共産党6中総をする前に

 日本共産党の第6回中央委員会総会(6中総)が9月3・4日に行われます。

 そこで参院選の総括に関する討議が行われることになっています。

 私はそもそも結果を受けて臨時党大会を開き、全党でよく討議してべきだと述べておりますので、その立場は変わりません。

kamiyatakayuki.hatenadiary.jp

大島博光記念館(長野市)での展示

 

まず大規模な市民への「調査」を

 でも、全党がきちんと総括をしていくためには前提が必要だと思います。

 それは、もっと広い市民への徹底的な「調査」(大量の定量調査や選択式アンケートをイメージしています)を行うことです。

 これまでの共産党の総括は、現場からの「感想文」提出をさせるのが一般的でした。

 あとは県委員長、地区委員長の聞き取りくらいでしょうか。

 (それ以外の「耳を傾けた」実態は、これまでほとんどわかっていません。)

 しかし、それだけで今起きている、あるいはここ数年で起きている事態の全貌がつかめるとは思えません。実際つかめてこなかったから、未曾有の事態に陥ったのだと思います。

 「党内外のご意見を受け止め」(7.21常任幹部会声明)ですから「党内」にとどめるのは論外ですが、「外」についても「選挙は悔しかったね。次こそ頑張れよといって3ヶ月の赤旗購読を約束」みたいな「支持者周辺の現場の反応」を集めて終わりということだけではふさわしい総括にはなり得ません。

 

 広く市民に対して「調査」を行うべきです

 イメージですが、今回およびこの10年間くらいの国政選挙で共産党に期待した人、期待したが離れていった人、期待しているが投票まではしていない人、そもそも期待しない人などを、それこそ業者(企業)も使ってネットや街頭での大規模なアンケートを行い、それを党内で公開して自由に議論してもらうべきではないでしょうか。*1

 

 数千人単位で調査すれば相当説得力があると思います。

 こうやって指導部が出した総括案には、今の指導部に批判的な人であっても納得するしかないのではないでしょうか。

 なお、「いま党がやっている『要求アンケート』でいいのでは。すでに数十万集めているし、項目を変えてあれをさらに数千集めたらどうか」という考えもあるかもしれませんが、それはダメです。支持者周辺が多くなって、必要な中立性がないからです。要求アンケートが、支部が取り組みやすく、結びつきや運動づくりのきっかけとすることを目的にしていることによるものです。

 

党外有識者100人に聞き取りを行い結果を全て公表する

 もう一つ、党外有識者100人に聞き取りを行い、その結果を全て公表することを提案します。「党外有識者」には中北浩爾さんのような、共産党からケンカを売られていた方に(お詫びした上で)お願いすることはもちろんですが、それだけでなく、公明党がサブチャンネルでやっている選挙プランナー(松田馨氏)を一つのイメージにして、ボロクソに言われようとも忌憚のない意見を言ってくれる方にもお願いすべきです。

www.youtube.com

 

党内の組織データもさらに広く、積極的に共有を

 ちょっと別の角度から考えます。

 今の党指導部の側にも立って考えてみましょう。(?)

 

 今回参院選史上、比例で得票が最低に落ち込んだだけではありません。

 衆参合わせてみてみるとどうか。2017年衆院選小池百合子氏がからんだ「希望の党」騒動があって、直前の国政選挙(2016年参院比例)610万から大きく減らした440万となりましたが、その次の国政選挙である2019年参院比例で448万となり、減らさず微増しました。これはまさに「健闘」というにふさわしい結果だったと言えます。

 ここまでは「野党連合政権を実現しよう」(第28回党大会第一決議)という共産党の情勢認識の時代でした。

 しかし、「野党連合政権をめざす野党共闘」という共産党の概念が実質的に崩壊してしまった2021年衆院選以後は、2021年衆院比例416万、2022年参院比例361万、2024年衆院比例336万、そして2025年参院比例で286万と、「微減」「ゆるやかな衰退」というレベルではなく、歯止めを失ったように激減(34%減)しているのです。

 ちなみに公平のために、同じ性質の選挙を並べると、

  • 2021年衆院比例416万→2024年衆院比例336万(-20%)
  • 2022年参院比例361万→2025年参院比例で286万(-21%)

 小手先のこと、つまり戦術的なあれこれや、何かの特殊事情ではなくて、路線や体質に関わる戦略上の大きな問題が原因の可能性は否定できません。

 

 他方で、現在の党指導部には“路線や体質はもとより、政治論戦も基本的に問題はなかった。高齢化のもとで党建設が遅れ「自力」がなくなっていって、訴えを届ける力がなくなっていることが中心原因”という情勢認識があります。

 これは私は可能性としてありうると思っています。

 つまり、共産党自体の評判は実際にはそれほど下がっていないのに、露出や接触が大幅に下がっているために単に選択肢から消えているだけ、ということは、可能性としてちゃんと入れておくべきだと思います(私自身はその蓋然性には否定的ですが)。

 

 手元にはA県党の限られたデータしかありませんが、2024年衆院選と2021年衆院選での共産党の活動量を比較したものがあります。

 党員数や選挙の取り組みをした支部数はほぼ維持されています。

 つまり主体はいるのです。

 しかし、上の3つの活動量は半減〜3分の2減しているのがわかります。

 党員が同じくらいいて、動いている支部も同じくらいあるのに、「棄権防止活動参加」をしている人が半分になっているというのは、選挙で動いている党員は半分になっていることが予想されます。

 ということは、高齢化してもう活動できなくなっている、もしくは声をかける対象者の名簿がほとんど使えなくなっている事情だということが推察できます。

 

 以上のことから「活動量が半分以下に落ちているのに得票が2〜3割減ならよく持ちこたえた方ではないか」という説明も成り立たないわけではないと思います。

——「活動量が回復するまでは、どうあがいても低落傾向は続く」

——「だからこの期間はがんばって党勢拡大に邁進してほしい」

という説明を党指導部がすることも可能ではあるわけです。(私はその蓋然性に否定的ですが、ここでは論じません)

 

 上記のデータは、聞けばA県でほとんどが公表されたデータを集めたもので、県党組織のイニシアチブで全地区におろされ、特に制限もなく印刷されて党員一人ひとりに広がっているものです。総括の基本にするために大事なことです。

 ただ、得票だけでなく、組織・活動量に関するデータはもっと全面的に、党内で結構ですから広く共有して本格的な議論の材料(前提)にすべきだと考えます。(全国のデータでやるべきだと思いますが、一つの都道府県レベルのデータでもだいたい全国と傾向は同じなので、とりあえずは都道府県単位でもいいだろうと思います。)

唐船・南蛮船図屏風(右隻)(九州国立博物館での展示)



とにかく総括の起点となる調査やデータが少なすぎる

 とにかく総括の起点となるデータが少なすぎます。

 それで党指導部が総括に入ろうしたら、その姿勢自体が疑われるべきものだと思います。

 批判者を納得させ全党を団結させるためには、しっかりした調査やデータさえあればいいのです。処方がまだ見つかっていなくても、病気の正体がわかることの方がまずは大事です。患者の愁訴に対して、ろくな検査もデータもなしに、「これはカゼだ! この薬を飲めば治る!」「おお昨日より熱が0.1℃下がった! 治る兆しへの前向きな足がかりの第一歩をつかみかけつつある!」と言い張っている「医師」には不安しか感じないですよね。

 

 市民への徹底調査、全面データ共有、有識者100人聞き取り。

 これをやって総括できたら、本当に納得できる処方箋って生まれてきそうな気がしませんか。逆に言えば、前述の通り現在の党指導部への批判的な人たちも納得せざるを得ないでしょう。

 ぜっさん大売り出し中の志位和夫議長の『Q&A いま『資本論』がおもしろい』のラストでマルクスの『資本論』初版への序言の次の言葉を紹介しています。

私は、新たなものを学ぼうとし、したがってまた自分自身で考えようとする読者を想定している。

 それを解釈して志位議長は次のように訴えます。

新たなものを学ぼう。自分自身の頭で考えよう。そして、この社会の不合理がどうしておこるのか、どうしたら不合理を解決できるかをつかんだら、連帯してたたかおう。そしてこの世界を変えよう。

 新たなデータや調査や知見から学ぼう。自分自身の頭で考えよう。そして、この党をめぐる不合理がどうしておこるのか、どうしたら不合理を解決できるかをつかんだら、連帯してたたかおう。そしてこの党と世界を変えよう。

恵明禅寺(長野市

余談:「党内離党」

 長野へ招待いただいてる間にほうぼうの話として聞いたことですが、党費は払っている。会議には2〜3ヶ月に1度くらいはくる。配達くらいには週1で協力する。そういう人であっても拡大や選挙といった「ハードな活動」には距離をおく。そしてフェードアウトを考える…という人が広がっているのだとか。

 そういう人は「活動している党員」にカウントされるし、今の方針や路線にも「何も言っていない=反対していない=賛成している党員」にカウントされています。

 しかし、それは「静かに進む空洞化」です。

 その人たちが「何も言っていない」のは、「賛成」だからではありません。言えば理不尽な攻撃を集団で行われ面倒臭いだけだから。もしくは何か言うほどもはや関心がないから。死のうがなくなろうがどうせ何も聞かないのだから、勝手にすれば、という気持ち。でも「やめます」と言えば波風が立つし、役には立っている組織ではあると思うので細々と続けてはいるが、頃合いを見て自分も…という感じ。

 目立った異論ではないので波風が立たないけど、「党内離党」といってもいい空洞化です。活動量の低下はそういうこともあるのではないかと思います。

 党中央も都道府県もとっくにそんなことはつかんどるわ! というかもしれません。私も現象としてはよく分かりますがそれが「広がっている」としたらどれくらい「広がっている」のか。それともそれは危惧するほどではないのか…。そういうことがデータの共有で全党に明らかになるといいですね。

 

※コメント欄に、このブログのコメント欄についての私の考え方を書いていますので、知りたい方は参考にされてください。(2025年8月末追記)

*1:もちろんこれは素人考えの一例です。もっと問題を明らかにする設問はあり得うると思います。