党幹部はいかに私の「分派」の捏造に熱中し、執拗な思想調査をくり返したか

(以下は私の不当な除籍・解雇事件の問題の一部についてです。全体像を簡単に知りたい方は24年8月20日付の記事を先にお読みください。)

 

 私は党幹部に「規約違反」をでっち上げられて、何度も査問・調査をされ、苦しみました。

 その際に驚いたことは、

  1. ブログのことではなく、「松竹氏と連絡を取っているか」「松竹氏の主張に賛成かどうか」を執拗に調査されたこと
  2. 私の調査中であるにもかかわらず党幹部は「松竹氏は党の破壊者・撹乱者であり、福岡県における同調者・擁護者が神谷だ」と繰り返し県内の党員に宣伝したということ

です。

 1.は規約違反かどうかの調査ではなく、思想調査です。党規約が禁じている“意見の違いによる排除”〔3条(五)〕そのものです。

 2.はパワハラの6類型の一つ「精神的な攻撃」にあたるだけでなく、やはり規約〔3条(四)〕が禁じている多数派工作のための分派活動の可能性があります。

 

 下記に記録を載せます。

 「会合A」は2023年7月11日の、県幹部による私への公式な第1回調査審議です。

 「会合B」は2023年8月下旬に県委員長らが秘密裏に開いた地区委員長会議・福岡市議団会議などの一連の会議です。

 「会合C」は2023年秋に、県内の会合で県委員長が発言したものです。

 「会合D」は2023年12月7日の、県幹部による私への公式な第2回調査審議です。

 いずれも私の一方的なメモではなく、客観的な記録が存在するものです。もし裁判などで必要とされればいつでも提出する用意があります。

 

党幹部が私に公式調査で「松竹と連絡を取っているか」

 会合Aで、共産党福岡県副委員長のB氏は、私に次のように公式に尋問しました。

B氏 松竹(伸幸)氏と連絡とったりしていますか

神谷 なんでそんなことを。してませんけど一市民と連絡を取っているかどうかなんて(規約問題の調査にとって)どうでもいいことじゃないですか

B氏 いやいや、どうでもよくないですよ。

神谷 なぜですか。(松竹氏は)もう一市民になった人ですよ。集団で(松竹氏を)いじめるんですか。

B氏 いや、いじめるっていうんじゃなくて。(松竹氏は)一市民じゃないです。もう完全に、周到に、仕組まれた流れになってますよ。文藝春秋との関係とか。もうね、(党)中央(委員会)が調べてるんですよ。

神谷 全然出てこないじゃないですか。松竹さん、それを今ブログで問題にしているでしょ。

B氏 そのうち(関係が表に)出てきますよ。部分的に(党中央委員会で)聞いたけどね。

 会合Aは私の規約違反容疑に対する公式の調査です。世間話ではありません。

 そこで「松竹氏と連絡をとっているか」と尋問しているのです。つまり「分派を作ろうとした」という罪をでっちあげようとしているのです。

 「松竹氏との分派」は、予備的に行われた査問でも容疑には入っていなかったし、最後に私に通知された除籍の理由にも入っていません。B副委員長の発言を見てもわかりますが、私が松竹氏と分派活動をしているという具体的な証拠なり証言なりがあって、それを確認しようとしているわけでもありません。

 明らかに、私から不用意な言動を引き出そうとしているのです。

 私は松竹氏から市長選挙の際に応援演説をもらったことがあります。また、私の著作の編集担当者になってもらったこともあります。その後に日常的な市民としてのつきあいがある可能性は十分にあるのです。

 そこで仮に私が「はい。メールはやり取りしています」と答えたらどうなっていたでしょうか。

 それを証拠に私は分派活動の「罪」で処分されていたかもしれないのです。

 読者の皆さんは、それを邪推だと思われますか?

 ところが、この会合Aから1ヶ月後に、秘密裏に地区委員長や市議会議員などを集めた一連の会合(会合B)で、共産党福岡県委員長は次のような驚くべき報告をしています。

 なぜ彼(神谷)が処分されるのか。2つの点で違反している。

〔…中略…〕

 なおかつ松竹問題での同調なんです。

 彼(神谷)は何と言っているか。

 「松竹と連絡を取っていますか」と(調査した党幹部が)言った時に(神谷は)「何でそんなことを聞くんですか」と。連絡とったら分派だ。(神谷は)「彼(松竹氏)はもう党員じゃないでしょ。一市民でしょ」(と言った)。(神谷は松竹氏と連絡を取っているかどうか)否定しなかった。「連絡とってませんよ」とはいうけど、「何でそんなことを聞くのか」と。これはもう非常に重大な問題だ。これがもし事実で、連絡とっていたら除名です

 京都の鈴木元が除名になった。彼は松竹と連絡を取って出版を打ち合わせして、軌を一にして本を出した。(松竹氏と鈴木氏の)二人で相談して。これは分派活動にあたるということで除名になった。

 (神谷の場合は松竹氏と)連絡はとっていないというが、今後どうなるかわからない。(神谷と松竹氏が)打ち合わせして行動したら分派活動になる。

 くり返し「連絡を取ったら分派」「連絡を取っていたら除名」とはっきり言っているのがわかると思います。

 もし私が「連絡を取っています」と答えていたら、私は分派活動のかどで除名されていた危険が高いのです。

 そして、県委員長がしゃべっているのは、明らかに第1回公式調査の中身ですよね。それを、まだ調査も終えていない段階で、一部の党員を秘密裏に集めてベラベラとしゃべっているのがお分かりいただけるでしょう。

 さらにひどいのは、あまりにも勝手な解釈をほどこしていることです。

 「連絡は取ってない」と私が明確に否定しているのに「否定しなかった」と県委員長は明らかに嘘をついています。しかし自分でも理屈が全く流れていないのがわかるからでしょう、「これはもう非常に重大な問題だ」と強引にまとめています。

 県委員長が、松竹氏と鈴木氏が分派活動の罪状で除名された例をあげていますが、あの事件は、出版の場での販促の立場から「同じ時期に出したほうが売れる」という言葉をかわしたと述べたことが「分派」にあたるとされました。県委員長や党幹部側はまさにこのケースをねらい、私から「連絡を取っている」という言質を引き出そうとしたのです。

 前述の通り私は過去に松竹氏にお世話になっています。そうした恩義があった人に、その後、仮に市民としての常識的なつきあいをしていたとしても、何も問題はないはずです。例えばお歳暮をもらってお礼を言ったりするかもしれないのです。*1

 ところが、党幹部は「松竹は一市民ではない」「連絡を取っていたら除名」という、驚くべき図式をつくりあげ、そこに私をハメようとしていたのです。それが失敗に終わり、悔しがっているのがこの発言でわかるでしょう。

 しかし、党幹部はあきらめません。私が連絡を取っていることを明確に否定したにも関わらず、県委員長が「今後どうなるかわからない」と明言しているように、私の「松竹氏との分派」をでっち上げるために、彼らは1年以上もの膨大な時間を調査に割いて、私から言質を取ろうとしましたが、徒労に終わります。当然です。そんな事実はないのですから。

県委員長「党の分断・破壊・撹乱をする松竹。その福岡での同調者が神谷」

 1回目の公式調査から1ヶ月後。共産党福岡県委員会の県委員長をはじめとする党県三役は、地区委員長会議、福岡市議団会議など、私を排除した非公開・秘密の会議を、2023年8月下旬に立て続けに開きました(会合B)。

 その時に、県委員長は参加者に対して次のように報告しています。

松竹は党大会に向けて撹乱をさらにエスカレートしようとしていて再審査を呼びかけ、党内に同調者を作り党の分断と破壊をある意味公然と始めている。〔…中略…〕党外から外部から日本共産党の結社の自由に対する破壊をやり始めた。そういう段階に入った。〔…中略…〕そういう撹乱が今まで続いておるわけ。〔…中略…〕なぜ今皆さんにいうかというとね、福岡県委員会の中にも同調者がいる。それは神谷です。県常任委員会の。彼は松竹の同調者なんだよ。

 “松竹氏は党破壊者・撹乱者であり、神谷はその同調者である”という趣旨のことを述べているのがわかっていただけると思います。

 しかし、私は査問や調査の初めから最後まで面と向かって「あなたは党破壊・撹乱の同調者だ」という規約違反容疑をかけられたことはありません。そして、最後に除籍された時にもこれは除籍理由には入っていませんでした。

 つまり、規約違反容疑とはなんの関係もない私の「悪口」を、党幹部が、秘密裏に党員たちを集めて、吹聴しているのです。

 私は確かに昨年2月の県委員会総会で、“松竹氏の処分には重大な瑕疵があるので見直すべきだ”という趣旨の発言をしましたが、ここで県委員長があげている党大会をめぐる松竹氏の活動にはなんの関与もしていません。「党破壊・撹乱の同調者」だなどという決めつけは、度を過ぎた私への攻撃であると言わざるを得ません。

 これは厚生労働省が指針でパワハラの6類型の一つとしてあげている「精神的な攻撃」にあたります。



 ついでに言えば、私はまだ規約違反かどうかの調査中であったにもかかわらず、これらの会議では党幹部自身から「神谷は規約違反」と断定されました。

それでこれは規約違反は明確だから党員の権利を制限して調査に入った。

 “規約違反は明確だから調査する”って常識的な頭では考えられない発言ですが、県委員長の中では矛盾なく成立しているんでしょうね。

 規約(49条)では「規律違反の処分は、事実にもとづいて慎重におこなわなくてはならない」とありますが、事実を調べ調査を終了して調査結果が出る前に、調査をやっている党幹部自身がもう「違反」だと断定しているのです。前に述べたとおり、党幹部は公式にはくり返し、この時点では私が規約違反かどうかは確定していないという扱いをしています。しかし私を排除した裏では、平気で「違反」を断定し他の党員たちに宣伝していたのです。

 この宣伝は2023年8月だけでなく、その後も県内の党内会議で繰り返し行われました。



党幹部による多数派工作=分派活動

 私についての「悪口」を垂れ流した一連の会議(会合B)は「地区委員長会議」「福岡市議団会議」などと銘打たれていますが、集まっているメンバーの多くは、その当時、私の処分を審査する県委員会総会における審査員(=県役員)ばかりでした。実際にこの直後(8月29日)に県委員会総会が公式に招集され、9月9日に私の処分を決める県委員会総会が行われることになっていました(9月6日に中止が周知された)。

 明らかに、総会前の事前の多数派工作です。

 調査が終わらないのにこういうことをやっては絶対にいけません。調査が終了し、県委員会総会の場で初めてその調査結果が公表され、私がそれに対する十分な意見表明の機会を得て、それでさあ審査員のみなさん、神谷が規約違反かどうか、そして処分するならどういうランクがいいかを決めてください、フェアに審議しましょう、とならなければいけません。それが規約の49条・51条・55条に定めてあることです。

 ところが党幹部は、調査の最中に、私を排除して秘密裏に審査員になる人たちを集めて、「神谷は規約違反だ」と一方的に断定し、「神谷は党破壊・撹乱者の同調者だ」と「悪口」を吹聴していたのです。これが多数派工作でなくてなんなのでしょうか。*2

 このように、県委員長をはじめとする党幹部がやったことは、自分たちが幹部にある地位を利用して、規約上違法な会議を招集し、そこで多数派工作をすることでした。これは分派活動だと言われても仕方がないでしょう。

私の追放劇を仕切っていたのは誰だったのか

 私が「松竹氏と連絡を取っていない」と述べたことで、県委員長などの党幹部による「神谷は松竹一派」というでっち上げキャンペーンはいったん挫折します。

 先ほども述べた通りですが、8月29日付で県委員会総会が公式に招集状が発出され、9月9日に私の処分を決める県委員会総会が行われることになっていました。

 しかし、招集直後の9月6日に、総会の中止(公式には「延期」とされた)が周知されてしまいます。責任をもって招集し、議題まで提示したはずなのに、すぐに取り消しをしているのです。

 非常に不自然な動きであることがわかると思います。

 招集をした8月29日と中止を決めた9月6日の間に何があったのでしょうか?

 実は8月下旬の会合Bで、県委員長は次のように私を処分するシナリオを報告しています。

 それでこっから先は今中央委員会にやってて、経過を説明した上で党規約に基づく処分の指導要請を中央に上げています。これはまだ返事が返ってきていない。返ってきてから県委員会総会になる。県常任が(中央に)上げている指導要請というのは彼の常任・県委員からの罷免ということ。それで処分(案)を上げています。(中央に)了解されれば総会にかける。罷免された場合に一党員になります。一党員になって彼がさらに党規約に反する行為を続けるならもう党員としては両立できません。〔…中略…〕処分が総会にかかる。日程は9月の9日、土曜日。

 私を「機関からの罷免」(県役員を罷免)するという処分にする案(そしてヒラ党員に落とした後での追放を匂わせています)で、党中央委員会に指導要請(簡単に言えば「この提案でいいですか」という伺い)を出しているというのです。

 ここには重大な情報がいろいろ詰まっていますが、今大事なのは、私の処分は中央委員会の事前了解のもとに進んでいたということです。中央委員会が私の処分を事前に経過まで含めて詳細に管理していたのです。

 そして、この発言の後に、私の処分案と処分決定のための総会はいったん取り消されてしまいます。

 この間に何があったのかは推測にしかなりません。

 しかし、県委員会幹部が処分案まで決定し、総会まで公式招集したものを、すべて取り消し、急な方向転換できるのは一体誰か——私の追放を誰が仕切って振り付けていたかは、この顛末を見れば、おのずと明らかだと思います。

 

「神谷は松竹と同じく綱領や規約を否定している」キャンペーン 

 「神谷は松竹と連絡を取っていた。つまり神谷は松竹一派だった」という「分派」キャンペーンは失敗した(当たり前です)ものの、党幹部はあきらめませんでした。

 次の仕掛けは、「神谷は松竹と同じように綱領と規約を否定している」というキャンペーンに私を落とし込もうとするものでした。

 2023年の秋に県内で開かれた会合Cで、県委員長は次のような驚くべき発言をしています。

彼(神谷)が(規約違反容疑の)調査を受けている第二の理由は、松竹氏を擁護している(から)。松竹氏の主張というのは綱領と規約に対する異論を述べている。(神谷は)これを擁護している。規約4条では党の綱領と規約を認める人は党員になれるとある。党の綱領と規約に異論を述べる人、党中央の解釈と違う解釈を述べる人は党員であり続けることはできない。根底に関わる問題で松竹氏は問われた。それを擁護したらどうなるか。主張の中身として。主張のやり方じゃなくて。神谷さんの党員としての立場が問われることになるわけだよ。神谷問題というのは、ブログを出して勝手に発表したということに止まらない。綱領と規約をめぐる問題で松竹氏は否定している。それを(神谷は)擁護している。神谷問題は松竹問題と似ている。

 何が「驚くべき」点でしょうか。

 私が規約違反容疑で調査を受けているのは、私のブログ問題とは別に、「松竹氏を擁護しているから」だと言っています。これは私の行為ではなく、意見・主張を問題にしていることになります。「意見の違い」によって「規約違反」が問えると、県委員長は思い込んでいるのです。

 そして、「党の綱領と規約に異論を述べる人、党中央の解釈と違う解釈を述べる人は党員であり続けることはできない」という信じがたい発言をします。

 県委員長の理屈では「綱領と規約を認める人」しか党員になれないと規約4条に書いてあるんだから、綱領と規約を否定したら党員になれないというわけです。

 なるほど一見正しいように見えます。

 では、今の綱領と規約を認めて入党して活動するが、それを「よりよいものにしたい」と思って党内の会議で綱領と規約の見直しを求める人はどうなるでしょうか。その人は綱領と規約を否定したとして、規約第4条の資格、つまり「綱領と規約を認める」人でなくなるでしょうか。そんなはずはありません。

 もしそれで党員でなくなるのなら、どうやって綱領や規約の見直しができるのでしょうか。おそらく2003年より前に不破哲三氏、2019年より前に志位和夫氏は当時の綱領を見直そうと考え、ある日の常任幹部会で「今の綱領のままではよくありません。次の大会では綱領を見直すべきだと思います」と発言したことでしょう。もし県委員長の解釈通りなら、不破氏や志位氏は即刻党員の資格を失い、除籍でしょうね。

 規約はそんな馬鹿げたことを許していません。党内であれば、そして内心であれば、いくら今の綱領や規約がダメだと感じて、それを発言しようが自由なのです。規約はそれを完全に認めています。安保条約を容認せよとか、自衛隊を強化しろとか、社会主義を放棄しろとか、そういうことを綱領に書き込んで根本的に見直せと思っていても、発言しても、それは全く規約上は問題ないはずです。

 もちろん、それを党の外で合意もなく公表したら、それは規約違反になります。

 でも、県委員長が述べているのはそういう話ではありません。わざわざ「主張のやり方じゃなくて主張の中身だ」と条件をつけていることから見ても、それは明らかです。外部で話したかどうを問題にしているのではなく、今の綱領と規約ではダメだなと思っていたら、あるいは党内の会議で提起したら、いくら対外的に綱領と規約を守って活動していても、その人はもうアウト。党員としての資格を失っているというのです。 

 これは驚くべき規約の解釈・理解だと思いませんか。

 そして、この程度の規約理解の人が、中央委員会幹部会委員だということにも驚かされました。というか私の取り調べの現場指揮をしていることに呆れ、また、強い不安を覚えました。

 実際に、私は、「神谷は本心では、松竹と同じように綱領の見直しを求めている」という追及をその後、公式調査の場で執拗に受けるようになります。

「神谷は本心では、松竹と同じように綱領の見直しを求めている」という執拗な思想調査

 これは2023年12月7日に開かれた私の規約違反容疑に対する第2回の公式調査の中身です(会合D)。

 党の県副委員長のB氏、同じく副委員長のC氏が私を追及しています。

 

  • B氏 神谷さんの(2023年)3月5日のブログでは“松竹さんが安保堅持、自衛隊合憲だと述べているのは野党連合政権についての話で綱領に違反していない”と記述されています。私どもはこれは松竹氏を擁護していると受け止めています。〔…中略…〕この点についてどう考えているのかということです。
  • 神谷 私は2月の県総で「(松竹氏は)綱領に違反していなくて除名理由が成り立っていないですよ」と確かに述べました。それについて私は(2023年)3月5日のブログで、私の元の意見を否定した県総の結語を丁寧に紹介しました。また、皆さんの討論を経て私の認識をまとめました。(ブログには)こう書いてあります。「松竹伸幸さんは、日米安保条約堅持、自衛隊合憲という党綱領に反する主張を公然と行っています」と書いてあって、結論として明確に「私は私の意見が間違っているという、決定の認識を共有し、それに従い、その立場で活動します」って明記してあると思うんですよね。そうである以上、私は現在共産党員として、「松竹さんは、日米安保条約堅持、自衛隊合憲という党綱領に反する主張を公然と行っている」という認識と立場に立って、私は活動しています。
  • C氏 ということは神谷さんは今松竹さんの主張している内容については綱領には反していると今あなたは考えているということですか。
  • 神谷 その立場で活動しているということです。実際私は共産党員ですから今活動しています。それでそういう認識で市民に会った時に、「あれ(松竹さんの主張)は(綱領と規約への)違反じゃないんですか?」(と問われたら)「そうです。違反ですよ」っていうふうに答えています。
  • C氏 だから松竹さんの主張については自分として彼の主張を擁護し広げるという立場では全然ないということですね。
  • 神谷 全然。党員としてそりゃやっちゃいけないということですからそりゃやってませんし、やるつもりもありませんし。
  • C氏 ということですね。
  • 神谷 はい。そのことはすでに3月5日のブログの段階で明記しているし、そういう立場でやってます。 〔…中略…〕
  • B氏 自分は当初こういう考えを持っていたが決定ではそれが否定された、と。決定で否定されたからそれを実行しますと。だけどその自分の最初の思いは変わっていないんですよね。
  • 神谷 その問題って、例えば「変わっていない」って言ったら規約違反で処分になったり、「変わっている」と言ったら処分にならないのですか。
  • B氏 いやいやそれはそういうことはない。
  • 神谷 そしたら規約の調査とはあんまり関係ないんじゃないんですか。なので私にお問い合わせになったこと、規約に違反しているかどうかについていえば、規約には違反していない。なぜなら「松竹さんの主張は綱領に違反してますよ」という立場で今も活動しているし、言っているということなんです。 〔…中略…〕
  • B氏 つまり今日は松竹氏は綱領に違反していないとブログに書いたけど、今はもうそういう考えを持っていないと。
  • 神谷 だから内心を問題にしないでくださいよ。内心とか今後の…。
  • B氏 それはわかった。わかった。正確に言えば「答える必要がないから答えない」と。
  • 神谷 ここの調査の場で話すことじゃないですよねってことです。
  • C氏 我々や党中央が言っている「松竹氏は綱領に違反している」ということは認めるということでしょ
  • 神谷 その立場で活動しておりますっていうことです。どんな市民が来て質問してもその立場でやっております。現に。今後もやりますと。 

 お読みになっていかがでしょうか。

 私が自分の内心のことを一切触れずに、決定に従い決定の立場で団結して活動すると再三答えているのに、調査に当たった副委員長たちはしつこく何度も何度も「本心ではどう思っているか」という質問にすり替えて私から言質を取ろうと必死になっている姿が浮かび上がってくるのではないでしょうか。

 「今でも松竹氏の主張は綱領に反しているとは思っていない」と答えれば、即刻「神谷は綱領を否定した松竹と同じであり、党員の資格を失っている」というキャンペーンに利用されたはずです。

 これ、もし仮に「今では松竹氏の主張は綱領に反していると思っている」と答えたらどうなっていたでしょうか。あくまで推測ですが、その場合は、「間違っていたと認めるのだな。では自己批判せよ」と迫られたのではないかと思います。

 もちろん規約では、「決定に同意できない場合は、自分の意見を保留することができる」〔第5条(五)〕としており、綱領や決定に反するどんな意見を持っていようが、それは自由だし、その意見の撤回や反省を迫ってはいけませんし、その意見を持っていることを以って排除することも許されません。

 しかし、党幹部は、私をこうした罠にはめて、キャンペーンに利用しようとしたのではないかと思わざるを得ないのです。これはまさに「神谷は本心では、松竹と同じように綱領の見直しを求めている」という執拗な思想調査だったというほかありません。*3

*1:のちに日本共産党の委員長になった宮本顕治は、五〇年問題という深刻な共産党の分裂・混乱に見舞われた時期に、当時の党指導部の多数派から「宮本は分派活動をしている」というでっち上げをされ、排除されたことがあります。その時宮本が同じアパートに住んでいた別の活動家と挨拶をかわしていましたが、その関係をもって分派だとみなそうとしました。それと同じですね。当時の宮本の文章を掲げておきます。「増田春雄〔九州地方委員会文化部長、のちに長崎県委員長〕の家族と私は同一建物に他の数世帯と住んでおり、増田が家族のもとに帰れば、上級機関の同志としての私を訪れてあいさつするのは当然である。顔を出さない方が不自然である。こんなことまで数えあげて私の『分派活動』をデッチあげようとする心事〔心に思っている事柄〕こそむしろ問題である」(『日本共産党五〇年問題資料集』p.103)

*2:県委員長は「マスコミに聞かれるかもしれないから、皆さんを集めた」とそれらの会議で言い訳したのですが、例えば福岡市議がもしマスコミから「神谷が処分されるそうですけどどう思いますか」と聞かれたら「私は知りません。県委員会に聞いてもらえますか」と答えればいいだけであって、何も正式に決まっていないのに、その市議がもし「神谷は規約違反をしましたね。彼は党破壊・撹乱者の同調者ですよ」などとマスコミに答えたら、その市議こそ規約違反で処分されてしまいます。仮に迅速な対応が必要だったなら、調査を早く終えて早く違反認定と処分を決める正式な会議を開けばいいだけのことです。それ以外に対応する方法はありません。秘密裏の会議で一方的な判断を流すなど、絶対にやってはいけないことです。

*3:ちなみに、私は、民主連合政府の段階で安保条約の廃棄と自衛隊の解消をめざすという立場で今も昔も一貫しています。