非正規は自分が望んでいるのか

 以前、福岡市に対して共産党が「福岡市は非正規雇用の割合が高く、正規雇用として働きたいが、非正規雇用となっている人も多い状況だ。非正規雇用の増加を是認するようなことはあってはならないと思うが、所見を尋ねる」と聞いたことがあります。

 以下は2022年9月27日の福岡市議会の決算特別委員会総務財政分科会での総務企画局の答弁です。

正規雇用者の就業理由については、自分の都合のよい時間に働きたいという理由が最も多くなっており、…一人一人が希望する働き方で就労することが重要と考えており、主に自分の都合のよい時間に働きたいということで非正規雇用を選んでいる人が多いと認識している。

 あたかも意識が多様化したから非正規を選んでいるかのような認識です。

 例えば、厚生労働省の「令和元年就業形態の多様化に関する総合実態調査」ではどうなっているかといえば、確かに正社員以外の労働者について、現在の就業形態を選んだ理由(複数回答3つまで)をみると、「自分の都合のよい時間に働けるから」が 36.1%と一番高いんですね。

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keitai/19/dl/02-02.pdf

 しかしこの調査について、調査対象の属性を見てみると、調査した労働者のうち「正社員以外の労働者」では男性の場合、60歳以上が実に42.9%を占めています。

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keitai/19/dl/03-03.pdf

 つまりこの調査では、リタイアして年金暮らしに入っている男性高齢者が多く回答していることが、回答に偏りを生む大きな要因となっています。そういう人たちがハードなフルタイムの正社員を望むというのは考え難い。貧しい年金に、ちょこっと生活の足しを…という人と、現役世代でやむをえずこの雇用形態を選択している人では、まるで意識が違います

 もちろん、現役世代の中にも、正社員の過酷な長時間労働や重い責任を負わされるストレスフルな働き方を見て、そうした形態を選ばない層も一定数存在することは確かでしょう。

 しかし例えば、福岡市自身が襟を正さなければならない図書館職員では、多くが非正規であることに悲鳴をあげています。

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 基本的には、現役世代が低処遇で安定性のない非正規という雇用形態に苦しんでいることは明らかではないでしょうか。

 統計上のごまかしを使って、現役世代の苦しみを見ようとしなければ、適切な政策は出てきようがありません。