物価が高騰して家計を圧迫しているというのに、税・社会保険料が激しく上がっている。家計に占める割合は過去最高なのだ。
高齢化やインフレの影響で、家計の所得に占める税と社会保険料の負担の割合が2023年9月時点で28%と過去最高水準になっている。高齢者に比べ若年層の負担が重く、消費や出生数を下押ししかねない。
共産党(中山郁美市議)の質問でも、福岡市の国民健康保険料・介護保険料は過去最高である。
政令市20市の中では5番目に高い。
県内でも飯塚市に次いで2番目に高い。
共産党は介護保険料について財政調整基金を取り崩すなどして一般財源からの繰入をして(要は税金を使って)保険料を下げるように提案した。
しかし、市側はいつものような「全国一律(全国共通)の制度」論を繰り返した。
介護保険料につきましては、国が定める割合の上限まで国費・県費とあわせて一般会計から市費を繰り入れ、上昇抑制を図っているところでございます。介護保険制度は全国共通の制度であり、制度の枠外で一般財源を繰り入れることは適切でないとの国の判断が示されていることから、一般会計からの補填については制度上困難であると考えております。(福祉局長)
だが、果たしてそうだろうか。
今日(2024年6月16日)付の「しんぶん赤旗」で大阪社保協の介護対策委員長(日下部雅喜)が大阪市の保険料がなぜこんなに高いのかということについて次のように語っている。
大阪市の介護保険料が高いのは、高齢者のうち1人暮らしの人が多いことと関係していると考えられます。65歳以上の高齢者がいる世帯をみると、1人暮らし世帯の割合は、全国平均が29.6%にたいし大阪市は45%で1.5倍です。
また、介護保険サービスの利用に欠かせない要介護認定の認定率は、大阪市で1人暮らし世帯が38.6%にたいし、2人以上の世帯は18.4%です。1人暮らし世帯は同居者がいる世帯の2倍以上で、1人暮らしの高齢者が増えれば、介護保険サービスの利用者が増えることが分かります。
このため大阪市全体の要介護認定率は引き上がっており27.4%と、全国平均(19.4%)の1.4倍です。
こうしたことから大阪市は保険料が高い理由について、“要介護認定者1人当たりのサービス費用額は全国平均より低いが、認定者数が多いため給付費の総額が高く、被保険者1人当たりの費用額では全国平均より高くなっている”と説明しています。
福岡市はどうなっているかといえば、高齢単身者世帯は高齢者世帯全体の中で36.5%を占める(「令和2年国勢調査人口等基本集計結果概要(福岡市)」p.4)。
https://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/90803/1/teisei_ippan_kokuseichousa.pdf?20211202100445
大阪市ほどではないが、それでも全国平均29.6%の1.2倍である。
要介護認定率については2022年度20.4%で福岡市の資料(下)では「全国に比べ高く推移」と評価している。
ここで考えてほしいのだが、高齢単身世帯が地域によってこんなにも差があって、認定率も違ってくると保険料に大きな差が出てくる。
介護保険料が最も高いのは大阪市で9,240円、最も安いのは東京都小笠原村で3,374円となっており、大阪市と小笠原村では3倍近い差が生じている。
これはもはや「全国一律」の制度と呼べるのだろうか。
自治体ごとに違う制度という建前ならともかく、「全国一律なのだから保険料を下げるために公費を投入してはいけない」というのでは理屈に合わないではないか。
先の大阪社保協の担当者のインタビューでは次のように語っている。
見てきたようにサービス利用者が増え、要介護認定率が2割を超え3割近くなると、保険料がとんでもなく高騰するのは、公費負担が少なく、保険料と公費が半々と言う介護保険の財源構成に問題があるからです。今後、全国で利用者が増えていっても払える保険料に抑えるには公費負担割合、とりわけ国の負担割合(給付費の25%)を抜本的に増やすしかありません。
そして国がやらないのであれば、自治体が独自に公費を投入して保険料を引き下げるようにするのは当然ではなかろうか。