ビラをつくるさいに「政治性」「芸術性」「民主性」が考慮されるべき

 相当に唐突ですが、だんだん紙のビラを撒くということも減りつつある中で、「ビラづくり」について私が思っていることを書きたいと思います。

 ひょっとしたら10年後にはもう紙のビラなんてなくなっているかもしれませんけど、10年ぐらいはあるんじゃないかと思うからです。私はビラ書きを長いことやってきました。そのノウハウをできれば書き残しておきたいと思い、いつまで続くかわかりませんが、ちょくちょくこのブログで書いておきたいと思います。読みたい人だけが読んでください。

 

ビラづくりの三要素

 細かい議論に入る前に、常々私が考えているビラづくりの際に考えるべき3つの要素についてまずは書いておきます。

 ビラづくりで何を優先すべきなんでしょうか。

 私は次の3要素を常々意識しています。

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 それは、

  1. 政治性(鋭さ)
  2. 芸術性(デザイン)
  3. 民主性(決裁・合意)

の3つです。

 

政治性——科学性あるいは政治的な鋭さ、今組織として何を押し出すのか

 「政治性」というのは政治的な鋭さということです。これは共産党の決定がとりあえず「正しい」という前提になります。*1政治的に何を押し出すかということを一番正確にとらえているということです。今だとさしずめ「今度の総選挙で野党連合政権による政権交代を」ということでしょう。それが本当に有権者にウケているかどうか、そういうことは別です。組織としてこれを押し出すべきだと考えたことがビラに忠実に出ているかどうかということです。

 デザインがどんなに悪いビラでも、食い入るように読まれるビラがあります。人々の関心がそこにあるからです。例えば、手書きのクソ汚いビラであっても、「今の職場の課長のパワハラはおかしい」というビラを作ったとしましょう。むちゃくちゃ読まれます。それが政治的な焦点だからです。それがまさに政治的な鋭さです。

 

芸術性——見栄えのよくないビラはゴミ箱直行だ

 「芸術性」というのは要はデザインのことです。政治性が優れていても、めちゃくちゃなデザインならゴミ箱に直行します。また、ある程度デザインができていても、「自分の文化圏と違うな」と思われたら共感を寄せてもらえません。ダサいデザイン、泥臭いデザインを嫌がる層もいれば、妙に小洒落たデザインを嫌がる層もいます。あるいは、単純に例えばイラストが大きく入っていればじっと見入ってしまう人もいます。写真よりもある種のイラストの方がいいという層もいます。例えば、下記の図1と図2がビラに大きく入っていたとして、あなたはどちらのビラを見入ってしまいますか?

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図1

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図2

 私は図2に見入ってしまういます。図1なんか、あまりにも世の中にありふれているでしょう?(写真がないよりはましですが。)結局それは誰をターゲットにするかということです。

 オタク的な感性のある人に向けるなら図2のようなイラストを使った方がいいですし、そうでない人には図1の方がいいでしょう。

 あとで述べますが、例えば最近は手書きのビラの方に見入ってしまいます。1990年代くらいまではきちんとした活字のビラは貴重でしたが、今やPCやワープロの普及で、そんなものは辟易するほどに見ています。しっかりした活字・DTP体裁のビラはむしろ食傷気味なのです。

 ビラのデザインは、ここではあまり論じません。

 結構いろんな本が出ているのでそれを見てもらった方が多分参考になると思います。

 

1枚デザインの構図とレイアウト

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  • 発売日: 2019/07/16
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民主性——誰に決裁をもらうのか、誰の合意を調達するのか

 「民主性」というのは、要はそのビラが誰の決裁を得るのか、あるいは誰の合意を得るのか、ということです。いくらいいビラでも、例えば候補者が納得しないと日の目を見ません。逆に「えー、こんなビラがいいの?」と制作者の私がいくら思っても、候補者や依頼した団体が「これはいい!」と思っているビラは、本当に真剣に撒きます。そして一生懸命活用します。

 私は、候補者からビラを、フォントからイラストに至るまで一字一句、細かく、しかも何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も修正された、という経験が無数にあります。出来上がったビラは私から見て「は?」というようなものでしたが、候補者や地元の組織はものすごい喜びようで、それを本当に頑張って撒いて、支持拡大でも活用していました。私にはわからない事情があるんだなと思うしかありませんでした。実際そうなんです。私のような地元外の者が、ポッとそこに来てビラを作って、何が分かっているというのでしょう。何も分かっていないのです。私はただ、候補者や地元組織の「手」の代わりになってビラを作ったに過ぎません。「自分(私=神谷)のビラの方が絶対にいい」などという傲慢な思い上がりは許されないのです。

 他方で、候補者にはこだわりがない場合があります。

 そこで地元の組織、撒く人からそっぽを向かれては困るので、その人たちの意見を聞くことがあります。その時に、なんの責任もない人の意見を聞いてそれにとらわれてしまうことは、今度は逆の過ちを犯してしまう場合があり、それは気をつけないといけません。現場の、ある1人か2人かの、こだわりの強すぎるおじいさん・おばあさんの意見を絶対に聞かねばならないという理由はありません。それを取り入れたとしても、いいビラになる保証はないのです。

 あるいは、これはよく一般の企業などにもあることですが、いくら制作現場が「いいビラができた」と思っても、上司などの決裁者が「ダメだな」と思っていればそのビラは通りません。通らなければビラとして完成できないのです。

 決裁者がキーワードにしていることをきちんと踏まえていれば、ビラは決裁を得られます。

 私は自分が起案したビラがなぜいいのかを説明します。そして決裁者に掛け合います。しかし、決裁者が納得しないことがあります。その場合、組織人である以上、決裁者が責任を持つわけですから、ただの制作者である自分が意地を張ってゴネるのはよくありません。責任がないわけですから。だから2〜3回押し問答して決裁者の意見が変えられないようなら、それに従うしかないのです。

 センスの悪い決裁者(上司)というのは存在しますが、そういう人でも従わざるを得ません。そういうクズな決裁者に不満なら、例えば組織内の会議で厳しく批判したり、組織内の選挙で落としたりすべきなのです。でもそれは別のプロセスの話です。

 

3要素の何を優先すべきか

 さて、この3要素をバランスよく配置したビラがベストなわけですが、時々矛盾する場合が出てきます。例えば、デザインはいいけど、政治性がないようなビラがあります。あるいは、候補者は地元のドブ板実績を宣伝したいけど、組織としては政治的な中心点を押し出すべきだと思っているような場合です。

 その中で3要素のどれを優先すべきなのでしょうか。

 私は圧倒的に「政治性」です

 どんなにデザインが優れていても、あるいは現場や候補者がこれでいきたいと思っていても、組織が決定した政治性こそ最優先されるべきなのです。決定が真理の検証であるという立場を貫くなら、まず政治的に何を押し出すべきかが最重視され、それが正しかったかどうかを図るべきでしょう。

 いくらデザインが良くても、あるいは候補者が「これでいきたい」と思っていても、集団で決めた「政治性」に反していたり、それを無視していたりしたら、政治組織としては責任が持てません。「芸術性」「民主性」は「政治性」に従属すべきです。

 

 上司がクソで明らかに政治性・芸術性がダメな場合があるんですが、起案者としては政治性を優先させるべきでしょう。それで否定されたら、従うしかないのですが。

*1:もちろん正しくないことも時にはあります。しかしそれを是正するのは別のプロセスの問題なのです。共産党のビラづくりの現場ではとりあえず「正しい」ものとして進むのです。

故中曽根康弘氏への弔意表明の強制について

 今日、共産党福岡市議団は、故中曽根康弘氏への弔意表明を子ども・市民・市職員などに強制しないよう申し入れました。

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 そして私個人も市教育委員会と子どもが通う学校の校長先生に同様の請願をしました。

 

 弔意(人の死をいたみとむらう心)を持つかどうか。人間が死ねば誰でも弔うと考えるか、中曽根康弘という政治家を評価してその「業績」を批判し弔意を拒否するか——それは一人一人の内心の自由に深くかかわっています。

 例えば、中曽根内閣による国鉄分割・民営化によって労働組合による差別が持ち込まれ、雇用を失い、人生を狂わされた人たちにとって、単純にその死を弔えるものでしょうか。

 そして、弔意を抱いたこと、または抱かなかったこと、その表明の仕方は表現の自由に関わってきます。

 どちらも日本国憲法が保障する精神的自由の根幹に関わることであって、政府が簡単に踏み込んでいいものではありません。

 

 それでも、政府や自治体が国民・市民に対して誰かの死にへの弔意とその表明を「求める(お願いする)」ことは絶対にないわけではないでしょう。それは認めます。

 しかし、中曽根康弘氏への弔意を子どもたちに求めていいものでしょうか。

 中曽根康弘氏は、現職の総理大臣ではありません。現職の総理だから問題ないとは思いませんが、少なくとも彼はそうではありませんでした。中曽根氏は「元首相」ではありますが、それを辞めてからは、いわば「自民党の政治家」にすぎません。自民党の政治家に対して、学校が子どもに弔意表明をさせるのはおかしいのではないでしょうか。

 教育基本法第14条2項は、

法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。

と定めています。自民党の政治家への弔意表明はまさに「特定の政党を支持」するものだと思います。

 「君が代・日の丸」を子どもに押し付けることに私は反対ですが、少なくともそれは「学習指導要領」に書かれていて貧弱ながら「根拠」を持っています。*1

 しかし、自民党の政治家への弔意表明を学校が求める根拠はどこにもありません。子どもが拒否するか受け入れるかにかかわりなく、「求める」行為自体をやってはいけないものです。

 弔旗の掲揚も同じです。

 結局「学校の行為」としてやっているわけですから、子どもや地域住民にそれを押し付けているわけです。

 また、「命令や指示ではなく、あくまで求める=お願いだからいいではないか」という理屈もありますが、私はそうは思いません。なぜなら学校当局や教師たちのような「権威」が子どもに黙祷を「求めれば」、事実上の強制になってしまうのは明らかだからです。

 

 事情もよくわからない子どもたちが生活する学校現場にまで、菅政権は弔意表明をなぜ押し付けるのでしょうか。出来るだけ無理に土足で子どもの心に踏み込んで、子どもの心をできる限り支配しておきたいのでしょうか。そういう非合理な振る舞いとしか説明ができません。教育上の意義が1グラムも感じられない、逆に負の影響しか考えられない措置です。

 

 明日17日に自民党・内閣の合同葬があり、午後2時過ぎに黙祷などが強要される可能性があります。明日は土曜日なので普通は学校がないのですが、なんとうちの子どもの学校では土曜授業があります。

 弔旗が掲げられているかもしれません。

 午前中に黙祷が「求められる」かもしれません。

 あるいは午後の部活動で先生が中断して黙祷を「求める」かもしれません。

 そんなことにならないようにしたいと思っています。

 

追記(2020年10月17日午後8時20分)

 共産党市議団として観測した学校、私の子どもが通う学校では弔旗掲揚や黙祷呼びかけなどはなかったようです。ただし、市庁舎には弔旗(半旗)が掲げられていました。

*1:もちろん指導要領は絶対に従わなければならないものではなく、あくまで大綱的、つまり大ざっぱなところで沿っていればいい、というほどのものです。

福岡市で少人数学級が全校・全学年に拡大へ!

 1ヶ月ほど前に「少人数学級を超党派で進めよう」と呼びかけました。

kamiyatakayuki.hatenadiary.jp

 その記事にも書きましたが、これは共産党福岡市議団としてずっと掲げて、繰り返し質問・要望をしてきたものでした。

 また、私の市長選挙公約でもありました。

教育については子どもの権利と現場の自主性を最大限尊重するように切り替え、行政の圧力や統制をやめます。教育への介入ではなく、条件整備こそ市長の仕事! 少人数学級の全学年への拡大……など条件整備に積極的に役割を果たします。

https://kamiyatakayuki.hatenadiary.jp/entry/2018/10/04/233009

 

 そして、なんと福岡市で来年度ではありますが、福岡市で35人以下での学級編制(35人以下学級)、すなわち少人数学級が全校・全学年に拡大されることになりました!

 

市は来年度、全校の全学年で35人以下学級にするために新たに計308教室が必要として、特別教室の改修やプレハブ校舎の設置などを進める。

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/639827/

 これは、共産党市議団の論戦、市民の運動が切り開いてきた本当に大きな成果です。

 コロナのこの時期、出来るだけ前倒しで、そしてさらに30人未満、20人以下へともっと少人数の学級にしていきたいですね。

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国の基準を前進させよう

 そのためにも、福岡市だけでなく、国がまず学級編制基準を「40人」から「35人」「30人」「20人」へとシフトして、少人数学級にしていく必要があります。国が大きな制度で下支えをすれば、福岡市をはじめ全国の自治体はもっと少人数にしていけるわけです。

 

 党派を超えた署名運動が広がっています。

 私も署名しましたが、ぜひ多くの皆さんに署名していただきたいと思います。

www.jcp.or.jp

www.change.org

 

 こうした中で、国政でも変化が起きています。

 今年の6月の国会で共産党の志位委員長が「少人数学級の取り組みを加速させると約束を」と質問し、安倍首相は「コロナ後を見据えて、検討していきたい」と答弁しました。

志位 総理に聞きます。総理は、2015年2月23日、この予算委員会の答弁で、国会での全会一致の決議を踏まえて、小学校1年生、2年生で実現している少人数学級をさらに広げるために「鋭意努力していきたい」と答弁されているんです。5年前の答弁です。今回の事態を踏まえ、少人数学級の取り組みを加速させると約束してください。5年前のあなたの答弁を踏まえて。

首相 すでにいまご紹介いただいたように、政府としては、少人数学級に向けて、われわれ努力を重ねてきたわけでございます。前進している、こう考えておりますが、このコロナという状況を受けてどのように考えていくか、コロナを経験したうえにおいて、コロナ後を見据えてどう対応していくかということについては、先ほど萩生田大臣から答弁をさせていただきました、まさに、われわれ、そうしたことを踏まえて検討していきたい、こう思っております。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik20/2020-06-12/2020061204_01_0.html

  7月23日の畑野君枝衆院議員(日本共産党)の質問にも見直し検討を、文科相が約束しています。

www.jcp.or.jp

 

 

 

 最近の国の有識者の会議でも少人数学級を求める声が上がりました。

 

www.kyobun.co.jp

ポストコロナの学校像を方向付ける政府の教育再生実行会議が8月25日、首相官邸で開かれ、注目されている少人数学級について、出席した委員から「少人数学級を進め、30人未満の学級にしてほしい」との意見が出た。これに対する異論や反対意見は出なかった。

 

 今まさにチャンスです。

 9月は各省庁が来年度予算の概算要求を行う時期です。

 今運動を強めることが非常に重要です。

 いっしょに実現させていきましょう。

 

 

 

少人数学級を超党派で進めよう

 新型コロナウイルスパンデミック以来、初めて記事を書きます。

 書きたいことはいろいろあるんですが、超党派で進められることは進めよう、ということについて重点的に書いていきたい。

 

 取り上げたいのは学校の学級規模です。

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 社会的距離を2m、最低でも1m撮ろうよというのが専門家会議が推奨した「新しい生活様式」です。共産党の志位委員長が国会で取り上げていましたが、40人学級のもとでの教室ではこの距離が取れないのです。つまり1m取れない。

www.jcp.or.jp

 

 これは福岡市でも事情は同じでした。

 共産党の堀内徹夫市議が6月議会(6月15日、本会議)で質問しました。

www.jcp-fukuoka.jp

堀内 現在1m以上の身体的距離が確保できる教室で授業を受けているのは小学校で児童数のうち何パーセントになるのか、答弁を求めます。

教育長 1m以上の身体的距離が確保できる児童の割合は、小学校はおよそ87%となります。

堀内 残る13パーセントの児童、1万693人は濃厚接触状態で最大7時間の授業を受けているということです。「新しい生活様式」と大きく矛盾するのではありませんか、答弁を求めます。

教育長 文部科学省が示した「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」により児童生徒の感覚を1mを目安に学級内で最大限の間隔を取るように座席を配置した上で、座席の間隔に一律にこだわるのではなく換気などを組み合わせることなどにより現場の状況に応じて柔軟に対応することが示されております。このマニュアルに沿って身体的距離の確保については適切に実施をしてまいります。

 

 1m取らなくても換気とかすればよくね? という文科省マニュアルに沿った答弁をしていることがわかります。これが学校での身体的距離に対する福岡市教委の公式の立場なんですね。

 福岡市は予算をつけて教員を少しだけ増やし、学級(クラス)はそのままにするけど、授業については35人以下でやるぞとしました。そうすると教室が35人以下になります。その時1mの距離はできるのでしょうか。堀内市議が質問しました。 

堀内 補正予算では補正予算で加配教員を配置し、小学6年生の一部で少人数編成による授業(35人以下授業)を実施するとしています。小学6年生について加配教員の配置によって、1m以上の身体的距離が確保できる学校は144校中のうち何校になるのか、答弁を求めます。

教育長 小学校6年生について1mの距離が確保できている学校は99校、残り45校については担任以外の教員の活用により少人数編成による指導を行なっております。

  ちょっとわかりにくいですけど、補正予算で新しく教員を加配して35人以下の授業をやるようになったところではすべて身体的距離(1m)が確保されている、と言っています。

堀内 20人学級ならば身体的距離の確保ができる旨の答弁をされました。現在先生たちも分散登校の時に20人程度の教室を実体験されて、「この規模ならば全児童・生徒の学習への支援も給食や消毒の対応もしっかりでき、感染症拡大の心配も少なくなる」と話されています。20人学級ならば身体的距離が確保できるだけでなく、一人ひとりの子どもにていねいに寄り添い心のケアにしっかり取り組めるとともに、学習の遅れに対する個別指導もできるということです。そして少なくとも35人学級にすれば、最低1mの身体的距離の確保が十分できることもはっきりしました。したがって全ての学校で1mを確保するために、直ちに教員を増員すべきではありませんか、また将来的には20人以下学級を展望し、まずは教員を増員して、全ての学年で35人学級を実現させるべきではありませんか、答弁を求めます。

教育長 教室における児童・生徒の密の低減については、担任以外の教員や空調が整備された特別教室や余裕教室を活用し、少人数編成による指導により対応してまいります。35人以下学級につきましては第二次ふくおか教育振興基本計画に基づき小・中学校9年間の発達区分に応じた教育を推進するため、小学校1年生から4年生までは35人以下学級とし、中学校1年生についても学校の選択による35人以下学級を選択しております。全ての学校で35人以下学級を実施するには相当数の教員、教室が必要となるなどの課題があると認識をしております。

 

 ここは、少人数編成のクラスではなく授業で対応すると言っています。「同じじゃない?」と思うかもしれませんが、授業が終わるとクラスに戻ってきてまた40人学級になっちゃうわけですね。身体的距離の確保という観点だけから見ると意味がありません。

 そして、35人以下学級がこれまでの市の計画通りでそれ以上の学年では増やす気はありません、と言っているのです。ちなみに私の娘は市内の中学1年生ですが、学校の選択によって35人以下学級ではなく40人学級にされています(39人クラス)。

 身体的距離の確保などにはこだわらない、35人以下学級はしない、というのが市教委の立場であったことはわかったもらえたと思います。塩対応です。

 

 ところが、7月3日にこういう発表がありました。

www.jcp.or.jp

 

 「全国知事会」とあるんですが本文を読むと「全国市長会」も入っています。

 この中には福岡市も当然入っています。そして福岡市は理事なんですね。

 その提言には次のように書かれています。

http://www.mayors.or.jp/p_action/documents/200708njmanabi-yousei01.pdf

公立小・中学校の普通教室の平均面積は64m²であり、現在の40人学級では、感染症予防のために児童・生徒間の十分な距離を確保することが困難であることから、その対応が学校現場において大きな課題となっている。こうした実情を踏まえて、今後予想される感染症の再拡大時にあっても必要な教育活動を継続して、子どもたちの学びを保障するためには、少人数学級により児童・生徒間の十分な距離を保つことができるよう教員の確保が是非とも必要である。

 

 なんと!

 身体的距離の確保が不十分だから少人数学級にしろ、そのために教員を確保しなければならないと提言しているのです。

 「換気すればいい」「少人数学級は市の計画通り」とする立場を事実上大きく修正しています。

 一党一派の意見ではなく、全国の知事・市町村長の共通の意見となったわけです。

 これは超党派でぜひ進めるべきだろうと思います。

 

企業主導型保育はこのまま進めていいのか

 どこに書くべきかわからなかったので、ここに記しておきます。

 福岡市を舞台にして補助金の不正詐取事件で問題になったコンサルティング会社があります。その関連施設が中洲にあって、保育士の給料は出ない、電話は止まる、改善の要望にもまともに応じない、などの重大な問題が出ていました。

 日本共産党はこの施設からの訴えをもとに調査を行い、私も同行しました。

 福岡市議団では山口湧人市議が9月に取り上げました。

www.jcp-fukuoka.jp

 その後、日本共産党の田村智子参院議員も国会で取り上げました(参院内閣委員会 2019年11月7日)。

 その時の議事録です。

 まず前半です。

 この会社は相当ヤバいと早くからわかったはずなのに、なぜ助成が決定され、いつまでも放置され続けたのか。助成決定前に助成されるということをその会社が知っていたのか。

 それは、今回IR疑獄で逮捕された秋元司副大臣が関わっていたからではないのか、という追及を田村智子議員がやっています。

 

○田村智子君

 次に、企業主導型保育事業についてお聞きします。
 企業参入を短期間に大規模に促すために保育事業の経験のない企業も参入させる、全国からの事業申請を児童育成協会が全て受け付け、面談も現地視察もないままに、メールと電話のやり取りだけで審査をして助成決定をする、これではもうけ本位の不適切な事業者が参入し得るということを厳しく指摘してまいりましたが、そのとおりになってしまいました。
 工事費の水増し請求で助成金を詐取した合同会社ANELA、助成金を受け取りながら施設整備さえしていなかったコンサルタント会社WINカンパニー。どちらも会社役員が逮捕されるという事態にまでなりました。
 この二つの会社が関わった企業主導型保育施設は何か所で、助成額は幾らか。また、既に補助金助成して不適切だと思われる施設の総数、助成金額の総額、お示しください。

 

○政府参考人(嶋田裕光君)

 まず、お尋ねのWINカンパニー、ANELAの関係の関わった施設と助成された金額というお尋ねでございますけれども、まず、WINカンパニーにつきましては、設置者となっている施設は一施設、直接設置者となっている施設は一施設でございまして、七月一日から休止をしておるというところでございます。そして、返還を求めている金額は、この一施設については四千二百万円でございます。
 一方、このWINカンパニーがコンサルその他として関連する施設について、その対象がどこまでかというのが明らかでないため、網羅的にお答えすることは困難ではございますけれども、現時点で取消し又は取りやめをした施設のうち、保育施設の名称とか、あるいは申請担当者が同じであるといった情報からWINカンパニーが関連していると考えられる施設を挙げると、十施設というふうになります。なお、その十施設に対してこれまで助成された金額については、正確には現在精査しているところですが、返還を求めている金額といたしましては約八億五千五百万円でございます。
 それから、ANELAにつきましては、合同会社ANELAが設置者となっている施設は七施設ございましたが、現在は全て事業譲渡されておりまして、なお、その七施設に対してこれまで助成された金額及び返還を求める金額については、水増し分がどれだけなのかということについてもありますので、それを精査している段階でございます。
 いずれにしましても、内閣府としては、実施機関を点検し、補助金の返還につながるような事案の有無に対して調査を進め、必要に応じて厳正に対処しているところで、引き続き調査を進めてまいりたいと思います。
 それから、あともう一つお尋ねがありました、これまで助成してきた施設で助成金の返還が発生してきた過去の施設の総数と金額という、これもお尋ねだったと思いますけれども、これも四月の二十六日に公表させていただきました企業主導型保育事業の平成二十八年度、二十九年度助成決定分の検証について、いわゆる二か年検証と言っておりますけれども、それにおきまして示しましたところでは、助成決定後、事業の取消し及び取りやめをした施設のうち、助成金の返還が必要であった五十九施設のうち五十施設については既に返還済みとなっておりましたが、その後の状況とか返還が発生した助成金及び返還される助成金の総額については、現在ちょっと精査をしているところでございます。
 また、九月の二十七日に公表いたしました児童育成協会に対します実地調査報告の時点で明らかにしましたのは、取消し及び取りやめにより現在も助成金の返還を求めている施設というのは、取消しが十六施設、それから取りやめ八施設の合計二十三施設でございまして、返還を求めている助成金の総額は約十一億、十一億円二千万でございまして、この額は先ほど言いましたWINとかそういったものの額を含んだものになっているということでございます。

 

○田村智子君

 これ、とんでもないことなんですね。
 今お話のあった内閣府調査チームが児童育成協会への実地調査を行ったと。それで、その施設の一覧、これ私も資料で二枚目と三枚目に付けています。
 WINカンパニーは、企業主導型保育事業をやりませんか、事業申請、建設、保育の実施まで全てお任せくださいというコンサルタント会社で、その関連企業が、J―Alive、ジャングルフードサービス、全国子ども保育促進機構、こういうところが設置者や保育受託者にもなっていたわけです。だから、どこまで関わっていたかというのは本当に分からないような状況になっているんですね。
 児童育成協会が審査するのは設置者だけなので、コンサルで関わっていた、不適切企業が、あるいは保育委託先が不適切な事業者だった、こういうことは把握する仕組みもないわけですよ。
 私は、福岡市内のWINカンパニーが関わった保育園の現場に実際に行きました。KIDSLAND柳瀬というのがこの欄の中にもありますけど、内閣府の資料には、整備完了報告において事実とは異なる報告をする不正の事実が判明したという柔らかい書き方なんですけど、今年七月に助成決定取消し。所在地はただ雑草が生い茂るだけの更地で、何の工事もされていなかったということは一目瞭然だったんです。
 WINカンパニーとその関連会社に対しては、二〇一六年度、平成二十八年度から次々に助成決定していますが、これ、現地に行って確認すれば、まともな事業者ではないということはもっと早い時点で分かっていたはずなんですよ助成金詐取というのは一件起きたって大問題です。ところが、年度をまたいで延々続いて、分かっているだけで、WINカンパニー絡みだけで八億超える返還ですよ。
 これ、問題を認識できる能力がなかったのか、それとも、何か問題あるなと気付きながら助成決定続けたのか。どうなんですか。内閣府

 

○政府参考人(嶋田裕光君)

 今般、不正事案が発生したことを踏まえまして、現在の実施機関である児童育成協会の実態調査をいたしておりまして、この結果、事業を所管してきた内閣府と児童育成協会がきちんと対応できなかったことというのが改めて確認されて、この点はしっかりと受け止めたいというふうに思っています。
 今後、今後の不正事案が生じることのないように、これまで専ら、先ほど御指摘のありましたように、書類審査のみであった点というのは、申請者に対するヒアリングをしっかりする、あるいは現地確認を行うということで公募要領に改善方策を盛り込んでおりまして、実施機関を改めて公募をしているところでございまして、これを基に着実に制度の仕組み、制度の仕組みの改善を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

 

○田村智子君

 WINカンパニーについては大変闇が深いです。
 これ、WINカンパニーがコンサルトとして申請代行をしているんですけれども、私たちのしんぶん赤旗日曜版が取材したところ、この申請代行を依頼した事業者の中には、申請に必要なIDを自分は知らない、申請内容の確認もできない、こういう方がいました。また、申請から助成金が振り込まれるまで、ただの一度も児童育成協会からの連絡がなかったと。川崎被告が逮捕される直前に初めて協会から連絡を受けて、何で今まで連絡なかったのかというやり取りしたんでしょうね、そうしたら、育成協会の担当者は、川崎さんから直接連絡しないようにと言われていたので連絡できなかったと、こういう弁解の説明を受けたんですよ。これ、川崎さんというのはWINカンパニーの代表で、逮捕された被告ですね。こういう証言は、WINカンパニーに申請代行を依頼した複数の事業者から私たちは得ています。
 これ、一般論としてお聞きします。コンサル会社が申請代行すると、その設置者である、申請者ですよ、本当の、そこに一度も連絡しない、メールもない、電話もない、こんなことあるんですか。

 

○政府参考人(嶋田裕光君)

 その点については後ほど確認させていただきます。

 

○田村智子君

 これ、極めて不自然なんですね。
 この逮捕されたWINカンパニーの川崎被告、脱税で有罪となって不動産業をやめて、名前を変えて、自分の名前を変えて、今度は企業主導型保育事業をビジネスにするためにWINカンパニーを立ち上げたと。そして、あきもと司前内閣府副大臣と古くからの知人であることは、あきもと氏が認めているとおりなんです
 資料でしんぶん赤旗日曜版の記事を付けていますので、よく御覧いただきたいんですけれども、この川崎被告は、企業主導型保育事業が始まった直後の二〇一六年六月、内閣府子ども・子育て本部の参事官、参事官補佐、企画係長の名刺、つまり企業主導型保育事業の担当者の名刺を周囲に見せていたというんですね。その名刺の写真も新聞には載せました。
 二〇一七年二月三日、保育事業関係者に、二月二十三日にほとんどの内閣府の許可が出ます、他の保育園の名前を記しているんでしょう、その園についても月内には許可出る見込みと答えが入り、みんなで万歳してますというメールを送っています。私たち、そのメールを見ています。実際、若干の時間のずれはあったんですけれども、二月二十七日以降、この川崎被告が絡んだ十九園について次々と助成決定がされています。
 さらに、同じ年の十一月二日には、来週、内閣府及び内閣府副大臣あきもと司先生との衆議院会館にて訪問アポが取れていますというメールも送信されています
 なぜ川崎被告が子ども・子育て本部参事官の名刺を持っていたのか、なぜ助成決定を事前に知っていたのかあきもと氏が関わっていたからではないのかという疑念が湧いてくるわけです。また、二〇一七年十一月、あきもと副大臣は川崎被告やWINカンパニーの関係者に直接面談していたのか。もうこのとき副大臣ですから、内閣府分かると思います。以上を答弁いただきたいと思います。

 

○政府参考人(嶋田裕光君)

 御指摘されている、報道されているような、内閣府職員とそれから議員、あるいは関係者との接触等がなかったかどうかにつきましては、現在、ちょっと事実関係を調査しているところでございます。

 

○田村智子君

 これ、是非調査をちゃんとやっていただきたいんですね。助成決定内容が事前に知らされるなんというのはあり得ないことですからね。
 衛藤大臣にもお聞きしたいんです。WINカンパニーと内閣府接触、これ、当時内閣府副大臣だったあきもと司氏がどういう関わり方したか。これは内閣府だけにお任せしないで、これ、大臣もちゃんと見て、徹底した調査やっていただきたいと思いますが、お願いします。

 

国務大臣衛藤晟一君)

 企業主導型の保育というのは、ある意味では企業と一体となって頑張っていただいている、いいところもたくさんありますけど、今お話がございましたように、やっぱりその中に、本当に善意を持ってやろうという人と、これはひとついい仕事だと思ってやろうとする人が混在して入ってくる可能性は当初から、御指摘されたということでございますが、私も今までずっと社会保障の関係もやらせていただいていまして、そのとおりだという具合に思っています。
 それだけに、児童育成協会に対して指導が甘かったというか、基準をちゃんとしていなかったということでございまして、今、これを精査をして、そして基準をはっきりしようとしているところでございます。
 調査についても、できるだけの調査を職員を通して今やっている最中でございますので、ちゃんと見届けたいというふうに思っております。

 

○田村智子君

 これ、あきもと司氏は、五月二十三日、参議院厚生労働委員会石橋通宏議員の質問に、川崎被告とは少なくとも五、六年会っていないと答弁しています。しかし、川崎被告は二〇一七年六月、あきもと氏の政治資金パーティーに複数の保育事業者とともに参加し、あきもと氏と記念撮影もしている。十一月に面談したのではないかという疑惑も浮上をしました
 WINカンパニーによる助成金詐欺がなぜこれほど大規模に起きたのか。これはあきもと司氏を本委員会に参考人として招致し、真相究明することが必要だと思いますので、委員長、お取り計らいください。

 

○委員長(水落敏栄君)

 後刻理事会で協議します。

 

 ここで、私も一緒に行った施設の話が出てきます。

 

○田村智子君

 内閣府は、問題の責任を児童育成協会に押し付けて、十月一日から新たな事業者を公募することで問題の幕引きを図ろうとしているんですけれども、これは許されないです。
 そもそも、企業主導型保育を所管する内閣府に何のチェック機能もなかった。また、問題が明らかになっても迅速に対応することもできなかった。これは極めて重大です。
 WINカンパニーの関連企業が設置者となったある保育園では、この企業の役員も逮捕をされてしまって、保育現場は大混乱となりました。それでも、保護者と子供たちを路頭に迷わせるわけにはいかないと、施設長と保育士の皆さんは保育を継続したんですね。けれど、助成金は全く入ってこなくなる、保育料も委託会社が徴収しているので手元には来ない、家賃も保育士の給料も払えない、その上、保育園とは全く関係のない高額の飲食費などの請求書が次々に保育園宛てに郵送されてくると。一体どうしたらいいのかという状態になって、児童育成協会に電話を何度もしているんです、施設長さん。ところが、担当者が不在だとか、折り返し連絡するとか、こう言われるだけだった。とうとう、この施設長さんからのSOSが参議院選挙の真っただ中に私の事務所に寄せられることとなりました。
 七月十七日、私の事務所で内閣府の担当者を呼んで、すぐに相談に乗って児童育成協会と内閣府の責任で打開の方向を示すべきだというふうに求めましたが、事態は全く動かなかったんですよ。八月に入ると、今度は保育士全員に解雇通知が一方的に郵送される。これでまたSOSが来たわけですよ。もうこれは私も駆け付けるしかないと思って、飛行機で駆け付けましたよ。それで、施設長にも会って事情を詳しくお聞きして、聞き取った内容を内閣府にも伝えました。何で対応しないんだと、厳しく意見しました。
 これも含めて、私の事務所では都合四回にわたって直接内閣府を呼んで、現場は不安でいっぱいの状態でも懸命に保育を続けているんだと、早く直接相談に乗ってどういう対応ができるか話をすべきだと繰り返し繰り返し求めたわけです。その後、施設長さんと連絡取ってみたら、お盆明けにやっと児童育成協会の担当者が現場に向かったというふうにお聞きをいたしました。
 認可保育所だったら、こんな無責任な対応が、行政がやる、あり得ないですよ。保育継続が危機に陥っても内閣府には実施機関にまともな対応をさせる能力も体制もないということが露呈をしました。このまま企業主導型保育事業を続ければ、私は同じ問題が起きかねないと思いますが、これ、大臣の認識をお聞きします。

 

国務大臣衛藤晟一君)

 現実に、ここまで保育事業が、企業主導型の保育については来ました。そういう中で一部問題が起こったことは大変遺憾だと思っております。
 今御指摘をいただいたとおりでございまして、そういう中には、やはり民間だけの主導によると大変難しい問題が生じてくるということはお互いにみんな恐らく理解をしていたんだろうと思いますが、そこまでチェック機能を持たなかった。児童育成協会も持たなかったし、内閣府も持たなかったということも恐らく事実であろうかという具合に思っています。
 ですから、今、これを全部精査をして洗い直して、そして管理団体を公募、実施機関というものを公募しているところでございまして、この公募を、基準を決めて今度は公募いたしておりますので、書類審査だけじゃなくて、実地の検査だとか、あるいは指導がちゃんとできるようにとか、そういうことができる機関としての実施機関を公募をしているということでその出直しを今やろうとしているところでございますので、どうぞ御理解をいただければという具合にお願いを申し上げる次第でございます。

 

 国会議員が対応を求めても全く是正に動こうとしない。そういうずさんな監督体制(国すら直接関与せず、団体に丸投げしている)が企業主導型保育だと言えるのだと追及しています。

 

○田村智子君

 これ、だからチェック機能を児童育成協会も果たせていない、内閣府も果たせていない。だったら、やっぱりどういう体制をつくっていったらチェック機能が果たせるのかということをまず何をもっても真剣に検討しなければならないというふうに思うんですよね。
 それで、これ保育事業に責任持てないような状況というのは本当に深刻で、子供の命や育ちを預かる事業ですから、私は、何というか、こういう問題は今になって分かったことではなくて、もう詐取事件見ても分かるとおり、もっと前から分かっているんですよ。ところが、安倍政権の肝煎りの政策で企業主導型ということが言われて、これで待機児童の受皿になるんだということが言われると、結局、そういう検証がないままに、とにかくどんどん箇所数増やしていく、こういうことがこの間、ただただやられてきたんじゃないのかというふうに思うんです。そもそもの出発点からして拙速だったんじゃないかとも思うわけですよ。
 最初の公募、これ東京新聞が夏に詳しく報道しましたけれども、これ児童育成協会が引き受けたときの公募ですね。これ、応募はたった二つの事業者だけだったんですよ。それはそうですね。保育の審査をするとか、あるいは運営費の交付をするなんというのは、これは自治体以外にノウハウがないわけですから。そもそも、民間のところに、こういうのをやってくださいと、応募して、果たしてそういうノウハウある事業者があるのかといったら、ないですよ。で、二事業者しかなかったんですよ。
 評価検討委員会の評価の平均点というのは、四十八点満点なんです。ところが、これ東京新聞の記事では、そのうちの一者は僅か二・四点でしかなかったと。もう一者、これが児童育成協会だと思いますけれども、二十一・一点なんですよ。東京新聞が取材をした評価検討委員会の委員の一人は、平均で満点の五割を切る得点で事業者が選ばれたことに心配もあったと、そう答えています。これ、やっぱり見切り発車でスタートしたんじゃないのかと言わざるを得ないような事態です。
 また、児童育成協会は問題だったと、今まさに十月一日から新たな実施機関の公募していますけど、同じように拙速に年内に事業者決定、これやってしまうんでしょうか。また拙速重ねることになると思いますが、これも大臣の見解をお聞きしたいと思います。

 

国務大臣衛藤晟一君)

 実施機関の公募については、これまでの反省を踏まえて結構厳しく精査をしてその条件を出しておりますので、そういう意味ではちゃんといけると思います。
 しかし、今先生御指摘のように、内閣府は、どちらかというと、こういうことに関しての今までノウハウを持っていないことも事実です。それは、保育は今まで厚生労働省で中心でやってきました。しかし、その中での認可の保育所もあり、それからまた、市町村の方では無認可をどうするかということで、大変やっぱり直接お金が行っていないところについてはやっぱり非常に苦労してきたわけであります。そのことはみんな存じております。
 だから、そういう意味では、内閣府の方にも厚生労働省からも出向してもらって、これがちゃんと行われるように今厳しくやろうとしているところでございますので、拙速と言われないように、今度は足下を固めて、ちゃんとした形で実施機関を選び、そして実施機関に対する指導を強めていきたいという具合に考えています。

 

○田村智子君

 企業主導型は、既に三千八百か所、全国につくられているんですよ、以上。これ、ここに適切な助成金の給付をする、立入検査の確実な実施等、指導監督を行う、これ、たった一つの事業者が行うことが本当にできるのかということも含めて、真面目な検証が求められていると思います。日本一大きな自治体である横浜市でも、これほどの規模の保育施設の指導監督、運営費の給付、やっていないですよ。
 私、もう一つ、そういう状態で新たな事業者決めて、じゃ、今度はまた新規の事業決定、これを受けることになるんだろうかと、このこともちょっと内閣府に確認をしておきたいんですね。
 私、伝え聞くところでは、年内にもう今年度予算で二万人分積んでいるんですよ。だけど、事態がどんどん起きてしまったから、今年度は一切新規募集やらなかったんですよ、今のところ。だけど、予算は二万人分あるんですよ。それじゃ、新しい事業者を決めたら、これ新規に事業者決定、新規の受付、またやることになるんですか。

 

○政府参考人(嶋田裕光君)

 先ほども申し上げましたように、現在実施機関の公募を行っておりまして、年内若しくは年明けを目途に改めて実施機関を選定するということとしておりますけれども、既存の企業の主導型保育施設の保育の質の確保とか、あるいは安定的な運営に配慮した指導監査が行えるように企業主導型保育事業の制度、仕組みの改善を徹底してやりたい、そういった観点、立場に立っております。
 その上で、新規の施設募集につきましては、実施機関が審査体制を踏まえた一定の準備ができるよう、審査開始の時期を実施機関、選ばれた実施機関と調整をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 

○田村智子君

 これ、一定の準備というふうにおっしゃったんですけど、本当にすさまじい準備が必要になると思いますよね。
 どこの自治体もやったことのない三千八百者以上をいかにして適正に管理をしていくのかということだけでも大変なことになる。また、もう詐欺に遭っていますから、返還求めなきゃいけない。WINカンパニーの案件なんか物すごくいろんな業者が入り組んでいますよ。これを解明して、ちゃんとその補助金を、助成金を取り戻す。これだけだって大変な体制が必要になりますよ。それから、おっしゃるとおり、内閣府にもノウハウがない。それじゃ、保育の関係者がいかにしてその体制の中に入れることができるのか。
 そういうことを徹底的に準備をするということでよろしいんですか、衛藤大臣。

 

国務大臣衛藤晟一君)

 この企業主導型の保育につきましては、元々その保育という議論の中で、大規模な保育からいろいろございますが、そういう中で各都道府県から出てきた問題は、無認可も一定の基準を設けて厳しくしていけば、やっぱり保育としてちゃんと扱わないと現実的にはやれないじゃないかという議論も出てきました。そういう中で、保育の充実全体として考えざるを得ないということになってきました。
 また、こういう議論の中で、保育については、今の子育ての観点からいって、小規模とかあるいはお母さん方が預かるとかいろんな形の展開を考えないといけないねと、もっと細かく行き届くところも必要だねという中で、企業主導型という形で、いわゆる働いているところと極めて近いという意味で大きなメリットがあります。
 ここは、ほとんど小規模でございますけど、やっていく中で地域の方にも半分は開いてもらう、門戸を開けてもらって結構だから、そういう形でうまくやってもらいたいということでやったところでございまして、企画の案としては極めて私はいい形で出たと思いますが、今お話がございましたように、どちらかというとやっぱり管理面での弱さがあったことは事実でございますので、今、これは改善方法を見付けて、そして一応の精査を、一応のところは終わりましたので、そういう方向で新しい実施機関も公募をしているところでございまして、そういう中で厳しく指導についてはちゃんとした指示を出していけるようにやらせていただこうと思っていますので、その決意で臨んでいることは間違いありませんので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 

○田村智子君

 じゃ、終わります。

 

 私も同行してそのあと調べて改めてびっくりしたんですが、福岡市内のその企業主導型保育園は、まず「企業の従業員の子どもを預ける」という前提になっているはずの「企業」と、その保育園の実際の繋がりが全然ありませんでした。

 つまりその企業の経営者や従業員の顔も見たことがないような状況で保育園の運営が始まります。さらに、保育園は、別にその「企業」が運営しているのではなく、どこかに委託しています。その「委託会社」が保育園を運営しています。「委託会社」はいろんなところから「保育者」、保育士やら保育士でない人やらをかき集めてくるんですよね。

 だから、「企業」と「委託会社」と「保育者」はもうバラバラなわけです。これが企業主導型保育園の通常モードです。

 しかも、これをどこが監督するかというと国なんです。

 国が全国に4000もある施設を全て直接管理するのかというと、それを「管理団体」に丸投げしているのです。なので、実際には書類だけ、現場に行くことがあってもトンチンカンな「指導」しかできない――こうなっているわけです。

 当事者が複雑に入り込んで、お互いに無責任になり合う構図です。

 こんなことは私が子どもを通わせた認可保育園では絶対にありえません。

  さらに、福岡市のこの事件の場合は、この全てに「コンサル会社」が関与し、全体を取り仕切っているんです。だから、話は全部その「コンサル会社」が「まとめて」います。いや、実際には何もまとめてなくて、苦情にもまともに対応していなかったわけですけど。

  「待機児童解消」を旗印に補助金だけはおりてくるので、そこにダニのような連中が群がってきています。

 こういう仕組みを安倍政権と髙島市政は続けるのでしょうか。

消費税が10%になった今、どういうたたかいを始めるか

 私が市長選挙で公約し、主に街頭で訴えていた3つの大きなテーマがあります。

 一つは、ロープウエー計画の中止。これは実現しました。

 二つ目は、高齢者乗車券の存続。これも実現しました。

 そして三つ目は、消費税の10%への増税中止でした。残念ながらこれだけは実現していません。そして、10%となってしまいました。

 もちろん、私はあきらめるつもりはありません。市長選で掲げた公約は、あくまで追求していくつもりでいます。

 では、この時点でどういう運動を始めていくべきなのでしょうか。

 私が所属している日本共産党は、次のような呼びかけを行いました。

 

www.jcp.or.jp

 

共産党の呼びかけのロジック

 この呼びかけは、どういうロジックで成り立っているのか、注意深く読んでみましょう。

 まず、そもそもに立ち返り、消費税という悪税を廃止する旗を改めて高く掲げています。

 その上で、

同時に、消費税廃止を目標としつつ、次の緊急の要求を掲げて、国民の共同のたたかいを発展させることを呼びかけるものです。

 とつなげています。それは消費税を5%に減税することを「国民の共同のたたかい」、つまり共闘の目標にしていくというわけです。

  • 党としては、廃止を展望する。
  • しかし、当面の市民と野党の共闘では5%減税を目標にするよう努力する。

という整理でしょうか。

 そして、さらに次のような書き方がしてあります。

 野党は、共通政策で「消費税10%への引き上げ中止」を公約にして参議院選挙をたたかいました。安倍政権が10%への増税を強行したもとで、野党が減税に向けた共闘を発展させることは、国民に対する当然の責任だと考えます。

 日本共産党は、共通政策を土台に、消費税減税に向けた野党の協議を開始し、共闘をさらに発展させることを心から呼びかけます。日本共産党としては、「5%への減税」が野党の共通政策となるように、力をつくします。

 

  「共通政策を土台に」というのは「消費税の10%増税中止」が「共通政策」なのですから、10%になった今、つまり「10%への増税を強行したもとで」、共産党は将来的な廃止の一里塚として、当面の共闘目標を「5%減税」にするために努力する……ということなのですが、同時に、「共通政策を土台にした消費税減税に向けた協議」のゴールがどうなるかは当然書いていません。

 10%が仮に8%へ戻すという減税に落ち着くこと(もっと言えば9%減税になる可能性)もありうるということでしょうか。何れにせよ、「10%から引き下げる協議」を開始するということなのでしょう。

 

新たな財源論――決着する目標税率にどれにでも対応

 そして、目標とする減税の税率がどういうふう決着しようとも対応できるように、参院選の時とは違った財源を示しています。

 例えば、

  • 法人税の税率を安倍内閣以前の水準に戻す(中小企業は除く)こと
  • 軍事費や大型開発をはじめ予算を見直し、無駄を削減すれば、3兆円程度の財源を国民の暮らし優先に振り向けることが可能
  • 為替取引税、富裕税、炭素税(環境税)を創設

などは、参院選の時の共産党の公約にはありませんでした。

 

 

違いを超えて共同できる整合的な道

 廃止の旗を掲げる「れいわ」や、消費税増税合意をかつて行ってしまった旧民主党系の人たちを含めた野党が、その違いを超えて、整合的に共同していける当面の道としては、なかなか説得力があると考えます。この方向で新しいたたかいを始めることに大いに賛成します。

 

 

おまけ:MMT論などへの批判

 そして、この共産党の呼びかけには、

なお日本共産党は、赤字国債の乱発と日本銀行による直接引き受けなど、野放図な借金を消費税減税などの財源にすることには賛同できません。

 が書かれました。つまり、MMT論などと一線を画することを明記しているのです。

 ちなみに、私も賛同している「薔薇マークキャンペーン」は、

(4.)の増税が実現するまでの間、(2.)の支出のために、国債を発行してなるべく低コストで資金調達することと矛盾する政策方針を掲げない。

 という公約の遵守を求めています。

rosemark.jp

 ただ、これはMMTそのものでもないし、最初から「野放図に国債発行」をすることを求めるわけではないので、矛盾しないと考えます。

 

 

国民健康保険料の引き下げを求める福岡市の会

 国民健康保険料の引き下げを求める福岡市の会が発足し、引き下げ署名運動が開始されています。

www.facebook.com

 

 国保料引き下げは私の市長選での公約でもありました。

 

kamiyatakayuki.hatenadiary.jp

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 保守・革新とわず党派を超えた市民運動になっていけばいいなと感じています。