少人数学級を超党派で進めよう

 新型コロナウイルスパンデミック以来、初めて記事を書きます。

 書きたいことはいろいろあるんですが、超党派で進められることは進めよう、ということについて重点的に書いていきたい。

 

 取り上げたいのは学校の学級規模です。

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 社会的距離を2m、最低でも1m撮ろうよというのが専門家会議が推奨した「新しい生活様式」です。共産党の志位委員長が国会で取り上げていましたが、40人学級のもとでの教室ではこの距離が取れないのです。つまり1m取れない。

www.jcp.or.jp

 

 これは福岡市でも事情は同じでした。

 共産党の堀内徹夫市議が6月議会(6月15日、本会議)で質問しました。

www.jcp-fukuoka.jp

堀内 現在1m以上の身体的距離が確保できる教室で授業を受けているのは小学校で児童数のうち何パーセントになるのか、答弁を求めます。

教育長 1m以上の身体的距離が確保できる児童の割合は、小学校はおよそ87%となります。

堀内 残る13パーセントの児童、1万693人は濃厚接触状態で最大7時間の授業を受けているということです。「新しい生活様式」と大きく矛盾するのではありませんか、答弁を求めます。

教育長 文部科学省が示した「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」により児童生徒の感覚を1mを目安に学級内で最大限の間隔を取るように座席を配置した上で、座席の間隔に一律にこだわるのではなく換気などを組み合わせることなどにより現場の状況に応じて柔軟に対応することが示されております。このマニュアルに沿って身体的距離の確保については適切に実施をしてまいります。

 

 1m取らなくても換気とかすればよくね? という文科省マニュアルに沿った答弁をしていることがわかります。これが学校での身体的距離に対する福岡市教委の公式の立場なんですね。

 福岡市は予算をつけて教員を少しだけ増やし、学級(クラス)はそのままにするけど、授業については35人以下でやるぞとしました。そうすると教室が35人以下になります。その時1mの距離はできるのでしょうか。堀内市議が質問しました。 

堀内 補正予算では補正予算で加配教員を配置し、小学6年生の一部で少人数編成による授業(35人以下授業)を実施するとしています。小学6年生について加配教員の配置によって、1m以上の身体的距離が確保できる学校は144校中のうち何校になるのか、答弁を求めます。

教育長 小学校6年生について1mの距離が確保できている学校は99校、残り45校については担任以外の教員の活用により少人数編成による指導を行なっております。

  ちょっとわかりにくいですけど、補正予算で新しく教員を加配して35人以下の授業をやるようになったところではすべて身体的距離(1m)が確保されている、と言っています。

堀内 20人学級ならば身体的距離の確保ができる旨の答弁をされました。現在先生たちも分散登校の時に20人程度の教室を実体験されて、「この規模ならば全児童・生徒の学習への支援も給食や消毒の対応もしっかりでき、感染症拡大の心配も少なくなる」と話されています。20人学級ならば身体的距離が確保できるだけでなく、一人ひとりの子どもにていねいに寄り添い心のケアにしっかり取り組めるとともに、学習の遅れに対する個別指導もできるということです。そして少なくとも35人学級にすれば、最低1mの身体的距離の確保が十分できることもはっきりしました。したがって全ての学校で1mを確保するために、直ちに教員を増員すべきではありませんか、また将来的には20人以下学級を展望し、まずは教員を増員して、全ての学年で35人学級を実現させるべきではありませんか、答弁を求めます。

教育長 教室における児童・生徒の密の低減については、担任以外の教員や空調が整備された特別教室や余裕教室を活用し、少人数編成による指導により対応してまいります。35人以下学級につきましては第二次ふくおか教育振興基本計画に基づき小・中学校9年間の発達区分に応じた教育を推進するため、小学校1年生から4年生までは35人以下学級とし、中学校1年生についても学校の選択による35人以下学級を選択しております。全ての学校で35人以下学級を実施するには相当数の教員、教室が必要となるなどの課題があると認識をしております。

 

 ここは、少人数編成のクラスではなく授業で対応すると言っています。「同じじゃない?」と思うかもしれませんが、授業が終わるとクラスに戻ってきてまた40人学級になっちゃうわけですね。身体的距離の確保という観点だけから見ると意味がありません。

 そして、35人以下学級がこれまでの市の計画通りでそれ以上の学年では増やす気はありません、と言っているのです。ちなみに私の娘は市内の中学1年生ですが、学校の選択によって35人以下学級ではなく40人学級にされています(39人クラス)。

 身体的距離の確保などにはこだわらない、35人以下学級はしない、というのが市教委の立場であったことはわかったもらえたと思います。塩対応です。

 

 ところが、7月3日にこういう発表がありました。

www.jcp.or.jp

 

 「全国知事会」とあるんですが本文を読むと「全国市長会」も入っています。

 この中には福岡市も当然入っています。そして福岡市は理事なんですね。

 その提言には次のように書かれています。

http://www.mayors.or.jp/p_action/documents/200708njmanabi-yousei01.pdf

公立小・中学校の普通教室の平均面積は64m²であり、現在の40人学級では、感染症予防のために児童・生徒間の十分な距離を確保することが困難であることから、その対応が学校現場において大きな課題となっている。こうした実情を踏まえて、今後予想される感染症の再拡大時にあっても必要な教育活動を継続して、子どもたちの学びを保障するためには、少人数学級により児童・生徒間の十分な距離を保つことができるよう教員の確保が是非とも必要である。

 

 なんと!

 身体的距離の確保が不十分だから少人数学級にしろ、そのために教員を確保しなければならないと提言しているのです。

 「換気すればいい」「少人数学級は市の計画通り」とする立場を事実上大きく修正しています。

 一党一派の意見ではなく、全国の知事・市町村長の共通の意見となったわけです。

 これは超党派でぜひ進めるべきだろうと思います。