架空討論(8・終)国保料引下げに1兆円公費投入を共同提案しませんか?

 高島市長の記者会見をもとにした架空討論会を勝手にやっていて、前回の続きの医療・福祉についてですが、前回に終わりに、高島さんと私で共同提案できないかと言ったことについて述べます。

 まあこれで一旦打ち止めでしょうか。

 

 それは、高すぎる国民健康保険料を引き下げるために、国の公費を1兆円投入するように国に一緒に要求しませんか? ということです。まあ、私と一緒にやるのがお嫌なら、市長として単独でしていただいてもいい。

 

 これは実は、日本共産党が先日した提案を読んだからなんです。

www.jcp.or.jp

 

 これはとてもいい提言です。

 ここで次のように指摘しています。

 高すぎる保険料を引き下げ、国保の構造的な問題を解決するためには、公費を投入するしかありません。全国知事会全国市長会全国町村会なども、国保の定率国庫負担の増額を政府に要望し続けており、2014年には、公費を1兆円投入して、協会けんぽ並み負担率にすることを政府・与党に求めました。

 実は、全国知事会がこうした提案をしていることを私は知りませんでした。高島さんが入っている市長会も「国保の定率国庫負担の増額を政府に要望」してるんですね。

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 この1兆円というのはどういう数字か。

 国保料(税)が、協会けんぽなどの被用者保険と比べて、著しく高くなる大きな要因になっているのは、国保にしかない「均等割」「平等割(世帯割)」という保険料算定です。

 被用者保険の保険料は、収入に保険料率をかけて計算するだけで、家族の人数が保険料に影響することはありません。ところが、国保料(税)は、所得に保険料率をかける「所得割」、固定資産税の額に応じてかかる「資産割」のほかに、世帯員の数に応じてかかる「均等割」、各世帯に定額でかかる「平等割」を合算して算定されます。このうち、「資産割」「平等割」は、自治体の判断で導入しないことも可能ですが、「均等割」は、法律で必ず徴収することが義務づけられています。

 東京23区の国保料の「均等割」は、39歳以下の人で1人=5・1万円です。家族が1人増えるごとに、「5・1万円」「10・2万円」、「15・3万円」…と、国保料の負担額が上がっていきます。低所得者には一定の減額があるものの、子どもの数が多いほど国保料(税)は引き上がる「均等割」には、「まるで人頭税」「子育て支援に逆行している」という批判の声があがり、全国知事会などの地方団体からも「均等割」見直しの要求が出されています。

 “人間の頭数”に応じて課税する人頭税は、古代に作られた税制で、人類史上でもっとも原始的で過酷な税とされています。それが21世紀の公的医療制度に残っているのです。この時代錯誤の仕組みこそ、国保料(税)を低所得者や家族が多い世帯に重い負担にしている最大の要因です。これを廃止し、“逆進的な負担”をなくして所得に応じた保険料(税)にしていきます。

 全国で「均等割」「平等割」として徴収されている保険料(税)額は、およそ1兆円です。公費を1兆円投入すれば、「均等割」「平等割」をなくすことができ、多くの自治体では、協会けんぽ並みの保険料(税)にすることができます。そのうえで、「所得割」の保険料率の引き下げや、低所得世帯に重い「資産割」がかかる問題の改善など、各自治体の負担軽減の取り組みもすすめ、所得に応じた国保料(税)への改革を進めます。

 

 国保料が、サラリーマンなどの健康保険料に比べて高くなってしまうのは、所得に比例する部分だけでなく、「人頭税」的な性格を持つ均等割などがあるからだという指摘です。そして、この部分は1兆円になるそうですから、全国知事会が言うように1兆円投入すればこの逆進的な性格を持つ人頭税的な部分=均等割などをやめることができるのです。

 そうすると「協会けんぽ並みの保険料(税)」になり、どれくらいの負担減になるのか。

 

試算例。給与年収の場合は、同収入の協会けんぽ保険料を掲載。

〇給与年収400万円・4人家族(30歳代の夫婦+子2人)
 東京都特別区:42万6,200円➡〔廃止後〕22万2,200円 〔協会〕19万8,000円
 大阪市   :41万9,500円➡〔廃止後〕26万0,400円 〔協会〕20万3,400円
 京都市   :39万7,400円➡〔廃止後〕24万2,000円 〔協会〕20万0,400円
 札幌市   :41万3,500円➡〔廃止後〕28万0,700円 〔協会〕20万5,000円

〇給与年収240万円・単身者(20歳代)
 東京特別区 :16万2,600円➡〔廃止後〕11万1,600円 〔協会〕11万8,800円
 大阪市   :20万2,200円➡〔廃止後〕13万0,800円 〔協会〕12万2,000円
 京都市   :17万7,200円➡〔廃止後〕12万1,500円 〔協会〕12万0,200円
 札幌市   :20万5,600円➡〔廃止後〕14万0,900円 〔協会〕12万3,000円

〇年金収入280万円(夫:230万円、妻:50万円)・高齢者夫婦世帯
 東京都特別区 :15万5,000円 ➡〔廃止後〕7万3,400円
 大阪市    :16万6,600円 ➡〔廃止後〕8万6,000円
 京都市    :15万1,100円 ➡〔廃止後〕8万0,000円
 札幌市    :16万2,600円 ➡〔廃止後〕9万2,700円

〇所得300万円・自営業・3人世帯(30歳代の夫婦+子1人)
 東京都特別区 :40万7,700円 ➡〔廃止後〕25万4,700円
 大阪市    :42万8,300円 ➡〔廃止後〕29万8,500円
 京都市    :39万9,500円 ➡〔廃止後〕27万7,400円
 札幌市    :43万1,800円 ➡〔廃止後〕32万1,700円

 

 これはなかなかすごいなと私は思いました。

 別に共産党だけが言っている提案じゃなくて、全国知事会の提案です。自民党公明党も与党となって支えているところがほとんどの自治体です。そこが言っていることです。

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 この提言は次のように結んでいます。

高すぎる国保料(税)の問題の解決は、住民の健康と暮らしを守るうえでも、国民皆保険制度の最重要な柱である国民健康保険制度の持続性を確保するうえでも、社会の公平・公正という面からも、避けて通れない課題となっています。立場の違いや社会保障政策の違いがあったとしても、この問題の解決に向けて、知恵を出し合い、力をあわせることは可能であるし、必要だと考えます。

 高島さん、私とあなたとの間には確かに「違い」があります。

 だけど、この点では一致できるのではないか。

 本当はちゃんと公開討論をしてこういう一致点を確認してできれば共同のアピールをする。そういう建設的な討論をしたかったんです。

 今日に至るまであなたから返事が全くない、討論に応じる気配もないのは本当に残念なことです。