福岡県の県立高校の(授業料以外の)無償化について書いています。
今回は教科書と教材費の無償化についてです。
義務教育=小・中学校ではすでに無償化になっていますが、それは憲法に書かれた「義務教育の無償」とは違う理屈なのです。国は憲法の「義務教育の無償」とは授業料に限定されたものと狭く解釈して、戦後の一定期間、教科書は無償にしてきませんでした。*1
義務教育での教科書無償化が始まるのは1963年、全学年に広がるのは1969年なんですね。
義務教育教科書無償給与制度は、憲法第26条に掲げる義務教育無償の精神をより広く実現するものとして、我が国の将来を担う児童・生徒に対し、国民全体の期待をこめて、その負担によって実施されています
とされています。
さて、高校の場合はどうでしょうか。
教科書は基本的に有償です。
「基本的に」というのは、例えば定時制高校などは無償だからです。また、全日制でも低所得者層(保護世帯・住民税非課税世帯クラス)には「高校生等奨学給付金」があり、教科書費、教材費、学用品費、通学用品費、教科外活動費、生徒会費、PTA会費、入学学用品費、修学旅行費、通信費などの授業料以外の教育費にあてるように支給されています(住民税非課税世帯の全日制で年額12万2100円)。
実際の高校の教科書代・教材費を見る
その上でなんですが、以下の画像は、私たちの会の、ある会員の方の、知り合いの方が通っている県立高校での教科書・副教材の一覧です(2023年度の新1年生)。
教科書代は9542円、副教材代は2万8808円、合計で3万8350円ですが、これ以外に音楽・美術・書道から選択するので、538〜1232円かかります。だいたいここでは4万円が必要になります。

1年生だけでこんなにあるんだなあと思います。(上記の画像の高校とは別ですが、私の娘の高校でも入学時にものすごい量の教科書と副教材を渡されて、一緒に持って帰りました。)
私の前の投稿に対して、こういうメンションがありました。
もう4年前のことだけど娘の高校の教科書代、教材費は高かったなぁ。しかも、結局一度も開かなかったと思われる新品の問題集が何冊も家の片隅に眠っている💤 https://t.co/dIhAR9nGQk
— 小麦🐱@Kyoto (@komugikonenndo) 2025年3月5日
買わせたけども使っていない教材がある…ってひどくないでしょうか。
私の娘の高校でも特定の地域のお店で購入させていますが、使わせないのに買わせるのは、そのお店への便宜なのかと疑りたくなってしまいます。(幸い、娘に聞くと、1年生の時に買った教科書・副読本でほとんど使っていないものは1冊くらいでした。)
123ものコンテンツが入った電子辞書を買わせる必要ある?
さて、私は、自分の娘についていえば、納得いかなかったのが、電子辞書の購入でした。必須とされた教科書・副教材の代金とは別に、購入を推奨されました。
入学時にもらった「入学の手引き」には、
電子辞書の購入は任意
と確かに書いてあります。
「手引き」を読むと、紙でも電子でもよくて、最低限、国語辞典・古語辞典・漢和辞典・英和辞典の4種類があればいいみたいです。
しかし、英語の辞書について、「O-LEX English Japanese Dictionary 第2版 新装版」が「推奨」とされ、
すでに上記推薦辞書と同等レベルをお持ちであれば、それを使っていただいてかまいません。
と「入学の手引き」に書いてありますが、持っている辞書もしくは買おうとする辞書が「O-LEX English Japanese Dictionary 第2版 新装版」と同等かどうかなんて判断する力は生徒にも保護者にもありません。もし買ったけど、全くレベルが違ってしまい、授業で著しい困難をきたしてしまったら…? という不安が拭えなかったので、電子辞書を買うことにしました。
これが高い。CASIOのEX-wordで3万7000円タイプか、2万9000円タイプかを選べるようになっていて、結局不足があってはいけないと心配して3万7000円タイプを買いました。辞書って高いんだなあと思いつつ。

しかし、購入してみてわかったのですが、例えば国語辞典だけでも広辞苑だけでなく3種類も入っています。英和辞典も4種類。
それだけなく「世界文学1,000作品」とか「クラシック名曲1000フレーズ」「NHKラジオ 基礎英語1-3」「リトル・チャロ」「ひとり歩きの会話集 ドイツ語」、あげくに「日本大百科全書」「ブリタニカ国際大百科事典」まで入っていたのです。
https://www.casio.com/jp/exword/product.XD-SA4900BK/
4つの辞書どころか、全部で123のコンテンツが入っていました。本にしたらその何倍もの量になるでしょう。
いや…これ…推奨して新入生に買わせる意味、ありますか…?
この電子辞書分は、高校が出した3・4月の出費には含まれていませんでした。教科書・教材費としてカウントされていないけど、実際には払わされているお金なのです。

まずは教科書を無償に
教科書も教材も学校教育で使う必須のものです。
どちらも無償にすべきだと思いますが、まずは小・中学校にならって教科書代だけでも無償にすべきではないでしょうか。
ちなみに3年生になる娘が新年度に買うものの中に教科書はほとんどありませんでした。問題集や教材ばかりなんですね。