第二次公約など(3)財源について

続き)前記事に続いて、第二次公約などを発表した記者会見の内容を紹介しています。

 

 第二次公約に発展させた40項目の公約実現の財源については、すでに第一次公約に「財源は財政調整基金の活用、人工島関連事業の削減などでまかないます。……大型開発のムダをなくし、市民の暮らし応援に回します。」として大きな方向は示しています。

 今回これをもう少し詳しくお話しします。

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 はじめに言っておくと、(ア)の24項目は国に求めたり、政策の考えを変えたりするなど、大きな予算措置がなくてもすぐに実施、着手できるものであり、(イ)の7項目も財政調整基金などでこれもすぐ実施できるものですから、合計31項目(公約の全40項目のうち)は財源の観点からいえば、直ちに実行・着手できると私は考えます(これらの施策の優先順位は前後することがあります)。

 

(ア)財源を特に必要としないもの――24項目

 基本的にムダを削るもの、国・大企業に求めるもの、政策の転換であるもの(職員体制の経費などをのぞく)などです。

  • 「天神ビッグバン」、ウオーターフロント再整備、人工島事業、空港への高速道路など大型開発を住民参加で見直します。ロープウエー計画は中止します。
  • 国家戦略特区は返上します。
  • 国の施策とあわせ、保育園・幼稚園の無償化をすすめます。(一部)
  • 生活保護を必要な人は誰でもうけられるよう市の運用を改善するとともに、生活保障法への改正を国に求めます。
  • 最低賃金をただちに時給1000円にするよう国にもとめ、時給1500円の実現をめざします時給1500円の実現をめざします。中小企業には社会保険料負担の軽減などをあわせて実施するよう求めます。
  • ブラック企業根絶条例」を制定し、全市あげてとりくみます。特に市として調査・相談・啓発に積極的にとりくみます。(一部)
  • 市からの発注などでの賃金水準を時給1500円以上(公共工事は設計労務単価通り)確保する公契約条例をつくります。設計労務単価が下請まで適正に払われているか、市として調査・指導を行います。
  • 原発ゼロを前提にして、再生可能エネルギーの普及目標を2030年に全市の電力消費量の8%という消極的な目標から、まず他の先進政令市と同じ20%に引き上げます(国の目標も20%前後です)。特に風力・省エネの促進について計画・目標をもちます。玄海原発の再稼動は認めず、同意権をふくむ立地自治体なみの協定を九電に求めます。
  • 小さな地元業者でも市の仕事を受けられる「小規模事業者登録制度」は請願が採択されながら長い間たなざらしとなっており、すぐスタートさせます。
  • 大型開発や規制緩和で無尽蔵に人を呼び込む観光政策を改め、地域の商店や小規模企業にお金が回る、身の丈にあった観光行政に切り替えます。違法民泊をなくし、住環境を守るための民泊の規制条例をつくります。
  • 2019年10月からの消費税の10%引き上げに反対します。小規模事業者の負担が増え、発行できない事業者や免税業者が取引から締め出されるおそれがあるインボイス(適格請求書)導入に反対します。
  • 保育園・特養ホーム・市営住宅など暮らしに身近な公共事業を思い切ってふやします。
  • 高齢者乗車券の縮小・廃止計画はただちにストップ。
  • 大手事業者に生活交通の確保を義務づけるよう生活交通条例を改正します。減便・廃止・無人化は住民の立場で西鉄やJRに是正を要求し、必要なバス便などの確保も市長として求めます。
  • 障がい者差別解消条例を改正し、すべての人に差別的取扱いを禁じ、事業者にも合理的配慮の提供を義務づけます。福祉乗車証を存続。
  • 性的少数者のためのパートナーシップ条例をつくります。
  • 多文化共生社会推進計画をつくり、特に労働相談の充実、コミュニティ参加への支援をすすめます。また、ヘイトスピーチを許さない市の姿勢を明確にし、条例制定も視野に必要な対策をとります。
  • 県・国とも協力して、河川改修・土砂災害対策。(一部)
  • 福祉や防災を町内会・PTAなどに丸投げ・下請けさせたり、要綱できつくしばったり、推薦の仕事を押しつけたりする「ボランティア地獄」をなくし地域活動の負担を大幅に減らします。
  • 何事も情報公開と市民の間での討論をすすめ、特に難しい問題では住民意向調査、住民投票、住民討論会などを積極的に活用します。
  • 市職員の声をよく聞き尊重し、庁内の風通しをよくします。
  • 教育については子どもの権利と現場の自主性を最大限尊重するように切り替え、行政の圧力や統制をやめます。
  • 不公正・不正直な安倍政権のもとでの改憲に不安が広がっており、同政権のもとでの憲法9条の発議・改定に反対します。非核平和都市宣言をします。核兵器禁止条約への参加を日本政府に直接求めます。
  • 災害派遣や急迫不正の主権侵害への対応では自衛隊にも積極的に協力を求めます。海外派兵や違法な先制攻撃などへの市の軍事協力は許さず、そのような形での福岡空港博多港の軍事使用に反対します。

 

(イ)財政調整基金などでただちに実現――7項目

 税収増など今の予算の範囲内で実現しようと思っているもので、急がれるものは毎年財政調整基金などの取り崩しで実施します。

  • 新宿区程度の家賃補助(月1万円、3年)を30世帯で実施。(年1080万円)
  • 札幌市程度(40人、月1万円、入学支度金2万円)の市独自の返済不要の奨学金を創設。(年2000万円)
  • 第3子以降の小学校給食費を月1000円助成。(年1億円)
  • 就学援助の切り下げを元に戻す。(年1億4000万円)
  • 高すぎる国民健康保険料を引き下げ。(年度当初予算通りの法定外繰入を行う)
  • 保育士・学童保育支援員・介護職の待遇改善のために市独自の支援制度として、前述の家賃補助を保育士以外の福祉職でスタート。
  • 通学路の危険ブロックをゼロにするプロジェクト。(3億2000万円)
  • 児童館の建設の検討開始。(2000万円)

 

(ウ)今すすめられている大型開発のムダなどを見直して実現――12項目

 人工島事業へ毎年100億円が投じられ、ウオーターフロント再整備や「天神ビッグバン」関連に22億円、空港へのムダな高速道路建設に75億円が投じられています。これらを見直してその一部を使って実現させます。

  • 市営住宅を100戸増設。(13億円)
  • 「住宅確保要配慮者向け賃貸住宅の供給促進計画」の枠組みで月4万円(国の補助2万円)の家賃補助の対象世帯数をさらにプラス。(―)
  • 就学前・小学生の通院医療費の自己負担をなくします(年10億円)。
  • 認可保育園を抜本的にふやします。(―)
  • 住宅リフォーム助成制度の創設。(年5億円)
  • 生活保護世帯の下水道料金の減免の復活(年4億円)
  • 高齢者乗車券を1.5倍に拡充。(年6億円)
  • 住宅の耐震助成の充実。(年7000万円)
  • 市として避難の誘導に積極的な役割を果たすために調査研究を委託します。(年2000万円)
  • 少人数学級を1学年拡大。(年6億円)
  • 特別教室のエアコン整備。(政府の2018年度補正予算案を活用し3年計画で整備すれば年5億円)
  • 学校改善予算の増額。(年6億円)

 

(エ)今後のムダな大型開発の見直しで実現――13項目

 ウオーターフロント再整備や「天神ビッグバン」には今後数千億円の事業費がかかると考えられていますが、その総額や市費負担は明らかにされていません。400億円かかると推計されているロープウエー計画も同じです。その総額を明らかにさせ、中止を含めた計画の見直しを行う中で予算を確保します。

  • 学校給食の無償化。
  • 民間住宅を借り上げて市営住宅にする。
  • 就学援助の充実。
  • 高すぎる国民健康保険料の引き下げ。
  • 介護保険料・利用料の負担を軽減します。
  • 中学3年生まで医療費を入院だけでなく通院も完全に無料にします。
  • 生活保護世帯への夏季手当(見舞金)を復活させます。
  • 保育士・学童保育支援員・介護職など福祉職の待遇改善のために非正規職員を含め市独自の月5万円の家賃補助を10年間続けます。
  • コミュニティバスの創設。
  • 特別養護老人ホームの増設を支援します。
  • 被爆・引揚の実相を知るための平和資料館をつくります。
  • 教員採用の抜本増、教員の多忙化解消、体育館へのエアコン設置、過大規模校の分離新設、特別支援教育の体制強化などに取り組みます。
  • 人材の確保、技術の継承、行政対応や災害対応力の向上にむけ、新しい職員を積極的に採用します。