九電にモノをいう市長に

 九州電力は、太陽光など再生可能エネルギーの発電事業者に対して、一時的な発電停止を求める「出力抑制」を行いました。

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 この交渉を共産党田村貴昭衆院議員がやってます。

原発こそ止めるべきだ/九電の太陽光出力制限 国に田村貴昭氏

 

 需給バランスが崩れるという理由なんですけど、北海道のブラックアウトの逆で、供給量が多すぎるということです。

 それで、原発を止めずに、なぜ再生可能エネルギーを停止させたのかについては、同記事に書いてあります。

資源エネルギー庁の担当者は、今回の出力制限は、再エネの固定買い取り制度(FIT法)に基づく、優先給電ルールに従った対応だとして、まず火力発電の出力を制限し、他地域への送電を行い、太陽光発電の出力制限を行ったと述べました。

 「優先給電ルール」というのは、大雑把に言えば、そこに書いてありますが「まず火力発電の出力を制限し、他地域への送電を行い、太陽光発電の出力制限を行」う、というものです。「省令に基づくもの」という話も聞いたのですが、九電のホームページでは「電力広域的運営推進機関 送配電等業務指針」となっています。

 電気事業連合会の説明がわかりやすいかな。

www.fepc.or.jp

 原発は最後の最後。変動が少なく大出力で安定=固定しているので、「長期固定電源として優先稼働」させるという理由です。「再稼働させた川内、玄海原発」は合わせて「400万キロワット」だと記事にもあります。

 田村議員の批判は、“いや、九州は再生可能エネルギーがかなり普及しているから、「既存の火力発電などと再エネを組み合わせることで、原発を稼働させずとも電力はまかなえる」でしょ?”というものです。

 この批判に対して、担当者は「いやそれではまずい」とか「足りなくなる」という反論はしていません。それが記事の「同庁の担当者は否定せず」という一文です。

 そして、担当者は「九州では再エネ先進国の欧州各国と同水準まで再エネの導入が進んでいると説明しました」と述べたほどですから、事実上田村議員の批判を“まあ、それはそれで理屈が成り立ちますよね”と認めたようなものです。

 実際、同席者の話によると、担当者は“実際に東電では原発なしで今やっているわけですから”という趣旨のことを述べたそうです。

 つまり、「どのエネルギー源を優先させるかは判断次第」だということは、現政権側の担当者も一つの理屈として認めたわけです。少なくとも九州では成り立ちます。

 

北海道の教訓は分散型への転換ということではないのか

 9月6日の北海道胆振東部地震にともなう北海道全道のブラックアウト。

 あの教訓というのは、電力の安定供給のためには、大規模集中発電から分散型への転換が必要だということじゃないでしょうかね。

 原発は、大出力でかつ出力の調整ができません。

 分散型とは真逆。大規模集中発電の見本みたいなものです。

 しかも原発は、震度5程度の地震で自動停止します。

    

 実は福岡市も、目指しているのは「分散型のエネルギー供給システム」です。2013年に高島市政のもとでつくられた「福岡市環境・エネルギー戦略」の冒頭にはこう書かれています。

東日本大震災及び福島第一原発の事故以降,原子力や火力などを利用した大規模集中型のエネルギー供給システムに過度に依存することのリスクが広く認識されるようになり,再生可能エネルギーを効率的に利用した分散型のエネルギー供給システムの構築をめざすことが社会の大きな流れになっています。

 ここまで書いています。「大規模集中発電から分散型へ」というのは、私が言っているだけじゃなくて高島さん自身が方針にしていることです。

 しかし、今回の九電の「原発最優先」の姿勢=「大規模集中型のエネルギー供給システムに過度に依存」する姿勢に対して、現市長はなにもモノは言いません。つまり実際にはやる気がない。

 私が市長になったら、九電にモノを言います。

 この場合、原発最優先をやめて、再生可能エネルギーを中心した分散型のエネルギー供給システムに切り替えろ、ということを言います。

 

福岡市の再生可能エネルギーの目標は低すぎる

 福岡市にはもともと市内全ての電力需要をまかなうだけの再生可能エネルギーの利用可能量があります。下図は福岡市自身が出した資料で環境省の「緑の分権改革」事業で行った福岡市内の利用可能量の調査結果です。

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 「利用可能量」は「制約要因を考慮せず、現在ある資源を最大限利用すると仮定した場合の理論値」である「賦存量」とはちがい、「建物用地面積割合や建ぺい率を考慮した値」です。

市内全体の年間消費電力量は、25年度実績で約84億キロワットアワーであるため、緑の分権改革で調査された再生可能エネルギーの利用可能量は、市内の消費電力量に対して、計算上、約2倍となっている。(2016年3月18日環境局長答弁)

 

 ところが、福岡市が再生可能エネルギーによる電力時給量として2030年度末にめざしているのはたった8%しかありません。

 下図は、「福岡市環境・エネルギー戦略」で定められた再生可能エネルギーの普及目標の図です。

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 これは国でさえ20%を目指しているのに比べてもあまりにも低い数字です。

 特に風力については利用を増やす意欲も目標もありません。

 私が市長になったら、風力を中心に目標を引き上げます。せめて国レベルの20%(これは他の政令市でもやっている程度の数字です)、これくらいには引き上げようと思います。