「第4波」をどう封じ込めるのか

 引き続き福岡県知事選挙の話題です。

 新型コロナウイルス感染症拡大の第4波の兆候が出ていて、メディアでもそれにどう対応するか、持ちきりです。

 

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しんぶん赤旗日曜版2021年4月4日号

 私が気になるのは、メディアの関心が「どう病床を確保するか」みたいな話に移っているところです。

 例えば昨日の日経新聞1面は、「民間病院、4割がコロナ対応遅れ: 日本経済新聞 」でした。

 しかも、この記事は“病院に強制的にベッドを開けさせる権限がないことが問題だ”という点にフォーカスしています。民間病院がベッドを開けられないのは、経営上の不安があるからであって、まともな補償や支援もしないのに「とにかくベッドを開けて患者を受け入れてください」では通用しません。ましてや「開けないとひどいよ」と言って脅すのは、政治がやるべきことを果たしていないと言えるでしょう。

 何よりも、「感染が拡大してベッドが足りなくなるから強制的権限を」というのは“何も手を打たずに、感染が拡大してしまい、第4波が来てしまう”ことを前提にしている気がします。

 問題は「そうなる前に、感染封じ込めのためにどんな手を打つか」ということじゃないんでしょうか。感染が大爆発してしまえばベッドが一定数あっても足りなくなってしまいます。

 第4波への対策として、検査拡大について議論せずにいきなり病床問題に行ってしまうのは、「世論誘導」と言われても仕方がないですよね。

 今日の「しんぶん赤旗」では、コロナの感染再拡大にどう手を打つべきなのか大阪府の現場の医療関係者にインタビューをしています。

 大阪府保険医協会の理事長(高本英司)さんは、飲食店への時短要請や市民への自粛を繰り返すやり方の限界を指摘した上で、

私たちは感染を封じ込めるために検査を拡大するよう求めてきましたが、今回の再拡大でも知事は消極的です。大阪市内外で感染が拡大しており、広島県などの先進例に学んで地域に広く網をかけて陽性者を把握し、保護することが必要です。

としています。

 このインタビューでは、無策な大阪府と、何からの手立てをうとうとしている先進県との違いを述べています。そこに自治体としての姿勢の違いが出ていると言えます。

 

 福岡県はどちらなのかでしょうか

 今日の「しんぶん赤旗」で政府のモニタリング調査についての記事が載っています。

www.jcp.or.jp

 モニタリング調査は「政府が感染再拡大の予兆をつかみ感染源を把握するため」のものだとされています。

自治体への聞き取りでは、ほとんどの自治体が「国の事業」だとして、「依頼されたら協力するという立場」「検査結果などは直接把握していない」「陽性者の対応は国に任せている」と回答。

 つまり、国はやる気がない、自治体の多くは国まかせ、という状況なのです。

 そうした中で国以上の措置、独自の手立てを取っている県が5つあるといいます。

他方、新潟、愛媛、滋賀、広島、熊本の5県は、内閣府とは異なる独自の方法で、無症状者を対象とした検査を実施。県内の感染状況を把握し、感染の制御につなげる取り組みを行っています。

 福岡は……入ってない。福岡県は、「国まかせ」の一つということです。大阪府保険医協会の理事長が挙げた「広島県」はここに入っています。

 現在の県政、すなわち服部誠太郎さんが「継承」し、副知事を務めてきた県政は、こういう状況なわけです。コロナ対策では新聞で報道された公約を見ても「専用病床を増やす」くらいしかめぼしいものはありません。

 知事候補の星野みえ子さんは、公約で次のように述べています。

●感染を抑え込むためにモニタリング検査を今の10倍に増やします
そして、感染を抑え込む手立てをとります。
緊急事態宣言を解除して感染が少し収まってくると、国も県も、検査数がガタ減りになってしまいます。コロナは無症状の人がわからないまま広げてしまうのが特徴ですから、感染源が市中に残されてそれがまた感染を広げる大きな原因になっていると専門家もおっしゃっています。感染が収まってきたら逆に検査を増やして、どんどん感染した人を見つけて隔離・保護していく――これは衛生学の教科書に書いてある感染を抑え込むための初歩的なやり方ですが、菅政権も今の県政もそれを無視しています。現在無症状の人のモニタリング検査をやっていますが、私はこれを今の10倍くらいに増やします。

 

www.minnanokai2021.org

  ちなみに、二木芳人・昭和大学医学部客員教授感染症学)はモニタリング検査について、

1日650件では、政府が目標にしている1日1万件から見てもあまりにも少なすぎます。これでは「モニタリング」の意味を成しません。いまの100倍、200倍に検査を増やすべきです。(しんぶん赤旗日曜版4月4日号)

と述べました。

 星野さんの公約の「10倍」は「現状(650件)の10倍」なのか「政府目標(1万件)の10倍」なのかはわかりませんが、少なくとも服部候補よりもこの点でケタ違いに積極的なのは間違いないでしょう。

  • 検査の大幅拡大をしたい人は星野みえ子さん
  • 検査数は現状程度でいい思う人は服部さん

ですね。