もうすぐ地方議会は定例の12月議会です。
地方議会は地方自治法第99条に基づき意見書を出すことができます。
普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を国会又は関係行政庁に提出することができる。

よく国政要求を地方議会で取り上げたり、選挙の公約やテーマにすると、「地方議会と国政は関係ない」という人がいますが、そんなことは全くありません。国に意見書を出すのは地方自治法に定められた地方議会の大きな権限の一つで(意見表明権)、私が住んでいる福岡県の県議会は、その活用状況まで独自に調べ、意見書で出した意見をちゃんと活かせ! という意見書まで上げているのです。*1
だから「私は議員になって市議会でこういう意見書を国にあげさせます」というのは立派な公約になります。
地方議員から相談を受ける
私は共産党の県の自治体部長をしていたことがあるので、定例議会の前になるとどんな意見書を出したらよいかという相談を地方議員から受けることがありました。
私は、共産党の議員というのは、革命運動から切り離された存在ではないので、その地域で党支部や住民団体が取り組んでいる運動とむすんで提案されるのが一番いいということを常々念頭においてアドバイスしていました。
さらに、そうした運動の中で共産党の党勢が大きくなれば言う事なしです。
議会活動・大衆運動・党建設を一体に
議会活動と大衆運動と党建設を一体にとりくむという視点を忘れないように繰り返し強調しました。県党の総合計画でもそれが書き込まれました。
この一体性がバラバラで、党議員は議会のこと、民主団体(民商、新婦人、労組など)にいる党員は自分たちの運動のこと、党機関(地区委員会・県委員会)は党勢拡大のことだけで頭がいっぱいというのは革命運動としての全体性を失うことであり、官僚主義やセクショナリズムをうみ、全体を結びつけてものを考える、『資本論』でいうところの「全体労働者」を壊して、自分の狭いセクションのことだけを考える「部分労働者」を生み出していくものだと思います。そのへんは志位和夫議長も「赤本」の解説講義で強調しているので学習会でも学んでみてください(笑)
中央決定にもとづいてテーマを考える
しかし、そうは言っても、あまり喫緊の住民運動がない、という場合もあります。
少なくない自治体でそういう現状でした。
そうした場合、日本の社会・経済を民主主義革命や社会主義の方向に向かって進ませる上で、一歩でも二歩でも前進させるという見地で、地方議会から進歩的な改善の提案の声を意見書の形で国にあげていくべきでしょう。
その際、共産党議員としてはどういう指針があるでしょうか。
一番大事なのは、大会や中央委員会総会などの中央決定です。
今で言えば6中総(第6回中央委員会総会)決定です。
「三、新たな情勢のもとで、要求実現のたたかいと連帯を広げよう」のうち「直面するたたかいの課題」が意見書を考える上でのポイントになります。
(1)消費税減税・インボイス廃止。
(2)賃上げと労働時間短縮――労働者への富の分配をもっと増やせ。
(3)医療・介護の危機打開へ、立場の違いを超えた共同を。
(4)大軍拡ストップ!「東アジア平和提言」を生かした外交で平和を。
加えて、その後に開かれた都道府県委員長会議では、「比例定数削減反対」での共同が呼びかけられました。
共産党の地方議員としては、意見書を作成する上では、このようなテーマが求められることになります。
具体的なヒントは「赤旗」にある
しかしこのままではなかなか意見書という形に仕上がりません。
では具体的にどのように意見書にすればいいでしょうか?
それは、日刊の「しんぶん赤旗」を読めば、そうしたヒントになることがたくさん書かれています。なんだか共産党の宣伝ブログみたいですが(笑)、この問題で言えば、まさにそうなのです。
今日(2025年11月22日付)もそうしたネタの「宝庫」です。
先ほど述べた6中総や都道府県委員長会議の視点に立ってみると次のような記事があります。
例えば消費税減税です。ただ「消費税減税をせよ」という意見書では、なかなか通らない、あるいはすでに一度出して結論が出てしまっている、ということがあるでしょう。
今日の「しんぶん赤旗」には次のような田村委員長の質問記事が出ていました。
この中で、
日本共産党の田村智子委員長は21日の衆院財務金融委員会で、政府が同日閣議決定した総合経済対策についてただすとともに、消費税減税に向けた与野党協議の開催とインボイス制度の廃止を求め、少なくとも「8割控除、2割特例」の軽減措置を延長するよう要求しました。
とあり、この「消費税減税に向けた与野党協議の開催」と「(インボイスに関して)少なくとも『8割控除、2割特例』の軽減措置を延長」は12月議会の意見書になりうるのではないでしょうか。
質疑を全部見て、意見書として起草するのがいいと思います。
あるいは、本日付「主張」ですね。
この中で、
非核三原則見直しの動きに対し、長崎県の大石賢吾知事は「被爆県として到底受け入れられない」と述べ、広島県の湯崎英彦知事も「三原則は絶対に守るべきものだ」と語っています。広島市長や長崎市長も三原則の堅持を求めています。
そして、多くの自治体は、非核都市宣言をしているか平和首長会議に入っているはずですから、長崎や広島の首長と同じ方向性を持っていることが前提になっています。
だとすれば、非核三原則の見直しをしないように求める意見書ということが考えられます。6中総の“「東アジア平和提言」を生かす”という観点にも合致するでしょう。
あるいは定数削減に反対する意見書も考えられます。
今日付の「しんぶん赤旗」では定数削減についての記事もありました。

定数削減には自民党内からも岩屋毅前外相が公然と反対するなど、批判の動きが強まており、上記の記事は「事実上先送り」となったという見方を示しています。
ただし、記事の中にあるように、定数を45程度減らすという方向性は依然として維持されており、ここは都道府県委員長会議の方向にもとづいて、党派を超えて反対の声を地方議会からもあげておくべきでしょう。
本日付の「しんぶん赤旗」には、介護保険の改悪についても掲載されていました。

厚労省の審議会で、利用料2割負担の対象拡大、ケアプランの有料化などの検討がされているわけですが、特に要介護1、2の保険はずしは本当にひどいと思います。
記事では全国市長会が「拙速だ」という角度から批判していることを紹介しています。この角度なら党派を超えて一致した意見書を作成できる可能性があります。議事録などを取り寄せてみたらいいでしょう。
これも6中総の「医療・介護の危機打開へ、立場の違いを超えた共同を」に合致するものです。
中央決定とは別ですが、クマ対策では岩渕友議員の質問が参考になります。
「緊急対応と合わせて十分な予算」や抜本策としての「中山間地の振興」はいいと思いますが、さらに「クマの捕獲や緊急銃猟にかかわるハンターを巡り、農水省は非常勤公務員、環境省は市町村長の委託と待遇が異なっており、負傷した場合の扱いの違いなどで混乱が生じているとして、『対応を統一すべきだ』と求めました」という点や、米国の制度を参考にして「日本にも省庁連携・広域の専門的な組織が必要」という点を提起しています。
これは意見書になると思います。まあ、九州・沖縄の自治体ではあまり問題にならないでしょうが。
他にもたくさんありますが、これくらいで。
地方議員や議員団事務局から「意見書は何を扱ったらいいか困っている」という悩みをよくもらいましたが、中央決定と日々の「しんぶん赤旗」をよく読んでいれば、かなり豊富なヒントが書かれています。特に、国会議員の質問を小さな記事にしたものは読み飛ばされがちです。記事をまとめたページがあるので、地方議員の方は、よく読まれることをお勧めします。
これを読んで「集い」で話すだけでも、支部の党員の方から「すごい! そんな情報を一体どこで手に入れたんですか!?」と驚かれます。「赤旗」ですが(笑)
意見書を作成する過程で、これを議会だけの動きにするのはもったいないと思います。例えば、介護保険の改悪の問題では、つきあいのある介護施設や医療・福祉団体に話を聞いて今度こういう意見書をあげたいがどう思うか、という意見を聞けば、それ自体が自分たちの取り組みを知らせ、運動を起こすきっかけにもなります。消費税やインボイスの問題なら、商工団体に知らせたりします。ここでも、議会の内外の動きを連動させるという「人民的議会主義」の観点を忘れないでほしいと思います。
意見書とは別に今日の「赤旗」で面白かったこと2題
ちなみに今日付の「しんぶん赤旗」は意見書の件とはちょっと別ですが、面白い記事がたくさんありました。二つだけ紹介しておきます。
一つは、「富裕税を考える」という合田寛さん(政治経済研究所主任研究員)の連載です。これは富裕税を国際的に実現させる動きが「国連枠組条約」として実を結びつつあるという話です。
日本政府も関わっていると思うので、日本政府を激励してこの動きを加速させるという意見書を作ることも可能です。
こういうものは、格差・貧困を是正させていくことと連動しているので、まさに資本主義の枠内での改良であるとともに、社会主義に向かってのパーツ(部品)を作っていく作業でもあります。
志位「赤本」にはp.97に「資本主義の発展のなかで未来社会の要素がつくられてくると言われましたが、どういうことでしょう?」という問いがあり、学習会などでこういう記事を紹介して、これも「未来社会の要素」だとイメージを豊富にすることができると思います。
そして、それが地方議会の意見書ということになれば、党支部—地方議会—日本国政—国連—社会主義的未来がまっすぐにつながるのではないでしょうか。税金の問題なので、意見書採択を民主商工会などと一緒にやってもいいかもしれません。
もう一つは、「おはようニュース問答」の「再生二期作」の話です。
これは4日ほど前の同紙で大きな記事が出ていました。
簡単にいうと、コメを新たに植えるんじゃなくて、刈り取った跡からもう一度稲が生えてきて(蘖=ひこばえ)、それを収穫するわけです。温暖化によってできるようになったといいます。「温暖化対応技術」です。
私は数年前にある農学者から、日本農業の増産対策として聞いたことがあります。
こうしたことを後押しするためにも「増産」に政策を切り替えるように国に求めることも意見書として考えられます。地元の農協や農民連などと相談して意見書ができればこれも運動が広がるきっかけになるでしょう。
今後意見書のひな形も載せたい
「意見書」のタグを作りました。
もし余裕があれば、今後定例議会ごとに取り上げるべき意見書についてこのブログでも紹介し、できれば意見書の「ひな形」も一つ、二つ載せて、共産党地方議員の皆さんのお役に立ちたいと思っています。
ぜひご期待ください。
