本日付「しんぶん赤旗」に災害時のトイレ対策についての記事が。
日本トイレ研究所の調査が載っていました。
リードで、
キーワードは「統括責任者の存在」です。
とあり、話を聞いた同研究所代表の加藤篤さんは
阪神・淡路大震災以降、トイレをめぐって大きな問題を繰り返しています。教訓を生かせないのは、責任者が明確でないからです。
とそのポイントを伝えています。
なぜかといえば、「トイレをシステムとしてとらえる必要があるから」ということのようです。関係部局が多岐にわかるので、その全体を見る人がいないといけないし、計画を策定するには責任者がいないと問題意識が出てこないからだと言います。
この「トイレ対策の全体統括責任者(部署)を決めているか」の問いには、自治体全体では44.6%しかYesと答えておらず、半分に達していません。
このアンケートは福岡市もやっているはずなので、市の市民局の担当課に電話してどんな回答をしたかを聞きました。
答えは「決めている」とのこと。
これはまず及第点です。
次に「トイレ確保・管理計画を策定しているか」については策定している自治体は27.2%と少数でした。福岡市は、この問いには「策定していない」とのこと。
その理由も選択肢で選ばせるのですが、「その他」を選び、対策はあるけど、計画と呼べるほど体系的ではないから、と電話でお聞きしました。
対策が全くないわけではないと言いたいわけでしょうが、加藤さんによれば、
計画がなければ当然、災害用トイレの必要数も算定されません
ということになります。これは思い当たるフシがあります。
日本共産党福岡市議団が、能登の震災の後に行った質問があります。
堀内徹夫市議(共産)
次はマンホールトイレについてです。水道や下水道が壊れて、避難所のトイレが使えないということも想定される中で、マンホールトイレは、学校の校庭や公園などに耐震化された下水管に繋がる下部構造を構築しておけば、災害直後に上部構造物として、便座や囲いを設置するだけで使用が可能です。さらには段差がなくて車椅子や高齢者も使いやすく、し尿はそのまま下水に流せるので、においも少なく衛生的であり、国も一番奨励している災害用トイレです。トイレの必要性についても、国際的な人道援助の最低基準を定めるスフィア基準で「50人に1つ」となっており、本市では500基が必要となります。しかし本市では現在、設置されているマンホールトイレは、小中学校などの地区避難所408ヶ所中、わずか25施設76基しかなく、全然足りません。本市の計画では、今後、小中学校や公民館の新改築や大規模改修時にマンホールトイレを増やしていくというものですが、あまりにも悠長すぎます。大阪市では、これまでの地震被災の教訓から、34ヶ所、1450基のマンホールトイレを既に設置しています。見習うべきです。そこでお尋ねいたしますが、本市のマンホールトイレは、50人に1基というスフィア基準から見て、整備が遅れていると思いますが、ご所見をお伺いいたします。市民局長
マンホールトイレにつきましては、避難所となる公民館や小・中学校などの新築改築に合わせて整備を行っており、引き続き、関係局と連携をしながら整備を進めてまいります。
500基必要なのに76基しかなく、学校や公民館を建て替えレベルの工事をする際についでにやるという立場なので、必要数整うのに数十年かかってしまうことになります。およそ計画とはいえません。
つまり福岡市の課題としては「必要数を算定して、何年までに整備するかを逆算して計画を作る」ということになるでしょう。