ガザ攻撃と高島市長

 イスラエルによるパレスチナガザ地区の攻撃について、杉並区の岸本聡子区長の答弁を見ました。

 また、昨年11月8日に出された「九都県市首脳による緊急人道アピール」も見ました。

九都県市首脳による緊急人道アピール|東京都

 中東のパレスチナガザ地区をめぐる情勢が緊迫、深刻化しています。
 私たちは、この紛争に関わる全ての当事者及び日本政府をはじめとする国際社会に対し、以下を訴えます。
一、 即時の人道目的の一時的な戦闘休止及び人質の即時解放
二、 国際法、国際人道法の遵守
三、 深刻な人道上の危機に瀕しているガザ地区を一刻も早く救済するために、あらゆる方策を講じて、人道的被害の抑制、人道支援物資の供給を通じた人道状況の改善に万全を期すこと

 そこには神奈川県知事(黒岩祐治)、埼玉県知事(大野元裕)、千葉県知事(熊谷俊 人)、東京都知事小池百合子)、横浜市長(山中竹春)、川崎市長(福田紀彦)千葉市長(神谷俊一)、さいたま市長(清水勇人)、相模原市長(本村賢太郎)が名を連ねています。つまり、首都圏*1の知事・政令市長が共同で停戦を呼びかけています。

 私は、このような表明を、日本の自治体首長は行うべきであると思います。

 それは当然福岡市の高島宗一郎市長も同じです。

 特に、彼は自分の著書『福岡市を経営する』で学生時代にパレスチナイスラエルを訪問したことが「私の人生を決定づけた」とまで語っています。

 イスラエル人が歴史的な苦難から「国家」への思いを強くしたことはいろいろな書籍や映画などを通じて知られています。

 一方、学生時代に訪問したパレスチナ自治区では、はじめて「国を持たない人」に出会いました。「国を持たない人」とは、自国のパスポートがない人たちです。

 私たち日本人は、あたりまえのようにパスポートを持ち、海外に行けば「私は日本人です」と自己紹介します。海外からの侵略や脅威からは自衛隊が守ってくれ、治安は警察が守ってくれます。パレスチナで出会ったのは、そういった機能に守られない人たちでした。

 治安を維持する警察機能は、自国民ではなくイスラエルが担っています。また国家がないので、国際社会ではあくまでもオブザーバーにすぎないのです。

 過去に国を持たなかったイスラエルと、今、国を持たないパレスチナという、どちらも国を持たないことによる不自由や苦難を味わってきた人たちに出会って、私は自分が置かれている環境のありがたさを再認識しました。国家を守り、その国家の名誉を高めてきた先人に、はじめて関心を寄せることになったのです。

 また、日本人はビザがなくても入国できる国が世界トップクラスで多いということも知りました。日本人が当たり前に取得するパスポートは、先人たちが脈々と築き上げてきた信頼に足る国づくりの賜物なのです。そして私も「誇るべき日本と、生まれ育ったふるさとをもっと発展させるべく、いつか自分も政治家として働いてみたい」と強く思いました。私の人生を決定づけたのが、この学生時代のパレスチナイスラエル訪問でした

 そこまで彼が思い入れをしている場所で、今、深刻なジェノサイドが引き起こされ、人道危機が起きているわけです。そうであれば、彼こそ即時停戦の表明を内外にアピールすべきではないのか? と私は思いました。

 

 この点を、3月25日に日本共産党(倉元達朗市議)が福岡市議会でただしました。

 市長は

 まず去年10月のハマスによるイスラエルへの武力攻撃、また誘拐などの一連の行為は、これについてはまず絶対に許されるべきではないというふうに思っております。一方現在ガザ地区においてはイスラエル軍によります大規模な攻撃があって、罪のない一般市民に多大な被害が発生をしており、大変深い悲しみを感じている次第でございます。双方の犠牲者の方々とそのご遺族に哀悼の意を示すとともに、停戦が速やかに実現をし、世界の平和と秩序が回復されることを強く望んでおります

という表明をしました。

 これは私には少し意外でした。

 彼はそうした表明さえしないのではないかと思っていたからです。

 しかし、そこまでは述べました。それは評価したい。

 問題は、そこからです。

 祈念するだけでなく、具体的に当事者に停戦を働きかける形にしてほしいと思いました。倉元市議もそう感じたのだと思いますが、その市長の答弁を受け、「そこまで言われるならば、きちんとアピールを出すべきだ」と求めました。

 福岡市に対して非核都市宣言をしないのかとただすと、市長は決まって「アジア太平洋都市宣言があるので…」と言ってきました。

www.city.fukuoka.lg.jp

 そこには

 

  1. お互いのであいとふれあいを進めよう。
  2. お互いの生活と文化を正しく理解しよう。
  3. お互いの健康と平和を守ろう。
  4. お互いの現在を真剣に語り合おう。
  5. お互いの生きる立場を正しく認め合おう。

 

という条項が並んでいます。イスラエルパレスチナはアジアの一角=西アジアにある国家・地域です。この宣言の精神を生かすべき地域です。

 本当にこれを生かすつもりなら、高島市長は具体的な働きかけに踏み出してほしい。

 ぜひ高島市長には、そこまで進んでほしいと思います。

*1:厳密に言うと違うが。