共産党幹部はまず自分のハラスメントと向き合え

(以下は私の不当な除籍・解雇事件の問題の一部についてです。全体像を簡単に知りたい方は24年8月20日付の記事を先にお読みください。)

 

 「セクハラなどあらゆるハラスメントを禁止する」(立憲民主)「採用活動におけるハラスメント防止に取り組む」(国民民主)——ハラスメント対策も2024年の総選挙の重要な争点です。

 日本共産党もハラスメントについての公約を発表しています。

www.jcp.or.jp

 

私へのパワハラ——二つのグループ

 それはそれでけっこうなことですが、私はまさに共産党幹部からありもしない「規約違反」をでっち上げられ、ハラスメントを受けて、精神疾患を病み、最後は首を切られて追放されました。

 その概要は以前のエントリで書きましたが、次の通りです。

 大きく二つのパートに分かれています。

私へのパワハラ

 (1)県三役(正副委員長・書記長)は、のちの23年6月21日の常任委員会決定(“神谷は重大な規約違反を犯した。自己批判し、ブログを削除せよ。さもなければ党員の資格を問われる”)と同様の決定をまず同年4月に行い、同年5月の予備調査(査問)で私に自己批判・ブログ削除を迫りました。

 三役5人が私1人を査問する形式で、内容は自己批判を強要するものであり、「党員の資格を問われる」つまり、従わないと「党員の資格」を奪う=追放(除名・除籍、解雇)を匂わせるものでした。

 私は精神不調で通院を始めており、5対1で私を追い込むのをやめるようその場で求めましたが無視され、査問が続行された結果、精神疾患との診断書がでて同年5月下旬から1ヶ月休職しました。同様の内容で同年6月21日の常任委員会でも追及され(12対1)、その後再び診断書に基づいて同年6月下旬からさらに1ヶ月休職しました。なお、同年8月に休職期間が終了し、職場(党福岡市議団事務局)に復帰はしたものの、精神不調による通院・投薬は現在まで続いています。

 (2)また、23年8月に「調査のための、規約に基づく党員権利の制限」という名目で党側から一切の党の会議への出席、職場への出勤、職場移転の手伝いや職場の党員との接触、民青のメンバーと行っていた自主的な資本論学習会への出席などを禁止されました。職場のLINEグループからも外されました。要するに、仕事を全て取り上げられ、他の党員・同僚との関係を断たれたのです。

 私が「権利制限」されている間に、私を排除して私をテーマにした秘密裏の地区委員長会議・市議団会議などが次々開かれ、調査審議中であるにもかかわらず「神谷は重大な規約違反を犯した」「松竹は党破壊・撹乱者であり神谷はその福岡県での同調者だ」とする一方的な「報告」が行われました。

 それ以外にも私のいない場で、やはり調査審議中であるにもかかわらず、他の党員に私への誹謗(「神谷は規約違反」「党を攻撃する人」「松竹の同調者」)が度々行われています。これらは全て記録があります。

 私は松竹氏の主張の同調者ではなく、しかも同調者かどうかは規約の調査とは関係ないはずだと調査の場で述べているにも関わらず、です。

 前述の行為は、私が複数名での取り囲みをやめてほしいとお願いしているにもかかわらずそれを無視し、調査審議自体も1年以上続いています。

 以上のことから(1)も(2)もパワハラです。(1)は「精神的な攻撃」「身体的な攻撃(精神疾患の人への強要)」であり、(2)は「権利制限」の合理的な範囲をこえ、「過小な要求」「人間関係の切り離し」「精神的な攻撃」にあたります。

過小な要求



 共産党公約にはこうあります。

 ハラスメントは、身体的・精神的な攻撃とともに、過大な仕事を与える、過少な仕事しか与えない人間関係から切り離す上下関係に乗じて支配しようとする私的なことに過度に立ち入るなど、様々な形態で人を傷つけ、痛めつけ、うつ病や退職に追い込んだり、命さえ奪ったりすることもある、決して許されない行為です。加害者に謝罪させることはもちろん、適切な制裁、防止措置、被害者への救済の強化が求められています。

 ほとんど「全部のせ」と言っていいほど、党幹部は私に対してやってきていることがお分かりになると思います。

人間関係の切り離し

 しかし、もし仮に、「いや、神谷への仕打ちはハラスメントではなかった」と党幹部が言うのであれば、「ハラスメントではなかった」という判定を公正な手続きにのっとって行わなければならないことは言うまでもないでしょう。もし本当にハラスメントなら「様々な形態で人を傷つけ、痛めつけ、うつ病や退職に追い込んだり、命さえ奪ったりすることもある、決して許されない行為」(共産党公約)だからです。

 果たして、党幹部の私へのハラスメント認定手続きや対応は適切だったでしょうか?

 

法で義務化された後も相談窓口なし・周知なし

 まず相談窓口はどうだったでしょう。

ハラスメントへの対応について、法律で事業主に対して、相談窓口を設置する、事後に適切な対応をとるなどの防止措置義務が課されています。しかし実際は、多くの場合、被害者があきらめたり、希望する解決が図られずに泣き寝入りせざるをえない実態があります。(共産党公約)

 その通りです。共産党幹部は、よくご存知ですね。

 この相談窓口の設置は2022年3月31日まで中小企業には猶予されていましたが、2022年4月1日から中小企業も義務化されました。

 ところが、私がパワハラ被害を受けて、それを告発(党の規約における公式な調査の場〔23年7月11日〕で私が正式に提起)していた2023年5月〜10月までの間日本共産党福岡県委員会ではこの相談窓口が設置されていませんでした。要するに足元で法律違反を続けていたのです。

 福岡県の共産党では第10回県委員会総会(福岡県の共産党の役員会議にあたる)が23年12月20日に開かれ、次のように決定されています(県委員長の結語より)。

前回の第9回県総〔23年11月〕で出された要望にこたえて、ハラスメントの「訴えの相談窓口」も設置しました。当面は、県委員会のジェンダー平等委員会で受け付けることにしています。

 ハラスメントの訴えがあった場合、あいまいにすることなく対応するし、必要な場合は、弁護士など専門家ともその都度、相談しながら対応しています。 

 要するに23年11月に初めて相談窓口を作ったということです。

 私はこの会議(県総)への出席を禁止されており、24年8月に除籍されるまで全く知りませんでした。除籍される日まで、相談窓口が設置されたことも一切知らされませんでしたし、行為者(加害者)以外の党職員や弁護士が、ハラスメント問題で私への聞き取り調査を行ったことも一切ありませんでした。

 

 なぜ党幹部は、私のハラスメントの訴えを、自身が作ったこの仕組みにつなげなかったのでしょうか? 「あなたのケースを相談窓口につなげますか」「弁護士に話を聞いてもらいますか」——そんな問いかけは私に一切ありませんでした。相談窓口の存在さえ私には告げなかったのです。

 相談窓口は、設置するだけでなく、周知も法律上の義務です。共産党幹部は完全にこれを踏みにじり続けました。“法律など関係ない”とでもいうのでしょうか。

 

 私の告発を恐れてあわてて設置して体裁だけ整え、しかし私には絶対に使わせないように周知せず隠していた、ということでしか説明がつかない話です。何が「あいまいにすることなく対応」でしょうか。全力で「あいまいに」しようとしていると言われても仕方がないでしょう。

 法律の義務である「事後に適切な対応をとる」を踏みにじる対応ではないでしょうか。

 法律で義務化されている相談窓口をずっと設けない。やっと設けても、正式に被害を訴えている人に窓口を知らせもしない。つなぐこともしない。担当者や弁護士の聞き取りもしない——これが共産党幹部のやったハラスメント対応です。適切と言えるでしょうか?

 

三者による全容聞き取りなし・加害者がパワハラ否定し組織決定

 私は耐えきれず、権利制限が解かれた23年12月23日の県党会議(共産党の県大会)で発言し、自分は党幹部からパワハラを受けていることを告発しました。8分しか時間が与えられていないので、自分の不当な「規約違反容疑」をかけられている経過から話せば、パワハラの中身にはほとんど入れませんでした。上記の(1)のごく一部をかいつまんで訴えただけです。

 ところが、行為者(加害者)の一人である県委員長は、まずパワハラがあったかどうかを、自分ではない第三者による調査を行おうとしませんでしたし、行いませんでした。

 そして、その23年12月23日の県党会議の「結語」で次のようにして、加害者であるにもかかわらず、パワハラを否定し、それを多数決で決定してしまったのです。

神谷さんは、党規約にもとづく「調査」が、あたかも「パワハラ」であるように言いましたが、そうした事実はありません。県常任委員会のもとに設置した調査委員会は、神谷さんの規律違反の疑いについての「調査」にあたっては、本人の体調も考慮し、本人の了解のもとでたいへんゆっくりしたペースで「調査」をすすめています。だからこそ半年以上もの長い時間がかかっているのです。*1

 ここには、パワハラの3要件もなければ、6類型もありません。

 何よりも、私が受けているパワハラの(1)(2)の全容について、県委員長は何も答えていません。そのはずです。私は詳細については県党会議では何も話していなかったからです。

 話していないことを否定できるはずがないのです。

 被害者が全容を、第三者である調査者に話すことも一切ないまま、加害者が主導してパワハラを否定する組織決定を行う——これがパワハラの訴えを受けての、組織としての適切な対応と言えるでしょうか?

 



怒鳴らなければパワハラではないのか

 (1)の事件のハラスメントのポイントについて、あらためて述べておきたいことがあります。

 私がやめてとお願いしたのに、党幹部から5対1で査問を受けたこは私を精神疾患に追い込んだ重大な要因の一つであると思っています。

 あるいは党幹部は、その場で私を怒鳴ったとか、机を叩いたとか、殴ったとか、そういうことがなかったからハラスメントではないかのように党内で宣伝しています。

 しかし、(1)のハラスメントの本質はそうしたところにあるとは思っていません。なぜ(1)がハラスメントなのか。

  1. たとえ5人ではなく1人であっても私に対して優越的地位にある人が、
  2. 組織の規約で禁止されている自己批判の実行を「決定」によって迫り、それを行わなければ追放することを匂わせ、
  3. そのことによって精神疾患で休職した

というこの3点がパワハラに当たると思っているのです。これはパワハラ防止法で定められたパワハラ3要件です。党幹部がやったことはきれいにこれに当てはまるのです。

 ポイントは2.です。

 県委員長自身が私になんといったのかを、23年秋に県内の会合で県委員長自身が他の党員にベラベラしゃべった、その記録からお伝えしましょう。

 最初に調査委員会を設ける前に私(県委員長)が(神谷に)話した時、「あなた(神谷は)重大な間違いをしているんだからここは反省すべきだと。自分(神谷)は松竹擁護について間違っていたと、反省して自己批判しなさいと。そうすれば救われる党に残れる処分も受けるかもしれないけど、松竹氏みたいに除名とかああいうふうにはなりませんよ」と繰り返し説明して「やり直すべきだ」と。

 しかし彼(神谷)は反省しない。内心の自由だと。今は(そうやって)言いよるよね。あの時は言わなかったけども。いずれにしても「自己批判はしません」というわけだよ。「強要されるはずはない」と。

(もちろんこれは私の一方的なメモではありません。それを聞いた証人もいますし、客観的な記録も存在します。もし裁判になれば提出できるものです。)

 どうでしょうか。

 思想改造すれば助けてやるぞ、ごめんなさいといえば情状酌量はあるぞ、転向すれば追放しないぞ、と取引を持ちかけて脅しているのがわかると思います。

 県委員長はその会合で「自己批判を強要することはできなんていうのは当たり前のこと。強要したことは一回もない」と述べていますが、“自己批判しなければ党から追い出されますよ”ということを事実上述べておいて、「強要はしない」とはよく言えたものです。

 

 強面の男が「あんたのところには3歳の娘がいたよなあ…。かわいい盛りだよなあ…」と静かにボソリと言ったら、その男は確かに声も荒げていないし、危害を加えるなどとは一言も言っていないわけですよね。

 怒鳴ったかどうかとか、話し合いが静かだったかとか、そういうことは(一部のハラスメントには重要でも、他の多くの)ハラスメントにとっては何ら本質的でもないし、重要なことでもありません。

 

 だいたい共産党の公約で出しているハラスメントの例は、どれも怒鳴ったかどうかなど問題にしていませんよね。

過大な仕事を与える、過少な仕事しか与えない、人間関係から切り離す、上下関係に乗じて支配しようとする、私的なことに過度に立ち入る(共産党公約より)

 過大な仕事を与える時、あるいは仕事を取り上げてしまうときに、静かに言うか大声で言うかは本質的なことでしょうか?

 あるいは、誰かを会議や職場のレクに呼ばないなど、人間関係から切り離す時に、いつも怒鳴って切り離すのでしょうか?

 あるいは、部下の女性を私的に夜の食事に誘うなど、上下関係に乗じて支配しようとする時に、机を叩かかずに言ったからOKなのでしょうか?

 あるいは、「あなたはメールで誰と連絡を取っていますか」「あなたは休日に誰とどこにドライブに行きましたか」と聞く時に、ニコニコして言ったからセーフなのでしょうか?

 ところが県委員長は、24年2月25日の県党会議の結語では次のようにして自分たちはパワハラなどしていないことを「証明」してみせたのです。

神谷さんへの調査は、規律違反にたいして必要な範囲での調査であり、人格否定でもなければ、暴力的威圧でもありません。その点は、調査にあたっての県常任委員会でもしっかり注意すべき点と確認して調査をすすめてきました。

 私は発言で、怒鳴ったかどうかはパワハラの本質ではない、パワハラの3要件を満たしているか、6類型にはどうかなどを検証していないではないかと批判したのですが、結語ではこのようにそれには何も答えず、そして第三者による調査も何もないし、加害者自身が主導して、またしてもこのパワハラ否定を党の組織決定にしてしまったのです。

 

パワハラの解決は「自己改革」?

 党幹部のきわめつけはパワハラの解決方法は「自己変革」だという意味不明な結論でした。

 私のパワハラ被害への告発に対して、県委員長は同じ24年2月25日の県党会議の結語でこう述べました。(文中の「Eさん」というのは、地区委員長であり、かつて私の上司であって、県委員長側に立って発言した代議員のことです)

 ここで100歩譲って、そのパワハラをどうやったら解決できるのかと考えるなら、今日、資料として配付している「ハラスメントどう根絶するか」という県常任委員会の見解にも書いていますし、そして代議員Eさんが発言したことが大事です。Eさんは強調しました。「事実と規約にもとづいて自己検討をする。予防と根絶は、学びと自己改革で自覚を高める。そして、何よりも、互いにリスペクトし、党の団結と成長につなげる立場でこの問題にのぞむ」――この立場こそがハラスメントを根絶する党の方針です

 神谷さんの結論はここにありません。自分の主張を聞き入れない県3役は許せない、というものです。これではハラスメントはまったく解決しないということを神谷さんはよく考え直していただきたいと思います。 

 何を言っているのかわからない人が多いと思います。*2

 私もわかりませんでした。

 「自己検討」がハラスメント解決…?

 

 本当に何を言っているか理解不能です。

 普通の文脈からすれば加害者が自己検討をするという意味でしょう。

 ハラスメントをした加害者の「自己検討」はそれはそれですればいいことですが、それで問題が解決するのでしょうか。

 ハラスメント問題での共産党の選挙政策をもう一度見てください。

ハラスメントへの対応について、法律で事業主に対して、相談窓口を設置する、事後に適切な対応をとるなどの防止措置義務が課されています。しかし実際は、多くの場合、被害者があきらめたり、希望する解決が図られずに泣き寝入りせざるをえない実態があります。たとえば都道府県労働局に2023年度に寄せられたセクシュアルハラスメントの相談件数は7,414件ですが、是正指導件数は2,161件、パワーハラスメントは相談件数6万2,863件に対し、是正指導件数は3,746件にとどまっています。是正指導に従わなかった企業名を公表する制度はありますが、公表された事例は1件もありません。厚労省の2023年度調査では、「相談窓口の設置と周知」をしている企業は8割ありますが、「相談窓口担当者が相談内容や状況に応じて適切に対応できるようにするための対応」(マニュアルの作成、研修等)をしているのは半数以下にとどまり、実効性は不十分です。

 要するに、企業や事業所まかせでは大した解決は見込めないと言っているのです。それどころか、行政を間にはさんでもちっとも力にならないという批判さえしています。

 共産党福岡県委員会は「相談窓口の設置と周知」も、担当者のための「マニュアルの作成、研修等」もなかったのです。

 加害者の「自己改革」「自己検討」で何も進まないことは明らかではないでしょうか。

 もし「自己検討」「自己改革」を、「ハラスメントは外部に漏らすな」「自分たちで解決しろ」という意味なら、ここでも共産党のハラスメント問題での政策をよく読んでもらいましょう。企業まかせ、事業所まかせでは解決しないから、どうしろと提言しているでしょうか。

ハラスメントの定義と禁止を明確にすることと合わせて、被害者がアクセスしやすく、迅速に調査・認定し、救済命令(行為の中止、被害者と加害者が接しない措置、被害者の雇用継続や原職復帰、加害者の謝罪と賠償など)を行う、政府から独立した行政委員会を設置することが不可欠です。行政委員会は、国と都道府県単位に設置し、ジェンダー差別問題、ハラスメント問題の専門家を委員に選任します。

 会社や事業所の外に持ち出して、独立した専門機関にちゃんと審査して救ってもらいなさい——そう共産党は勧めているのです。

 それとも共産党幹部は、「共産党は結社の自由があり治外法権だ」「共産党内でのハラスメントは自己改革と自己検討で解決するのだから、もし設置されてもそこには相談してはいけない」「相談すれば除籍だ」とでも言うのでしょうか。

 

 

被害者に説教しているのではないか

 しかし、ここでもっと恐ろしいことがあります。

 県委員長の結語は、加害者ではなく被害者に説教しているとしか読めないのです。

 なぜなら「自己検討」の後に「互いにリスペクト」すべきだと言って、その上で「神谷さんの結論はここにありません。自分の主張を聞き入れない県3役は許せない、というものです・これではハラスメントはまったく解決しないということを神谷さんはよく考え直していただきたいと思います」と述べているからです。

 被害を訴えた人に対し、その論点に何も答えることなく、加害者が“お前のやり方ではハラスメントなどなくならないぞ”、“考え直せ”と教えさとす——信じられるでしょうか。

 

 最初に紹介した共産党のハラスメント公約ともう一度比べてみましょうか。

様々な形態で人を傷つけ、痛めつけ、うつ病や退職に追い込んだり、命さえ奪ったりすることもある、決して許されない行為です。加害者に謝罪させることはもちろん、適切な制裁、防止措置、被害者への救済の強化が求められています

 例えばジャニーズ事務所や宝塚、自衛隊のようなことが起きた時、「互いにリスペクトせよ」「『自分の主張を聞き入れないの許せない』というのでは解決しませんよ」と言うのでしょうか?

 

党自身が定めたハラスメント対応手順にまったくのっとっていない

 ここで日本共産党ジェンダー平等委員会の事務局長だった坂井希さんのご著書『あなたと学ぶジェンダー平等』(新日本出版社、2023年11月)から僭越ながら引用させていただきます。

ハラスメントが起きてしまったどうするか。…相談の訴えを受けたら、まずは相談者の主張に真摯に耳を傾け話を聞くことから始めます。(p.140)

 「真摯に耳を傾け」るどころか、加害者(行為者)しか相手がおらず、しかも全容さえ私は話す機会はありませんでした。 

 

ハラスメントの相談を受けたときに最もやってはならないことは、「あなたも悪いところがあったのでは」と責めたり、「あの人はああいう人だから、我慢しなさい」とか、「あの人は大事な役割を果たしている人だから大ごとにすると、党に傷がつく」などとかばったりすることです。相談した相手から信じてもらえなかったり、軽くあしらわれたり、被害を訴えた側がトラブルメーカー扱いされたりすることは、深い心の傷となり、党そのものへの不信にもつながってしまいます。(p.141)

 「あなたも悪いところがあったのでは」どころではなく、数百人の党代議員の前で私は「自分の主張を聞き入れない県3役は許せない、というものです。これではハラスメントはまったく解決しないということを神谷さんはよく考え直していただきたい」と漫罵されました。しかも「相談した相手から信じてもらえなかったり、軽くあしらわれたり、被害を訴えた側がトラブルメーカー扱いされたり」したのです。

 本当に数百人の代議員の前での県党会議でのこのやり取りは、ハラスメントが起きたとき以上に「深い心の傷」となりました。セカンド・ハラスメントの現場です。

 坂井さんはこの後「真剣な自己検討と集団的論議で再発防止を」と題して、行為者(加害者)の自己検討を求めて、その先に再発防止を定めます。

 被害者の自己検討などみじんも求めていません。

 そして

ただし、単に「ハラスメントか否か」を認定し、本人に通告するだけでは解決になりません。違法性の有無を判定することが目的でもありません。(p.143)

とあるのですが、その意味は、加害者および組織全体がそのようなことを引き起こした根元にまでさかのぼって検討して、構造的原因を除去するよう求めているのであって、白黒判定して終わりじゃないよ、ということを述べています。

 県委員長はこれをまったく別の形で読み込んで、被害者の告発を非難し、被害者に自己検討を迫っているのです。

 

 日本共産党の党幹部は、ジェンダー平等やハラスメント根絶を社会に向かって語る前に、まず自分自身のハラスメントに向き合い、自分を改革する方が先ではないでしょうか。それができないなら、社会的な制裁を受けるしかありません。

 

*1:この「神谷には病状を配慮してやったほどだからパワハラなどあり得ない」という虚構はすでに以下の記事を読んでもらえば崩れていることがお分りいただけます。 

https://kamiyatakayuki.hatenadiary.jp/entry/2024/10/10/091127

*2:あえて言えば共産党第29回党大会決議で「ジェンダー平等とハラスメント根絶のための自己改革にとりくんできたが、この点でもわが党のなかになお存在している弱点を克服し、国民多数から信頼される党に成長していくために、あらゆる努力を重ねていく決意である」や、第28回党大会8中総決定で「ジェンダー平等、ハラスメント根絶を掲げる党として、この問題を党活動・党建設でも重要な柱の一つと位置づけ、党員一人ひとりの個人としての尊厳が尊重される党をめざして、全党が自己改革にとりくむことを強く訴えたいと思います」というところにある「自己改革」のことなのかもしれませんが、改善のための努力をしてきたという以上の意味はなく、県委員長やEさんの言うような加害者を「許さない」と言ってはいけないなどという決定でないことは明らかです。そんなことはどこにも書いてありません。