どちらも撤回を求めて裁判をしており、私は連帯を表明しています。
松竹伸幸さんの裁判に連帯し応援する - かみや貴行のブログ 1%でなく99%のための福岡市政を
しかし、その問題とは別に、私は松竹さんの綱領理解については、賛成している部分もあれば、賛成していない部分もあります。
そのことをお互いに議論する企画をやっています。
安保条約について最初は議論し、第二弾として自衛隊について議論しました。
私から4つの質問(追及)をしています。
- 「綱領は自衛隊を違憲としており、松竹さんの『自衛隊=合憲』論は綱領に反するのでは?」
- 「松竹さんは共産党が参加する政権の立場(自衛隊=合憲)と、党の立場(自衛隊=違憲)を混同しているのでは?」
- 「自衛隊解消は民主連合政府の課題なの? それとも共産主義社会での課題なの? もし後者だと松竹さんが思っているなら、それは共産党綱領と違うのでは」
- 「自衛隊について『党としては違憲、政権としては合憲』という共産党の切り分けはご都合主義と受け取られる、との松竹さんの主張は、おかしいのでは? そういう切り分けはあるのでは?」
長い時間の動画にしていないので、それぞれがポイントを押さえられるように簡潔な議論になっています。(「もっと徹底的に!」と思うむきには少し食い足りないかも。)
志位さんでも大間違いしてしまう問題
松竹さんとの討論の中で私が紹介していますが、志位和夫さんは2013年*1に出した『綱領教室』3巻の中でこういうことを書いています。
民主連合政府ができたとして、私たちが閣僚席に座ったとします。野党になった自民党あるいは民主党——、そのときに存在しているかどうかわかりませんが、野党は、「総理、自衛隊は違憲ですか、合憲ですか、どちらですか」と聞いてくるでしょう。私たちは、「もちろん違憲です」とズバリ答えます。そうすると野党は、「それならば、違憲の自衛隊に予算を支出するのも、違憲ではないですか」などといって、民主連合政府が提出した予算案には反対してくるでしょう。そのときには、「しかし、違憲の軍隊をつくったのはあなたがたではないですか。その矛盾を引き継いで解消しようというのが私たち民主連合政府の立場です。だから、感謝されることはあっても、難癖をつけられるのは、お門違いです」という答弁をします。(前掲書p.77)
いや〜これはヤバいでしょ。
そして、志位氏は、党首討論で自民党(当時は小泉首相)にもバッチリこう答えてやったぜ! みたいな手柄話をこの後とくとくと書いて
小泉首相はいう言葉がなくなって、ここで討論は終わりになりました。こういう質問にもきちんと答えられるのです。(同前p.81)
と記しています。
志位氏が閣僚席に座って、自衛隊がまだあるのに「自衛隊は違憲だ!」と国会で答弁したら政権として憲法違反だという認識のまま制度を存続させ運営していることになり、立憲主義を根底から破壊してしまうことになります。小泉首相が討論の中で「憲法を守れというのが共産党の立場だったんじゃないですか」とただしているのは立憲主義の立場からの追及です。これに対して志位氏は「だから守るために九条にそくして、一歩一歩現実を変えていこうということを私たちは申しています」と全く答えにならないことを返しています。*2
そりゃあ「小泉首相はいう言葉がなくなって」しまいますわな…。誰の目から見ても、勝負がついてしまったからです。
志位氏が自分は勝った!と思っているのは、完全な思い込みです。「精神的必勝法」を駆使した阿Qや、ボコボコにされて「よっしゃ、今日はこれぐらいにしといたるわ」と強がる池乃めだかのように負けたのに勝ったと見せかけようとしているわけではなく、本気で論破したと思っていたのです。かなり心配な状況だと言えます。

あれだけ大見得切って「未解決」「未整理」で済ませるんだ…
この理論的混乱は、安倍首相時代になって、野党共闘が発展してくると、政権の一角を現実に担うかもしれない状況のもとで、深刻な懸念として表面化します。安倍首相や自民党側が追及の材料にし始めたからです。
そしてようやく2017年に「政権としては合憲の立場をとる」という方針に共産党は大転換します。
私は志位氏に手紙を送り、転換を歓迎するとともに、『綱領教室』という党としての基本文献はそのままの記述になっているから一刻も早く記述を訂正すべきだと提言しました。
しかし、それから5年。
特に何も手立ては取られませんでした。
そしてようやく2022年。綱領をさらに改定し、志位氏が『新綱領教室』を新たに書いて、その中で
連合政権がどういう憲法判断をおこなうかという問題は、未解決のままで残されていたのです。この問題に答えを出したのが2017年でした。(『新綱領教室 下』p.68)
えっ…あれだけ「ズバリ答えます」とか「きちんと答えられます」とか書いておきながら、「未解決」?
あの『綱領教室』はどうなったんだ? と思って読み進めると、なんと本文ではなく「注」のところに、
2011年11月におこなった『綱領教室』の講義では、民主連合政府の閣僚としても「自衛隊=違憲」論を表明すると説明しています(第3巻77ページ)。これは党としての憲法判断と、連合政権としての憲法判断の関係が未整理の段階のものであり、訂正しておきたいと思います。(同前p.74)
と小さなポイントで書いてあるではありませんか。
まあでもちゃんと訂正し、一応は記述したのです。それはある程度の誠実さがあったというべきでしょう。
ただあれだけ大見得を切っておいて「未整理」「未解決」で済ませるんだ…という思いはぬぐえませんけどね。
しかし、いずれにせよ、自衛隊をどう扱うかはとても難しい問題です。簡単に扱える問題でないことはわかると思います。
それほど扱いが難しい問題なのに、「対応が違いすぎる」と思わざるを得ません。
松竹さんは本を出して1ヶ月で自衛隊問題をあげつらわれて除名。
他方で、党首のほうは、自衛隊の合憲・違憲について間違ったことをドヤ顔で書き党員教育の基本書として徹底させておいて10年放置し、転換・指摘があってからも5年もそのままにしていたわけです。なんのお咎めもありません。(赤旗編集局次長あたりに「規約と綱領からの逸脱は明らか――志位和夫氏の一連の言動について」という一文を書かれても不思議ではないと思うのですが…。)
※もちろん「志位氏もお咎めせよ」という意味ではありません。
ことほどさように自衛隊問題は、日本の安全保障の根幹の問題であるにもかかわらず、党として扱い、みんなが納得して政策にするのには、かなりの難しさがあります。
自衛隊について、松竹さんのいうように党内でかつての社会党と同じ「非武装中立」的な思考をする人が非常に増えていることを私も感じます。それだけに、討論の終わりで二人が述べていることですが、党員みんながきちんと納得のいく形で議論をすべき問題なのです。