ハラスメントという暴力を容認したのになぜ田村委員長は「ノーコメント」なのか

(この記事は私の不当な除籍・解雇事件の問題の一部についてです。全体像を簡単に知りたい方は24年8月20日付の記事を先にお読みください。)

 

党幹部に会うことで不安が高まる

 私は、共産党幹部のハラスメントによって精神疾患に追い込まれ、現在も通院と投薬を続けています。

 「子ども劇場」という観劇文化運動がありますが、先日も市のホールを借りてそこの演劇鑑賞会が予定されていました。数百人が参加します。私の家庭も入っています。

 親と子の分のチケットがあってつれあいから「あなたが(娘と)一緒に行く?」と聞かれましたが、観劇先で私を糾弾した党幹部や党員に出くわしてしまう可能性があり、不当除籍・解雇をされてからは、いよいよ不安が大きくなり、「当面あなた(つれあい)が行ってほしい」と言って、断りました。

 私を直接査問した党幹部と顔をあわせるのは不安しかありません。そもそも除籍前でも、調査のための文書を渡すことについては対面でないやり方をくり返し求めたにもかかわらず、党幹部らは文書を持参して私の職場に現れました。ひどいときは、自宅の前で複数で待ち伏せしていました。私は厳しく抗議したのですが、「ちゃんと渡した方がいいと思って」などと理由にもならない理由を述べて去っていきました。

 「神谷の病状に配慮する」どころか、まるで嫌がらせのように、私の精神に打撃を与えるのが目的であるかのように、くり返し私のもとに現れたことは忘れられません。

 そういう人たちとは除籍後も会いたくないのです。

 裁判を起こしたことで法廷で会う可能性が生じました。そればかりは受忍しなければならないだろうと覚悟していますが、そのために不安が高まり、通院を続けています。

 加えて、壇上で私を激しく糾弾した党員・党議員たち、そして、ほぼ一方的な説明しか聞かされていない一般の多くの福岡市の党員たちについては、まだ除籍前は、私は「党員」という目で見られていたので、なんとか日常的に私も平静を保って一緒に活動できました。

 しかし、不当除籍・解雇後は、私の方がやはり不安が大きくなってしまいました。集会や運動の場で偶然出会ってしまうリスクや、こうした左派系の人たちが多い集まりの場などでうっかり出会ってしまう可能性を考えると、どうしても不安になってしまいます。

 党幹部たちは別ですが、一般の地域の党員の方々については、今も現場では私について一方的な説明がされているということが漏れ聞こえてくるので、せめて私が裁判に勝って、「実はかくかくしかじかという事情だった。問題があったのは神谷ではなく党幹部の方だった」という説明がなされる日を待ち望んでいます。そうすれば自分の不安も解消され、晴れて職場・党活動に復帰できるのではないかと思っています。

 

「怒鳴ったり殴ったりすることだけがハラスメントではない」と一般の党員に布告される日が来るのを待ち望む

 12月3日の京都での私・松竹伸幸さん・上瀧浩子弁護士の3人による討論会で、上瀧弁護士から「5人で1人を糾問するとか、パワハラそのものだと思いますが、どうして党側はパワハラでないと思っているのか」という旨のことを聞かれたので、「要するに怒鳴ったり殴ったりしなければ、落ち着いてやればパワハラでないと思っているのです」という趣旨のことを答えました。

 討論会の動画ではハラスメント問題については47分ごろから始まります。

 このことは前にも述べました

kamiyatakayuki.hatenadiary.jp

 いくら怒鳴ったり殴ったりしていなくても、私が受けた追放の脅しのもとでの自己批判(反省)の強要、仕事の取り上げ、同僚や若手との接触禁止、陰で人を集めての悪口の流布などは厚生労働省が定める「パワハラ6類型」そのものなのです。

 党幹部はもちろん、一般の党員、特に会場で私を激しくヤジった党員たちは、「怒鳴ったり殴ったりすることだけがパワハラではない」というシンプルな事実が受け入れられないようです。

 ある共産党地方議員は、私の前でこれ見よがしに宝塚のハラスメント自殺事件の記事を読み上げたりました。額にヘアアイロンをあてるような残酷な仕打ちがなければハラスメントではないぞ、と言いたかったのかもしれません。しかし、その宝塚事件の被害者遺族の弁護団だった川人博弁護士が私の裁判の応援に駆けつけてくれるとは、その地方議員は思ってもみないことだったでしょう。

 先ほども述べたように、もし裁判に勝利したら、この点をきちんと福岡県党や全党に徹底してもらい、晴れて私が復帰できる条件を整備してほしいと願っています。

 

ハラスメントとは「暴力」

 共産党の常任幹部会委員、つまり最高幹部の一人である坂井希さんは、ジェンダー平等委員会の事務局長を長い間務めてこられ、最近『あなたと学ぶジェンダー平等』という本を出されました。

 坂井さんは学生時代からよく知っており、私生活でも私は彼女の結婚を祝う会の実行委員をつとめ、そのパンフレットに彼女やパートナーを描いたちょっとしたストーリーマンガまで描いたこともあります。

 その坂井さんが同著の中でハラスメントについて、次のように規定されていることを印象深く読みました。

〔ハラスメントは〕他者を攻撃し、その尊厳を傷つける暴力であると理解する必要があります。(p.138)

 そうです。ハラスメントは暴力なのだと党最高幹部の一人、坂井さん自身がおっしゃっています。私はまったくその通りだと深く頷きました。*1

 この坂井さんの本は最近でも市田忠義副委員長が「ハラスメント根絶は必須」として、党の公式機関誌(「月刊学習」2024年12月号)で、

坂井希さん(現青年・学生委員会責任者)の『あなたと学ぶジェンダー平等』(新日本出版社)からも大いに学びたいと思います。

と推奨文献であることを強調しています。いわば個人著作ではなく、党の公式文献に準ずる本で「ハラスメント=暴力」だと述べているわけです。

 

自分が深刻な暴力に深く関与しておきながらなぜノーコメントなのか

 ところが、田村智子委員長は、私の除籍やハラスメントについて、一貫して「ノーコメント」を連発しています。

www.sankei.com

www.sankei.com

 

 この点は松竹伸幸さんも疑問を呈しています。

ameblo.jp

 

 私の除籍は中央委員会が承認しているはずのものです。*2

 つまり田村さん自身が承認を行ってきたものです。

 また、私のハラスメントについても、党本部(広報部)は、

神谷氏による党規約とその精神に反する行為についての党福岡県委員会の調査と対応は、本人も認めていた党規約にもとづいて適正におこなわれたものであり、パワハラとの指摘は当たらないと承知しています。(「サンデー毎日」24年9月15日号)

と明確に評価を行っています。「パワハラについては福岡県委員会に聞いてください」とは言っていないのです。私への直接の聞き取りなど一度もしないくせに。党本部の責任者は当然田村委員長でしょうから、ここでも田村さんはこのコメントに責任を負っているのです。「パワハラではない」と、何かを根拠があって明言させているはずです。そのことを説明する責任があるのではないでしょうか。

 実際、私が入手した党幹部の言動の記録からも、党中央委員会は私の調査・除籍・ハラスメントの深く関与してきたことが明らかになっています。

 田村委員長が私への暴力に関与してきたかもしれないという重大な事態なのです。

 その暴力に、承認という行為、評価という行為を、責任者として明確に与えているわけですから、「コメントしません」というのはあまりにも無責任ではないでしょうか。

 

 地方の組織がやったことで、本部の責任者たる委員長はよくわからない——これならまだ話がわかります。あるいは、裁判だから言えません、というのもよく聞きます。

 しかし田村さんの発言はそういうものではないのです。

 中央自身が関わった。そしてすでに党中央の部署はコメントまでしている。

 それなのに党の代表だけが、「コメントしません」。

 ダンマリをします、と言っているのと同じで、同じ記者会見で党内のハラスメントについては「丁寧な対応」をすると述べているのにも真っ向から反するものです。ていうか、直前に言ったことと真逆のことを直後に自分で言うって、虚しくないのでしょうか。

 自分が深刻な暴力に関与している可能性を指摘されているのに、何もコメントしない。

 おかしくありませんか?

 もちろん、そんな関与などしていないなら「していない」とはっきり言えばいいことです。実際すでに党中央の広報部署はコメントしているわけですから。

 

 推測ですが、まさに答弁不能になっているのだと思います。

 福岡県委員会の調査・査問の現場でも、私が党幹部に対して具体的な事実、規約、法律を示して迫ると、同じことが起きました。バグって、固まって、動かなくなって、ダンマリになってしまうのです。

 

 もう一度言いますが、田村智子さん、あなたは自分が関わったかもしれない暴力になぜコメントしないのでしょうか。志位和夫さんが答えるというなら、それでもけっこうです。まず党の代表が正々堂々とコメントしてくれませんか。

*1:坂井さんは28大会期、つまり今年の1月まで規律委員会の委員を務めておられました。つまり私の「規約違反」容疑なるものを中央の部門の一員として調べておられたかもしれません。こうした文献を書かれた方でしょうから、おそらくその矛盾にひどく苦悩されていたことでしょう。

*2:私の除籍の決定は福岡県常任委員会が行っています。規約では「除籍は、一級上の指導機関の承認をうける」(11条)とされており、その「一級上」は中央委員会しかないからです。