8時間働けば・年金があれば、ふつうに暮らせるまち

 昨日は事務所びらきで、私が無料塾で教えていた子どもの手紙が紹介されました。あの子もう中学生か……とびっくりしました。シングルのお母さんとの楽しいやりとも手紙の中に出てきて、つい3年くらい前の話なのになつかしかったです。

 お母さんはやはり今の中学校への通学のための費用、高校・大学の学費の問題を本当に心配されている中身でした。子どものために広い家に移ったために家賃も心配されていました。

 

 そして今日。西区の集会に呼んでいただきましたが、そこでもシングルマザーの方が要望を訴えられ、この方もダブルワークの心配。案じているのはやはりお子さんの教育費でした。

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福岡市のシングルマザーが不足を感じているのは「教育費用」と「生活費」

 福岡市は「ひとり親家庭実態調査」を2017年に発表しています(下記は概要版)。

福岡市ひとり親家庭実態調査結果 - ふくおか子ども情報

 

 低所得世帯(年収300万円未満)は福岡市の世帯の半分近くを占めていますが、母子家庭ではなんと72%にも達します。

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 「現在不足している費用」としてあげられているトップは「子どもの就学、通学のための費用」で53.1%です。ついで多いのは「日常の生活費」52.2%です(概要版には載っていません)。

 「住宅に対する不満、悩み」ではトップが「家が古い」26.6%、ついで「家賃、または住宅ローンが高い」が25.5%です(概要版には載っていません)。

 

「8時間働けば・年金があればふつうに暮らせるまち」に

 高島市長は「人と環境と都市活力の調和がとれたアジアのリーダー都市」というのが目指すべき都市像なわけですが、私が目指すべき都市像は一言でいえば「成長をして、8時間働けば・年金があれば、ふつうに暮らせるまち」ということになるでしょう。

 そのために、例えば「2人の子どもを抱えた非正規のシングルマザーがふつうに暮らす」という「モデル世帯」を考え、それをどう支援していけばいいか考えたらどうかと思っています。

 「2人の子どもを抱えた非正規のシングルマザーがふつうに暮らす」ことができれば、単身の非正規の若者、単身の年金だけの高齢者も「ふつうに暮らせる」んじゃないでしょうか。

 

 

「2人の子どもを抱えた非正規のシングルマザー」にどう支援したらいいか考える

 さっきの調査をもとに言えば、

  • 家賃補助の創設、民間借り上げを含む市営住宅。これがあれば住居費が軽減でき、その分が生活費に回ります。
  • 就学援助の切り下げ分の復活。高島市政になって、生活保護の切り下げに連動して就学援助を切り下げてしまいました。これをもとに戻します。
  • 学校給食費への助成。そして無料化をめざす。これは高島さん、1期目の公約にしていたんだけど、反古にしちゃったんだよね…。
  • 認可保育所を抜本的に新設。保育士を確保するために、保育士への家賃補助を非正規にも拡充します。
  • 市独自の返さなくていい奨学金。“卒業時に250万円の借金”、“返済完了は30年後”――そんな社会、異常じゃないですか。
  • 最低賃金を今すぐ時給1000円にして、1500円をめざすよう国に求める。
  • ブラック企業根絶条例をつくって、調査・相談・啓発・顕彰をやる。

 「2人の子どもを抱えた非正規のシングルマザーがふつうに暮らす」にはどうしたらいいか? それを具体的に考えてみればまだまだできる施策はあると思うんです。高島さんが始めた、引っ越し費用の助成も悪くないですよ。ああいうものももっと充実させるべきでしょう。

 

 (2018年)9月24日付の日経に「単身・無職が最多 しぼむ4人家族」という記事が出ていました。

www.nikkei.com

 

特定の家族しか応援しない政治は終わり どんな家族でも支援を

 総務省の家計調査が「夫婦と子ども2人」の「標準世帯」(今は「モデル世帯」というんだと思うけど)が標本の9割を占めていて、単身は8%しかないって記事です。

家計調査では圧倒的に少数派の単身世帯が実際の社会では大きな比重を占めているなら、調査の精度に疑問符がつく。(同上記事)

 福岡市ではこれ、5割近くが単身なのに、政策が全然それを反映しないものになっちゃうわけですよね。

 これからの施策は、もはや「夫婦と子ども2人」という住宅の宣伝に出てくるような家族、しかも正社員で専業主婦のお家と思われる家族だけを相手にして、ほかは「残余(あまりもの)」扱いするような形ではもうダメだろうと思います。

 正社員・持ち家・自動車所有……こういうことを前提にして政策資源を集中投入するやり方は限界にきています。

 特定の家族のあり方しか支援されない政治は「さようなら」したい。

 単身でも、シングルマザーでも、LGBTでも、外国人でも、夫婦別姓でも、家族の形に中立な政策に切り替える時です。

 私が市長になれば、「2人の子どもを抱えた非正規のシングルマザーがふつうに暮らす」ことをモデルにした施策を始めます。