黒坂真氏ツイートへのお返事

 

 黒坂真氏から私のツイートへのリプがありました。

 同じ森岡真史教授の論文でレーニン批判を知るという偶然にびっくりしました。

 いくつか大事そうな問題も含まれているので、返事を書いてみます。

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北朝鮮人権侵害対処法について

 第一は、「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律」(北朝鮮人権侵害対処法)についてのお問い合わせでした。どういう態度を取るのか、と。

 前提としてですが、北朝鮮国内での人権侵害は深刻です。いや、そもそも、「人権侵害」のレベルではなく、国連人権理事会の報告書が「人道に対する罪」を規定するほどに深刻です。

 私が市長になれば、この法律の第3条にのっとり「国と連携を図りつつ、拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題に関する国民世論の啓発を図るよう努め」ます。もし具体的に啓発の提案があれば教えてください。

 

難民と移民について

 第二は、北朝鮮からの難民の問題についてです。これは質問ではなかったような…。

 これは黒坂氏の意見が(経済)移民と(政治)難民の問題を混同されているように思われたので整理しておきますが、難民については難民の定義をあまりにも狭く解釈する日本政府の立場を抜本的にあらため、難民を受け入れ、生活、教育などの援助を行うべきだと考えます。もちろんこれは北朝鮮からの難民も含みます。

 これは市長として国に求めていくことになります。

 同時に経済的な移民については、ツイッターでも書いたように、単なる便利な労働力ではなく人間として受け入れるために、社会保障などの権利、政治的権利を保障する必要があります。少なくとも今の安倍政権はそういうことを考えずに、ただ単に安い労働力を「留学生」「技能実習生」などの名目で導入しているだけなので、このようなやり方には反対します。いずれにせよ国としてどういう形で取り組むかの国民的なコンセンサスが必要です。

 私は市長として、その議論を国に求めつつ、当面市政として多文化共生推進計画をつくり、コミュニティへの受け入れ、労働相談体制の強化をします。

 

ヘイトスピーチについて

 第三に、ヘイトスピーチについての問い合わせがありました。

 ヘイトスピーチの定義は、やはりヘイトスピーチ規制法第2条の定義の通りです。

 一言で言えば、法令などで対象にする場合はマイノリティー保護の観点が明らかであり、そのための要件を絞るということ。表現の自由や社会運動を侵すものになってはいけません。(ただまあ、社会運動における抗議相手の呼び捨てのような話については、どういう運動でも自分たちの表現が社会的に受け入れられるかどうかはよく考えないといけないとは思いますが…。そういう意味でのご指摘であれば同感です。)

 

最低賃金について

 第四に、最低賃金を時給1500円にしたら中小企業が潰れるのでは、というお問い合わせでした。

 これは私の公約の書き方が悪かったと思いますし、黒坂氏の意見にも(以下のような意味において)一定の道理があります。

 市長選への出馬を表明してから様々な人と私は話しています。そのうちの一人、労働運動関係者の方から、「すでに福岡市の中心部では時給が1000円になっている実感を持っている」との話を聞いています。人手不足を解消するためにはもうそこまで踏み込んでいるお店が多いのです。ですから、まずただちに最低賃金を時給1000円まで引き上げることは社会全体の合意になりやすいと思います。

 その上で、1500円にするには、きちんと社会合意を築いていく必要はあると思います。

 最低賃金最低賃金法9条で「地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力を考慮して定められなければならない」としていますが、同時に「労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性に配慮するものとする」とも規定されています。

 このうち、「通常の事業の賃金支払能力」だけが考慮されすぎており、市長としては「労働者の生計費」「労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができる」という点を考慮するようきちんと意見を述べ、世論を広げるようにします。生活保護基準の切り下げでなく引き上げも必要になります。

 なので、黒坂さんのご指摘を生かして、私の公約は第二次に向け、「すぐに1000円に引き上げ、1500円をめざす」という感じで正確にしようと思います。

 また、公約にも書いてあるように、中小企業への社会保険料軽減制度はあわせて実施していくように提言したいと思います。

 最終的には賃上げで景気によい効果が出るので、中小企業にも恩恵が回り賃上げを受け止められる条件が整うのではないでしょうか。

 

公共工事設計労務単価について

 第五に、公共工事設計労務単価についてです。

 下請の賃金を(公共工事設計労務単価通りに)引き上げたら下請が潰れるのではないかというご指摘でした。

 これはまず、会社が無理な賃上げをするのではなく、その分の賃金を市がはじめからコミで渡すわけですから、原理的にその種の問題は起きようがないと思いますが、いかがでしょうか。

 そもそも私と争う高島宗一郎市長自身が市長名で「設計労務単価通りに支払うようにしてください」という通知を出しています。国土交通省も。

 

福岡市 平成30年3月から適用する公共工事設計労務単価等の運用に係る特例措置について

 問題はそれがただのタテマエにされているのか、それとも、本当にやり抜くのか、ということなのです。

 また、公共事業の中身を、重層的な下請構造になっているムダな大型開発から、暮らしに身近な生活密着型に変え、直接に地元の小規模企業などに発注するので、ストレートに近い形で賃金がわたり、その点からも心配ないと思います。

 

 まあ、十分なお答えになっていないかもしれませんが、ご容赦ください。

 黒坂氏にはご指摘・ご質問に感謝いたします。