第二次公約など(4)第一次公約のうちいくつかを修正・補強

 (続き)前記事に続いて、第二次公約などを発表した記者会見の内容を紹介しています。

 いただいた意見にもとづいて第一次公約のうち、以下の点を修正・補強します。なお、すでに以下の修正・補強をしたものは、元の第一次公約の記事を修正する形でアップしてあります。

 

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プロジェクト1について

  プロジェクト1は2点です。

  • 最低賃金の大幅引き上げを国にもとめ、時給1500円の実現をめざします。中小企業には社会保険料負担の軽減などをあわせて実施するよう求めます。」は、「最低賃金ただちに時給1000円にするよう国にもとめ、時給1500円の実現をめざします。中小企業には社会保険料負担の軽減などをあわせて実施するよう求めます。」にします。「すぐ1500円は難しい」という中小業者の方の声を聞いたのと、天神などでは1000円が当たり前になっているので、これを区別しました。
  • 「保育士・学童保育支援員・介護職の待遇改善のために市独自の支援制度を広げます。」は「保育士・学童保育支援員・介護職など福祉職員の待遇改善のために家賃補助制度の拡充をはじめ市独自の支援制度を広げます。」にします。例えば学童保育だと賃金体系が固定化されており、これを変えるのはかなりの仕事になるため、すぐにできる市の施策として家賃補助を創設・充実することを具体的にしました。すでに保育士に対しては市の家賃補助があり、あまりにも少ないのですが、これをもっと広げます。作業所の方とお話ししたときも職員の待遇改善を切望されていて、家賃補助などを話すと「それがあれば助かる」と言われたからです。*1

プロジェクト2について

 プロジェクト2は2点です。なお、この項目にかかわる「宿泊税」については別途提案しています。

  • 「公共事業などでの賃金水準を時給1500円以上確保する公契約条例をつくります。設計労務単価が下請まで適正に払われているか、市として調査・指導を行います。」は「市からの発注などでの賃金水準を時給1500円以上公共工事は設計労務単価通り)確保する公契約条例をつくります。設計労務単価が下請まで適正に払われているか、市として調査・指導を行います。」にします。これは誤解を招かないように正確にしました。
  • 「中小企業振興条例4条にもとづいて悉皆調査など『中小企業者の実態の把握』ができるよう市の中小業者担当部門を強化します。相談員に銀行OBなどを安易に配置せず、中小業者の立場にたつ行政に変えます。」を挿入します。これは銀行OBだけが相談員に配置され、まともに業者の立場で融資などの相談を受けあってもらえないという声を受け、議会で質問して確認した結果、こうした政策の補強が必要だと考えました。

プロジェクト3について

 プロジェクト3については

  • 「大手事業者に生活交通の確保を義務づけるよう生活交通条例を改正します。公的な責任で必要な地域にコミュニティバスを走らせます。」は「大手事業者に生活交通の確保を義務づけるよう生活交通条例を改正します。公的な責任で必要な地域にコミュニティバスを走らせます。減便・廃止・無人化は住民の立場で西鉄JRに是正を要求し、必要なバス便などの確保も市長として求めます。」にします。「バス減便は困る」「ぜひ増便して欲しい」という要望が出ており、条例改正以前にも、市長としてしっかり要求することを明記しました。
  • 「外国から来た人を『もうけ相手』『安い労働力』とだけみるやり方をやめ、多文化共生社会推進計画をつくり、特に労働相談の充実、コミュニティ参加への支援をすすめます。また、ヘイトスピーチを許さない市の姿勢を明確にし、必要な対策をとります。」は「外国から来た人を『もうけ相手』『安い労働力』とだけみるやり方をやめ、多文化共生社会推進計画をつくり、特に労働相談の充実、コミュニティ参加への支援をすすめます。また、ヘイトスピーチを許さない市の姿勢を明確にし、条例制定も視野に必要な対策をとります。」とします。私自身もヘイトスピーチを許さないカウンターに参加しましたが、まず市の姿勢を明確にあらわすための条例制定も視野に入れることを明確にしました。同時に、ヘイトスピーチに反対しながらも法規制を危惧する人たちの気持ちやヘイトスピーチ反対に取り組んできた神原元弁護士の「ヘイト・スピーチを法で規制することは必要だが、その効果には一定の限界がある。その理由は、端的にいえば、人の心は法律で変えることができない、ということに尽きるだろう。差別『表現』を規制することができても、差別「思想」までも規制することはできず、差別『思想』は形を変えて、社会に顔を出すのである」*2という言葉は重いものがあります。神原弁護士は「規制より啓蒙・教育が大切」と述べているように、マイノリティー保護のための最低限度の対策をきちんと取りつつ、啓発や教育の大切さに重点をおきます。
  • 「専門職員のいる児童館の新設へ踏み出します。」を新たに挿入します。これも要望が多かった事項でした。現在中央児童会館1つしか福岡市にはありませんが、本来児童館は地域に子どもが気軽に出入りできる居場所として必要なものです。政令市なのに1つしかないという事態が異常です。「市に1館体制」をやめ、各区に1つまず作る程度に新設へ向け検討を始めます。
  • 「不足している800席程度の中規模の劇場型文化ホールを増やすように県とも連携し検討を開始します。」を新たに挿入します。これは少年科学文化会館が廃止になり、子どもの文化運動にたずさわってきた人たち(私自身、小5の娘とともに「子ども劇場」という運動体に参加しています)から要望が非常に強いものだからです。

プロジェクト4について

 プロジェクト4については、

  • 博多駅前地下鉄工事道路陥没事故について市として組織体質・組織文化の点で問題がなかったか検証する第三者委員会をつくります。また、福岡市の建設残土が不法に捨てられていないか、総点検します。」を挿入します。前者は国の検証委員会は技術的な原因調査にとどまっており、これでは「その事例だけ」の教訓にしかなりません。市の組織体質や文化にまで踏み込んだ検証が求められます。

 

 なお、第一次公約のダイジェスト版で「30人学級の全学年への拡大」と記述しました。私はまず35人以下学級を全学年に拡大し、そのあと30人以下学級へ踏み出すということは間違いありませんが、この点はこの機会に正確にしておきたく、「少人数学級の全学年への拡大」にダイジェスト版も修正したいと思います。

*1:この第二次公約発表後、保育団体の方から「名古屋市のように公私間格差是正(公立保育所と私立保育園の保育者の賃金格差是正)を市がやることもできる。また、福岡市が保育協会への補助金として削った長時間保育手当などを復活させるという手立てもある」という提案をいただきました。

*2:神原元『ヘイト・スピーチに抗する人々』新日本出版社、p.133。