第二次公約など(1)2つの緊急提言――宿泊税と「派遣切り」

 今日、第一次公約に続いて、第二次公約などを記者会見しました。

 その中身をお伝えします。

 以下は記者会見で配った文書です(一部順番を変えてます)。

 

 市長選挙に向けて立候補を表明してから3週間ほどですが、たくさんの方とお会いしてきました。

 私が発表した第一次公約は、あんな長い文章なのに、たくさんの方が読んでくれて「一気に読んでしまった」「あれを読んでファンになった」と言ってくれる方が少なくありません。私を推してくれている「市民の会」の方々も感激して、急きょパンフレットにして刷り増ししてくれました。

 読んでいない方も含めて期待を込めて「こういう公約をぜひ入れてくれないか」「この公約はこう直してはどうか」という意見もまた、たくさんいただきました。

 こうした意見を私なりにすべて受け止めさせていただき、そのうえで、今日ここに「第二次公約」を発表したいと思います。

 この第二次公約は第一次公約を補強(そして一部修正)するものです。

 4つの柱からなっています。

(1)緊急に必要な問題について提言する。

(2)めざすべき都市像を提案する。

(3)第一次公約のうちいくつかを修正・補強する。

(4)財源についての考え方を整理し提案する。

 

 

 まず、市長選挙に向けて二つの緊急提言を行いたいと思います。

 一つは、宿泊税の問題。もう一つは「派遣切り」の問題です。

 

(1)宿泊税は一旦凍結を

 宿泊税をめぐって福岡県と福岡市の対立が激化しています。

 しかし、福岡市は有識者会議を立ち上げたばかりで、中身もろくに決まっていません。福岡県も有識者会議での結論を受けて議会で審議することはされていません。

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 宿泊税には5つの心配があると考えます。

 第一に、税額や対象によっては観光客に大きな負担となり、低所得者や青少年の「観光する権利」*1を制限し、奪うものになりかねないということです。これらの当事者の意見も十分に聴取されていません。

 第二に、宿泊税を転嫁できない中小業者が生まれる恐れがあり、零細業者などの声をよく聞かなければならないということです。

 第三に、違法民泊などがなくなっていないもとで、税の不公平感が高まりかねないということです。

 第四に、県と市の二重課税の恐れがあり、福岡市以外の県内市町村の多くは福岡市が徴税することに納得していないということです。

 第五に、宿泊税の税収を観光客がもたらす住環境への負荷や自然環境への負荷の緩和に使うのではなく、いっそうの観光振興に使うということはますます渋滞や民泊による住環境への悪影響を助長しかねず、負のサイクルを起こしかねないということです。

 宿泊税は制度設計次第では導入もありえるとは思いますが、少なくとも上記の5点についてまともな検証も行われないまま、あたかも県と市の「税収分捕り合戦」のようになっているのは、県民・市民不在の縄張り争いと言われても仕方がありません。

 私は、県も市も早急に導入するのをやめ*2、いったん冷却のために凍結し、お互いにこれらの諸点についてきちんと検証した上で、必要ならば話し合いをすることを提案します。

 

(2)「派遣切り」の相談窓口を市が緊急に

 2015年に改定された派遣法では、派遣先企業は3年たっても派遣受け入れ期間を延長すれば、派遣労働者を正社員化する必要がありません。しかし、個々の派遣労働者は同一職場で3年以上は働けないため、雇い止め・解雇になる危険性があります。したがって2018年に大規模な「派遣切り」が起きるのではないかと心配されており「2018年問題」といわれています。

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 この件について、厚生労働省は相談事例を踏まえたQ&AをSNSで拡散したり、ホームページ上にアップしたりしていますが、限界があり、市内でも約2万人の派遣労働者がいますが、労働問題に詳しい市内の弁護士はこうした事態が「さらに増える」*3と見ています。

 厚労省だけでなく、市民にとって最も身近な「役所」である福岡市が、これから年末にかけて「派遣切り」のための相談窓口を設置すべきであり、仮に住居や収入を失った人がいればすぐにサポートする必要があります。

 これから年明けまでの間に、「派遣切り」によって生活の糧と住居を失う人が出ないように、市の特別の相談体制を取るよう緊急に提案します。あわせてホームレスや外国人労働者、一般の労働相談も受け付けるようにすべきです。

 

 この宿泊税と「派遣切り」の2つの問題については、私が市長になっても、高島さんがひょっとして市長になっても、問われる課題であり、できれば今すぐにでも実施していただきたいことです(県知事にも関係します)。従って、私の政策というより「提言」という形にしました。

続く

*1:世界観光倫理憲章第7条。

*2:市議会で宿泊税を含めた条例が議決されたことを重く受け止め、宿泊税そのものをすぐにやめるということはせず、拙速な導入をせず慎重に制度の検討を行うようにします。

*3:西日本新聞2018年7月16日付に載った井下顕弁護士(福岡市)の発言。