市政だよりに載ったロープウエーの耐風速の数字はデタラメだった

 3月8日の福岡市議会の条例予算特別委員会総会は、さながらロープウエー議会でした。共産党、市民クラブ、維新、みどりネットだけでなく、自民党までもがロープウエー予算削除の論陣を張ったからです(ただし自民党は「ロープウエーそのものには反対ではなく時期尚早だから」という理由ですが)。

 ここで共産党の星野美恵子市議が質問を行い、市が「市政だより」で紹介している、有識者の研究会(福岡市ウォーターフロント地区アクセス強化研究会)の結論と、それをめぐる市の「Q&A」が、全くのデタラメではないかということを追及しました。

 

 長々と書いてますが、時間がない人のために3点に要約したポイントを記します。

  1. ロープウエーは風に弱いことが専門家の常識だが、市長がつくった有識者の研究会ではそのことがまじめに検討された形跡がない。議事録では1〜2行だけ。
  2. 有識者の研究会に出され、市政だよりにも載せられたロープウエーの風に対する強さの数字は「風に弱くない」という結論を導くために、混ぜてはいけない、種類の違う数字を混ぜて記載している。「運転を止める風の強さ」だけでなく「柱がこわれない風の強さ」を混ぜている。
  3. ロープウエーが運転を止めるのは「風速毎秒15m」、他の交通手段は「25m」というのが実態。つまり「風に弱い」。

 

 では、お時間のあるあなた、本文をどうぞ。

 

研究会では風についてまともな検討をした形跡がない

 特にひどいな、と私が思ったのは、ロープウエーの「風に対する弱さ」についてです。

 市政だよりではロープウエーの「耐風速」として「20〜30(m/秒)」として描かれ、他の交通手段はことごとく「25」とされています。

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 これを見るとロープウエーは「20〜30(m/秒)」ですから真ん中をとって「25」に見えます。つまり他の交通手段と比べても「遜色ない」ように見えるのです。

 で、有識者のセンセイたちはこれをどう検証したのか。

 3回研究会が開かれて、風に対する検討はたった1行。

〇ロープウェイは風に弱いという意見もあるが,他の交通システムと遜色ない。(第3回議事概要より)

http://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/61905/1/190109dai3kaigijiyoushi.pdf?20190222105514

 これだけです。つまり事務局(市の担当者)が作った資料を眺めて、「へー、風に弱いっていうけど、けっこう強いんだね」と言っているだけなのです。完全にシロウトの発言です。鵜呑みといってもよく、まともな「研究」の形跡がありません。

 以下に示す通り、ふつうにロープウエーの専門家の意見を聞けば、ロープウエーの風に対する備えは致命的な問題だとわかるはずです。

一方でロープウェイの弱点は、比較的、風に弱いことである。搬器〔ゴンドラ〕はロープにより吊され、風に揺れやすい構造となっており、風により搬器が大きく揺れた場合、支柱に衝突するといった事故に結び付く可能性もある。ロープウェイでは、風対策は重要な技術課題となっている。(交通安全環境研究所「風に対するロープウェイの安全性向上に関する研究」、2009年、強調は引用者)

https://www.ntsel.go.jp/forum/18files/18-19p.pdf

 まじめな「有識者」ならここを心配し、真剣に検討しなければなりません。

 それなのに、「研究会」ではなぜ「遜色ない」などという結論になったのか。「有識者」が「研究」しないのであれば、せめて共産党市議団で調べようと思って調べたわけですが、調べてみるとこれがなかなかひどい。

 

混ぜてはいけないものを混ぜている

 この「耐風速」とは何か。星野市議の質問に対して、住宅都市局長は、

鉄道事業法軌道法などと言った法令に基づく設計条件の一つである「風荷重」や地形・気象条件などを踏まえ各運行事業者が定めた「運行見合わせを判断する風速」を記載したものです。

と答弁しました。これでアウトです

 「風荷重」というのは、簡単に言えば支柱などの構造物がどれくらい風に耐えられるかという基準です。「運行見合わせを判断する風速」というのは、どれくらいの風の強さになったら電車などを止めるのかという基準です。

 みなさん、「柱がどれくらい風に耐えられるか」という問題と、「どれくらいの強風になったら運転を見合わせるか」という問題って同じだと思いますか? 全く別の問題ですよね。

 

 両者を混ぜるとどんなデタラメになるか。例えばモノレールの運転停止基準は大阪のモノレールだと「福岡市政だより」にもあるように「25m/s」ですが、構造物の風荷重は「40m/s」です。同じ一つのモノレールをめぐる数字なのに、全然違うことがわかるでしょう(大阪府八尾土木事務所「第3回大阪モノレール 技術審議会説明資料」)。この二つを混ぜてしまったら、まともな比較ができません。

http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/10129/00224596/03_3siryou1.pdf

 

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 それなのに、福岡市の住宅都市局長は混ぜてはいけない2つの基準を混ぜて比較していることを公然と答弁してしまったのです。

 念のため、 共産党市議団として国土交通省に聞いてみたんですが、両者は「まったく別の概念です」と回答がありました。国に聞いても両者は混ぜてはいけないのです。*1

 だいたい、直前の2月議会の第4委員会へ出した資料(および研究会が実際に使った資料)には「運行見合わせ風速」としか記述していない(下図)わけですから、「風荷重」を勝手に加えてしまった住宅都市局長の今回(条例予算特別委員会総会で)の答弁は虚偽答弁といってもいいくらいです。

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 こんな不自然な「混ぜ合わせ」の数字を作ってしまったのは、後で述べますが、無理やり「ロープウエーは風には弱くない」というデタラメを研究会や市民に信じ込ませたいからです。

 

議員の質問を妨害する行為

 質問の準備をするためにこの「20〜30(m/s)」の根拠を共産党市議団が住宅都市局の担当者に聞きに行きました。

 そうすると「20」というのは、国土交通省監修の『索道施設設計標準・管理標準及び同解説』による「風荷重」のことだと説明しました。

 『索道施設設計標準・管理標準及び同解説』に記されている「風荷重」の該当箇所を私も見せてもらいましたが、これは支柱の「風荷重」です。担当者に「支柱に対する風荷重のことですね」と何度も確認し、後日改めて星野市議からも同じ確認を担当者にしてもらいました。

 じゃあ「30」というのは何かと聞くと、住宅都市局の担当者は「箱根ロープウエーの運行基準だ」と述べました。

 「20」は標準設計にある支柱の風荷重、「30」は箱根の行基

 下限は支柱の「風荷重」の設計標準、上限は運行中止の基準――担当者の話を聞くなり私は心の中で「(゚Д゚)ハァ?」と思いました。市民が疑問に思っているのは「風が吹くとロープウエーはすぐ止まるっちゃろ?」ということなんですから運行基準の話だけでいいはずです。「なんでここに『支柱』の話が?」と異常さを感じたのです。

 先ほど述べたとおり、「柱がどれくらい風に耐えられるか」という問題と、「どれくらいの強風になったら運転を見合わせるか」という問題は全く別の次元の問題です。

 それを混ぜて作った「20〜30」という記載はデタラメそのものです。星野市議は、この問題を追及しようと考えました。

 

 しかし。

 しかしであります。

  住宅都市局は、答弁の準備をしている最中に両者を混同してしまう重大性に気づいたのでしょう。

 実際の議会での答弁は、「20」とはどういう数字かと星野市議が尋ねると、担当者の事前の説明と別のことを局長が口走りました。

函館山ロープウエーなどで秒速20m(の運行停止基準)の実例がございます。

 「20」は「風荷重」の話ではなく、「運行の中止基準」の数字だという、事前の説明とは異なるすり替えを堂々とやったのです。単に議員への事前説明と食い違ったというだけでなく、その説明をもとに研究会の有識者のセンセイが「研究」をして結論を出したわけですから両者を混同させた表を作ったことは大問題であり、星野議員がこの点を批判しようと思ったのは当たり前です。それで星野議員は質問を組み立てます。

 しかし、いざ議会の質問本番になると、その事前説明を覆してしまう。だから、質問の動画を見るとわかりますが、星野議員は事前の担当者説明と局長が全く違う根拠で答弁をしたことを抗議してますよね。

 行政側にこういうことをやられると、議会質問が成り立ちません。「ご飯論法」みたいなもんです。いわば議員にウソをついて質問や調査を妨害するのと同じです。研究会にもデタラメの資料を出して有識者をだまし、議員に対してもデタラメな資料のまま説明し、質問の直前に矛盾に気がついて、こっそりと答弁で平仄を合わせる――こんなやり方が許されるはずがありません。

 

ロープウエーの実態を見れば「15」なのに

 そして、ウソにウソを重ねるので、矛盾が深くなります。

 つまり局長が新たに持ち出した理屈では、「函館山と箱根のロープウエーの運行中止基準を記したものが研究会に出した『20〜30』という資料の意味だ」ということになります。

 もしそうであれば、上限の箱根の「30」の方はわかりますが、なぜ下限に函館山の「20」を持ってくるのかがわからなくなります。

 なぜなら、全国各地のロープウエーの運行中止基準は下記のとおり、普通は「15」だからです

  運行停止風速(m/s) 方式
榛名山 15 自動循環式
宮島 15 自動循環式
御在所 15 自動循環式
金剛山 15 交走式
長崎 15 交走式
伊豆の国 18 自動循環式
新穂高 18 交走式
函館山 20 交走式
箱根 30 自動循環式(フニテル )
谷川岳 30 自動循環式(フニテル )
蔵王 15〜20 自動循環式(フニテル )
神戸布引 非公表 自動循環式

 

 しかも函館山は、福岡市で採用しないであろう「交走式」です。*2

 さらに言えば、函館山の「20」は突風の基準です。現地に確認しましたが、常時15m以上の風が吹いている場合は停止する基準を持っています。

 

絶対に「15」を市が認めないのはなぜか

 実態から見てロープウエーの「耐風速」は「20〜30(m/秒)」ではなく、「15」と記すのがフェアでしょう

 仮に、上限と下限を書くという住宅都市局の印象操作を認めるとしても、「15〜30」となるのが自然です。

 しかし住宅都市局はどんなことがあっても「15」という数字を下限に持ってくることができません。なぜか。

 それは星野市議が質問で明らかにしましたが、もし「15」を下限にしてしまうと「15〜30」となり、平均は「18.95」*3になって、他の交通手段の「25」以下になってしまう、つまり「ロープウエーは風に弱い」という結論が導かれてしまうからなのです。

 こんなことをしたら市長からにらまれて、役人人生が終わってしまうのでしょう。何としても「25」と同じか、「25」を超えたい。「30」は探したので、あとは必死で「20」を探さないといけません。初めは『設計標準』にちょうどいい数字があったのでそれを持ってきたのでしょうが、よく考えるとあまりにおかしい。そこで局長の「函館山ロープウエーなどで秒速20m(の運行停止基準)の実例」などというトンデモ答弁なのです。こうした忖度のみじめな結果が「20〜30」という表記です。

 何れにせよ、下限を「20」にしたまともな「根拠」は、研究会の資料や議事録からも、事前の担当者の説明からも、局長の議会答弁からも、ついに見つけることができませんでした。

 

 ちなみに、「市政だより」には、研究会のリストにはない鉄道との比較が言及されています。研究会の結論の領域を超えて、市の担当局が、調べたことをベラベラとしゃべって…いや、書いているのです。

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 こう言っています。

鉄道でも風速25メートル/秒を観測した場合には、運転を見合わせする基準が多く採用されています。

 本格的な運行中止基準でいえば「25」ではなく、例えばJR東日本・西武・小田急京急は30m/sです。*4

 いやあ、ロープウエー(15m/s)の2倍ですね。

 なのになぜ「25」なのか?

 これはいわゆる「早め規制」です。本格的な規制基準よりも大事をとって早めに運行を停止するという数値です。鉄道の数値を低く見せて、ロープウエーの「20〜30」に近づけようと必死なんですね。というか「鉄道は30」と言ってしまうと「ロープウエーは20〜30」が見劣りしてしまうからです。

 しかし、それならロープウエーも同じ基準で比べないとフェアじゃありません。

 ロープウエーは先ほど見た通り本格的な運転停止基準の多くは15なんですが、実際の運用では風向き次第でもっと早めに切り上げることがほとんどです。電話して調べると「10mくらいで止める」というところもあります。

 だから「早め規制」についていえば、「鉄道は25、ロープウエーは10」というあたりが実態と言えます。

 

「30」に耐えられるロープウエーにしたら景観は?

 じゃあ「風速毎秒30mに耐えられるロープウエーがあるなら、それでいいじゃん」という話になるかもしれません。 

 しかしそうなると今度は別の問題が生じてしまうのです。

 それを星野市議の質問ではさらに追及しています。

 どうして30m/sに耐えられるのかと聞かれ、局長はとくとくとロープが2本のタイプの自動循環式ロープウエー(フニテル)について説明します。

 しかし、専門家に話を聞くと、フニテルはロープが2本になるため1本の場合に比べ、支柱がかなり大きくなります。そうなると支柱の安全性や景観への影響が大きく変わってきます

 景観への影響を考える場合、当然こうした支柱の大きさは考えなくてはなりません。

 ところが、「市政だより」ではロープが1本しかないタイプを前提にして早々とイメージ図などを載せて「空がたくさん見えてうれしいね」などと「ポートくん」に無理やり言わせているのです。気の毒なポートくん。何か弱みを握られているのでしょうか。

 

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髙島市長におもねる不自然なセリフを口にするポートくん。涙なしには見られない。


 いや、フニテルなんか採用しないことだってあるでしょう。あるいはフニテルを採用するかもしれません。フニテルを採用するなら柱が大きくなる、採用しないなら風に弱い――それを正直に書けばいい。あるいはそのあたりを詳細に研究した結果を公平に載せれば、純粋に宣伝効果から考えても、「ロープウエーのメリットばかりでなくデメリットも書いてあって公平だな〜」と好感を持ってもらえたと思います。

 

 それなのに、まず有識者の研究会がちっとも「研究」していないのです。これでは研究会で結論を出す前に市長が早々と公約して「導入」を打ち出したことを忖度し、「はじめに結論ありき」なんだと思われても仕方がない。

 そして、市は、これから真摯に導入の実現可能性を検討していくための予算を5000万円つけたというのなら、「市政だより」にこんな結論を先取りして市民に押し付けるQ&Aなど載せるべきではないのです。

 

 

*1:ちなみに、国としてロープウエーがどれくらいの風速になったら止めるのかという数値基準は存在しません。「索道施設に関する技術上の基準を定める省令」が存在する唯一の運転判断の国基準ですが、その37条に「風、雨、雪、霧等により索道の運転に危険を生ずるおそれのあるときは、その運転を一時中止する等危険を避けるため、適当な措置を講じなければならない」とあるだけ。あとは事業者が判断するのみです。

*2:「交走式」は「ロープに吊された搬器が往復するタイプ」。対して、「循環式」は「ロープに吊された搬器が循環するタイプ」。日本索道工業会の公式サイトより。

*3:上記の表を使った算術平均とする。(30+15)÷2だという計算をするとしても平均は22.5。

*4:もちろん「25」の事業者もあります。

ロープウエー予算削除の包囲網が市議会に

 福岡市の新年度予算を議論する予算議会が始まっていますが、高島市長が計上したロープウエーの検討のための予算を削除する包囲網が議会にできあがっています。

 

headlines.yahoo.co.jp

 

 西日本新聞は予算削除の「修正案は可決される公算が大きい。高島宗一郎市長が昨年11月の市長選で公約の目玉に掲げたロープウエー構想だが、実現は不透明になった」とまで断じました。

 

 一言で言って、これぞ民意です。

 高島市長は市長選挙で公開討論にも応じず、知名度頼みの選挙戦術で「勝利」したかもしれませんが、多くの市民が「ロープウエーは必要ない」という根底にある民意・世論に敗北しつつあります。

 私としても選挙戦に出てロープウエー構想の問題点を市民に訴えてきたことは有意義だったと心から思いました。

 市長は、もし修正された場合、また再議に持ち込もうとしようと思っているかもしれませんが、問題を見誤るべきではありません。先ほど申し上げた通り、これは議会内の多数派工作の問題ではなく、民意なのです。民意にしたがって、きっぱりと計画を断念することが市長としてやるべきことです。それは、私が市長選の結果が出た時にコメントとして申し上げたことでもあります。

 

市議選でも一大争点に

 4月7日投票で市議会議員選挙があります。

 市長選に続いて、そこでもロープウエー問題が一大争点になってきています。

news.biglobe.ne.jp

 

www.sankei.com

焦点は、7区それぞれの地域課題に加え、高島宗一郎市長が進めるロープウエー構想への各候補者の向き合い方。また、最大会派の自民党市議団と高島市長の間には再び、ロープウエーを巡って緊張が生じており、改選後の議会構成が今後の市政運営に影響を与えそうだ。(西日本新聞

 

修正案の行方は予断を許さないが、間近に迫る福岡市議選で、ロープウエー構想が争点の一つに浮上する。(産経新聞

 というわけで市議会議員は3つのグループに分かれています。

 一つ目は、ロープウエー賛成・推進派です。

 二つ目は、「ロープウエーには反対ではないが時期尚早」派です。

 三つ目は、ロープウエー計画そのものを不要とする派です。

 どのニュアンスの議員を増やし、どのグループを減らすのか。市民の審判を下しましょう。

選挙運動に関する収支報告書の要旨を載せておきます

 みなさん、お久しぶりです。

 公職選挙法にもとづいて市長選挙の選挙運動に関する収支報告書をつくりました。近いうちに「福岡市公報」(「福岡市政だより」じゃありませんよ、「官報」みたいなもんです)に載ります。その要旨をここにも書いておきます。

収入 支出
主たる寄附 氏名・団体名   人件費 10,000
Aさん 80,000 家屋費 260,000
Bさん 100,000   選挙事務所費 260,000
Cさん 100,000   集合会場費 0
Dさん 500,000 通信費 140,000
Eさん 30,000 交通費 0
Fさん 20,000 印刷費 1,551,340
Gさん 100,000 広告費 618,748
Hさん 130,000 文具費 0
Iさん 30,000 食糧費 0
Jさん 50,000 休泊費 0
Kさん 50,000 雑費 0
Lさん 50,000    
Mさん 100,000    
Nさん 50,000    
Oさん 30,000    
Pさん 20,000    
Qさん 200,000    
市民が主人公の福岡市をめざす市民の会 400,000    
日本共産党福岡県委員会 390,088    
その他の寄附 15件 150,000    
その他の収入   0    
合計   2,580,088 合計 2,580,088

 詳しくは公報をご覧ください。

 さらに「支出のうち公費負担相当額」というのがあります。選挙は「公費負担制度」と言いまして、市民に政策を知らせる最も基本的な宣伝物(自動車・ポスター・ビラ)には行政がお金を出してくれます。と言っても得票率10%(供託物没収点)以上を取らないと負担してくれないんですけどね。

 私の場合、ビラの作成が476,000円、ポスターの作成が804,000円、合計1,280,000円です。

 これから市長選挙に出ようと思っている方は、だいたいどれくらいあれば選挙というものはたたかえるのか、事務所はどれくらいで借りられるのか、参考にしてください。

 高島市長のも分かったら、私の方からお知らせしましょうかね(笑)。

 

追記

 福岡市公報(2019年1月17日第6551号別冊2)に載りました。

 私のものと高島さんのものを載せておきます。

↑私

高島宗一郎

 

高齢者乗車券の存続が決定!

 高齢者乗車券を存続させてほしいという市民からの請願に対して、福岡市は請願審査の場で、共産党議員の追及を受けて「当面、制度は継続」という答弁を行いました。これは存続(廃止・削減方針を撤回)する言明であると思います。

 私は高齢者乗車券の存続を選挙で訴えてきましたが、それが実現したものだと考えます。すばらしい!

 私の主要な公約の一つが達成されました! 当選はしておりませんが(笑)。

 まさに市民の世論と運動でここまで追い込んだということができます。

 

 以下、その議事録を載せておきます(2018年11月30日、2018年第2委員会。強調は引用者)。

 審査された請願は次の3つです――「(2)  30年請願第5号 高齢者乗車券の制度拡充について」「(3) 30年請願第7号 高齢者乗車券(交通用福祉ICカード)制度の継続について」(4) 30年請願第12号 高齢者乗車券(交通用福祉ICカード)制度の継続、拡充について」。

 ◯は議員、△は市当局(保健福祉局)。

 

 「市は廃止しないと言っているが?」についての議論

 まず、保守系の議員などから「市は廃止や削減などしないと言っているのではないか?」という質問があり、請願の筆頭紹介議員がその質問に答えています。

 

◯ 以前の保健福祉局からの説明では、制度の廃止は考えていないとのことであったが、状況が変わったのか。

◯(筆頭紹介議員) ことしの6月議会及び9月議会では、現在は検討していないとの答弁であったが、以前は検討しており、保健福祉局の委託報告書により経緯は明らかである。また、今後についても、明確な答弁が得られていない。今回の請願は議会での答弁に対する高齢者の不安が反映された結果であり、本市が人を大事にするまちとして、今後も廃止を検討せず、制度を拡充すると明確に宣言すれば、請願者も他の高齢者も安心すると考える。

◯ 本市のあらゆる制度については、いつかは終期を迎える可能性があり、その意味では、高齢者乗車券制度が一度廃止を検討された結果として継続しているということは、現在は廃止の心配はないと考えるが、社会情勢が変化していく中で、今回のような請願を本日採択したとしても、将来にわたり制度が守られることはあり得ない。したがって、保健福祉局が現在の段階で制度を継続する方針を示していることで足りるというのが率直な感想である。

◯(筆頭紹介議員) 現在の段階では継続する方針であり、廃止を検討していないならば、議会で採択してもらえれば請願者にとってありがたいと考える。将来において事情が変わったときに、改めて公明正大な手続により市民も含めて議論をする場が置かれ、一定の合意ができるのならばよいが、今回の経緯を見ると、委託契約の内容や報告書についても表面化しなかったため、不安を抱いた市民が多かったと考える。また、インセンティブ制度については、先行都市の事例は本市が検討していた制度とは異なり、健康づくりのための別の制度として実施している。それにもかかわらず、初めから一体化した形で検討された本市の提案に対する不安が根強いことを理解してもらいたい。

◯ 早良区から天神までのバス代は高額と聞くが、幾らか。

◯(筆頭紹介議員) 居住場所にもよるが、1回往復すれば約1,000円である。地下鉄の近くであれば往復で五、六百円程度であるが、そうでなければ、1,000円は優に超え、年金暮らしの高齢者にとって非常に負担となる。

◯ 現在70歳以上の高齢者の多くを占める昭和10年代生まれの人々は、戦後の日本の苦労を背負った世代であり、本市は大事にいたわらなければならない。行動は健康のもとであり、気力がなえると外出意欲がなくなるが、本制度は外出する動機やチャンスをつくる制度であり、また予算総額でも本市の予算規模からすれば、そこまで大きな歳出額ではない。制度は強化すべきと考えるが、どうか。

◯(筆頭紹介議員) そのとおりである。

◯ 今まで日本や本市のために苦労してきた高齢者のため、本市は制度に経費をかけて恩返しをすべきと意見しておく。

 

インセンティブ制度と高齢者乗車券をからめていたが…

 次に、市は「インセンティブ制度」の導入と高齢者乗車券をからめて検討してきたんじゃねーのか、という話題について審議しています。どういうことかといえば、高齢者乗車券の基礎的なポイントは最初は与えるけども、町内会の活動をやった人や健康づくりに励んだ人にはポイントを加算し、何もしなかった人のポイントはなくしていく……みたいな「インセンティブ(誘導)」をつけたポイント制度への移行を市は考えていたというのですね。

 

◯ 制度改悪の中止を求める請願に対する本市の考え方として、制度変更等の具体的な検討はしていないと示されたが、以前に高齢者乗車券制度とインセンティブ制度の一体化の検討は行ってきたのは事実か。

△ 以前に検討していたことは事実である。

◯ 両制度の一体化を検討した理由を尋ねる。

△ 超高齢社会を迎え、支え手がますます不足する状況に対応するためには市民それぞれが健康づくりに気をつけ、元気で活躍してもらう必要があり、そのための行動変容を促すような制度が必要だと考え、社会参加を目的とした高齢者乗車券制度と一体的に検討したという経緯である。保健福祉総合計画策定の際に一体的に検討するイメージを示したとおりである。

◯ 28年度の委託調査について、具体的にどのような検討を行ったのか。

△ 他都市事例や制度導入に当たっての課題、事業スキーム等に関する検討を行った。

◯ 報告書には何が記載されていたのか。

△ 他都市事例として調査した20都市21例の状況や、本市が導入するとした場合に発生する課題などが記載されている。

◯ 2017年3月15日付健康社会参加インセンティブ制度調査検討業務委託最終報告書全文版には、既に高齢者乗車券制度を前提としたインセンティブ制度の導入が記載されているが、29年度はどのような検討を行ったのか。

△ 29年度の委託調査ではさまざまな仮定条件に基づいたシミュレーションなどの基礎調査を行った。インセンティブ制度を検討するにはその中核となるポイントを管理する電算システムをいかに構築するかが重要であるため、その電算システムの設計に資するよう各種の条件を設定してシミュレーションを行った結果をまとめたところである。

◯ この最終報告書には基本計画書とも記載されている。この中で、現在の高齢者乗車券制度の交付額である1万2,000円が半額に削減されること、4年後にはインセンティブ制度によるポイントを付与されなかった人には何の見返りもなくなること、言いかえれば廃止につながる形に変更する制度のシミュレーションがなされていた。その内容に多くの市民が不安に駆られている。ことしの6月議会で高齢者乗車券を廃止するのかという質疑に対して、保健福祉局長は否定した。しかしその後にこの最終報告書の存在と内容が明らかになり、具体的なシミュレーションが数多くされていたことで、市民の不安と懸念がますます高まったというのがこれまでの経緯である。28年度及び29年度の委託調査費は幾らか。

△ 決算額で28年度は526万円余であり、29年度は810万円である。 

 

市の「検討を分離した」論はあまりに不自然

 しかし、市は「途中でインセンティブ制度と高齢者乗車券をからめて検討するのをやめた」と主張します。私はそれはウソで、署名運動が大きくなってきたので「あれの検討は打ち切りました。今はもう検討していません」という「火消し」をはかったんじゃないかと思っています。

 共産党議員もこの市の言い分を怪しんでいて、「検討を今やっていない」というのは急に考えついた言い訳じゃないのか?――そういう疑いの目で追及しています。ご覧ください。

 

◯ この委託調査報告書を得るためだけにも1,336万円余の金額を要している。しかしながら、インセンティブ制度と高齢者乗車券制度を一体的に検討することは、趣旨や対象が異なることから困難であると結論付けているが、具体的な判断内容について尋ねる。

△ インセンティブ制度は、高齢者乗車券制度の目的である社会参加の促進に加え、健康づくりなど市民の行動変容を促すことを検討していた。市民に健康づくりに取り組んでもらうためには高齢者乗車券制度の対象である70歳からではなく、もう少し若い世代からの取り組みが必要であり、対象者が広範にわたり、市民にわかりにくい制度になるため一体的に考えるのは困難だと判断した。

◯ 市民にわかりにくい制度になるとはどのような意味なのか。

△ 高齢者乗車券制度はさきに交付し利用してもらうが、インセンティブ制度はさきに行動してもらい、その内容に応じて獲得したポイントは利用前に交換を要する手法など、制度を検討する中で、市民にわかりにくいものになると判断した。

 ◯ 高齢者乗車券制度とインセンティブ制度の一体化について方針転換する結論に至ったのはいつか。

△ 平成29年12月ごろに一体的な制度は難しいとの結論に至った。

◯ 平成29年3月15日に起案され、予算執行伺に添付された29年度の委託仕様書では、既に高齢者乗車券制度の一体化や、変更方法の検討、基本計画の検討について指示されており、契約時には一体化を考えていたのではないか。

△ 一体化する案についても検討することとしていた。

◯ 契約締結日はいつか。

△ 平成29年4月3日である。

◯ その8カ月後である12月には方針転換しているが、いつから方針転換を検討したのか。

△ 平成29年8月中に委託業者との協議をまとめ、その後9月から保健福祉局内で検討した。

◯ 平成29年9月ごろから一体化をやめようとする検討を始めたと理解してよいのか。

△ 29年度の委託では業者との協議を6回実施しており、その6回目が平成29年8月22日で、それまでに実施したシミュレーションの結果から大まかな方向性が見えてきた。協議結果を課、部、局と上げていく中で、12月には一体化は困難であり、分けて検討する方針になった。

◯ 平成29年8月22日までの協議結果を採用しないという12月の政策判断と、翌年の平成30年3月に出された委託報告書にタイムラグが発生している理由について尋ねる。

△ 29年度の成果物については、委託契約仕様書に従って、平成30年3月15日付で受託者から提出されたものである。

△ 29年度の委託契約仕様書には平成30年3月15日が成果物の提出期限とある。期限までに内容を固めて成果物を提出することが通常であり、実質的には8月22日の協議をもっておおむね検討を終えていたものであるが、成果物は3月15日に受託者から提出されたものである。

◯ 平成29年8月22日には実質的には報告書の内容はおおむねできていたと認識してよいか

△ そのとおりである

◯ 平成29年8月22日までの協議内容の方針転換を決めたのであれば、その時点で委託契約書第16条に従い、インセンティブ制度の一体化は難しいという内容を反映させた仕様書に変更すべきであったと考えるが、所見を尋ねる。

△ 本委託調査については、その結果を参考にしながら制度内容を検討し、次年度の予算編成に反映できるようなスケジュールで検討を進めてきた。平成29年5〜8月まで委託業者との定例的な協議を集中的に進め、その後制度概要の取りまとめを図ったものの、次年度予算編成の期限である12月に至り、趣旨や対象が異なる両制度を一体的に検討することは困難であり、市民にわかりにくい制度になるため、インセンティブ制度のみを個別に検討することになったものである。なお、12月以降は一体的にする検討は行っていないことから、平成30年3月15日に提出された成果物には反映されていない。

◯ 保健福祉局長はことしの9月議会で、これまでは予算の説明などで、その都度一体化に関する検討などについて説明してきたと答弁している。その時点で、一体化をやめる方針転換について説明しなかった理由を尋ねる

△ 制度を設計する際にはさまざまな検討を行い市の方針を固め、保健福祉審議会に付して意見を徴してさらに議論を深めたところで、案として議会に示すという手順を踏む。今回は市の方針として、一体化せずインセンティブ制度のみの検討を個別に進めているが、議会に諮る案を示すに至っていない状況である。

◯ インセンティブ制度の検討については、スタート時点から考え方が間違っていたと考える。高齢者乗車券制度は所得制限があるが、一体化すればボランティア活動に対して何らかのインセンティブを与える制度についても所得制限を行うということと同義になるのではないか。高齢者乗車券制度の所得制限はあっても仕方ないが、同じボランティア活動をしているにもかかわらず、所得によってポイントを付すかどうかを分けることは根本的に間違っている。1,300万円もの委託料をかけて検討した結果がこれであれば、委託の前提から間違っていたと意見を述べておく。

◯ 今の答弁によると、一体化することは議会に説明しても変更することは都合が悪いので議会に報告しないと受けとれるが、恣意的であり、不自然である。1,300万円もの委託料をかけた検討結果を行政判断だけで方針転換すること、及びその報告もしないことは、議会と行政のあり方として不適切と考えるが、所見を尋ねる。

△ 本委託調査の結果については、制度を一体的に検討するという方向での結論を見ることはなかった。平成29年12月の段階で、30年度予算編成に当たっては、次のステップとなるような電算システムの設計に関する予算ではなく、引き続きインセンティブ制度の調査検討経費を29年度同様に計上し、高齢者乗車券制度についても前年度同様の予算を計上している。この予算の内容については、さきの3月議会の条例予算特別委員会分科会において説明している。また、委託調査の成果物は、インセンティブ制度の制度設計の入り口で、これからの制度の検討材料とするものであり、今後検討を進め、制度素案として枠組みが形になった段階で議会に諮る予定である。

◯ 平成29年12月に一体化をやめると判断し、インセンティブ制度の導入は引き続き30年度予算で検討し、制度は別々に考えると明言しているが、30年度予算の説明資料には、引き続き健康づくりや社会参加活動に取り組む高齢者を応援するためにインセンティブ制度の導入を検討すると記載されている。引き続きというのは、29年度予算事業を踏襲することではないのか。

△ インセンティブ制度の検討を引き続き行うとしたものである。28年度から検討しているのはインセンティブ制度そのものであり、その中で、高齢者乗車券制度を一体化し再構築することを検討した経緯がある。それが平成29年12月に趣旨や対象が異なる制度を一体的に検討するのは難しいと判断して、今後はインセンティブ制度のみを検討するものである。

◯ 30年度予算におけるインセンティブ制度の検討状況を尋ねる。

△ 他都市事例やこれまでの検討結果を踏まえ、制度素案の作成に向け、調査検討を進めている。

△ 制度の目的に沿って、11月5日に委託契約を行い、どのような制度が市民の健康づくりにとってよいのかということについて調査している。

◯ 委託先、契約締結日、契約金額を尋ねる。

△ 委託先は凸版印刷(株)で、契約は平成30年11月5日付で、金額は247万円余である。

◯ 契約締結が予算案確定から半年以上後の11月である理由を尋ねる。

△ 事務的な処理として、30年度は6月、9月、10月の議会における資料請求や情報公開に追われていた。現実的に委託契約までなかなかたどり着けなかったことによる。

◯ 我が会派の議員が30年度の調査委託に関して資料請求を行ったところ、未実施との回答であったが、議会で尋ねたら実施していたことが初めて判明した。一連の対応は不誠実ではないのか。

△ 議員から30年度の委託に関する資料請求があったのはことしの7月末ごろと記憶している。

◯ ことしの11月5日に委託契約を締結したことは初耳である。30年度に入ってから29年度の委託契約書を請求したが、提出されるまでかなりの期間を要し、報告書についてはさらに相当な期間を要した。その後、28年度の成果物を請求したが同様である。30年度の予算説明書によれば、29年度までの調査を踏襲して引き続き実施するとあり、かつ、そのような説明しか当委員会には行われないので、継続しているとしか思えない。制度について方針転換をしたとは一言も触れていない。ことしの9月議会で議員から追及された答弁で平成29年12月に方針転換をしたと説明しているが、その際の副市長の答弁では、議長にその経緯を説明し、説明が不十分であったと謝罪している。その経緯があるにもかかわらず、この場では手順に問題がなかったと言い張っている。また、資料請求の問題は、ことしの7月以降も複数回担当課長に進捗を尋ねたが、30年度は委託調査を実施することも含めて検討中であるとの回答であり、動きがあれば報告するよう求めていたが結局本日まで報告はなかった。議会を軽視しているのではないか。

△ 資料請求に関する議員への対応については申しわけなく思っている。副市長が9月議会でインセンティブ制度についての議会への説明がおくれていることについて申しわけなかったと答弁しているが、少し説明が不十分であったと認識している

◯ この件に関する議会対応は終始一貫して不適切であり、不信感を拭えない。したがって、インセンティブ制度との一体化の検討をやめると説明されても、市民は信用できず、多くの署名を集めた請願が出されるに至っている。方針転換した真の理由は、高齢者乗車券制度のインセンティブ制度との一体化を知った市民が反対し始めたからであり、本当はそのまま進めたかったのではないか。報告書には次年度の前半期にはシステム開発に入り、後半期にはモデル事業をする具体的なロードマップまで記載がある。市民の反対や、市長選、市議選などの政治的背景で現在は中止しているが、実のところ、制度の廃止や削減について今後は不明だと請願者や多くの市民が心配している。

 

 このように、「インセンティブ制度と高齢者乗車券を切り離すという方針転換があった(だからもうかなり前から廃止の検討をやめている)」という市の主張はかなり不自然で、あやふやであることがわかると思います。

 

「現在は検討していない」の「現在」とは?

 そして、次に、「現在廃止・削減は検討していない」という「現在」とはいつを指すのか、という追及に入っていきます。

 

◯    請願に対する考え方に、現在、高齢者乗車券制度の廃止や削減について具体的な検討は行っていないとあるが、現在とはどのように解釈するのか

△ 現在とは、今の時点を指す。平成29年12月以降、高齢者乗車券制度の廃止や削減の検討は行っていないことも事実である。本市の制度を変更する際、議会に対する説明は不可欠である。その前には保健福祉審議会に付し意見を徴するなどの一般的な手続もとっている。現在、そのような手続はとっていないことがすなわち現状の制度がそのまま継続されるということである。一方、高齢者乗車券制度の見直しを永久にしないと明言しないのかということについては、将来の社会状況の変化がどうなるのかは甚だ不明であり、本市の全ての事業について、社会状況の変化に応じた見直しや拡充について断言することは厳しいと考えている。

◯ 本市の数ある制度の中で高齢者乗車券制度だけを特別扱いにして変更するなということではない。28年度から行われたインセンティブ制度の導入及び高齢者乗車券制度との一体化についての検討の中で、削減や廃止が実際にシミュレーションされていたという状況において、制度が本当に守られるのかについて明言するよう求める。請願は年齢制限の撤廃、所得制限の変更、交付金額の増額を要求しており、変更しないことではなく、制度の拡充が請願者や市民の願いである。制度を拡充した場合の試算額が資料に示され、現実的には困難だとしているが、本市の制度の所要額は他都市に比べて少ない。例えば、名古屋市では143億円、横浜市では114億円、京都市でも54億円である。本市の財政規模からすれば拡充は決して不可能ではないと考えるが、所見を尋ねる。

△ 各都市の助成制度の内容や方法を見ると、市営バスや第3セクター運営の交通機関について、一定の自己負担を求めた上で乗車券を交付しているものや、有料のフリーパス券を販売しているもの、乗車の都度、運賃の幾らかを割り引いているものなど形態はさまざまである。予算規模の大きな都市では、市営の交通機関を主たる助成対象にしている場合もあるが、本市については、市営交通機関である地下鉄での利用は全体の15%にとどまっており、民営のバス、電車、タクシー等の利用が多くを占めている状況である。実施方法、対象交通機関とも都市によって異なっている状況であり、単純に比較するのは難しいと認識している。

◯ 条件がさまざまであり単純に比較できないのは理解するが、総額から見れば高齢者に対する移動支援によりもっと行動してもらおうとする意識や、高齢者を敬う心遣いが他都市と比較して少ないと言わざるを得ない。現在の本市の方針が配る福祉から支える福祉へと変わり、市長を初めとして、配る福祉は一度きりで終わると主張しているが、執行部はさきの議会での質疑でも、高齢者乗車券制度が経済効果、健康づくり及び公共交通機関の利用促進による環境負荷軽減などの面でよい影響を及ぼすことを認めている。配る福祉は一度きりで終わるようなものではないと指摘しておく。

◯ 本市内での年収300万円以下の低所得者層は本市人口の約46%で、2人に1人という現状であり、非正規労働者や年金暮らしの高齢者が多くを占める。その高齢者に対し直接家計を援助する高齢者乗車券制度は、貯金ができない低所得者にとってこの制度で浮いた交通費を別の使途に回すことから、交通費が消費に回ることになり、経済効果も伴う、実にうまくできた制度であり、金額をつぎ込む分は全て本市内に循環する投資と言えることから、増額、対象者を広げることは決して税金の無駄づかいにならないと考える。したがって高齢者乗車券制度の拡充は、請願者の思いに心を寄せて検討すべきであり、同時に廃止、削減などは絶対に検討してはならないということを強く要望しておく。

 

局長が答弁「当面、制度は継続」

 これらの質疑応答を受けて、保健福祉局長が答弁します(それまでは課長・部長などの答弁)。ここで「当面継続」という発言が出るわけですね。

△ これまでの委員各位の指摘を踏まえ、インセンティブ制度と高齢者乗車券制度との一体的検討の経緯を含めて説明する。まず29年度の委託調査についてだが、通常、アンケート調査などは結果をそのまま公表することもあるが、施策の方針を決めるような場合は、初期段階で基礎調査を行い、事業の設計や施策を立てるための参考、基礎データとすることとしている。当該委託調査は、基礎調査として実施した、仮定条件に基づくシミュレーションを示したものである。そのシミュレーションは、平成29年5〜8月に担当者が受託者と議論、検討した上でまとめた一つの案であり、その案をもとに同年9月以降、局内で議論を重ねた。例えば、70歳以上に対してインセンティブ制度を実施するのが妥当なのか、より若いときから行うべきではないのか、あるいは高齢者乗車券制度には所得制限があり、その有無でポイントの付与を決めるのはおかしいといった議論等があった。また、シミュレーションが複雑な仕組みとなり、わかりづらい上、一部に矛盾も生じていることから、この案は採用できないとの結論を平成29年12月に出した。次に、先ほどの資料請求への対応について、ことしの11月5日に委託する前に知らせることができなかったことは大変申しわけなく思う。また、平成29年3月の当初議会の分科会で、インセンティブ制度を引き続き検討すると説明した意味については、インセンティブ制度は、高齢者乗車券制度と一体または単独での検討にかかわらず、市民の健康づくりなどの取り組みに対して、例えば、褒賞やポイントを付与することで市民の行動変容を促すものであり、その制度の趣旨は以前から変更しておらず、そのような本来のインセンティブ制度の検討を引き続き行うという趣旨であったが、説明が不十分であった点については申しわけなく思う。したがって、先ほどの答弁のとおり、平成29年12月以降、現在まで高齢者乗車券制度の廃止、削減などの検討は全く行っていない。高齢者が幸せを感じるためには、可能な限り病気や介護にならず、生涯にわたって身近な地域社会の中で元気で活躍し、生きがいのある暮らしを送ることが重要であると考えている。高齢者乗車券制度の目的は、規則にも定めているとおり、高齢者の社会参加の促進である。東京都の健康長寿医療センターの調査によると、高齢者が家に閉じこもることなく積極的に外に出かけることは、病気や介護、認知症の予防に非常に効果があるとされている。その意味において本市の高齢者乗車券は、趣味や教養、文化活動や地域活動、ボランティア活動、就業、あるいは健康づくりや介護予防につながるような活動などへの参加といった、積極的な高齢者の外出の契機となるよう、あくまでも交通費の一部を助成する制度である。本市の高齢者乗車券制度については、70歳以上の市民に広く認知され、利用されている制度であり、本市としても制度の目的である社会参加の促進に大変寄与していると認識している。10〜30年先のことまではわからないが、現在においては廃止、削減といった具体的な検討は行っていないため当面、制度は継続し、使い勝手が悪い、区役所窓口での交付で不便をかけているといった声などを踏まえ、改善や工夫が必要と考えている。一方、既に超高齢社会が到来しており、今後高齢者が急増し、支援を必要とする人が増加する一方で、少子化とも相まって、社会の支え手が減少するという、人口構造や社会構造が大きく変化していくことが予想されている。その結果、現役世代の負担が大幅に増大することになり、既存の仕組みだけでは対応できなくなることが予想される。そのような状況において、健康、医療、福祉などのあらゆる分野で制度や仕組みを持続可能なものとしていくためには、保健福祉施策のあり方について絶えず検証、検討を行い、その時代、その状況にあった形としていく必要がある。このような市民生活に身近な保健福祉施策の検討を進めるに当たっては、保健福祉審議会に諮ることを初め、議会や市民の意見を踏まえながら、丁寧に進めていきたいと考えており、理解願いたい。

◯ ボランティア活動をしている人にさまざまな形でインセンティブを与えること自体は間違っていないと考える。高齢者乗車券制度と一体化しようとすることがおかしいと考える。18年度に町世話人制度が廃止されたが、その報酬の予算額が約八、九億円であったと記憶している。廃止後に実施されたのは、現在144校区の自治協議会に出している平均300万円、合計約5億円の補助金である。総額ベースで生じた約4億円の差額は本市の財源になったが、本来その差額は地域に還元すべきであり、地元でボランティア活動をしている人に何らかのインセンティブを与えることは絶対に制度化すべきと考える。地域で活動するのは高齢者が多く、制度の対象として当然高齢者が視野に入るのは無理もないが、高齢者に限定する必要はないと考える。きちんと活動している人に、年間1人当たり5,000円でも1万円でも乗車券が使用できるとなれば対象者はやりがいを感じると考える。したがって、インセンティブ制度については保健福祉局単体ではなく、市民局との連携を考え、本市全体で議論すべき制度であると意見を述べておく。

◯ 今の答弁で、ポイントを付与するインセンティブ制度については内部で基礎調査から始めると説明があったが、当委員会においても議論を重ね、特定の人に対し、特定のものを付与することが福祉の観点からするといかがなものかと考えることから、反対する。健康な人がボランティアによりさらに健康になることが福祉なのか疑問である。それよりも、健康でない人が健康になるよう広く平等に事業を実施することが福祉の大事な目的であり、その点ではポイントが付与されるインセンティブ制度は平等性に欠ける。この反対意見は既に当委員会でも出されていたにもかかわらず、今回、その意見を反映した方針転換であるとの説明ではなく、一方的な行政内部での検討によるものであるとの説明であり、その一連の手続については不満がある。これからの制度検討に当たっては、もう少し議会の議論を反映させるよう意見を述べておく。

◯ インセンティブ制度との一体化に関する一連の経緯については、議会と行政は車の両輪であり、互いが全て正しいわけではないことから、市民の求めや本市財政の将来の展望に対する議論が重要であると考える。もちろん、行政内部でのさまざまな検討の必要性は理解するが、福祉分野の業務は市民生活に直結しており、ささいな制度の変更でも事前に議会に報告し諮らなければ、市民の要望に対し、議会側も判断に苦慮することになる。今回の件を契機に、今後の検討については、議論がしやすくなるよう、また、誤解のないよう、わかりやすい報告を適宜行うよう意見を述べておく。

◯ 報告に関する手順の問題については、謝罪の弁を受け、今後はこのような問題が生じないよう要望しておく。また、制度については、保健福祉審議会で、インセンティブ制度と高齢者施策を一体的に再構築するイメージが示されているが、その方針が転換されたのであれば、まず保健福祉審議会にその考えを示し、当委員会にも報告し、その後会派を超えて議論を行うのが政策決定の手順であるべきである。現市長が就任して以降、このような問題が多く発生しており、トップの姿勢があらわれたものと懸念している。保健福祉局には特段の注意を払い、丁寧に手順を進める努力を重ねて要望しておく。また、高齢者乗車券制度の変更、廃止は当面ないとのことだが、制度の拡充は図るように要望しておく。

◯ 年度ごとの交付実績について、1人当たり交付額の1万2,000円または8,000円に対する使用率を尋ねる。

△ 使用率については券種によって若干異なっており、交通用福祉ICカードでは93%であり、タクシー助成券では69.6%である。交付数が多いのはこの2つで、残りの券種は交付数が少ない。

◯ タクシー助成券の制度は29年度で3年目なのか。

△ 27年度に導入しており、そのとおりである。

◯ 高齢者の社会参加の移動支援としてすぐれた制度であることから、財源の問題はあるが、使いやすい制度にして外出の促進ができる仕組みを考え、検討するよう意見を述べておく。

◯(委員外議員) 制度を支える人が減るならば、支えられる人も減少させる必要があり、今後、高齢者がふえていくなら、なおさら制度の充実を図る必要がある。また、経済効果に関しても、交付して終わるわけではなく、制度への投資は本市内で使用されて循環するため、決して無駄にはならない。外出することで健康寿命が延びることも鑑み、総合的な判断を行うとともに、高齢者が本市で長生きしてよかったと思える制度となるよう拡充策の検討を要望しておく。

 

採決で各会派はどういう態度をとったか

 そして、採決です。公式議事録では会派名が記録されていませんが、ここではあえて会派名を私が付記して残しておきます。【 】が私の付記です。

 自民党が請願ごとに違う対応をしていることに注目してください。

 

(委員長) 30年請願第5号の取り扱いについて各派の意見を伺う。

【自民】 制度改悪の検討を中止することを求める請願項目の背景には、検討することが廃止につながるのではないかとの心配があると推測するが、制度の検討自体は必要であり、検討して継続になった従前の事例もある。また、今回の請願は制度廃止に対する不安や不信からと判明したが、本市は既に制度変更の検討はやめていること、使いやすい制度の拡充については、予算や制度などにさまざまな工夫をしながら今後も検討するべきであり、総合的に考えて、のれないと考える。

【公明】 継続審査と考える。

【市民クラブ】 制度の拡充や使いやすさなどの検討は今後も必要であり、継続審査と考える。

【共産】 ぜひ採択すべきである。

【みらい】 請願時と現在では、置かれた状況が異なってきており、継続審査と考える。

【維新】 採択すべきである。


(委員長) 30年請願第7号の取り扱いについて各派の意見を伺う。

【自民】 請願要旨の高齢者乗車券制度をなくさず存続させるという言葉は引っかかりを感じるが、全体的に継続し、廃止しないとする考え方が示されており、採択すべきと考える。

【公明】 継続審査と考える。

【市民ク】 継続審査と考える。

【共産】 採択すべきである。

【みらい】 継続審査と考える。

【維新】 採択すべきである。


(委員長) 30年請願第12号の取り扱いについて各派の意見を伺う。

【自民】 請願事項のうち、さらなる増額については財政負担を伴うものであり、慎重に考えるべきである。また、ポイント制の検討に係る業者への調査委託の発注をやめ、ポイント制への移行をやめることについては、既に委託事業は発注済みであり、さらにインセンティブ制度と高齢者乗車券制度の一体化をやめると明言していることから、のれない。

【公明】 継続審査と考える。

【市民ク】 本市として高齢者乗車券制度は継続すると明言しているが、今後も使いやすさや拡充を求めたいと考えており、継続審査と考える。

【共産】 採択すべきである。

【みらい】 継続審査と考える。

【維新】 採択すべきである。

 

 

 これらの結果、「本件について審査したが、結論を得るに至らなかった」となり、継続審査となりました。(追記:そして市議の任期が終了し、これらの議案はいずれも審議未了で廃案となりました。)

「市民の会」の声明を紹介します

 私は「市民が主人公の福岡市をめざす市民の会」(市民の会)から無所属として出馬したわけですが、その「市民の会」の選対本部が以下のような声明を出しましたので、ご紹介します。

 私の結果に対するコメントは同日夜に記者会見で行なった通りですので、以下の声明はご参考にしてください。

 

 

福岡市長選挙の結果について

2018年11月18日 市民が主人公の福岡市をめざす市民の会 選対本部

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 11月18日投開票で行われた福岡市長選挙で、私たち「市民が主人公の福岡市をめざす市民の会」が擁立した、かみや貴行候補(無所属・日本共産党推薦)は94,437票(得票率24.9%)を獲得しました。当選には至りませんでしたが、「市民の会」の市長候補として32年ぶりの過去最高票となりました。 かみや候補をご支持いただいたみなさん、勝利をめざし日夜奮闘していただいたみなさんに心よりお礼と感謝を申し上げます。

 

 今回の市長選挙で、かみや候補と「市民の会」は、(1)「ロープウエー」計画を中止させ、暮らし・福祉、教育に予算をまわす、(2)高齢者乗車券の廃止・削減計画をやめさせ、拡充する、(3)安倍政権べったり市長でなく、消費税10%や9条改憲など国の悪政にモノ言う市長、の3つの争点を明らかにし、「いまの市長でなく、新しい市長を誕生させよう」と訴えました。「ロープウエー」はマスコミも大きく取り上げ、大争点に浮上しました。単身高齢者や非正規の若者への家賃補助や、市独自の給付制奨学金など、市民生活を直接応援することで、地元でお金が回る経済活性化の政策を打ち出すなど、打開の方向を示しました。

 かみや候補の「ロープウエーより暮らし・福祉」「1%のためでなく、99%のための市政を」の訴えに対し、市民から「分かりやすい」「市政が身近になった」と共感が急速に広がりました。推薦した共産党以外の市議や国政野党の関係者から支援を受け、「市民連合ふくおか」の関係者が街頭で応援演説するなど、市長選挙としては新しい共闘が進みました。

 

 「市民の会」は、かみや候補が立候補を表明した10月5日から1か月半、きわめて短期間の取り組みとなりましたが、217回の懇談会・演説会・小集会を8,517人の参加で取り組み、約1,700回の街頭演説を行い、またビラ等を87万枚以上配布し、政策を訴えました。かみや候補は記者会見を2回開いて3つの争点と政策・公約を発表し、ブログでも公開しました。これらはSNSなどインターネットで拡散されました。

 

 投票率は今回、前回より下がり、31.42%と過去最低になりました。低投票率の最大の原因は高島氏が政策論戦を避けたことです。かみや候補と「市民の会」が要求した公開討論の申し入れを無視し、また市民団体主催の公開討論会に返事もせずに欠席するなど、政策論戦から徹頭徹尾逃げ続けました。争点と政策を有権者に積極的に明らかにすることが、民主的な選挙を実現するうえで欠かせない候補者の重要な役目ですが、高島氏はこれをことごとく踏みにじりました。また、出馬表明前に「安倍詣で」を行い、選挙戦最終盤に「完全無所属」をあきらめて自民党本部の「支持」に頼り、麻生太郎副総理の来援を受けましたが、こうした「安倍政権べったり」の政治姿勢が審判を受けたものです。

 

 高島氏の得票数は285,435でしたが、全有権者比でみると23.0%にとどまりました。この結果は2期8年の高島市長の市政運営に対する市民の批判の表れです。「成長をさらに加速」などと言って「天神ビッグバン」「ウォーターフロント再整備」など大型開発推進を推進する一方、「配る福祉から支える福祉」と言って高齢者福祉や就学援助などを標的にした切り捨てや、町内会など住民への負担押し付けを強行する市政に対し、市民が批判を強めていることが選挙結果にはっきり示されました。これまでの市政を無反省に続けることは許されません。「ロープウエー」「高齢者乗車券の廃止・削減」についても市民の支持を得たことにはなりません。

 

 私たち「市民の会」は、今回争点となった「ロープウエー」構想の中止をはじめ、選挙戦でかかげた政策と公約の実現のために引き続き奮闘する決意を表明するとともに、市民のみなさんに一緒に要求を実現する運動をとりくまれるよう呼びかけるものです。

福岡市長選挙の結果についての私のコメント

 2018年11月18日投開票の福岡市長選挙の結果が出ました。

 私、かみや貴行は、9万4437票で得票率24.9%を獲得しましたが、及びませんでした。当選は高島宗一郎氏でした。

 以下、私が記者会見で行なったコメントの要旨です。*1

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広がりを当選には結びつけられなかったことはお詫びしたい

 選挙戦で私をご支援いただき、当選のためにがんばっていただいた皆さんに、まず深くお礼を申し上げます。ありがとうございました。

 今回、私はまったく無名の新人として出馬しましたが、選挙戦の中で大きな広がりを感じました。

 支持母体の団体の皆さんが奮闘していただいたのをはじめ、無所属議員、他党の議員候補の方々が私への応援に駆けつけてくださいました。

 また、まったく見ず知らずの方が私のペンネーム名義の新書を読んでいて「この人に決めていた」と言ってくれました。

 国会議員レベルの人が「あなたに入れた」、保守系の議員が「頑張れ」と言ってくれたというケースもありました。

 演説を聞いていて立ち止まり最後まで聞いていてくれて、駆け寄ると「棄権しようと思っていたがあなたに決めた」と言われたりしました。

 私は候補者としては初めてでしたが、選挙自身は裏方でやってきました。そういう私の経験している中での話ですが、従来にない広がりを感じました。

 しかし、これだけ多くの期待や負託を当選という形で実らせることができませんでした。これは候補者として率直におわびしたい。

 

公開討論会に応じないことで作り出した「魔法の数字」

 高島さんの当選とその得票については、一言で言って、公開討論に応じないことで作り出した「魔法の数字」であり、結論に私は納得しません。「納得できない」というより「納得しない」と言いたい。

 私は伊達や酔狂で公開討論を要求したわけではありません。1対1の選挙で市民にわかりやすく論点を示すことで多くの市民の選挙への関心を高め、市政の問題を一方的な宣伝でなく双方のわかりやすい議論で明らかにするという、政治家としての責任として提起しました。

 しかし、高島さんは一貫してこれを避け、返事もしませんでした。「お魚くわえたドラ猫」をブログで上げ、市民の無関心を煽るのが選挙戦術のように見えました。「政策や主張をSNSに連投すると嫌がられる」という陣営幹部の発言は、その端的な表れでした。その結果、膨大な棄権票が生まれました。7割の市民が参加しない選挙というのは民意と言えるのでしょうか。

 私としては訴えるほどに変化を感じました。「高島市政に大きな失点はない」と本気で思っていた市民の方が多かったけど、それが私の訴えを聞くうちに足を止めて聞き入り、変わっていき、「あなたに入れる」と言ってくれたりする変化が生まれたわけです。特に(1)経済成長しているというが実際には市民は貧しくなっている(2)ロープウエー計画は無謀である(3)高齢者乗車券の切り捨ては許されず、ぜひ守って欲しい、(4)町内会に何でもかんでも押しつけないでほしいなどの4点には大きな反応がありました。

 私の訴える範囲は限られていたので、もしこれが公開討論という場ができて市民の関心が集まれば、大きな変化があったと思います。

 ただし、これは私の側からの意見で、高島さんには「私の訴えで支持が広がった」という言い分があるかもしれません。公開討論をしていたらどちらが得票をもっと伸ばしたのかは神学論争なので、一番いいのは実際に公開討論をしてみることだったと思います。ひょっとしたら高島さんはもっと伸ばしたかもしれないし、逆に私が伸びたかもしれません。

 しかし、結局そういう機会を奪われたままの選挙となったのであり、7割が棄権し、世論は不十分にしか反映しておりません。よって、私はこの結果には納得しないのです。

 もちろん、法律的にはルールに則った選挙だから、訴訟をするという意味ではありません。政治的・道義的に納得しないという意味です。

 高島さんに言いたいことは、このように7割が棄権し、民意を十分には反映しない結果である以上、市民が高島市政を信任したものでは決してなく、ロープウエー計画に見られる経済政策や高齢者乗車券の削減計画などの福祉政策など、今の市政のあり方そのものを根本から見直すようにして市政運営に当たるべきだということです。

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*1:記者会見で話した中身とほぼ一致しますが、文字起こしでなく私のメモにもとづくものですのでその点はご了承ください。