「学校給食費の無償化」を公約する市議を市議選で多数に

 市長選挙は終わりましたが、4月には市議会議員選挙があります。

 市長選挙で問われたこと・争われたことは、引き続き市政で議論し、市民の願いであるものは実現を迫っていく必要があります。

 

高校生まで医療費助成が拡充へ

 福岡市が新年度予算で子どもの医療費への助成を現在の中学生までから高校生まで拡大する方針を示しました。これは市民の運動で切り開いてきた大事な前進です。

news.yahoo.co.jp

福岡市が現在、中学生まで助成している医療費について、高校生まで拡大する方針であることが分かりました。…

関係者によりますと福岡市は、助成の対象を拡大し、高校生までの自己負担を、1医療機関・1か月あたり、500円を上限とする方針です。

中学生まで無料としていた入院の費用についても、高校生まで無料とします。

 入院費は無料ということですから、長い入院が必要になってもそこは本当に助かります。

 ぼくが事務局長を務めている日本共産党福岡市議団でも高校生までの無料化は毎年の代表質疑、予算要望など繰り返し求め、最近の12月議会でも中山いくみ市議が市長に迫りましたが、市長は拒否してきました。

www.jcp-fukuoka.jp

 しかし結局その主張を一部取り入れざるを得なくなったということでしょう。

 問題は通院です。市長は完全無料にせず、現状と同じで窓口自己負担を要求しています。ここは重大な遅れです。

 ここは新年度予算での審議で完全無料化に前進させるとともに、4月の市議選で、共産党をはじめ「完全無料化」を公約する議員を多数にしていく必要があります。

 

「教育費の軽減」が断トツの要望

 市長選挙で大きな話題になったのは学校給食の無償化でした。

 学校給食費の高さは「過去最高」となり、今朝も全国的な話題となっていました。

news.yahoo.co.jp

 福岡市の場合、物価高騰分を抑える措置を行なっているので、多少は緩和されているのですが、そもそも義務教育で「無償」とされているのに、なぜ年間5万5000円も払わないといけないのか、中学生の子どもを持つ親としては納得がいきません。

 西日本新聞でも1面トップで学校給食の無償化が国・自治体で課題になっていることが報じられました。

www.nishinippon.co.jp

 共産党志位和夫委員長が、1月の代表質問で、

 政府が、2020年に行った意識調査では、「育児を支援する施策として何が重要か」という設問に対して、断トツ1位は「教育費の軽減」で69・7%にのぼっています。総理、「異次元」と豪語するほど「子育て支援」に力を入れるというなら、その柱に教育費負担の抜本的軽減をすえるべきではありませんか。

 世界で最高水準の学費、日本独自の高すぎる大学の入学金、若者に数百万円もの借金を背負わせる貧しい奨学金制度、憲法で無償とされている義務教育での給食費などの重い負担――この中の一つでも抜本的に改善のメスを入れる意思はありますか。

と岸田首相を追及していましたが、育児支援としての要望の第1位が「教育費の軽減」であるなら、政治として直ちに手立てを取るべきでしょう。

 しかし、髙島市政も岸田政権も「子育て世帯の負担軽減に取り組む」「異次元の少子化対策」はいうものの、この肝心の部分へは手をつけません。おかしいんじゃないでしょうか。異次元の「言うだけ」感、ハンパないっす。

「子育て世帯の負担軽減に取り組む」4選の高島氏が一夜明け抱負 福岡市長選 - YouTube

 そこで、福岡市議会です。

 実は昨年6月に「学校給食費の無償化を求める意見書」が採択されました。

https://gikai.city.fukuoka.lg.jp/wp-content/uploads/2022/06/iken_0407.pdf

 以下はその時の市議会議員の賛否の一覧です(福岡市から政治をかえる会の資料です)。

 もちろん、今から態度を変えて「無償化賛成」になってくれる議員や候補も歓迎です。

 4月の市議選で「給食無償化」を公約する議員を市議会の多数にしていきましょう。*1

 

*1:私は共産党福岡県委員会の常任委員・自治体部長もつとめていますが、共産党福岡県議団も12月議会で給食費の無償化を県に求めました。同じように県政でも「給食費無償化議員」を多数にしたいですね。

http://www.jcp-fkengidan.jp/wp-content/uploads/2023/01/2d37bcd17d74cac76a7eb253e23dc18b.pdf

2022年の福岡市長選挙をふりかえって

 2022年11月20日投開票の福岡市長選挙が終わりました。

 私が応援した田中しんすけさんは残念ながら当選できませんでした。当選は現職の高島宗一郎氏です。投票率は34.1%でした。

  • 高島宗一郎 無現 329,606(75.6%)
  • 田中 慎介 無新  96,408(22.1%)
  • 熊丸 英治 無新   9,423( 2.1%)

 

「市民の会」からみた結果

 私の選挙のとき、私の選挙母体(確認団体)になったのは「市民が主人公の福岡市をめざす市民の会」(市民の会)ですが、「市民の会」は、ずっと独自候補の擁立をしてきました(そして政党では共産党単独推薦)。

 しかし、今回は市民と野党の共闘を推進する立場から、さらに広い共同を呼びかけ、従来の「市民の会」の枠をこえた、より幅の広い市民・団体・政党が結集する「福岡市から政治をかえる会」(かえる会)に参加して田中さんを応援することを決めました。

 「市民の会」が応援する候補としては、社共共闘が壊れてからの1980年代以来(その前身となった団体*1のころをふくめ)、田中さんは過去最高票となりました。

 過去の「市民の会」が応援した候補者で得票が高かった選挙の結果は次の通りです。

  • 田中しんすけ(2022年) 96,408(22.1%)
  • かみや貴行(2018年)  94,437(24.9%)
  • 清水とし子(1994年)  74,726(26.1%)*2
  • 本庄いさお(1986年)  85,569(26.7%)*3

 これは私たちががんばってもこれまではできなかった到達だったわけで、そういう意味では、「市民の会」として従来の枠を破っての新しい共同に踏み出した成果でした。

 前にも書いた通り、田中さんは政策協定や説明などを相当ていねいに行ってくれました。集会にも顔を出し、個人演説会の枠も用意し、非常に誠実に共闘に臨んでくれました。

 特に、立憲民主党社会民主党・国民民主党、「連合」などの諸団体ともうまくブリッジを組んで、現状ではベストとも言える共闘体制を構築するのに心を砕いてもらったと思います。その真骨頂が11月15日の個人演説会での野党勢ぞろいだったわけで、ここまでの形が組めたことは、メディアが選挙後に書いたように一つの財産でした。

国政では野党共闘の動きが低調な中で、福岡市において、立憲、国民、社民の推薦を得たほか、共産からも支援を受けるなど、事実上の野党共闘を築いたことは一つの実績を作ったといえる。(朝日新聞2022年11月21日付)

 私の周辺では、田中さんが当選できなかったという結果にがっかりするムードが強いのですが、それは田中さんとその選対関係者のみなさんが、ここまで誠実に臨んでくれて、田中さんの陣営との一体感があったからこそだろうと思います。15日の演説会のような*4。もっとドライな関係だったら、逆にいえば、そういう落ち込みはなかったかもしれません。

 

実際に髙島市政を転換させるためにどうするのか

 とはいえ、目標は単なる「前進」ではなく、実際に髙島市政を終わらせ、市政を市民本位に転換することでしたから、そこから見ればまだ相当に距離があることは否定できません。

 先ほど紹介した朝日新聞の記事は、続けてこう書いています。

ただ、共闘が十分に機能するだけの選挙態勢を整えるには時間が足りなかった。

 これは各紙とも似た論調でした。

 「時間が足りなかった」というのはそうだろうと思うのですが、それは果たして「選挙態勢」だけで補えるかというと、私はそうは思えないのです。実際、今度の選挙が終わってから、どこそこの団体は動いていなかったとか、かくかくしかじかの政党は前に出過ぎではないかとか、そういう意見も聞こえてくるのですが、そのあたりを「改善」したとしても、果たして髙島市長との票差がひっくり返るのかどうか。

 棄権は今回も7割近くに及んでいるので、「市民の大多数が髙島市長を支持している」とはいえません。今回でも全有権者の4分の1の支持しか得ていないのです*5。しかしながら、髙島市長は就任してから20〜30万ラインの得票を獲得しています。つまり、髙島市長を支持して投票に行く層が、安定的にそれくらいはいるということです。そこは厳然たる事実です。

 この20〜30万を崩すとともに、それを追い越すほどの支持を見込める、そういうオルタナティブ(代替)を示せるかどうかが大切なところです。

 田中さんは「トップダウン・トリクルダウンでなくボトムアップを」というのを、市長の政治姿勢と経済路線と結びつけて訴えました。開発政策の一定の見直しと「分厚い生活支援を」ということも公約しました。

 田中さんもデータで示しましたし、私たちもそれはデータで示しましたが、事実の問題として間違っていません。この方向でいいのです。

 大事なことは、これを議会の内外で日常的に市民の共通認識となるように広げていくことでしょう。その上で、市政野党が共同して、政策と実績を魅力あるパッケージで市民に示すことです。さらにその共同を担うキーパーソンがいれば、なお良い。

 あわせて、それとの対比で、髙島市政の「看板倒れ」や問題政策を具体的に告発することです。

(前回選挙後に)ロープウェー構想は撤回を余儀なくされた。髙島さんの周辺は「具体的な政策は批判の対象や材料になる。市政継続の是非に持ち込むのが一番いい」と解説する。(読売新聞2022年11月21日付)

などとふざけたことをおっしゃっていて、具体的な問題点を告発されることを恐れているわけです。髙島さんはそれを巧妙に隠して、「やってる感」を演出することに長けている、とも言えます*6

 つまり、

  1. 髙島市政の空虚さ・問題点の具体的告発
  2. それと表裏一体の建設的な提案とその実行をする運動や勢力の目に見える提示

という2つが日常的に必要なのです。

 2.の中には、単なる建設的提案にとどまらず、切実な市民要求を掲げたさまざまな大小の市民運動が各地で無数に起き、それらが共同していくことも含まれています。オルタナティブを「現存する力・勢い」として示すことです。

 

 別の言い方をすれば、国政での大きな政治の流れ(例えば野党が共同すること)を示すことは大事ですが、それだけでは勝てない。基本的にはあくまでそれはプラスアルファです*7。市政を転換するには、市政そのものでの判断をする、という当たり前の原則に立ち返るべきです。

 冒頭に述べたように、私は今回、野党共闘が構築されたことによる効果はあったと思うのですが、それはきわめて限定的だったと思います。具体的には「野党のかたまりができて髙島市政を批判する」ということで動いたのは数万票——「数万」というとデカく聞こえますが、全体の率でいうと数ポイントほどではないかと思います。

 というのは、前回の私のような共産党単独推薦の首長候補の場合、一騎打ちの場合は全国で1割台の得票が平均です。非常に良くて20%です。私がとった25%、つまりプラス5ポイントは、他の党派の皆さんの応援・期待もありましたが、当時西日本新聞が書いたように*8やはりロープウェー構想への反対で数万票(率で数ポイント分)が保守や無党派層から流れ込んできたことが大きいと考えられます。

 その数万票は、ロープウェー構想のような具体的争点が弱まって、髙島市長側に戻っていったのではないでしょうか。髙島さんは今回かなりていねいに自民党に応援を頼み、小さな集会にも顔を出してそれらを「拾い直して」います。髙島さんが前回より増やした4万票はそのあたりの票数でしょう。

 そのままでは対抗候補の側に、前回よりも数万票の穴ができることになります。その穴を埋めたのが、野党共闘効果でした。野党が一つのかたまりになったことで「そんなら期待してみるか」と活性化した層があり、出ていった数万が埋まったのです。これが「野党共闘効果は数万票分、率でいうと数ポイント分」だったと私が思う「根拠」です。まあ、あくまで推察なんですが。

 いずれにせよ数万票、数ポイントレベルの動きしかなかった、とも言えます。

 

 私の周辺で「せめて今回の批判票が3割ぐらいあればなあ…」みたいな声があるんですが(これは田中支持をした政党の、直近参院選の比例得票の合計が35%ほどになるという「根拠」から生まれてくるものだと思います)、そのレベルではそもそも髙島市政を変えるという点では届きません。

 加えて、こうした声は、「野党である〇〇党支持者の半分は髙島市長に投票している」というようなメディアの出口調査を「根拠」にそういっているわけですが、それは選挙期間中に、その政党が組織的に「締め」たら髙島さんから離れて田中さんに来たのかと言えばそんなに単純でもないだろうと思います。

 もちろん選挙期間の組織的な対応がしっかりすれば、ある程度は反髙島票(田中票)が伸びたかもしれません。しかし、そういう政党の支持層の方々には、市政そのものの問題点と代替策が日常的に示されていなかったわけで、だからこそ、そういう野党の支持者のかなりの部分は棄権するのではなく、「髙島さんでいいじゃん」と思って髙島さんに投票したのです。根本的にはやはり「普段の現市政への接し方」が問われることになります。そういうレベルで「時間が足りなかった」とも言えます。

 別の言い方をすれば「2割台ではダメで3割台なら良かった」みたいなのは、あまり意味のない選挙総括だと思うのです。総括基準がおかしいのです。(こうした「基準」の発想がなぜ生まれてしまうのかは記事の終わりに「補足」を設けましたので、それを読んでください。)

 

 野党共闘が本当に市政転換で力を発揮するには、国政の枠組みの「借り物」ではなく、市政での日常的な共同が求められます。前期に比べると市政野党の議会内外での共同は、国政への意見書での協議などの点で格段に改善されていましたが、市政課題については限定的だったというのが私の感想です。

 くりかえしますが、今回の野党共闘は財産です。

 「市長の開発路線では市民の家計は豊かになっていない」「トリクルダウンは起きていない」という髙島市政の問題点が党派を超えて共有されたわけで、その暴露と解決提示を日常的に形にしていく、議会論戦そして市民運動ができることは明らかに社会の進歩です。ここで後退せずに、次に進んで行こうじゃないですか。

 

 

 

補足:「3割台くらいはいけるはずだ」論の根っこ

 記事本文は上記で終わりです。以下は補足。おまけですので、読みたい人だけどうぞ。

 「3割台くらいはいけるはずだ」という観念がなぜ生まれてしまうのかを以下に書いています。

 これは簡単に言えば、田中支持をした政党の直近参院選の比例票の合計でしょう。

 立憲民主党13.0%、社民党3.4%、日本共産党5.6%、れいわ新選組5.6%で合計27.2%です。

 これに国民民主党の7.1%を足すと34.4%です。

 だいたい3割台を「基礎票」とみなしてもいい感じがします。

 そうなれば野党共闘効果で3割台、うまくいけば4割台…と考えるのは、あまり無理はなさそうです。

 21日付の西日本新聞の報道では、立憲民主・共産・社民の支持層のだいたい7割が田中に入れたとされています。このデータに基づけば“主要政党の支持層は組織的に固めたが無党派層に全く広がらなかった”という総括になります。

 しかし、これとは全然別のデータ、とりわけ立憲民主党の支持層の行動西日本新聞とそれ以外とでは全く違うのです。

 NHK出口調査では、立憲民主党支持層の半分が田中さんではなく髙島市長へ投票していますし、読売新聞21日付でも

田中さんは推薦を受けた立民支持層からも約4割の支持にとどまるなど、各党支持層を固められず、伸び悩んだ。共産支持層では約7割に浸透したが、無党派層への広がりを欠いた。

とされています。国民民主党支持層ではNHK出口調査西日本新聞の調査では9割以上が髙島市長に投票しています。

 こちらのデータに基づけば、全然別の筋書きになるように思われます。*9

 私はこちらを主要な問題だと考えます。

 先ほど、参院選比例票を基準に、今回の市長選についてもだいたい3割台を「基礎票」とみなし、そうなれば野党共闘効果で3割台、うまくいけば4割台…とする発想について記しました。

 しかし、これはあくまで日常的に対決が報じられ、実際に政権の予算などに反対している国政の話です。

 福岡市政ではどうかといえば、髙島市政の当初予算や一般会計決算に反対している政党・会派は、共産党と緑・ネットしかありません。また、政策についても髙島市政の基本路線である開発政策と対決しているのはこの2つの会派だけです。

 田中さんは「もともと『天神ビッグバン』など市の開発路線にも反対はしていない」と10月14日付の西日本新聞が報じたように、市民クラブに所属していた頃は天神ビッグバンも「賛成派」でした。

 また、田中さんは「福岡は本当に元気なまちですか?」と髙島市政を批判し、トリクルダウンが起きていないことをつきつけました。ただし、これは田中さんが出馬をする直前の9月議会、田中さんの市議会での最後の質問においてでした。

田中しんすけパンフレットより

 「だからけしからん」という話ではなく、事実の問題です。市民クラブ…というかそこに所属してる立憲民主党社会民主党は今回かなりはっきりと髙島市政との対決にカジを切ったはずですから、それは大切な転換だったし、今後もそれを貫いていってもらうのがいいと思うのです。

 ただ、そのように日常的に髙島市政を批判し、対決するスタンスにあったのは、日本共産党と緑・ネットの2会派であり、そのスタンスでこの2会派の市政報告会が開かれ、議会報告も発行されてきました。したがって、この2会派の支持者は髙島市政反対の「既得陣地」とみなすことはそれほど無理がありません。

 しかし、立憲民主党の支持層は半分くらい、国民民主党の支持層にいたってはほぼ全てが“髙島市長で問題ない”と思っているのです。

 つまり、参院選の比例票合計=全体の3割を基礎票・既得陣地・出発点とするのは無理があり、せいぜい共産・社民の全部と立民の半分+アルファくらいだろうと見なせます。そうすると6%+3%+7%+α=1割台の後半とみていいんじゃないでしょうか。17〜18%からの出発だった、ということです。*10

 せっかく立憲民主党社会民主党、国民民主党、そして福岡市民クラブは今回、田中支持に踏み切り、髙島市政との明確な対決スタンスに立ってくれたわけです。したがって、市政問題での共闘を、今後共産党や緑・ネットなどととも議会内外で日常的に行なっていってほしいと希望しています。

*1:※「市民の市長をつくる福岡市民の会」。

*2:※「市民の市長をつくる福岡市民の会」。

*3:※「市民の市長をつくる福岡市民の会」。

*4:西日本新聞11月22日付の記者座談会では「選挙中に開かれた集会の中では、この団体主催の集まりに一番熱気を感じた」と述べている。

*5:「投票に行かない人でも同じ割合で支持しているよ」という意見もあるかもしれませんが、同じような言い分・反論は対抗陣営・野党側にもあるわけで、選挙は実際に出た結果が全てです。その意味では髙島市長の市民の支持は有権者の4分の1であることは厳然たる事実です。

*6:例えば人工島事業は莫大な税金を食い尽くしている事業ですがそこは隠して、今回の選挙では、一部の売れた土地部分だけを見せて「黒字になった」というキャンペーンを張った。

*7:もちろん時々、すごい風圧で、国政の流れや風だけで勝敗が決まってしまうこともありますが、それはやはり例外というべきでしょう。

*8:「市長周辺も『ロープウエーの争点化で数万票は相手候補に流れた』と見る」(西日本新聞2018年12月25日付)。

*9:22日付の西日本新聞の記者座談会では「中盤の情勢調査で、立民支持層の半分しか固められていなかった」とあり、NHK・読売と西日本の差は、どの時点で集めたデータかという違いもありそうだった。

*10:共産支持層でも7〜8割ですから、これは「よく固めた」と見るか「2〜3割を固めていない」と見るかは難しいところですが、それは組織内で「組織戦がどうだったか」を考える基準になる程度の話だろうと思います。

11月15日の田中しんすけさん個人演説会の熱気はなぜ生じたか——5つの理由

 市長選挙に入って、11月15日に田中しんすけさんの個人演説会がありました。

 私も参加している「福岡市から政治をかえる会」が中心になって企画したもので、野党が勢ぞろいして田中しんすけさんの応援演説を行い、田中さんも登場してそれに応える場となりました。

 

ダイジェスト

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 プログラムは以下の通りでした。

1.  開会挨拶 かえる会代表世話人 星乃 治彦・福岡大学名誉教授


2.  各政党からの訴え
立憲民主党 福岡県連顧問 藤田 一枝・元衆議院議員
社会民主党 党首 福島 瑞穂・参議院議員
日本共産党 国会対策委員長 穀田 恵二・衆議院議員
★ れいわ新選組 辻 恵・元衆議院議員
★ ふくおか緑の党 代表 荒木 龍昇・福岡市議会議員
★ 市民ネットワーク福岡 代理人 森 あやこ・福岡市議会議員
★ ふくおか市民政治ネットワーク 清水 倫子・福岡城南代表


3. メッセージ紹介
★ 国民民主党 福岡県連幹事長 泉 日出夫・北九州市議会議員


4. 田中しんすけ市長候補からの訴え


5. 講演 中野晃一・上智大学教授


6. 閉会挨拶 片山すみこ・かえる会代表世話人

 日本共産党穀田恵二衆院議員が私のツイートの引用リツートが、この光景についての感慨そのものになっています。

 会場が「熱気」に包まれていました。物理的じゃなくて、政治的な意味で(笑)。

 その理由は、いくつかあります。

 一つ目は、会場いっぱいに人が集まったことでした。

 演説会が行われた西鉄ホールは500人弱の会場ですが、事前の参加状況などを聞いていたときは「埋まるかな…」と少し心配していました。しかし、フタを開けてみればぎっしり満杯となりました。

 二つ目は、応援弁士に野党が勢ぞろいし、しかもそれぞれ通り一遍ではない、熱のこもった訴えをしたことでした。

 東京からやってこられた議員の方々も、共闘の経過、田中さんの公約、髙島陣営の公約、選挙戦の状況などをかなり詳しく踏まえた訴えをされました。

 東京から急遽ローカルな選挙の応援にやってきた弁士の方で、しばしばトンチンカンな訴えをされる光景を見てきた私ですが、今回そういうことは全くなく、むしろ、当地に私たちとは違った視点から、福岡で起きていることの意味を訴え、私たちも新たに気づくというプロセスがありました。

 社民党の福島さん、共産党の穀田さんが学校給食の無償化にフォーカスした訴えをされていましたが、会場の呼びかけで行われた「#福岡市の学校給食を無償に」のツイッターデモともかみあって、その場で「一つの流れ」が発信されるライブ感がありました。

 三つ目は、(一番長い尺をとったという意味で)メイン弁士の中の中野晃一さんの話が「当地に私たちとは違った視点から、福岡で起きていることの意味を訴え、私たちも新たに気づく」という点での真骨頂でした。

 中野さんは、日本国憲法の9条、13条、そして各種の人権条項を示して、それを福岡市長選で訴えられている政策に照らして解説されました。すなわち、国家を目的としていた原理を転換して、個人の尊重と幸福追求が日本国の政治の原理として打ち立てられ、自衛隊でさえそれを存立基盤としていること、学校給食をはじめとする義務教育の無償化もその一つであることが示されました。

 上記のように書くとけっこう「カタい話」のように聞こえるわけですが、それをわかりやすく、しかもときどき会場が笑いに包まれながらの話だったので、参加者は実に熱心に聞き入っていたわけです。

 今述べたように、ここでも学校給食など義務教育の無償化が話で触れられました。やはり期せずして、この会場の場からこの問題がテーマとして浮かび上がり、みんなでそれを共有するというダイナミズムが感じられたのです。

 しかも中野さんは締めくくりで、選挙戦の支持拡大にまで話がおよび、運動の実践的にも刺激を受け取りました。

 四つ目は、田中しんすけ候補本人の訴えがよかったということです。

 語りとして熱がこもっていたというのはその通りなのですが、あれこれの公約というより、「市民と対話する」という姿勢を「月1回以上の懇談」という形で打ち出したことは、現市長との差をはっきりと示しました。

 田中さんが、「かえる会」という田中さんにとっては「異文化」の陣営に乗り込んできて、厳しい批判も受けながら、しかし丁寧に説明されたことはすでに書きました。もう彼は「実践」して私たちに示しているわけです。だから、言葉だけでない説得力が私たちにはありました。

kamiyatakayuki.hatenadiary.jp

 これは、「トップダウン」「サプライズ」を特徴とすることを自他共に認め、批判に向き合おうとしない髙島市長とは好対照なのです。髙島さんは自著の中で、「全体最適」を掲げて「私個人への面会も基本的にすべて断っています」「企業や個人の意見を市役所として受けるのは、あくまでそれぞれの担当部署の仕事です」(高島宗一郎『福岡市を経営する』p.58)と述べています。事実として、髙島さんは髙島さんに批判的な市民運動系の人たちと会うことはありませんでした。

 私は、市長選に出馬したとき、注目している3人の地方政治家(知事)をインタビューであげました。潮谷義子熊本県知事、翁長雄志沖縄県知事蜷川虎三京都府知事の3人です(いずれも現在は現職ではありません)。

新しい政治をいっしょに - かみや貴行のブログ 1%でなく99%のための福岡市政を

 この3人はいずれも保守系出身ですが、対立者との対話、もしくは違う党派の陣営をまとめた手法で有名な知事です。

 対立者と対話ができない政治は、長い目で見てうまくいきません。

 そういうボトムアップの方向性は私と田中さんで共通していました。だからこそ私は推したわけです。

 あと、細かい話ではありますが、選挙情勢は田中さんには現状では不利が伝えられている中で、それに対しての田中さん本人の切り返しと話しぶりが自分として学ばされるものがありました(興味のある人はこの記事の終わりにつけた全体動画で確認してください)。

 五つ目に、この集まり自体が福岡市における市民と野党の共闘の歴史の中で全く新しいものだったということです。

 そもそもこれだけの数の野党が勢ぞろいして訴えるという場に、野党共闘候補が飛び込んで訴えてそれを囲んで気勢を揚げるということがありませんでした。

 参加者は「これまでとは違うものを見ている・参加している」という感覚が強く残ったのだろうと思います。

 会場のその場でツイッターデモを呼びかけるという取り組み自体もあまりなくて、「新しいことをしている」という感覚がありました。

 以上5点が私なりに考えたことでした。

 だから、参加者からは終わってからも「あの演説会はすごかった」「余韻がまだ残っている」と言われるものになっているのです。私も演説会が終わった後も、そういう気持ちになっているのはとても珍しいなと思いました。二日酔い…じゃなくてほろ酔いみたいな、上気した感覚がずっと残っているのです。

 

 もちろん、「あれができていない」とか「他の都市に比べてこれがない」という課題は山のようにあります。

 しかし、私はこの共闘が始まった時、こういう光景をリアルに想像できませんでした。それがここまで来たということに大きな感動を覚えているのです。

 選挙そのものは勝たないといけませんが、ここまでの歩み自体は大きな財産だと言えます。

 

全体の動画はこちら

www.youtube.com

 

髙島市長「山の登り方を色々と覚えた」とは?

 前の記事 でもお伝えした通り、髙島市長の公約はマスコミで「具体性には欠けた」「具体的な政策は示さず」と書かれるように、ほとんど具体性がありません。

 ご覧ください。

takashima.fukuoka.jp

 一例を挙げると、子育てについてはどうか。

子育てしやすく、こどもの個性や才能を伸ばせるまちへ
こどもの医療費をひと月最大で500円までとする「ふくおか安心ワンコイン」などを進めてきましたが、今後は、多子世帯の負担軽減、困難を抱えるこどもの支援、生きる力を身につける場づくりなどを進め、次代を担うこどもが生き生きと育つ、日本の少子化対策ロールモデル都市となることを目指します。

 「多子世帯の負担軽減」というのはなんとなく具体論っぽいですが、逆に言えば、それ以外の負担軽減策は何も公約していないのです。

 対抗馬の田中しんすけ候補が「学校給食の無償化」「未就学児の医療費の無償化」「就学援助の支給対象世帯の即時拡大」などを掲げているのと比べるとあまりにも抽象的すぎるのがわかると思います。

www.tanakashinsuke.jp

 「実績」と思われるものを述べて(完全無料化をする自治体が多い中で、自己負担を残していることを「安心ワンコイン」というパッケージにしてしまうのは驚きです)、抽象的な方向を打ち出すだけ。このパターンの連続です。

 さすがに新聞が行うアンケートには、もう少し具体的に答えるだろうと思ったのですが、全く同じです。びっくりするくらい具体的な公約はありません。「ふわっ」としている。し過ぎています。ふわふわ。

www.yomiuri.co.jp

www.nishinippon.co.jp

 髙島市長は、記者会見でこうも述べています。

 高島氏は「ふわっと見えるかもしれないが、山の登り方を色々と覚えたということですかね」と話した。

 急に「山の登り方」の話をしています。もちろん髙島さんが突然登山の話をしているわけじゃありません。比喩ですね。

 では髙島さんのいう「山の登り方」とは一体なんでしょうか。

 これは自分が狙っていることを選挙で明らかにせずに、選挙が終わったらやりますよということです。そうしないと、選挙で大騒ぎされて潰されてしまうからです。

 また、市民が求めている具体的な施策についても、公約してしまうとそれをやらなければならくなってしまい、そういうふうに手を縛られるのも嫌なのです。いや、それが「公約」なんですけどね。

 髙島市長は、かつて子どもの医療費助成の拡充を新聞アンケートで回答し、それを実施しなかったために、公約違反ではないかと議会で問われて「新聞アンケートは公約ではない」という珍回答をした黒歴史があります。(興味がある人は、この記事の末尾の議会論戦議事録をご覧ください。)

 あるいは髙島市長の公約には

強みである博多駅博多港福岡空港の近接性をいかし、市内主要拠点や自然豊かな観光資源などへのアクセス強化に向けた交通ネットワークの検討に取り組みます

とあり、西日本新聞はここに着目して「新たな交通ネットワーク整備の検討に意欲」と解説しました。相当大掛かりな「何か」を、莫大なお金をかけてやろうとしているフシがあります。でもそれは具体的に明らかにされていないのです。

 具体的なことを書けば、反対する人が騒ぐからです。

 これはロープウエー構想を潰されたことが、髙島さんの苦い思い出としてあるのだろうと思います。

 朝日新聞は、今回具体的な政策が出なかったことを、前回のロープウエー公約と結びつけて書いています。

 ただ、いずれも具体性には欠けた。前回の2018年市長選では、JR博多駅博多港を結ぶロープウェー構想など、具体的な目玉政策を打ち出した。今回はこれまでの実績と今後のビジョンは示す一方で、具体的な政策は示さず、詳細は市民と作っていくとした。

 前回、ロープウエーをつくるという公約を掲げてしまい、かみや貴行とかいうとんでもない男にさんざん争点にされてしまいました。髙島さんは当選したものの、結局選挙後に計画の断念・頓挫に追い込まれ、自民党市議団とは対立関係に陥りました。「神やの呪い」ですな。

 事実、メディアは前回の市長選の後でこう書きました。

11月の福岡市長選。高島宗一郎市長の公約を見た瞬間、思わず「おっ!」と声が出た。そこには「都心部の渋滞緩和のためロープウエーの導入などに取り組みます」の一文。髙島氏が「私の夢」と語っていたJR博多駅博多港エリアを結ぶロープウエー構想の実現が明記されていた。

対立候補は「ロープウエーより福祉や暮らしにお金を」と攻勢をかけた。

有権者や市議からも「派手なことをしたいだけ」「風ですぐ運休するのでは」などと異論が目立った。市長周辺も「ロープウエーの争点化で数万票は相手候補に流れた」と見るように、市長サイドも市民の第一印象は必ずしも良くはないと受け止めているようだ。(西日本新聞2018年12月25日付)

 私の得票が10万弱だったので、そのうち数万を持って行かれてしまったというわけですから、相当な痛手だったということです。

 髙島市長は、2018年の時に、当初どこの政党にも応援を頼みませんでした。

高島氏 自民推薦求めず フリーハンド狙い戦術(産経新聞2018年11月3日付)

 共産単独推薦候補を相手に、余裕のよっちゃんだったわけです。

 ところが、投票日近くになって髙島市長は急遽自民党に「支持」をお願いします。

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高島氏が15日、党福岡県連を通さず、直接党本部に要請したため急きょ党幹部が協議して支持を決めたという

 18日が投票日でしたから、15日に県連をすっ飛ばして頼みこんでいます。

 めちゃめちゃ慌てているのがわかると思います。

 ロープウエー争点化で票が流れていってしまう中で、さすがに「かみや某」に負けるとは思わなかったでしょうが、このままでは「過去最高票」を取れなくなると危ぶんだ…と見るのが妥当でしょう。

 もしも勝ったけども、前回よりも得票を減らしてしまえば、選挙結果は世間で何を一番の特徴として記録されるかといえば、対抗馬のかみやが「善戦」「共産単独推薦で最多9万票」(西日本新聞2018年11月19日付)——そんな結果だけがクローズアップされてしまいます。

 しかし自分があと少しで達成できる過去最高票の更新ができれば、そういう忌まわしい報道はされなくて済みます。「2018年市長選挙は髙島市長が過去最高票を更新した」ということが選挙の結果として残るのです。つまり過去最高票を更新できるか、前回票(25万)より減らすか、という瀬戸際にありました。結果的に髙島さんは28万票を得て、ギリギリ「過去最高更新」の称号をゲットできたわけです。

共産系候補との一騎打ちとはいえ、政党や市議に依存しない選挙戦に臨んだ髙島氏にとって、市議会との今後の力関係を考える上で史上最多得票の更新は絶対命題。(西日本2018年12月25日付)

 私は今でも覚えていますが、最終日の最後の打ち上げ演説をしていた時に、髙島市長が宣伝カーで私の演説を明らかに妨害するかのように大声でがなりたてて通り過ぎていきました。10秒ほど演説をやめなくてはいけないほどでした。(この顛末は議会でやり取りされているので、興味がある方はこの記事の終わりを呼んでください。)それほど髙島市長は最終盤焦っていたし、イカれてしまっておりました。

 とまあ、それくらい、ロープウエーで痛い目にあったのが髙島市長なのです。

18年市長選で目玉政策として掲げたロープウェー構想は、自民党市議団などの強い反対で早々と頓挫。高島市政の代名詞となった再開発構想「天神ビッグバン」や、外国人観光客誘致もコロナ禍で苦境を強いられた。高島氏は周囲に「次は出馬しないかもしれない」と漏らすなど、市政運営のモチベーションが上がらない時期もあった。

 立候補表明にあたり、高島氏が「福岡市が未来に向け、新しい種をまくときだ」として掲げたのは「市民が福岡の未来について意見を言える場作り」だ。ロープウェー構想のような具体的な目玉政策を示すことはなく、4期目以降に何をするのか市民と決めていく、というものだった。(朝日新聞2022年10月14日付)

 具体的な公約なぞうっかりしてしまって、争点になったら、また自分がやりにくくなる。

  • 出来るだけ具体的な政策を出さない。そして争点を作らない。
  • 静かに、知名度だけで判断してもらう。

 ——この愚民化政策が髙島市長の真骨頂でしょう。

 これが髙島さんのいうところの「山の登り方」なのです。

 自分が狙う政策を実現させる=山に登ろうと思えば、具体的な政策を出して有権者に判断してもらうなどということはやったらダメなのです。有権者が判断してしまうから。有権者に判断させないのが髙島流です。

 

 髙島市長は前回も公開討論会を頑なに拒みました。

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 そのことは前回選挙後に、髙島びいきのメディアでさえ、「公開討論会なし」(日経2018年11月19日付)として「3割の民意」になった原因の一つとして、苦言を呈さざるを得なかったのです。

 公開討論をしないことは、「山の登り方」の一つなのでしょう。

 まさに『論語』の「民は之に由らしむべし 之を知らしむべからず」(民衆は為政者に従わせればよく、施政の詳細を説明する必要はない)ですな。

 

 

おまけ:前回市長選挙の最終日にみせた髙島市長のアレな感じ

 記事は以上です。

 以下はおまけ。先ほど述べた、前回市長選最終日に、髙島市長が狂ったように私の演説を妨害していった顛末についての、選挙が終わった2018年12月12日の福岡市議会本会議でのやり取りです(中山郁美議員は共産党市議)。

◯50番(中山郁美) 選挙戦最終日の11月17日午後7時50分過ぎには、神谷候補が街頭で正当に行っている選挙期間中最後の演説の妨害を、何と高島候補本人が行うという事件が発生しました。市長は覚えていると思います。あの行為は許されない行為だと思いますが、御所見を伺います。

◯市長(高島宗一郎) あと5分で2週間にわたる選挙戦が終わるという最後のクライマックスのときに、ちょうど事務所に帰る最後の交差点を曲がるところで相手候補の方が演説をされていたということで、まさに両候補にとって一番最後の訴えをする場面で遭遇を、鉢合わせをしてしまったということは、双方にとって不幸であったというふうに考えています。もちろん両方とも熱が入って、やはり最後の一票をとるために一生懸命声を枯らしているというところだったんですけれども、特に交差点で、しかも、悪いことにちょうど信号が赤になってしまって信号が変わるまでの間、お互い真横にいなければいけないという事態になってしまったということは非常に残念でありますけれども、こういうことがなければよかったなというふうに思っています。

◯50番(中山郁美) とぼけたらいけませんよ。候補者カーでマイクを握り、大音量のままですよ。市長はもう打ち上げ演説終わられた後ですよ。リーダーは高島、リーダーは高島、絶叫するあなた自身に私は駆け寄りましたね。神谷候補が演説しているので配慮してくれと直接要請しました。わからないとは言わせません。あなたは私からは目をそらして、無視し続けて、大音量のまま連呼を続け、通過し終えるまで神谷候補の演説を妨害し続けました。神谷候補は10秒ぐらい演説をやめていましたよ。相手候補の演説を候補者自身が意図的に妨害する、こんな行為は私、何度も選挙を経験していますが、初めてですよ。
 公職選挙法第225条においては、演説を妨害する行為は禁じられております。誰よりも法を遵守すべき現職市長としてあるまじき行為であり、この場で謝罪すべきではないですか。神谷候補、この場におると思いますよ。あそこにおりますね。答弁を求めたい。

◯市長(高島宗一郎) 神谷候補、初めまして、高島です。その節は本当に最後の、やっぱりお互い5分、2週間一生懸命本当に精神も肉体もぼろぼろになって訴えてきた最後のシーンで、あのような形で鉢合ってしまったというのは本当に不幸だと思います。
 ただ、今、中山議員から御指摘いただいたように、意図的に妨害しようではなくて、信号が変わってしまったという不幸でして、これは信号が青であればそのままスムーズに通過をしてしまったわけなんですけれども、真横にいて、また、向こうの支持者の方も当然ヒートアップしていますから、車のほうに皆さん駆け寄って物すごい形相で文句をおっしゃっていましたのでね、それで向こうのほうは向けなかったんですが、いずれにしても、そうした意図があって何か妨害しようではなくて、私も立っての演説は終わったんですけれども、最後の訴えを一人でも多くの歩いている方にしようということで、双方大きな音量で頑張っていたということでございます。以上です。

◯50番(中山郁美) 現職の市長がそんなに焦らんでもいいんじゃないですか。天神のど真ん中で多くの有権者があれを見ていましたよ。人間としてもどうかと思いますよ。

 

おまけ2:新聞アンケートに回答したことは公約ではない…?

 2014年03月19日の平成26年条例予算特別委員会でのやり取りです。「宮本」は宮本秀国議員(共産党)です。

◯宮本委員 子ども医療費助成制度について、前回の市長選挙でどういう公約をしたか尋ねる。
△市長 市長選挙告示直前の平成22年10月25日に公約発表会見を行っている。その中で公約を発表しているが、その中に子ども医療費助成制度の充実は含まれていない。

◯宮本委員 公約ではないと言うのか

△市長 公約は10月25日に発表したものである

◯宮本委員 西日本新聞などが行った福岡市長候補者アンケートで、子ども医療費の助成制度についてどのような回答をしたか尋ねる。

△市長 子ども医療費について報道された内容は、子育て支援の取り組みの方向性として、将来的には子ども医療費助成制度を充実させていく必要があると考えたものであり、アンケートに対してもその旨を回答したものである。

◯宮本委員 今の飾り言葉はアンケートに出ていない。子どもの医療費助成制度の充実は、公約ではないのか。新聞に書いてあるのは公約ではないと言うのか

△市長 当時のアンケートは、その時点で自分なりに考えた将来的な政策の方向性について答えたものである。ただ、公約は、責任を持って市民とその実現を約束するものであるから、さまざまな方の意見も伺い、実現性なども含め最終的にどうするか検討した上で、公約発表会見を開き10月25日に市民に発表したものが私の公約である。

◯宮本委員 今のアンケートは公約の後の話である。候補者がアンケートに答えたものが新聞やテレビで報道される。これを見て市民は候補者を選ぶ判断にする。ことし行われる市長選挙に立候補した場合、自分のアンケート回答は公約ではないから信用するなと言うのか

△市長 アンケートに答えた内容に関しては政策の方向性について答えたものである。公約発表会見で発表した10月25日のものが私の公約である

◯宮本委員 アンケートに方向性を書いたと言うが、それは市民に何一つ説明していない。いつ説明したのか。きょう初めて私は聞いている。3年前にいつ説明したのか。

△市長 私が選挙期間を通して、市政各般にわたっていろんな部分に関しての考え方を示した中で、私の将来に対する方向性ということで考え方を示したものであり、その後、市民と約束して確実に実現をするという公約に関しては、また別途、絞って発表した。

◯宮本委員 考え方を示したもの、ということを説明していない。選挙戦で有権者にその説明をしたのか。新聞には、それは一切書いていない。

△市長 それは、説明する、しないというものではなく、きちんと市民と実現性も含めて約束できるものが公約である。いろいろな形で考え方を聞くアンケートには、果たせないものも含めていろいろなものがある。考え方をアンケートに応じて答えはするが、公約として間違いなく市民と約束できるものは、公約発表会見で私の公約として発表したものである。

◯宮本委員 公約について、小学館大辞泉では、「選挙のときに政党や立候補者などが、公衆に対して政策などの実行を約束すること」となっている。子どもの医療費助成制度を充実すると新聞に書いてある。これは約束ではないのか。

△市長 アンケートの回答時期は公約の発表前だとは思う。子ども医療費の拡大については選挙公約として位置づけてはいないが、子育て支援を初めとする子ども施策については早急に取り組むべき重要な課題であると認識しており、就任以来、さまざまな課題に取り組んできた。子ども医療費助成制度については、子育て家庭の支援策の大きな柱の一つとして重要な施策と認識しており、さらなる拡大については、財源の問題もあるが、先日、公明党に答えたとおり、現在、第4次福岡市子ども総合計画の策定に向けた作業を進めており、その中で検討を行っていく。

◯宮本委員 公約の前と言われたが、新聞で報道しているのは11月10日である。

△市長 公約に書いている以外のものも、いろいろな考え方に関してアンケートというものは聞かれるものであり、その考え方に関しては答えるが、公約というのは、実際に当選をした後にきちんと実現可能性も含めて約束できるものを、また別途取り出して掲げているものである。

◯宮本委員 選挙のときに、当選しても子どもの医療費の充実を実行するという確信はないと言いながら、マスコミを通じて、有権者にはそれを示した。しかし、実行する気はなかったと、こういうことでよいのか。

△市長 子ども医療費助成制度については、子育て家庭への支援策の大きな柱の一つとして重要な施策と認識をしている。さらなる拡大については、財源の問題もあるが、現在、第4次福岡市子ども総合計画の策定に向けた作業を進めており、その中で検討を行っていく。

◯宮本委員 公約で今のようなことは市民に何ら約束していない。子ども医療費助成制度は、充実をしますという約束をしている。これは一紙ではなく、数社の新聞アンケートに答えている。福岡市長選挙では、争点を明確にして、新聞やテレビなど、マスコミのアンケート調査においても、候補者みずからの政策を明らかにし、市民の選択に資することが候補者の責任である。それを公約という。約束でないから実施する責任を負わないなどと言うこと自体、政治家として首長たる資格はない、こう言わざるを得ない。このアンケートに答えた立場からいくならば、そして先ほどの小学生の子どもを持つ親御さんたちの気持ちを酌むならば、今の主張を撤回し、直ちに子ども医療費の無料化を拡充するべきでないか、重ねて答弁を求める。

△市長 子ども医療費助成制度の拡大については、選挙の公約としては入っていなかったが、子育て支援を初めとする子ども施策については、早急に取り組むべき重要な課題であるという認識をしており、就任以来、待機児童の解消に向けた保育所整備の推進や国際教育の推進、いじめ・不登校対策、さらには小中学校の普通教室への空調設備の整備など、その充実に力を入れてきた。子ども医療費助成制度については、子育て家庭への支援策の大きな柱の一つとして重要な施策として認識しており、さらなる拡大については、財源の問題もあるが、現在、第4次福岡市子ども総合計画の策定に向けた作業を進めており、その中で検討を行っていく。

◯宮本委員 市長はマスコミ出身である。選挙のときにマスコミが行うアンケートというのは、市民への公約だというのは常識である。市民と約束したことを実行する決意がないと、こんなことを平然と言う。今度の市長選挙で今の言動は市民に徹底的に宣伝され、手厳しい審判が下されることを指摘して、私の質問を終わる。

 

2022年の福岡市長選挙の公約で考えると現市長を選ぶのは相当苦しい

 2022年の福岡市長選挙が始まりました。

 立憲民主党・国民民主党社会民主党が推薦、日本共産党・ふくおか緑の党・市民ネットワーク福岡・ふくおか市民政治ネットワーク福岡城南が支援、そしてれいわ新選組の有志*1も応援する田中しんすけさんを私も応援しています。

 現職市長との事実上の一騎打ちです。

 田中さんの「選挙運動用ビラ」とマニュフェストパンフをもらっていますが、一騎打ちであるだけに、どちらを選ぶのかがはっきり問われます。

 っていうか、髙島市長、まじめに公約していませんね。

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6日に告示される福岡市長選で、4選を目指す現職の高島宗一郎氏(48)は2日、「一緒に福岡の未来へ種をまこう」と題した選挙公約を発表した。子育てや交通網整備、雇用創出、まちづくりなど6本柱からなる。具体的な内容は当選後、子どもや若者の声を採り入れて作るという

ただ、いずれも具体性には欠けた。前回の2018年市長選では、JR博多駅博多港を結ぶロープウェー構想など、具体的な目玉政策を打ち出した。今回はこれまでの実績と今後のビジョンは示す一方で、具体的な政策は示さず、詳細は市民と作っていくとした。

 “具体的な公約は当選後にみんなで考えます”ってどんだけ有権者をナメてるんですか。判断しようがありません。

 

 じゃあ、もう以下のように考えるしかありませんよ(田中候補の公約は選挙運動用ビラより抜粋)。

  学校給食 公共料金 子どもの医療費 就学援助 単身高齢者
田中しんすけ 学校給食の無償化 あらゆる公共料金の値下げを検討 未就学児への医療費を早期に無償化 支給対象世帯を即時拡大 居住確保と費用の低減
髙島宗一郎 公約なし 公約なし 公約なし 公約なし 公約なし

 

 「どちらを選ぶ」どころじゃないですね。

 これで髙島市長を選ぶのは至難です。

 

 田中さんの主張ははっきりしていて、“髙島市長のやり方を続けていっても、「市民所得」は上がっていかない。だから生活支援を分厚くやるというボトムアップにするんだ”ということです。髙島さん流のトリクルダウンはもう失敗してしまったことは明らかですから。

 

 福岡市の市内総生産の5割は個人消費。ここをあたためることこそ、地域経済を活性化させるでしょう。これは、私が選挙に出た時の考えとかなり重なります。だから私は田中さんを応援するのです。

 これは↓田中さんが、市議としての最後の質問で使ったグラフ。今回のマニュフェストパンフでも使われています。

田中しんすけパンフレットより

 市民所得には家計の所得だけでなく企業所得も含まれます。それを含めての比較をしているのは田中さんらしいですね。それすらも2006年比ではあまり伸びていないというのです。

 髙島市政のもとで大企業だけ潤って市民の家計は貧しくなっている——日本共産党や私がこれまで使ってきたグラフととてもよく似た結論になっていることがわかってもらえるでしょう。

 髙島市政を続けても「未来」はありません。

 髙島市長の選挙スローガンは「未来へ種をまこう」ということですが、3期12年続けて、今さら「種まき」ですか。

 今ごろ種をまいても、芽が出てこないか、とんでもない雑草が生えてくると思います…。

 

 

*1:市議予定候補者の皆さん。

田中しんすけさんに一本化——福岡市における市民と野党の共闘の新しい形

 福岡市議会の福岡市民クラブ(立憲民主党社民党・無所蔵の市議の合同会派)の代表だった田中しんすけさんが、市議を辞し、立憲民主党も離党し、無所属として2022年の福岡市長選挙に出馬を表明しました。

 私も参加している「福岡市から政治をかえる会」には政党関係では、日本共産党、ふくおか緑の党、ふくおか市民政治ネットワーク・福岡城南、市民ネットワーク福岡が参加しています。そして、れいわ新選組の有志(市議予定候補ら)も加わり、幅広い立場の市民団体・個人が参加しています。

 2022年10月11日に田中氏と「かえる会」との間で8項目の政策協定が結ばれ、「かえる会」の片山すみこさんは市長選の候補者の内定を取り下げました。これで、市民と野党の新しい共闘における候補者一本化がついに実現しました。

 締結された8項目は次の通りです。

 なんども言ってきましたが、福岡市政治史上、これは本当に画期的なことだと思います。

 

 前回私が市長選挙に出た時、政党としては日本共産党の単独推薦となりました。ただ、その中でも、緑の党の荒木市議、ネットワークの森市議、立憲民主党の宮浦元県議(現市議)が応援してくれました。

 私は、選挙が終わった後、私を推してくれた「市民が主人公の福岡市をめざす市民の会」(市民の会)の総会に出て感想を述べ、「次は市民と野党の共闘でたたかい、それにふさわしい候補者を立てましょう」と呼びかけました。

 それが実際に形になったのです。まことに感無量でした。

 この動きは、たくさんの人がすばらしい役割を果たしてきたのですが、私は立憲民主党の側では宮浦寛市議の役割は特筆すべきだと感じています。

 そもそも、宮浦さんは、立憲民主党の政治家でありながら、私の選挙に応援に駆けつけてくれました。これは本当に驚きました。応援すると言ってくれたけど、実際にはメッセージも出せず、会場にも来られなかったという政治家の方は少なくありませんでした。おそらくいろんなしがらみや制約があったのだろうことは想像にかたくありません。仕方がないことです。

 しかし宮浦さんは、それらを乗り越えて、実際に演説会場に足を運んでくれて、応援の訴えをしてくれたのです。それはなかなかできることではなかっただろうと思いました。

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 今回、「かえる会」と田中さんとの間で一本化の協議をする際に、率直に言って初めはギクシャクがありました。「かえる会」としては立憲民主党にもなんども打診して反応があまりない中で、会として片山すみこさんを内定しましたが、その直後に田中さんが出馬決意・表明をしたからです。田中さんが決意するまでにかなりの迷いがあった、というのが田中さんの説明でしたから、それを信じるとすればこういう経過になってしまったのは無理もないことです。

 しかし、「かえる会」としては、一体どういうことなのだろう、という不信感が先立ってしまいます。また、もともと片山さんは市民連合ふくおかの事務局長をされていたように、その大義は「市民と野党の共闘」ですから、野党系候補が2つに割れるなどということは本意ではありません。一本化をするとしても、田中さんが誠実にその協議に臨んでくれるのかは、不安がありました。

 そこに、「かえる会」の世話人*1、総会の場にやってきて立憲民主党および市民クラブの代表者として説明をしたのが宮浦さんでした。

 「かえる会」のみなさんからは先ほどのような経過もあり、不信感や疑問の声が相次ぎます。それも当然だろうと思いました。宮浦さんからすれば針のむしろだったと思います。しかし、それに臆することなく、宮浦さんは受け止めて説明をし、繰り返し足を運ばれました。

 何らかの説明をしても、内容がゼロ回答とか、それに近いことも世の中にはままあります。実際には何も受け止めない、形だけの一方的な説明の場合がそれです。自民党自公政権が悪用する「丁寧な説明」を思い浮かべる人も多いでしょう。

 しかし、宮浦さんは、説明をきちんとした上に、8項目の政策の内容もほぼ受け入れられることを表明しました。これは私には驚きでした。

 特に開発については、「市民参加での見直し」という形にしてあり、現市長の開発そのものに反対していない立憲民主党であっても賛成できる政策に工夫されていたのですが、おそらくそこまでは踏み込めないのではないかという憶測が私にはありました。誠実な政治家であれば、そこをきちんと読み込んで、一致点を探る努力をするはずなのです。そして、宮浦さんは、その努力をしっかり見せてくれました。

 そういう場に丁寧に足を運び、実際に中身についても誠実に検討し、受け入れてもらったわけで、これは少なくとも福岡市における市民と野党の共闘の歴史の中では特筆すべきことのように思われました。

 

 

 この立場は、どうも宮浦さんだけではなく、田中さんも全く同じであることが、のちに「かえる会」の説明に来た時に、宮浦さんと同じスタンスをしっかり述べてくれたことで、すっと理解できました。

 しかも厳密だと思いました。

 例えば合意された8項目の政策は柱なのですが、「かえる会」が総会で決定した8項目政策には細目があって、その中には「原発に頼らず、省エネルギー再生可能エネルギーを中心に、気候危機対策を進めます」「戦争になったときに攻撃対象となる原発の停止・廃止を求めます」という文言があります。

 総会で田中さんに「原発はどう考えるのですか」と質問が出ました。

 田中さんは「いまの原発のしくみは最終処理をふくめて、このまま続けるのは難しい」としつつも、「それをなくしていくための代替エネルギーについてはいろんな人の意見を聞いていく」と答え、その二つの立場を総括して、「ベクトルは同じだと思う」と最後に述べました。これは即時廃棄論でないことを示しています。しかし、原発は将来的には無くしていくべきだろうという大きな方向性での一致を確認した上で、 「代替エネルギーについてはいろんな人の意見を聞いていく」と述べているように、電力会社系の団体(労組)などの意見も踏まえるということを述べています。過渡的には原発を動かすことを容認するかもしれないというニュアンスを残しています。しかし最後は「ベクトルは同じ」と質問者との親近感を表現しています。大変よくできた、厳密な答えだと思います。

 決して「かえる会」におもねったりせず、厳密に説明していることがわかります。

 

 そのことは、今朝の西日本新聞の記事でも感じました。現市長である高島宗一郎氏が推進する都心開発に「天神ビッグバン」があります。ビルの高さや容積率を緩和して、建て替えを促し、大量のオフィスを供給しようとするものです。「税金を使わない」という触れ込みとは逆に、アクセスする地下道や道路などの関連施設へ莫大な税金が投入され、容積率の緩和により引き起こされる地価高騰やインフラへの負荷は住民にコストとなって押しつけられます。

今回、対抗馬として名乗りを上げたのは元市議の新人田中慎介(44)=立憲民主党推薦。もともと「天神ビッグバン」など市の開発路線にも反対はしていないが、出馬会見で「市民一人一人の活力が豊かさにつながるボトムアップ型に転換すべきだ」と訴えた。

 ここには「市民中心による見直し」路線の正確な反映があります。

 そして「かえる会」の考える「見直し」とも違いがあるように思いますが、政策協定の範囲内で田中さんに与えられた自由度というべきでしょう。それを田中さんはしっかり踏まえていると感じました。

 本当に気持ちの良い形で、新しい共闘のスタートが切れたと思います。

 「立場の違う人と向き合う」「誠実に対応する」ということを田中さんは実践で証明したわけで、“立場の違う人とは会わない”ことを自著で公言している髙島市長とも明白な違いが浮き彫りになったかっこうです。

 

 余談ですが、政治家はやはり足を運んでナンボ、ということも個人的に強く思いました。

 初めは「かえる会」全体として、宮浦さんに対しても(そして田中さんに対しても)不信感があったわけですが、その場にやってきて、言葉を交わす中で、気持ちが移っていくという空気を肌身で実感しました。

 政治において「実際に会う」「肉声で言葉を交わす」は、書かれた文字、映像よりもはるかに強いんだと思いました。

*1:正確にはのちに世話人会になった場。

2022年市長選へむけて大きく動き始めました

 2022年市長選へむけて大きく動き始めました。本日、「福岡市から政治をかえる会」が記者会見を行いました。

 「福岡市から政治をかえる会」は、これまで市長選挙では手を組んだことのなかった団体・個人が共同して、今の高島市政を変えようということで集まっています。

 「大企業優先の大型開発を市民優先で見直す」など8項目の政策を掲げています。

 候補者として片山すみこさんを内定しています。

 片山さんは長く市民連合ふくおかの事務局長として市民と野党の共闘を前進させるために力を尽くしてこられた方で、私もよく知っています。

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 私は前回の市長選挙の候補者としてこの会に関わり、政策や組織づくりの点でお手伝いをさせてもらっています。

 「内定」というのはちょっと奇妙に聞こえるかもしれませんが、実は立憲民主党(会派は市民クラブ)の市議だった田中しんすけ氏がすでに立候補を表明しており、市民と野党の共闘をすすめる立場から、「かえる会」として田中氏に協議を要請し、その返事を待っているところだからです。

 

 私は、とても画期的な動きだと思っています。

 私のときは、個人としてはいくつもの政党の議員の方たちが私を推してくれましたが、政党としては共産党の単独推薦でした。しかし、今回はすでにそれを超えて複数の政党・団体として参加があるからです。

 会見でも代表世話人の皆さんが口々におっしゃっていますが、そうした動き自体が福岡市の市長選挙の上では画期的な出来事なのです。私もこうした光景はこれまで一度も見たことがありませんでした。すでに会議がなんども行われておりますが、共同の広がり、熱意は、感動的といっていいものです。

 私は、前回の選挙が終わった直後の「市民が主人公の福岡市をめざす市民の会」の総会で、「今度は市民と野党の共闘で市長選挙を闘いましょう」と呼びかけたのですが、今まさにそれが形になろうとしています。