企業の内部留保は、333兆円から561兆円へ、200兆円以上も積み上げられています(日本共産党の政策アピール)
中小企業への直接支援と一体に、最低賃金を全国どこでもすぐに1500円に引き上げ1700円にします。大企業の内部留保に時限的に課税して5年間で10兆円以上の財源をつくり中小企業の賃上げを支援するとともに、賃上げ分を課税から控除して、大企業の賃上げも促進します。(同前)
党幹部の演説が、少し前は、株主資本主義の話とかから入っていて、うーん、なんか経済学の講義みたいに聞こえないかなと心配していました。(でも、23日の田村委員長の演説を聞いたら、まず消費税から話を始めていて、そこは安心しました。)
共産党には、明日飯が食えなくなるかどうかの瀬戸際に立ってる人の視点で選挙運動をしてもらいたい。期待してる。
— Dai Yoshida (@dztp) 2026年1月19日
共産党はひたすら金の話をすべき。選挙中に関しては、金の話以外は一旦棚上げしていいと思う。
— Dai Yoshida (@dztp) 2026年1月19日
これは全くその通りだと思います。
安保・外交問題は演説では思い切ってカットするか、比重をグッと下げるべきです。
この分野では、世論は共産党が短い時間で語って納得してもらえる状況になっていないと思うし、共産党の政策も整っていないように思います。

おまけ3:左翼統一名簿の可能性
もうこの総選挙では間に合わないでしょうが、次回以降は、左翼としての統一名簿を考えてもいいかもしれません。
右のかたまり、中道のかたまり、左のかたまり、というわかりやすさ、存在感を出す考え方です。
日本共産党は今、社民党や新社会党、沖縄の風などと懇談し、「憲法を真ん中にした共同」などと言っています。れいわにも協議を持ちかけています。
それはそれでいいと思うのですが、「憲法を真ん中にした…」ではなく、例えば「消費税引き下げ同盟」のような統一名簿にすべきだと思います。国民の手取りを増やすことを中心理念にして、消費税減税の実現を是が非でもやってしまう立場を押し出します。そして、消費税減税を実現してくれるならということで、中道や自民党に対し、政局で絡んでいくようにします。
こういうことができるようになるためにも、今度の総選挙で共産党には踏ん張ってほしいところです。
ただ、私としては共産党が組織改革を行う方が先だと思っています。今のままの体質では党自体が萎んでしまう危険性があり、また、国民にも支持されない可能性が高いからです。

おまけ4:「台湾住民の自由に表明された民意を尊重すべき」が重点政策に
今回の日本共産党の重点政策を読んでいて、中国に対する政策の中で、「中国の台湾に対する武力行使や武力による威嚇に反対します」とともに、「台湾住民の自由に表明された民意を尊重すべきです」が入ったことは驚きでした。歓迎します。
もちろん、これらは前から言ってきたことです。
ただ、日本共産党は「一つの中国」論をかつては「堅持」する立場でしたが、昨年12月3日の志位インタビューを契機に日本政府と同じ「理解し尊重する」論に変わりました。中国の言い分としては聞くけど、自分たちは必ずしもそうではないよ、というニュアンスです。そうした中で「台湾住民の自由に表明された民意を尊重すべきです」という文言はもし台湾住民が独立を表明したら、それを尊重せよという主張です。事実上、「一つの中国」論を転換させたと言えます。
この立場自身も前から日本共産党は言ってきましたが、それを重点政策に押し出したことは画期的なことだと思いました。